■ミステリーの日■
 
 

ミステリー。神秘的、謎、不可思議、なこと。
世の中には多種多様なミステリーに溢れている。

「そんなことはないね。だいたいのことは突きつめればたいしたことじゃない。ホントのミステリーってのは、」
「女とか、不二子だとか言うなよ」
酒を片手に高らかに語っていたルパンを遮って、次元は言った。
グッと詰まったところをみると、そういう結論に持っていこうとしていたのだろう。
ファラオの呪いだの幽霊に憑かれただの、色々な経験をしているくせに、頑固として認めようとしないのはある意味感心する。
こっちさえ巻き込まなければ勝手にしてくれと思うが、嫌でも巻き込まれるのだから、少しは現実を見て欲しいものだ。
ルパンの結論は肯定できないが、ネタがばれればミステリーはミステリーでなくなるというのは納得できる。
そう次元が言うと、機嫌を直したルパンがそうだろうそうだろうと、次元の肩をバンバン叩いた。
例えば。
あの昔ながらの和服、袴のしくみはどうなっているのだとか。
あの褌袴でどうやって排泄するのかとか。
とくに便所事情に関しては不思議で仕方なかったが、実際見てみれば成程と思ったし、今ではただの日常だ。
「そんなのと一緒にすんな!」
今度はルパンがつっこむ番だが、結局はただの酔っ払い。
そのうちガハハと笑って、馬鹿馬鹿しいミステリー談義に花が咲いた。

 
 
■10月8日■
 

 
 
 

   
■足袋の日■
 
 

木綿で出来た日本特有の衣類である足袋。
着用目的は同じであるものの、柔らかい靴下とはなにかが違う。
小鉤で留めてしまえば、型崩れを許さないというように硬くキチリと足首から先を包み込む。
真っ白な足袋は清潔で清廉。それなのに妙な色気さえ感じさせるから不思議だ。
春夏秋冬、どんなときでも裸足でいる五右エ門も、畏まった場所では足袋を履くことがある。
身につけているものは同じだ。
いつもは開いている胸元を合わせ、足袋を履いているだけなのに、印象はだいぶかわってくる。
元々姿勢が良く立ち姿も綺麗だが、それが強調されているような気がする。
胸元も足先もいつもより露出が少ないというのに、いつも以上にそそられる。
むらむらと湧き上がってくる夜専用の衝動を次元はぐっと抑え込んだ。
ゴクリと喉がなったんは大目に見て欲しい。
見えないと見たくなる。
隠されると暴きたくなる。
それは人間の持つ邪まなサガだから仕方ないと、誰に対してでもなく言い訳しつつ。
真っ白い足袋を履いたままの足が自分の両脇で揺れる様を想像し、
今夜はそれを現実にすることを次元は決意したのだった。

 
 
■10月9日■
 

 
 
 

   
■道具の日■
 
 

「じゃじゃーん!俺様からおまえらにバカンスのプレゼント!」
ドンとテーブルに置かれた小振りの箱。
ルパンの作り笑いに嫌な予感がしまくりで次元は受取拒否をする気だったが、
人様の厚意を無下にできない日本人の鏡みたいな侍がつい受け取ってしまった。
「せっかくおまえたちのためにわざわざ用意したのに」
「バカンスを満喫してもらおうと俺なりに考えたのに」
などと、ウダウダメソメソ言われたら、受け取らざる得ないだろうと計算ずくだ。
不二子に振られ、居残り状態になったルパンがすることだ、絶対碌なものじゃない。
わかっていても五右エ門が受け取ってしまったのなら仕方がない。
いつもは五右エ門の指定席である後部座席に箱を放り入れ、当人はふたりきりなのだから助手席に座らせ、楽しいバカンスに出発した。

食事をすませ、チェックインしたホテルのテーブルの上に例の箱が置いてあるのを発見して、次元は天を仰いだ。
忘れたふりをして車に置いてきたはずだったのに、気を利かせた五右エ門が持って来たらしい。
日頃酷い目に多々あってるくせに、なんでこうも素直に動くのか、ある意味感心する。
五右エ門が風呂に入っているうちに始末してやろうと決心するが、中身が気になるのは確かだ。
嫌な予感しかしないが、怖いもの見たさというか、知らないなら知らないで気になるというか。
とりあえず中身を確認してから廃棄方法を考えようと、蓋をあけて次元は心底後悔した。
「ルパンの奴・・・!」
クッション材に包まれてゴロゴロ入っているのは所謂アダルトグッズ。
デルトにバイブにアナルパール。大小さまざま、動きもさまざま。
夜のお供に五右エ門に使えと痴態に満ちた夜を楽しめと、嫌がらせなのか出歯亀なのか、そういう意図だけははっきりしているのだが。
「こんなん使うかよ!!」
殴りつけて凹んだ箱を丸ごと部屋の片隅に投げ捨てる。
興味があるとかないとか。使いたいとか使いたくないとかそういう問題じゃないのだ。
修行に行ってしまえば数か月単位で会うことはない。
戻って来たら戻って来たで仕事三昧で、一緒にいる時間は長くとも、ベッドを共にするチャンスはかなり少ない。
相思相愛なのに。そういう間柄なのに。
だから今回のバカンスを次元は心底楽しみにしていたのだ。
「こんなモン突っ込む暇があったら、俺のを突っ込むに決まってるだろ」
ケッと吐き捨て潰れた箱を忌々しく睨みながらも、ローションとゴムだけはちゃっかり取り出し済みだ。
これだけはありがたく使わせて貰う、いくらあっても足りないくらい使いたいもんだと次元は思いながら、ベッドサイドのローテーブルの引き出しにそれらを仕舞った。

 
 
■10月10日■
 

 
 
 

戻る









 

テレワークならECナビ Yahoo 楽天 LINEがデータ消費ゼロで月額500円〜!
無料ホームページ 無料のクレジットカード 海外格安航空券 海外旅行保険が無料! 海外ホテル