こんなことは初めてでどうしていいのかわからない。
人の肌を知らないわけではない。
もういい大人だ。それなりの経験は積んでいる。
それなのに、今このとき、過去のどの経験も役に立ってくれない。
指先で弄られた場所が、掌で撫でられた場所が、舌が這い回った場所が、熱を持ってジンと痺れる。
他意のない動き、ただ肌が触れ合っているだけでも体の奥が熱くなる。
まるで、全身の神経が剥き出しになっているようだ。
息が荒れるのを止められない。
洩れる声をかみ殺しきれない。
頭がくらくらして視界が回る。思考も神経も焼き切れそうだ。
「頭が・・・おかしくなりそうだ」
「俺はとっくにおかしくなってる」
視線が絡まる。
お互いの目の奥にあるのは、狂おしいほどの愛しさと欲望。
おかしいのは自分だけじゃない。
心の奥底から湧き上がる悦びは、更なる欲情を呼び込んだ。
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