■ルパンファミリー的バレンタイン(5)■
 
 
 
 

 
開かれた形の良い唇の中にチョコレートを押し込もうとしたルパンの動きがピタリと止まる。
「な、なんだぁ?」
自由の効かなくなった指先。いや指だけでなく、足も体もすべてが動かない。
不二子がチョコレートを咥えながら体を起しベットから抜け出した。
ルパンの体が重力にそってボスンとベットに落ちる。
渾身の力を両手に込めて体を起そうとするが、半分持ちあがったところで力つき、その勢いで仰向けにゴロンと転がった。
「ふ、不二子」
「ごめんね、ルパン。でも、せっかくの最高の夜だったのにこんなものを食べさせようとする貴方が悪いのよ」
不二子が咥えたチョコを指先に移して、小首を傾げながらルパンをみつめた。
シャンパンをあけたのも注いだのもルパン。それに今日はシューとかもされてない。
それなのにいつの間に痺れ薬を盛られたたというのか。
「グラスに塗っておいたのv」
心の中の問いかけにビーナスのような微笑で不二子が答えた。
体が痺れて全然動かないルパンは焦りだした。
さっき食べたチョコレート。それに仕込んだ媚薬が効いてきたのだ。
何もしていないのに愚息がどんどん元気になり、ズボンの股間をこれでもかと押し上げてくる。
「知っ・・・て?」
「私の情報網を甘くみないでね、ルパン。女を媚薬でどうこうしようなんていけない考えだわ」
不二子はゆっくりとベットに腰を下ろした。
キシ、と軽く軋んでベットが軽く沈む。
「うくっ」
ズボンで押さえ込まれた股間が痛い。自分でどうすることもできずルパンが顔を歪めた。
「痛そうね」
不二子が気の毒気に指先でバックルあたりをなぞる。
「不二子ちゃん・・・お願い」
「そんなはしたないこと私には出来ないわ。ごめんなさい、ルパン」
スッと不二子は立ち上がるとドレスの上にファーを羽織った。
くっそーなんでこんなことに!
そう思いながらもルパンはどうすることも出来ない。
痺れ薬が完全に抜けるまで1〜2時間はかかるだろう。その間ずっとこの衝動を開放することができないのだ。
実験に使った五右エ門はかなり大変だったようだ。
元々薬類を飲まないから効きやすいうえに三粒も食べたからだろう。
自分は一粒だから五右エ門よりマシだろうが、なんといっても体が動かない状況。
不二子を襲うどころか、代わりの女を引っ掛けることもできないのだ。
「でも・・・やっぱりちょっと可哀想ね」
不二子が再び戻ってくると、流れるような動きでベルトを外しジッパーを下げた。
途端に飛び出るルパンの愚息。もちろんトランクスごしではあるが。
圧迫による痛みがなくなり、ホッと一息をつくルパンの手が不二子の手によって誘導され、愚息の上に置かれた。
「痺れ薬は30分くらいで体の末端から効果が切れ始めるから、それまで我慢してね」
30分我慢すれば、体は動かずとも手は自由になる。
だから自分で処置しろと、不二子は言っているのである。
天使のような笑顔で悪魔の言葉。ゾクゾクする。なんて最高の女なんだ。
と一瞬うっとりしそうになったが、よく考えればなんという屈辱。
このプレイボーイルパン様がバレンタインの夜にシコシコと己を慰めなくてはならないのだから。
自業自得とはいえ「不二子ちゃーん」と情けない声を出すルパンをみて、不二子はフフフと笑って「またね。今度は媚薬抜きで」と言って去っていった。
不二子ちゃんも痺れ薬抜きでお願いします、と小さく呟いて、ルパンは湧き上がる欲望との戦いを始めたのだった。







プップーー!
軽いクラクションの音。
聞き覚えのある音に五右エ門は窓をあけ、道路を見下ろした。
真赤なスポーツカーの窓から、真赤なドレスを着た女が身を乗り出している。
「不二子」
まだ0時を回っていない時間である。
ルパンとのデート中のはずの不二子は今はひとり。
「五右エ門、これ、お礼よv」
ポーンと投げられた小さな箱が五右エ門の手の中に落ちる。
ブルーのリボンが巻かれた有名ブランド店のチョコレートである。
「手作りじゃないから安心してv」
不二子が悪戯気にウインクをし、その言葉を聞いた五右エ門は苦笑した。
「じゃぁね、ハッピーバレンタインvv」
手をヒラヒラと振りながら不二子の車が走り去っていく。
隣の窓からふたりの様子を眺めていた次元がゆっくりと五右エ門に歩みよる。
「お礼?」
「だと言っておったな」
五右エ門は満足そうに笑うと窓を閉め、ソファーへと戻った。
「お前、リークしたな?」
「人聞きの悪いことを言うな。世間話のついでに恥を忍んで体験談を語ったまで」
五右エ門は珍しく人の悪い笑みを浮かべて次元に視線を送った。
本人は自覚してないだろうがその壮絶な流し目に、次元の背筋がゾクリとする。
侍を怒らせちゃなんねぇという寒気と、無意識な色香による性的刺激。
ルパンを気の毒に思わないこともないが、このプライドの高い男が恥をしのんで不二子に情報をリークしたのだ。
詳しくは語らなかったろうがあの不二子のこと、五右エ門の身になにが起こったのか完全に察しただろう。
五右エ門の捨て身の仕返し。
ま、ルパンは自業自得だ仕方がない。
そんなことより、今は自分達のことをどうにかしたい。
不二子のあの様子。ルパンがなにをされたか定かではないが、なんにせよルパンはすぐには戻って来ないだろう。
五右エ門と愉しい夜を過ごす絶好のチャンスだ。
機嫌のいい侍を、さてどういう風にくどくか考えながら次元は五右エ門の方へ近づいていった。
 
 
 
 
 

■VALENTINE OF LUPIN FAMILY■
   

    
 
 
   
 ■あとがき■
初ルパフジ。
おまけのつもりだったのに予想外に長くなってしまいました。
でも書いてて楽しかった♪
不二子ちゃんを可愛く色っぽく、そして狡猾に書きたかったんですけど、ちゃんとそうなってたかな?
ルパンは自業自得で可哀想な結果に。
きっとひとりで涙しながら自らをシコシコと(強制終了)
そして最後はジゲゴエで締めでした。(笑)


長々と続けたバレンタインネタはこれにて終了です。
お付き合いいただきありがとうございましたv
少しでも楽しんで頂けたのなら幸いデス♪


 
 

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