■そのあと彼らは■
 
 
 

 
すっかりと欲情に染まった瞳。それでも俺を責めるような色は残っている。
さすが五右エ門だ。快楽に落ちても簡単に屈しない。
俺はこいつのこういうところに煽られるんだ。
だが、もう五右エ門もわかっているはずだ。このまま意地を張れば苦しいままだということを。
「いきたいか?五右エ門?」
素直に頷かない態度を楽しみながら前立腺を思いっきり2本の指でぐりぐりしてやると、ヒッと声をあげて仰け反ったあと、小さく頷いた。
「そうか、それなら」
指を抜き、ホッとしたような表情を浮かべた五右エ門から猿轡をはずす。
「は、はぁ、はあ」
新鮮な空気を吸い込んでいる間に、俺は五右エ門の頭の横に座り込む。
少し息が落ち着いたところでその躯を引き寄せ、開いた口に俺のモノを捻り込んだ。
「んっ!?」
驚きの声があがるが、遠慮なく喉奥まで突きこむ。
「俺も気持ちよくしてくれよ?」
腰を振り五右エ門の口を何度か出入りさせてから動きを止めると、観念したのか五右エ門は素直にフェラチオをはじめた。
先端を咥え吸い込んだあと、側面や裏筋を舐めあげるてくる。
唾液をたっぷりと滴らせ音を立ててしゃぶってくる、その表情は、舐められる快感以上に俺に快楽を与えてくる。
日頃禁欲的なこいつが男のモノを旨そうにしゃぶる姿は本当にイヤらしいのだ。
グンと今まで以上に反り返ったモノを再び口に咥え、さっきの俺と同様、射精を促すような激しいバキュームをはじめた。
いつものように躯の自由も効かず手も動かせないだけに、唇や舌がいつも以上によく動く。
それだけ、下半身が苦しいのだと、いきたいのだと訴えられているような気がした。
「うっ」
軽く歯を立てられ、その刺激は痛みよりも快感を増した。
このまま口の中にイクのもいいし、顔にかけてやるのもいいと思ったが、やっぱりそれじゃおさまりきれない。
腰を引き、五右エ門の口から引き抜くと、唾液がいやしく滴り落ちた。
唾液が伝う口の端と、紅く染まった唇。
それをみて「キスしてぇ」と思った。そういえば、今日は一度も唇にキスしてないんだ。
五右エ門の足元に回りこみ、足首のロープをほどく。
その両足を抱え込み躊躇うことなく、ひくつく後門を一気に最奥まで貫いた。
「アアーーーーッ」
五右エ門が甘い叫びをあげて仰け反った。
その躯に覆い被り唇に貪りつく。舌をさしこみ、柔らかく熱い舌に絡ませた。
戸惑うことなく、絡んだ舌が応えてくる。
くちゅくちゅと唾液を交換し合いながら、腰を突き上げ続けた。

後門の中は熱く狭く、突き込むと侵入を阻むように締め付けてくるのに、引くと逃すまいとするかのように絡みついてくる。
腰を動かす度に脳天を貫くような快感が躯中をかけまわる。
「じ、げ・・ん」
キスの合間に懇願するように五右エ門が俺の名を呼んだ。
こいつももう限界に近いのだろう。
ふたりの腹の間で揉みくちゃにされる五右エ門のモノは可哀相なくらいパンパンになっている。
唇を離し、躯を起した俺は五右エ門の両足をしっかりと抱え固定して、腰を思いっきりスイングした。
ラストスパートだ。
とことん抉りあげて容赦はしない。
擦れ合う側面が熱くって、そしてすごく気持ちいい。
全神経が、全血液は一点に集まっていくような感じがする。
もう、イク。
そう判断したとき、五右エ門の射精を塞き止めていたシーツを解いた。
「あっ、ああっ!!」
ようやく与えられた開放感に躯は悦んで絶頂を迎える。
五右エ門は躯を痙攣させながら精液を撒き散らした。
「ぅ、くっ」
同時に、吐精の衝撃で締まる後門の奥底に俺も思いっきり精液を吐き出した。

