「負けた」
そう呟いて俺はガクリと膝をついた。
追う者と追われる者。
そんな間柄になってもう幾月日過ぎたのか。
短いような長いような、とにかくかなり濃い時間を送ってきたと思う。
敵対しているというのに妙な信頼関係が生まれてしまっている程だ。
色々な目に合った。色々な罠を張り巡らされてきた。
だが、ほとんど俺の一人勝ちだった。
たまに、たまーに、してやられて悔しい思いをしたことがないとは言わない。
言いたくはないがプライドを傷つけられたことだったある。
だが。
今回ほど、心底「負けた」と思ったことはなかった。
俺の、このルパン様のプライドは一瞬にしてボロボロに崩れ落ちた。
まさか、この俺がとっつぁんに負けるなんて。
俺は日仏混血だ。
奴は純粋日本人。そのうえ昭和ン年生まれの古い人間だ。
ガタイはかなりいい方だが、意外とソレとコレは関係がなかったりする。
だから俺は一度たりともそんなこと考えたことはなかった。
女好きでプレイボーイ。
そんな俺にとって自慢の物だったのに。
なんてぇことだ。
この俺がとっつぁんに敗北を認めるなんて。
いったいどんな目的を持ったやつらに、何を服用させられたのか。
そんなことわかりゃあしねぇが、素っ裸のとっつぁんのナニは臨戦状態だった。
みたかったわけじゃないが、都合上目撃するハメに陥った。
そして俺は今、敗北感を味わっている。
「なっ、ルパン」
驚いたとっつぁんがアワアワと股間を両手で隠した。
・・・くっそー隠れてねぇよ、とっつぁん。
まだ俺に敗北感を味合わせるつもりか。
アワアワしてるとっつぁんとガックリ肩を落とした俺。
遅れて部屋に入ってきた相棒ふたりの視線を背中に感じる。
口には出さねぇ。
背中で泣いてやるぜ。
相棒よ、何も言うな、悟ってくれ。
そんな俺の願い虚しく、ポンと肩を叩かれた。
この手は次元だな。何をいうつもりだ、テメエ。
日頃の俺のナニ自慢の仕返しに厭味のひとつでも言うつもりじゃないだろうな。
「ルパン、重要なのは大きさじゃねぇ。・・・機能性だ」
・・・・・・・。
くっそー!
いつもの次元の主張だが、今日ばかりはその言葉が身にしみた。
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