■してもしても足りない男の気持ち■

 
 
 
 
 

この気持ちがなんなのか、次元にはよくわからない。
強いていうなら『飢餓状態』というのが一番近いような気がする。
色々なことに夢中で腹なんて減っていなかったのに、目の前にドンと好物が置かれた途端、猛烈に腹が減っていることに気がつく。
そんな感じだ。

なんでだろう?
頻繁に接触しないからだろうか。
仕事中は完全にそういう雰囲気は吹き飛ぶし、仕事外でもそう簡単にさせてくれないうえ目を離すと修行と称して姿を晦ます。
ラブラブ度が足りないのかもしれない。
いや、男同士でラブラブもくそもあったもんじゃないし下手すりゃ気持ち悪いだけなのだが。
やっぱ、当事者的にとってはそういうものは重要だと思うのだ。

日頃お預けくらっている分、実際に事をはじめるとこういう気持ちになってしまうのだろうか。
元々、淡白な方で相棒のようにスキモノ(というのは大げさか?)というわけではない。
そんなにガツガツしてないし、回数だって平均並。そんなにこなすタイプではない。
いや、なかったはずだ。
だから、こんな気持ちに、こんな状態になってしまうのは、自分ではなく相手のせいなのかもしれない。
と、次元は責任転嫁しようとした。
だけど、それではやっぱり男らしくないから理由付けするのは後回しにして、とにかく満足いくまでやろうと決めた。

相手は絶対に諾とは言わないことはわかっていたから、あの手この手で絡め取り賭けて負かして、このチャンスを掴み取った。
自由にできる期間は3日間。
それだけヤリまくれば満足、というか、もう当分はしなくていい、という状態になると踏んでいたのに。

朝から晩までヤりまくって、あとは喰う寝る以外はなんにもしてない。
つまりこの3日間、『三大欲求』といわれる『欲』しか満たしてない。
それなのに。
もうクタクタで太陽だって黄色く見える。
出しに出し捲くったからミルクタンクもすっかり空っぽ。
それなのに。
白い顔を青白くしてぐったりと眠る男を見て、無理をさせた。元々受ける性でないのにこんな長時間攻め込まれて辛かったろう、可哀想なことをした。
そう思うのに。
少しやつれた頬に張り付く後れ毛をみて。
薄く開く薄い紅色の唇をみて。
キスマークを浮かせた汗ばんだ首筋をみて。
ふたたび、昂ぶる。
ぐいん、と一気に下肢に血液が集まっていくのがわかる。


覆いかぶさってきた男の体重を受けて、五右エ門が目を薄く開いた。
目の前の男はすでに発情していて、少し驚く。
だが、次元の目に浮かぶのは欲情だけでなく、コントロールできない己に対する戸惑いと自己嫌悪が交錯している。
唇を触れ合わせたまま、次元は自虐気に顔を歪ませた。
「なんで俺はこうなるんだ」
視線を絡ませながら、既に興奮状態の下肢を擦りつけ自分の状況を知らせる。
「やってもやっても足りねぇ。なんでだ、さっぱりわかんねぇよ」
五右エ門の肌に手を這わせて、知り尽くした性感帯を刺激する。
賭けを盾に無理を言って受け入れさせているが、体はもう限界に近いだろう。
悪いとは思うものの、やめられないのだ。
なら、せめて苦痛じゃなく少しでも快感を与えたい。
そう思う次元の指が、唇が、少しでも五右エ門を昂らせようと肌の上を這い回る。

ふう、と五右エ門が大きく息を吐いた。
快感によるものではなく、呆れた感じの溜息。
次元の体がぴくりと反応する。
「愚か者。おぬしはぐたぐたと考えすぎだ」
呆れた感じだが、怒ってはいない。どちらかというと優しい声だ。
「理由はひとつだろうが」
顔をあげ、覗きこむと五右エ門は悪戯気に笑った。
「愛だろう、愛」
「!!」
絶句。
まさか、五右エ門の口から『愛』なんてこっ恥ずかしい言葉が出てくるとは思わなかったから、つい赤面する。
だが、いや、だからこそか、そう言われてみれば、なんだか確かに理由はそんな単純なもののような気がしてくる。
こんなに欲しいのも、乱れる姿がみたくって仕方がないのも、すべて愛故か。
豆鉄砲喰らったような表情を浮かべたていた次元は、すぐに柔らかく表情を緩めた。
「そうか」
「そうだ。だがな、次元」
五右エ門は髭をぐっと掴んで、次元の目を覗き込むと物騒に笑った。
「だからといってなんでも許されると思うのではないぞ?」
「・・・・・・・・すみません」
素直に謝る姿に、五右エ門は声をあげて笑った。
「で、続けていいか?」
「・・・約束の3日は終わってないからな」
五右エ門の返事に、次元は目を細めて笑い、ゆっくりと侵入を開始する。
長く嬲られたその場所は何もせずとも柔らかくぼぐれていて、抵抗なく次元を受け入れてくれる。
締め付けられる快感と共に、なにか満たされたような気持ちが湧き上がってくるのを次元は感じた。
 
 
 
 
 

■TARINAI KIMOTI■

 
 
 
■あとがき■

五右エ門は男前だと信じて疑いません。
かわいいけど男前(^^)
たまらんv(ハアハア)

うだうだ次元さんと男前五右エ門のお話デシタ。


 

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