一回りは違う体格。人種の差か力も随分強い。
上向きに押し倒された不利な体形。
BJの抵抗はないも同然扱いで、この話が始まる前の体位に戻っていた。
つまり両足を広げ抱えられ、性器が押し付けられた状態だ。
「ゴムはない、お前さんのは合わない、我慢ならねぇ状態なのにお前がいじるから」
「お前が俺につけろって言ったんだろっ」
腰を揺らして、ひくつく後門に擦り付ける。
ビリリとした快感を感じながらもBJは抵抗をやめない。
「もう限界だ、ナマでやる」
「や、やめろっ!!」
グイと押しつかられた先端が後門をじわりと押し広げはじめる。
ヌルリとした感触。
いつもはローションや自分の吐き出した精液だが、今日は違う。
宛がわれたキリコの性器から滲みでた、彼の精液なのだ。
ゾクリと悪寒に似た、だがそれとは異なる感覚がBJの背筋を走った。
「大丈夫、ナカダシはしない」
「馬鹿、そういう問題じゃない!」
ジリジリと広がっていく感覚。
いつも自分を善がり狂わせる巨大な肉の感触にBJの躯は期待に震えはじめる。
「じゃぁ、中に出していいのか?」
躯の変化を見抜いたキリコは嬉しげに目を細めて、微かに残った理性の元、無駄な抵抗を続けるBJをみつめながら聞いた。
「だ、駄目に決まってるだろう!」
躯は欲しがってるのにまだ抵抗するBJが可愛く、愛しさがわきあがる。
その感情はキリコの欲情を煽るだけで、もうBJが何を言おうが行為は無理やりにでも決行するだけだ。
「希望は半々でいこうぜ。ナマでするが中だしはしない。文句はないな」
「あるに決まって・・・ああっーーー!!!」
一気に突き上げられてBJが悲鳴をあげた。
少し広がっていたとはいえ、まだ閉じぎみだった後門にキリコの性器が捻りこまれたのだ。
散々愛撫され焦らされた後門は一瞬の痛みを発したが、すぐにそれを快感に変えた。
「うぁ、すげえ気持ちいい」
熱く蕩けた肉壁にキュウキュウと締め付けられ、キリコが吐息を吐きながら呟いた。
「キッ・・・リコ」
ようやく与えられた快感に躯が歓喜の声をあげているのがわかる。
BJは自分を組み敷く男を見上げその表情から彼の受けている快感を感じる。
キリコの快感はそのままBJの快感にすりかわっていく。
「お前さんは・・・どうだ?わかるか?薄っぺらなゴムの隔たりがない俺のペニス」
「ば、かっ」
キリコの陰毛が尻に当たっている。根元までずっくりと挿入されている証拠だ。
奥まで貫く性器の存在感。深い充実感。
それに、いつもの隔たりはない肉の感触、そして直接の熱。
尻を撫でるサワサワとした毛の感触も快感にしかならない。
「ああ、こんなに気持ちいいと何度でもヤれそうだ。今夜はたっぷりと・・・付き合えよ」
BJの答えを待たず、キリコは激しく腰を振り出した。
指とは比べ物にならない大きさ、堅さ、長さ、そして反り返る角度。
ただ一本の性器なのに、それが与える快感の強さはBJの僅かに残った理性を簡単に霧散させた。
「ああああ!!」
胸に膝がつくほど足を屈伸されて、後門を犯されながらBJは瞬く間に快楽の渦に飲まれていった。
「もう、当分しないぞ」
翌朝、玄関を出て行こうとしていたBJがぶっきらぼうに言った。
「なんで」
「なんで、じゃない!」
シレっと問いかえすキリコに、BJは振り返って怒鳴った。
その動きはぎここちない。油の切れかけたロボットのような動きだ。
自分の怒鳴り声が響いたのか、BJは顔を顰め無意識に腰をさすった。
「よがってたくせに」
「!!」
BJの顔が真っ赤に染まる。
それは羞恥と、昨夜いつも以上に無体を働いたキリコに対する怒りからくるものだった。
ナマというのは相当気持ちがよかったのか、キリコはいい年のくせに疲れしらずの絶倫男に変身した。
キリコの欲望はいつまで経っても止まらず、最後にはもう無理だと泣いて懇願したBJを無視して明け方まで行為を続けたのだ。
長い時間貫かれて気が狂うかと思うほどの快楽を得たのは事実だ。
だが、女と違って元々そういう器官ではない。いや、女だってきっと耐えられないに決まっている。
一晩中酷使された器官は未だ異物感と微かな痛みを発しているし、とらされた体位のせいで腰も酷く痛む。
それもこれも原因はコンドームがなかった、ということなのだからBJがそう宣言しても致し方ない。
「怒るな、怒るな」
「とにかく手に入れるまではしないからな!」
ギリリとキリコを睨みつけたあと、真っ赤な顔のままBJはくるりと背を向けた。
開け放った玄関から、遠ざかる車を見送る。
走り去るエンジン音さえBJの気持ちを表したかのように乱暴だったが、そんな運転をすればきっと腰に響くだろうにとキリコは苦笑した。
完全に車が見えなくなってから家の中に戻り、そのまま乱れた寝室に足を運んだ。
シーツはふたり分の精液でドロドロだ。
いつも、少なくともキリコはゴムの中で出すから、こんなに汚れることは珍しい。
だが、これはこれで淫らだし、昨夜の行為を生々しく思いださせるしで、キリコは満足気に微笑む。
達する瞬間にBJの中にいられなかったのは残念だったが、組み敷いた躯に精液をぶちまけてドロドロにしていくのはかなり興奮した。
昨夜の情事を反芻しながら、キリコは洋服ダンスをあけ置かれたカバンの中からひとつの箱を取り出た。
手の中にあるのは外国製のコンドーム。もちろんキリコにジャストミートなサイズの代物だ。
「探したら以前買ったのがあったことにしようかね。そしてなくなったらまた昨夜と同じお楽しみだ。
ゆっくりとナマに慣らして・・・そのうち奥にたっぷりと注いでやるぜ、ブラック・ジャック」
BJが聞いたら湯気を出して怒鳴りそうなことをサラリと言って、キリコは妖しげに微笑んだ。
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