■ルパン三世DE桃太郎 (後編)■
 
 
 
 

 
住み着いた次元の存在にふたりが慣れ始めたころ。
情報収集と称して町に繰り出していたルパンは帰ってくるなり、五右エ門に「やるぜ」と言いました。
「ようやく決まったのか?」
「ああ、情報も計画もバッチリさ」
ルパンは持ち帰った地図をバサリと床に広げました。
「ここだ」
ズビシと一点を指差します。
「鬼島団のアジト」
座布団を敷いて寝転がっていた次元がピクリと反応しました。
「強盗、殺人、強請りにタカリ。あくどいことしまくっている集団だ。どうもこいつらが手に入れたらしい」
「鬼島団・・・聞いたことあるぞ」
「悪名高いからな。で、お宝を戴くついでにこいつらが溜め込んでる大判小判ザックザックも一緒に戴くって寸法だ」
「計画は?」
「バーチッリよ。まず最初に・・・ん?」
「む?」
いつの間にかふたりの横に次元が座っていました。
険しい顔つきで地図を睨んでいた次元は顔をあげるとルパンと五右エ門を真正面から見つめました。
「俺も仲間に加えてくれ」
「おぬし・・・?」
「こいつらには借りがあるんだ。それに取り返したいものもあるしな」
目つきを鋭くした次元を少し眺めてルパンは「ああ、」と何かに納得したように呟きました。
ルパンは鬼島団のアジトを指差し、その横に描かれている川を下方に向かってなぞり、辿りついたある場所をトンと叩きました。
「恥ずかしながらその通りだ」
指されている場所は五右エ門が次元と出会った場所です。
それをみて、五右エ門も「なるほど」と納得しました。
「お宝の分け前はないぜ?」
「いらねぇよ。取り戻したいものが俺の宝だ」
「よし、じゃあそれはお前のものだが、あとは俺たちが戴く」
「構わねぇよ」
ふたりはじっと視線を合わせたあと、同時にニヤリと笑い合いました。
「じゃ、計画を説明する」
ルパンはバサバサと紙やメモを広げながらおもむろに話し始めました。


その数日後。
町では壊滅した『鬼島団』の話題で持ちきりでした。
情報の提供を受けて役人が『鬼島団』のアジトとされる場所に乗り込んだとき、全員が退治されたあとでした。
いったい誰がなんの目的であの悪名高い犯罪集団を潰したのか、噂のネタはつきません。
アジトにはきっと宝が溜め込まれていてそれを奪うのが目的だったのだ、とか
恨みを持つものの復讐だったのだ、とか
仲間割れによる対立で自滅したのだ、とか
人々は想像力をフル回転させて持論を語り合ったのですが、結局真実はわからないままでした。
そんな噂を右から左に流しながら、ルパンはルンルンと街を歩いていました。
両手には贈り物らしき大きな箱を持っています。
『鬼島団』の情報をもたらした、今回の仕事を持ちかけてきた美女への贈り物です。
彼が『鬼島団』を壊滅させたひとりだと言っても誰も信じないことでしょう。
彼女の欲しがっていたお宝を持ってめかしこんだルパンは、そう確信できるほど期待に満ちたスケベ顔をしていました。

