下半身がねっとりとした液体に包まれている。
液体は大きく小さく波打ち、股間に押し寄せる。
その刺激に性が目覚める。
じわじわと下半身に広がっていく快感。
ぬるり滑り、ねっとりと絡みつく、その蠢きに己が完全に勃起していることを自覚した。
気持ちいい。
無意識に腰がゆらめく、もっともっと快感が欲しい。
はぁ、と大きく息を吐くと絡みつく粘液がピクリと反応し、更に強く纏わりついてきた。
ぞくぞくとした快感が全身を駆け抜ける。
快楽を甘受しながら、次元はぼんやりと考える。
この快楽はなんだ。
流されていきそうな、誘われるままに吐き出したい、気持ちよさ。
どうして自分はここにいるのか。
いや、違う。
ここはどこなんだろう。
昨夜は自分の寝室で眠ったはずなのに、なぜいまこんな状況に。
そこまで考えた次元の意識がいっきに覚醒した。
パチリ、と目が覚める。
目の前にあるのは薄い暗闇の中の見慣れた天井。
「うはっ」
ビクリと次元の躯が跳ねる。
いやらしい夢を見ていたと一瞬思ったのだが、快感はまだ下半身を包んでる。
それどころか、クチュクチュという淫らな湿った音が聞こえてくる。
そしてその音に合わせて躯を駆け巡る快感。
小さく呻いて顔をそらした次元の目に映ったもの。
それを見て、次元はようやく己の身に起こっている信じられない状況を把握した。
眠っている間にパジャマは肌蹴させられて、スボンが下着ごと膝まで引き摺り下ろされていた。
すっかり勃起した性器は熱い口内に包まれている。
添い寝するように横にある躯は見覚えのあるもの。
夜着に身を包んだ五右エ門の躯だ。
だが、次元の目の前にあるのは下半身部分。
五右エ門は躯を逆に横たえ、一心不乱にフェラチオを次元に施していたのである。
寝込みを襲われるとはまさにこのこと。
そして次元にとって、これは滅多にない上等なハプニングだった。
理由はあとからでいい。
変なチャチャいれずに、しっかりと楽しむのが一番いい。
次元は手を伸ばし、少し乱れた夜着の裾をゆっくりと捲くる。
ピクリと五右エ門の躯が反応したが、フェラチオはやまない。
現れた下半身、褌に包まれた性器はすでに固く勃起していて、布にしみを作っていた。
次元をしゃぶって興奮したのか。
興奮した状態で次元のをしゃぶりに来たのか。
どちらにせよ、積極的でいやらしいことに変わりはない。
そしてここまでの据え膳を次元が喰わないわけはない。
前を覆う布をずらし、性器を横から引き出す。
ぬるぬると滑るそれを、二三擦るとビクビクと震え、先端からクプリと先走りが溢れた。
その間も次元への愛撫はとまることはない。
このままではヤバイと感じた次元は性急にことを勧めることにした。
横たわる腰を引き、躯を起させる。
「足を開いて膝をたてて俺に跨れ」
命令口調で言いながら性器を強く擦り続けると、鼻に通るような甘い息を吐きながら、五右エ門の躯が素直に従った。
次元の躯に上に間逆に覆いかぶさる五右エ門の躯。
五右エ門の顔が次元の股間にあるということは、次元の目の前に五右エ門の股間がくる。
身長差がない分、お互いをしゃぶり合うにはちょうどいいポジションだ。
次元は遠慮なく自分の真上にぶらさがる性器を咥えこんだ。
「はっ!」
五右エ門の甘い快楽に満ちた声があがった。
同時に性器がその唇の愛撫から開放される。
先に仕掛けられていた分、次元の限界の方が五右エ門よりも近い。
今のうちに五右エ門の快感を自分と同じところまで引き上げなくてはいけない。
開放されて快感が薄れたことをこれ幸いと、次元は五右エ門へのフェラチオを開始した。
飲み込めるところまで飲みこんで、苦しさに眉を寄せながらも思いっきり吸引する。
頬を窄ませ喉の奥まで先端を飲み込む。
「う、あぁ!」
ベッドに両手をついた五右エ門の躯が大きく仰け反った。
逃げる腰を捕まえ固定し、首を上下に振ってジュボジュボとわざと大きく音を立てると口の中の性器が益々固くなった。
ニヤリと次元は笑う。
もっと追い詰めてやろうと褌を解いて布でしっかりとガードされていた後門を外気に晒した。
「ま、まてっ」
慌てたような五右エ門の声を無視して、次元は指先で双丘を割り開く。
割れ目にそって指を滑らせ、辿りついた後門をやわやわと押してやるとビクビクとその場所はひくついた。
「はっ、くそっ」
小さく罵る声が聞こえたかと思うと、すぐに次元の性器は生暖かいものに包まれた。
