■交じり合う汗■
 
 

ヒィヒィと死ぬ間際のようなかぼそい声を喉の奥から漏れさせている五右エ門の体は、既に汗塗れだ。
本人の汗とポタポタと滴り落ちる次元の汗。
綺麗に反った背骨に添って、混じりあった汗が筋をつけて流れていく。
ずんと腰を進めば、繋がった場所がぐしゅりと水音を立てる。
ずりと腰を引けば、五右エ門の喘ぎが更に逼迫した色を乗せる。
五右エ門が挿れるときよりも抜くときの方が感じていると気がついたのはいつのことだったか。
同じ内壁の摩擦ではあるものの、排出感が伴う分快感が増すらしい。
根元まで挿入し小刻みに突いて快楽を溜め込ませたあと一気に引き抜くと、五右エ門は小さな悲鳴をあげて達した。
大きく仰け反った背中に背骨がくっきりと浮き上がるのが、妙に色っぽい。
次元は堪らず、絶頂感で息も絶え絶えな五右エ門の体を、再び最奥まで貫いた。

 
 
■お題【背骨】■
 
抜くときがイイっていいよね(萌)
  

 
 
 

   
■すがりつく■
 
 

揺れる世界の中でしがみつく場所を求めて五右エ門は手を伸ばす。
ベッドの上で硬い体に覆いかぶされ両足を掬われ。
他人に強制的に揺さぶられる。
あけていると目を回しそうで、ギュッと瞼を閉じているが、それでもたまに酔いそうになる。
激しく弱く、強く優しく。
痛みはすぐに快感にかわり、下肢にまったく力が入らなくなる。
されるがままに貫かれ、抽送を繰り返され、全身を廻る快感に支配され、思考は溶けていく。
揺れる度に鳴る粘着質な水音や獣のような息遣いが、体の中で響いているような気がする。
軟らかいシーツを掴んでいるだけでは心もとない。
もっとしっかりとした頑丈なものに縋りつきたくなって、最期には自分を抱く男の背中にしがみつく。
浮き出た肩甲骨はとても安定感があり、いつも両手で思いっきり掴んでしまうのだ。
弾ける瞬間には何も考えられなくなっているのだけれど。

「また痕がついたぜ」
苦笑を浮かべ背中を見せる次元の肩甲骨にはくっきりとした爪痕が残っていた。
覚えてないほど、交わりに夢中になっていた自分が恥ずかしいと思うし、みっともないとも思うのだけど。
それ以上に、次元の体に残る痕が所有の証のように感じられて、じんわりとした悦びが湧き上がってくるのだ。

 
 
■お題【肩甲骨】■
   

 
 
 

   
■お尻が痛い■
 
 

滑って転んで無様にも尻餅をついた。
高く飛び上がって得物を真っ二つにし、いつものように格好よく着地したつもりが、オイルまみれの大理石の上だったことから思いっきり滑った。
ズドンと尻から着地だ、みっともない。
「大丈夫か、五右エ門」
その場に居合わせて、なかなか立ち上がれなかった五右エ門の姿を目撃した次元が心配そうに声をかけてくる。
きっとこれがルパンなら腹をかかえて笑った挙句、いつまでもからかってくるだろうことは容易く想像できるから、ルパンがいなかっただけマシだが、放って欲しいと心底思う。
恥だ、恥。修行が足らん。
一晩経っても痛みは引かず、青あざでもできたのか痛みは増すばかり。
椅子に座るのも一苦労。あぐらをかくのを一苦労。
思いっきり打った尾てい骨は動くだけでも痛いのに、座ることによって圧迫されれば更に辛い。
何気なさを装い、五右エ門はいつものように振舞ったつもりだ。
普通に歩き、普通に立ち止まり、普通にソファーに座る。
それなのに。
「どうしたの、五右エ門ちゃん」
違和感があったのか、ルパンが目を丸くして声をかけてきた。
「なにがだ」
「だって、おまえ尻・・・」
途中で言いかけたルパンがハッと何かに気がついたような表情を浮かべ口を噤んだ。
笑いの形に唇を歪めながらも、五右エ門を見る瞳には少しの同情の色がある。
あのみっともない様がバレたかと内心焦った五右エ門だが。
「次元、あんまり無理させんなよー、なにごとも程ほどになー」
厭らしい笑みを浮かべて、次元の肩を優しく叩くルパンを見て、とんでもない誤解が生まれたことに気がついた。
「「ち、違う!!」」
同時に否定の言葉を叫ぶが、そんな様子も仲が良さそうに見えたのだろう。
「いいよ、いいよ、わかってるからさ。でもお前ら元気だねーvv」
ニヒヒヒというルパンの笑い声と、違うと叫ぶふたりの声がアジトに響き渡った。

 
 
■お題【尾てい骨】■
   

 
 
 

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