外出したはずの次元が数分もしないうちに戻って来た。
いつも通りの軽装で出かけたはずが、今は大荷物を抱えている。
「ナニソレ」
「拾った」
よくそんな大きくて重そうなものを小脇に抱えられるな、とルパンはある意味感心する。
「どこで」
「玄関の手前5mくらいだな」
「で、オマエ、拾ってきちゃったの」
「仕方ねぇだろ」
「なんか臭くねぇ?」
「ボロ雑巾みたいなもんだからな」
「とりあえず風呂に放りこんで来い。臭くて汚ねぇモンにベッドは使わせられねぇ」
どこをどうしたらそんな状態になるのか一度しっかりじっくり問い詰めたい気もするが、きっと想像通りだろうから無駄なことはしない。
一応帰巣本能はついていたのだろう。帰って来ただけマシだと思わなければ。
「なぁ、ルパン」
「なんだよ」
「拾ったモンって何割俺のモンになるんだっけ?」
「・・・知らねぇよ。俺は交番になんか届けねぇからな」
「そうか。このまま着服すれば全部俺のモンか」
長く会っていなかったせいでまともな判断能力がなくなっていたのか、訳のわからないことを言い出した相棒の尻を蹴飛ばす。
「それは五右エ門と相談しろ!とにかく風呂に連れていけ!」
じろりと睨んでくるが、意識のない男を風呂に放り込んで好き放題できる誘惑には勝てないらしい。
「ピカピカにしてくるから、なんか軽いもの作っとけよ」
天下の大泥棒様にメシを作れと命令するとはどういうことだと、ちょっと思わないでもなかったが。
「俺も次元も甘いよなぁ」
あのスタボロ加減ならメシも食っていないだろう。
仕方ないとルパンは小さくため息をついた。
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