■誘惑■

 
 
 
 
 

ドサッ、という音を立てて俺はソファーに押し倒された。
飛んだ帽子がパサリと落ちる音を聞きながら俺は唖然とした。
普通なら薄汚れた天井がみえるはずだが、今は人のシルエットに隠れてしまっている。
覆いかぶさっているのは馴染みの女でも通りすがりに買った女でもない。
日頃から見慣れている白い整った顔だ。
その顔を流れ落ちる黒髪が縁取っている。
「なっ」
なにすんだ、と問いかける前に言葉を遮られた。
発するはずだった言葉はくぐもった声となって相手の口の中に吸収される。
頭が真っ白になる。
いったい今なにが起こっているんだ。
遠慮なく侵入してきた舌が口内を這いずりはじめた。
ゾクゾクとした感覚が背筋を突き抜ける。
なんなんだ、こいつ。
女に滅法弱くって女慣れしてないようにみえるのに、結構舌使いが巧い。
なんて、パニクってるくせに妙に冷静に感想を述べているアホな俺の脳みそ。
その間にも口内を舐めていた舌が俺の舌に絡みついてきた。
「んっ!」
押しのけようとするが体に力が入らない。
色々な武道や体術を習得したこいつは「柔よく強を制す」という言葉の通りに、物凄い力で押さえつけられているわけじゃないのに手足がうまく動かないのだ。
その間にもやつの手がすべり降り、ネクタイを緩めシャツのボタンをはずしにかかった。
冗談にしてもやりすぎだ。
だいたいルパンならこんな悪質な冗談をするかもしれないが、こいつがするなんて思ってもいなかった。
押し返そうとするが覆いかぶさった体はビクリともしない。
素肌にさらりとした掌の感触。
ゆっくりとした動きだが、ツボを捉えて俺の体を煽っていく。
足の間に割りこんでいた足が上下に動き、股間を刺激してくる。
ヤバイ。
心底ヤバイ気がする。このままじゃ洒落にならない。
女ならまだしも男相手に盛るつもりはない。
快感に囚われそうになっている体に激を飛ばし、顔を背け圧し掛かっている体の両肩を両手で掴み引き離した。
くちゅりと音を立てて唇が離れる。
抗議しようと睨みを効かせてみあげるが、俺を見下ろしている五右エ門の眼をみてゾクリとした欲望が頭を擡げたのを感じた。
五右エ門の俺を見る眼は、今まで見たことのない色に染まっていた。
いや、他でならみたことがあるものだ。
成熟した大人が欲情したときにみせる眼。
自分では見ることは出来ないが、きっと俺の眼も同じ色を宿していることはゆうに予想がついた。
「どっちがいい?次元」
「なにが・・・だ」
わかってはいるが、問い返す。
一応形式美のようなお決まりな短い会話。
「上か下か」
目を細めて笑う男の顔は妖しく俺のなけなしの理性を奪い去った。
「上に・・・決まってるだろうが」
体制逆転するために腕をひっぱるが、その勢いでそのままソファーの下へふたり一緒に転げ落ちた。
俺に組み敷かれた五右エ門は両手をあげ、俺の首に腕を絡ませる。
「・・・それから?」
「後悔すんなよ」
誘われるがままに俺は白い体に貪りついた。
 
 
 
 
 

■YUWAKU■

 
 
 
■あとがき■

『5月4日は五次の日』
ということで五次風味なお話。

とはいえ、次五っ子な私に五次は書けないので
あくまで「五次風味」にしようとしたら
ただの襲い受けになりました(笑)

出来てないふたり。
五右エ門がヤる気満々で
次元はその気ナッシングな
拙宅ではちょっと珍しいジゲゴエ。

でも結局はヤるという(^ー^)


  

 

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