■弟の日■
 
 

ルパンは五右エ門に対して甘いと次元は常々思っている。
裏切られても、命を狙われても、気が進まないと途中で仕事を放り投げても。
表面上は怒ってみせているが、内心「仕方がない」と思っているのはバレバレだ。
五右エ門が仲間に加わる前は、ルパンと次元はふたりで組んでいた。
人手が足りないときは助っ人を加えることはあったが、もちろん裏切りなど許しはしなかった。
この世界、甘い対応は命取りになる。だから代償は命で支払わせてきた。
それなのに。
「なーんか、手がかかる弟みたいな気がするんだよなー」
酒を酌み交わしながら、ルパンはハハハと笑って言った。
あの殺人兵器のような男に命を狙われて普通は無事ではいられない。
それでもルパンは生きている。
擦り傷くらいは作っても命に関わるほどの怪我を負ったことはない。
つまりそういうことだ。
たぶん無意識なのだろう。五右エ門自身は本気のつもりでも、どこか深い所でセーブしている。
そしてルパンはそれを知っている。
「態度はあんなんだけど、どっか甘えられてるっていうか」
「あーあ、またかっていう感じで諦めの極致っていうか」
「手間かかるけど放っておけないっていうか」
「弟がいたらあんな感じなのかなーとか思っちゃうんだなぁ」
ルパンの言葉を聞きながら、次元は成程と思った。
次元にとって五右エ門は『弟』というより、対ルパンの強力な『同志』だ。
ルパンを頂点におく二等辺三角形の底辺を支える『2点』。そんなイメージが強い。
だからどちらかといえば、ルパンの五右エ門に対する感覚は、次元にとってルパンに対する感覚に近い。
「手がかかる弟か。成程。違ぇねぇ」
妙に納得が出来て苦笑を浮かべた次元を見て勘違いしたのか、
「あいつは弟属性だよなー」と同意を求めるルパンに、
次元は『お前も似たようなもんだよ』と心の中で突っ込んだのだった。

 
 
■3月6日■
 

 
 
 

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