お返しだとばかりに、再び五右エ門がフェラチオをはじめたのだ。
次元も負けてはいられないとばかりに、後門への悪戯をいったんやめ口の動きに意識を集中する。
クチュクチュという水音。
鼻に抜けるような快楽にまみれた吐息。
そんな淫らな音が二重に部屋に響き渡る。
頭を大きく上下させ、咥えこんだ性器の側面を絶え間なく唇と口内で擦る。
先端を喉で受け止め衝撃を与える。
口の中に広がる苦味が相手の快楽の証だと思うと、それは甘露にもなり。
ふたりは夢中になってお互いの性器にむしゃぶりついた。
「ん、んっ」
跨った躯がビクビクと痙攣する。
五右エ門の絶頂が近いことを感じた次元は押さえ込んでいた己の快楽を放出するために、頭を激しく振りながら腰も上下に振り始めた。
五右エ門も右に倣えとばかりに同じ動きをはじめる。
互いの口で性器を愛撫し合い、互いの口内を性器で犯し合う。
快感が性器に一点集中していくのを感じた瞬間、次元は五右エ門の口内に射精した。
いくら先に仕掛けられていたとはいえ先に達してしまったことに次元は心の中で舌打しながら、五右エ門を導くためにその後門にぐさりと指を一本突きこんだ。
「ひっ」
喉の奥から小さい悲鳴をもらしながら、五右エ門もすぐに次元の口内に射精した。
ビクビク躯を痙攣させすべてを遠慮なく吐き出しつつ、相手の精液を一滴残らず飲みくだす。
もう出ないというところまで吸い上げてようやく、ふたりは萎えた性器を口から吐き出した。
五右エ門の躯がドサリとベットに崩れ落ちる。
はぁはぁと大きく胸を上下させながら仰向いた五右エ門のうえに、次元は躯の向きを変えて圧し掛かった。
黒髪が汗に濡れた頬へと張り付き、唇の端からは次元の残滴が顎に向かって流れ落ちている。
いやらしい眺めだ。眼福。
「寝込みを襲うなんていやらしい奴だな」
そう言うと切れ長の目がうっすらと開いた。
「・・・言うな」
「だって本当のことだろ?」
唇の端の己の残滴を舐めとりながら次元はニヤリと笑った。
ぐっと詰まった五右エ門をみて疑問を投げかけてみる。
「どうしたんだ?いったい」
「・・・おぬしのをその、咥えているうちに興奮した」
ぷいと視線を反らす仕草が、なんだか純真な乙女のようで次元は苦笑する。
ま、言っていることはなかなか凄い内容だが。
だが、聞きたいのはそのことではなく。
「で、なんで咥えたりしたんだ?」
五右エ門が夜這いをかけてくることは珍しい。
こんな風に眠っている次元に悪戯を仕掛けてきたことは過去になかったと記憶している。
だから嬉しいのだが、いきなりなぜだろうという疑問も湧いてくる。
2、3日前にだって一緒に寝た。
欲求不満というわけではないはずだ。
「ル、ルパンが」
「ルパン!?」
思いもしなかった人物の名前に素っ頓狂な声が出る。
「なんで、あいつの名前が出てくるんだよ」
「だからルパンが・・・こうしてみればわかると・・・」
言いづらそうな五右エ門の話を要約するとこうだった。
『ヘヘヘ、今日はシックスナインの日だ』
とルパンが楽しげに言った。
それは何かと五右エ門が問うとルパンは一瞬驚き、すぐにニヤニヤ笑いを始めた。
『性戯の一種だよ』
『せ、せいっ』
思いも寄らない返答に五右エ門が赤面してると
『常識よ?知らないなんて男としてどうよ』
とルパンは意地悪げに言ったのだ。
そう言われて五右エ門はムッとした。
たかが性戯のひとつやふたつで男としての資質まで問われるのは我慢できない。
無言で怒る五右エ門をみてルパンは『悪りい』と全然悪びれた様子もなく謝ったあと
『次元に教えて貰えば?直接頼みづらいなら、夜這って躯を上下逆にしてフェラってやればすぐわかるぜ』
と言ったのだ。
カッと怒りと羞恥で顔を赤らめた五右エ門が抜刀しようとしたときは既に遅し。
ルパンは『不二子ちゃんのところに行ってくる〜』と言いながら逃げ出したあとだった。
「・・・で、わかったのか?」
ルパンの奴め。
と思いながらも美味しい思いをした次元はルパンを責める気がまったくない。
「いや、わからぬ」
きっぱりしっかり答えたあと、ルパンの奴め嘘つきおって、とぶつぶつ言いながらも「実践でなく口頭で伝授しろ」
と要求した侍に、ハハハと乾いた笑いを発しつつ、次元はきっちりしっかりと説明してやったのだった。
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