■ふみの日■
 
 

暑い暑いと騒ぎ立ていた男は、風の通る場所を見つけたのか、今は畳の上に大の字になっている。
ふーと何度か大きな息を吐いたあと、だらんと体から力を抜いて昼寝モードに入った。
お気楽そうなその様子に、五右エ門は腹の底から不機嫌がムクリと頭を擡げるのを感じた。
意味深な態度と、オブラートに包まれた言葉。
はっきりとは言わなくても視線が行動がすべてを物語っている。
こっちへ来いと五右エ門を誘っている。
正面切って言われれば対処しようがあるが曖昧な言動だけではどうして良いのかわからない。
そんな風に散々人を振り回しておいて、悩ませておいて。
自分は何事もなかったかのように暢気に昼寝とはどういうつもりだ。
ふみっ。
部屋を横切る五右エ門の足元で。
「ぐえっ」
カエルが潰されたような声がした。
それでも構わず歩を進めた背中に「おい、なにするんだ」と次元の非難の声がかかった。
ゴホゴホと咳き込みながら腹を押さえている姿をみて、五右エ門の胸がすく。
「そんなところで暢気に寝転んでいるからだ」
ふんと鼻で笑って部屋を出る。
少しは気が晴れた五右エ門は、これからどう反撃してやろうかと考えはじめた。
やられっぱなしだけでは男が廃る。
一方的に振り回されるのは気に食わないのだ。
例え結果が同じだとしても。

 
 
■6月23日■
 

 
 
 

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