「はぁ、はぁ」
「はっ、はっ」
ふたり分の荒い息遣いが寝室に響き渡る。
吐精して、ようやく頭に冷静さが戻ってきた俺は組み敷いた五右エ門をみて眉を顰めた。
着物の上から縛りあげていたとはいえ、着物をむりやり肌蹴させたので、反対にロープがきつく食い込んでいる。
後ろ手に縛りあげた手首も腕も、自らの体重に押さえ込まれてきっと痺れているだろう。
胸元に散る血の滲んだキスマークとはいえない歯型が、白い肌に刻まれていて痛々しくみえた。
全部、俺のしたことだ。
嫉妬に駆られて乱暴に犯した。
後悔が押し寄せてくるが今更どうしようもない。
そっと結合をとくと、抜ける瞬間に五右エ門が小さく呻いた。
甘い声にぞくりとした感覚が背筋を駆け上がるが、これ以上無理強いすれば五右エ門は決して俺を許さない。
五右エ門の躯をそっとうつ伏せにして、縛り上げたロープを解いていく。
手首にも腕にも赤く擦れた縄の痕が痛々しく残っていた。
ロープが解かれ自由が戻っても五右エ門は目を閉じてぐったりしたままだった。
「・・・おい、大丈夫か?」
汗で髪が張り付いた頬に掌をあて小さく問うと、ようやく五右エ門は目を開いた。
「・・・大丈夫だと・・・思うのか」
鋭い視線が俺に突き刺さる。
怒って当然だ。
別に好き好んで捕まって、あんなキスマークなんか残されたわけじゃない。
反対にプライドの高いこいつは、雑魚にいいようにされて屈辱だっただろうに、俺はそれを責めて好き放題したんだ。
「すまねぇ」
「謝ってすむことなのか」
「嫉妬に狂った」
「・・・・・・」
本当のことだ。
頭の奥ではわかっていたのに、どうしても許せなかった。
こいつの肌に痕をつけていいのは、俺だけのはずなのに。

五右エ門の手が伸び、俺を引き寄せる。
疑問が頭を過ぎるよりも早く、首筋に五右エ門が噛み付いた。
「うあっ」
ギリリと容赦なく歯が喰い込んでいく。
皮膚が破け、血が流れだすのを感じたが、俺は抵抗せずされるがままになる。
焼け付けるような痛みがズキンと脳天まで貫くが、息を止めぐっと耐えた。
たぶん時間にしたらほんの僅かだったのだろうが、痛みを耐える分俺はそれを長く感じた。
皮膚に打ち込まれた歯が離れ、次にペロリと舌先で舐められる。
硬く尖らせた舌先で傷口を辿られるのは新たな痛みを発したが、噛み付かれるよりもマシだ。
息をとめて耐えていると、ようやく五右エ門が離れた。
ぽすんと頭をベッドに落とした五右エ門を真上から覗き込む。
「これで許してやる」
唇についた俺の血を舌でペロリと舐めとりながら五右エ門は言った。
目はまだ鋭さを残していたが、殺気は消えている。
五右エ門に寄り添うように横たわり、ゆっくりと抱き締める。
「もうするなよ」
「じゃあ、俺を嫉妬に狂わさせないでくれ」
そう答えると、五右エ門は呆れたような表情を浮かべ、そしてクスリと笑った。
「反省してないのか」
「してるぜ」
「そうは見えんな」
そんなことを言いながらも五右エ門は俺の胸元に擦り寄ってきた。
「疲れた。寝る」
そう宣言すると同時に、あっという間に五右エ門は眠りについた。
そういやこいつはずっとあの男に囚われたままだったんだったけ。
捕まった状態で眠るはずもなく、平気そうにみえたがかなり疲労困憊だったんだろう。
「悪かったよ。だけど・・・もうしないとは約束できねぇ」
そう呟いて、眠る五右エ門を優しく抱き締めて俺もゆっくりと目を閉じた。
 
 
 
 
 

■SONOATOKARERAHA■
   

    
 
 
   
 ■あとがき■
ムリヤリ ノチ ワカン
次元が嫉妬に狂って攻めままくる設定って萌えますv
が、うちの次元はヘタレ仕様のようで鬼畜を貫けなかったようです(笑)

嫉妬に狂う次元とすぐ許しちゃう五右エ門
結構ラブラブな話だと私は思っておるんのですが・・・どう?<聞くな


 
 

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