■溜まって流れて■
 
 

首筋を滑り落ちた汗が鎖骨に溜まる。
一滴二滴と流れ落ち、小さな汗溜りを作っていく。
ゆらっと揺れて端から毀れそうになるものの、反対にゆらっと揺り返しが来てどうにか元の位置に留まった。
そうしているうちにも、汗は流れ落ちてくる。
鎖骨が留められる限界の量に達した瞬間、すべてがひとつの筋を作って胸元へ流れ落ちていった。
「あっ」
ついあがった次元の声に五右エ門が怪訝そうな目を向けた。
「なんだ?」
綺麗に浮き出た鎖骨のうえにはもう何も溜まっていない。
ゆらゆら不安定に揺れる汗溜まりに目を奪われていたが、それがなぜなのか次元自身にもよくわからない。
「いや、なんでもねぇよ」
次元がポイッと放ったタオルを受け取って、五右エ門は自らの体の表面を塗らす汗を拭い取る。
「まだ、続けるのか?」
「無論」
ほんの少しの休憩のあと、五右エ門はふたたび剣を振い始める。
次元といえばさっきまでと同じく、アジトの小さな庭で黙々と修行を続ける男を見つめていた。

 
 
■お題【鎖骨】■
 

 
 
 

   
■性感帯■
 
 

突き出された尻が淫らに次元を誘う。
本人にはそのつもりはまったくないのだろうが、快楽に蕩けた上半身をぐったりとベッドに埋め、腰だけを高く掲げた体勢は挿入を強請っているようにしか見えない。
指で拡張され舌先で散々愛撫を受けた場所が、しとどに濡れヒクヒクを痙攣して見せているから尚更だ。
「・・・堪んねぇ」
唾液を飲み込む音が大きく響いたような気がした。
次元は湧き上がる衝動のまま、尖った腰骨を両手で乱暴に掴む。
「ぁっ・・・!」
薄い皮膚が張っただけの腰骨は五右エ門の性感帯のひとつだ。
行為中に此処に軽く愛撫を与えただけで、切なげに啼く。
今も例に漏れず全身を震わし、荒い息遣いに細い喘ぎ声が混ざった。
ぐいっと引き寄せると同時に、自らも腰を突き出す。
宛がわれてた先端は抵抗を受けることなく、ずぶずぶと根元まで沈んでいく。
仰け反る体を背後から押さえつけ、次元は律動をはじめた。

 
 
■お題【腰骨】■
   

 
 
 

   
■屈辱のお仕置き■
 
 

「もう許さねぇ」とルパンは言った。
敵の甘言に騙されて剣を向けてきた五右エ門に、ルパンはご立腹だ。
「切腹しろ、切腹」
斬鉄剣をとりあげて介錯の真似事をするルパンの前に、五右エ門は素直に座って前を肌蹴る。
また始まった、と次元は呆れた目でふたりを眺める。
たぶん五右エ門の方は本気だ。裏切りの代償として腹を切れと言われれば、侍らしく従うだろう。
だがルパンはどうみてもただのポーズだ。怒ってはいるが殺す気なんて更々ない。
不思議だと思う。
基本的にルパンは裏切りを許さない。一見甘い優男風だが、殺意には殺意で応える男だ。
それなのに五右エ門の裏切りに対してはいつも有耶無耶だ。
はっきり言えば簡単に許してしまう。
五右エ門自身は敵対しているつもりでも、根本的なところで裏切りきれていないということだろうか。
それでも。
ルパンは怒ってみせて、切腹しろと反省を促す。
前回はこの状態から殴り合いに発展させ有耶無耶にしたが、今度はどうするつもりなのか。
二度同じ手は使えないはずだ。
俯いた五右エ門の髪がサラリと流れる。白い項が露になる。何度見てもそそられる部位だ。
いつもは湧き上がる衝動を抑え込む次元だか、今日はその必要がなさそうだ。
介錯ごっこを続けるふたりの傍に歩み寄り、誘いかけてくる項をじっと見つめる。
「どうした?次元」
相棒の突然の登場にルパンが不思議そうに首を傾げた。
ぴくりとも動かない五右エ門の背後に立ち、次元は腰を屈め・・・
「ぐっ!!」
思わずと言った呻きが五右エ門の唇から洩れた。
次元は構わず、浮き出た頚骨に歯を立てる。歯と骨が合わさってゴリゴリと音を立てた。
痛みに耐え抵抗せずにされるがままの姿に征服欲が満たされていく。
プツンと皮膚が破れ鉄の味が口内に広がったところで、次元は口を離した。
くっきりとした歯型がついている。滲む血を舌でペロリと舐めあげて、次元は腰を伸ばした。
「これでチャラでいいだろ?」
ニヤリを笑ってみせると、目を丸くしていたルパンはすぐに爆笑した。
「ま、これに懲りたら、次からは簡単に騙されんなよ」
俯いたままの頭をポンと叩く。
無言でふるふると肩を震わせている五右エ門の顔見えないが、赤くなっていることは優に想像できた。

 
 
■お題【頸椎】■
   

 
 
 

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