そのころ、五右エ門と次元は家でゆっくりとした時間を過ごしていました。
今回の仕事はそれなりに大変で命がけでしたが、それに見合うだけのお宝と充実感を手に入れることができたのです。
メインの宝はルパンのものになりましたが、それ以外の宝でも充分な価値があります。
分け前の宝を眺めていた五右エ門の目の前には、黒い服を着込んだ次元が嬉しげに鉄の塊を磨いています。
「嬉しそうだな」
「ああ、愛しいこいつが戻ってきたからな」
マグナムと呼ばれる飛び道具です。
剣一筋の五右エ門ですが、次元の腕前が相当なものだということは『鬼島団』壊滅時に嫌というほど見せ付けられていました。
ルパンもすっかり次元の腕前を気に入ったらしく、彼はこのまま仲間としてこの家に住み着きそうです。
「なかなかの腕だったな」
「そうか、サンキュ。だが俺の一番の得意技はこいつじゃないんだぜ」
チュッと磨き終えたマグナムにキスすると、意味深な目で次元は五右エ門に視線を送ります。
「ほう、そうなのか」
「手合わせしてみるか?」
剣と銃。
相反する武器ですが、五右エ門は一度次元と戦ってみたいと密かに思っていました。
そう思わせるほどの、認めずにはいられないほどの、素晴らしい腕前だったのです。
一番の得意技というならあれよりもすごいのでしょう。
五右エ門の勝負魂、好奇心に火が点きました。
「どうする?」
「無論、望むところだ」
剣をチャキッと握り締めた五右エ門に次元はゆっくり近づくと、その手を優しく押さえました。
「それはいらねぇよ」
「なに?」
「この技は身ひとつで勝負する技だ」
意外な言葉に五右エ門は驚きました。
柔術、合気道、そのようなものが得意なようには見えなかったのです。
ですが、その系統なら五右エ門も得意とするところです。
剣を置き、好戦的に次元を見据えました。
「その目・・・ぞくぞくするぜ」
次元はそういうと、顎をしゃくり五右エ門を奥の部屋へと導きます。
「外の方がよいのではないか?家を壊すわけにはいかん」
「大丈夫だ。激しいといったって程度がある。せいぜい家具が壊れる程度さ」
どんな技を使うのか想像がつかないものの、次元の自信満々な様子に五右エ門の闘志が湧きます。
そんな五右エ門をみて、次元は楽しげに笑いました。
「ふ、足腰立たなくしてやるよ」
「口ではなんとでもいえるでござる。やれるものならやってみろ」
五右エ門はあとに続き、次元の使っている部屋に入りました。
「さ、楽しもうぜ。俺のテクを存分に味わってくれ」
いきなり抱き寄せられ唇を吸われ、驚き硬直した五右エ門がようやく我に返ったときは既に遅し。
抵抗する間もなく床に押し倒され、衣服を乱されて、混乱している間にコトは進んでいきます。
次元の言った『手合わせ』の意味を理解し、自分の勘違いに気がついたときは、次元の技とやらに翻弄されている真っ最中でした。
結局五右エ門は、次元の手技、口技、そして一番得意な腰技を余すことなく全身で受けてしまったのでした。

布団の上にぐったりと弛緩した白い体を楽しげに撫で上げながら「勝負は俺の勝ちだな」という次元を、横目で睨みつけて「いつか、みていろ」と五右エ門は心の奥でリベンジを誓います。
本人は自覚はないものの、壮絶な色気を発する視線に煽られた次元は再び五右エ門に圧し掛かりました。
「なっ!?」
「誘うなよ」
「誘ってなどおらんっ」
「もう一勝負といこうぜ」
抵抗空しく、そのまま突き込まれた五右エ門は結局一晩中、負け勝負を続けるはめになったのでした。



その後三人は、仲間として色々な仕事や盗みを繰返し面白可笑しく毎日を過ごしたといいます。
たまに、夜な夜な続く勝負で洩れ聞こえる淫らな声や音で欲求不満になったルパンが怒りだすことはありましたが、それなりに仲良くやっていったようです。



オワリ
 
 
 
 
 

■PEACH GUY IS JIGEN■
   

    
 
 
   
 ■あとがき■
お粗末さまでした(平伏)

起承転結のあまりない話になってしまいました・・・
本当は『鬼島団』とやりあうシーンとかも書きたかったのですが
時間・気力的に無理でした。
まあ、最後をジゲゴエで締めたのが救いでしょうか。(^^;)

ということで、『雛祭り』ネタでした!<まだ言うか



 
 

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