■雪印の日■
 
 

「寒みぃ」
ルパンはぶるっと体を震わせた。
天気は良いから、陽の暖かさは感じるが、根本的に寒いのだ。
風は冷たく、底冷えする寒さで体の末端はいつまで経っても温かくはならない。
「で、どこだ?」
こんな寒村までわざわざ足を運んだ理由はひとつ。
「んーとな、こっち」
地図の浮かんだ、手元の装置を見ながらルパンが空を指さした。
その先を見て次元は無言になる。
反応のない次元を不思議に思ったのか、同じく自分の指さした方に目を向けて、ルパンも無言になった。
寒いものは寒い。
今は太陽のおかげでぽかぽかした暖かさは感じるが、日が落ちれば寒さは益々厳しくなるだろう。
ここでもそう思えるのだから、目的地がどんな寒さを持って待ち受けているかなんて想像もしたくない。
「間違ってないのか」
「俺様の特性GPSだからな。あっちだ、あっち」
嫌そうに指さし続ける先には雪化粧をほどこした山々。
「あー、もう!五右エ門の奴、いい加減にしろっての!」
連絡がつかない、持たせたはずの携帯にも繋がらない、それはいつものことだから最終手段として仕込んだGPSを頼りに迎えに来てみればお約束の展開。
「ルパン、行ってこい。俺はここで待ってる」
「次元ちゃん。迎えにいっておいでよ、ちょっとくらいしけこんで遅くなっても怒らないから」
「お断りだ、会う前に遭難して死ぬ」
「そこは愛の力でしょうが!行けって!」
ギャイギャイ言い争うふたりはその場から動かない。
五右エ門の捕獲まではまだまだかかりそうだ。

 
 
■12月26日■
 

 
 
 

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