■ルパンファミリー的バレンタイン(3)■
 
 
 
 

 
五右エ門の不可解な言動に苛立ちを感じながら、問いただそうと口を開いた次元だったが、次の瞬間に固まった。
濡れた冷たさと熱い肌の感触。
シャツがじわじわと水分を吸って冷たく濡れていくのを感じながら、突然のことに呆然と佇む。
歯列を割って舌が差し込まれて、ようやく次元は五右エ門に抱きつかれキスをされているということに気がついた。
目の前には閉じた瞼とそれを縁取る睫がみえる。
首には白い両手が巻きついていて、次元の頭を固定している。
五右エ門はただひたすらに次元の口内を貪り続ける。
くちゅくちゅという唾液の絡まる音と、合間に吐かれる熱い吐息。
くらり、と次元は眩暈を感じた。
もちろん、日頃滅多にない恋人の積極さに対する興奮で、である。
どんな理由であろうとも据え膳喰わねば男の恥。
五右エ門の舌に自ら舌を絡ませながら、濡れた体を思いっきり抱きしめる。
前身がぴったりと合わさる。
せっかくのチャンス、このままコトに雪崩れ込もうと五右エ門の腰を引き寄せて、次元はふたたび驚いた。
摺り合わさった股間。
五右エ門を刺激する目的だったのに、既にそれはすっかりと硬く勃起していたのだ。
五右エ門が欲情している。
その意外な事実に、次元は確認するように五右エ門から唇を離し顔を覗きこんだ。
うっすらと閉じた目が開く。
青白く冷たいはずの肌はほんのりと色づきはじめている。
「お前、どうしたんだ?」
こんな五右エ門をみるのは初めてかもしれない。
「いやか?」
「いやじゃねぇよ、大歓迎だ」
理由はわからないが拒む理由はなにひとつない。
それならば美味しく頂こうと、ふたたびキスするために後頭部に手を添えて、改めて五右エ門がずぶ濡れなのを思い出した。
このまま縺れ込んでヤリまくれば内も外も熱くなることはわかっている。
それでも髪が濡れたままではやはり風邪をひくのではないだろうか。
「だが、その前に」
両肩に手を添えて、ぐいっと五右エ門を押しやる。
すっかりその気だったのか、不思議そうな不満そうな表情を浮かべているのをみて、次元は苦笑した。
「濡れっぱなしじゃだめだ。とりあえず服を脱げよ」
俺も寒いんだよ、と続けて言うと、ようやく五右エ門は濡れた服を脱ぎ始めた。
軽く俯いた頭にタオルを乗せ、ゴシゴシと拭いてやる。
すべての着物を足元に脱ぎ捨てて、五右エ門は渡されたタオルで体を軽く拭きだした。
だが、次元が手に力を入れる度、自らの手にあるタオルが体に触れる度、五右エ門は何か我慢しているかのように息をとめては、纏めて大きく吐き出している。
どうも触れるだけで快感を覚えているらしいと次元が気がついたとき。
頭を拭かれたまま五右エ門がしゃがみこんだ。
「おい?」
「・・・そのまま気が済むまで拙者の髪を拭いておればよい」
股間に指が触れた感触のあと、ジッパーが引き下ろされた。
軽く勃起をはじめている性器を社会の窓から無理やり引きずり出す。
「ちょ、ちょっと待て」
「またぬ」
ちょっと乱暴にされて軽い痛みを感じていたその部分にねっとりとしたものが這い回りはじめた。
「くっ」
信じられない気持ちで五右エ門を見下ろす。
表情は頭に被せたタオルで隠れてしまっているが、隙間から自分の性器とそれを舐める赤い舌がみえる。
チロチロと先端を擽るように舐め、次には首を傾げながら側面を舌全体でねっとりと舐める。
どんな顔でしゃぶっているのか。
それがみたくってタオルを取ると、五右エ門はゆっくりと視線をあげて上目遣いに次元をみた。
発情した厭らしい獣のような、それでいて妖しいほどの艶やかさ。
挑戦するように、欲望を煽るように激しさを増す口淫。
これ以上理性を働かしても無駄なことか、と苦笑すると次元は五右エ門を引き離し、そのまま床に押し倒す。
獣は獣らしく、突き上げる衝動のままの交わりに場所を選ぶ必要はないのだ。
そしてふたりは深い深い欲望の海へとダイブした。





衝動をとめられず欲望のままに動くとは、拙者は修行が足らん。
ヤリまくってすっきり爽やか。
といいたいが、かなりなハードセックスでふたりとも太陽が黄色くみえている翌朝。
ベットの上で侍がガックリ肩を落としていた。
次元にとってみれば「そんな修行はいらねぇ」とばかりに今回のようなことは大歓迎なのだが、やぱりいつもの五右エ門らしくなかった。
あの性急さ、発情の仕方はどうみても自然発生的ではないような気がする。
「お前、発情する前にさ、」
「発情言うなっ」
「まあまあ」
顔を真っ赤にしてキッと睨む五右エ門をなだめて、次元は言葉を続けた。
「なんか飲んだり喰ったりしなかったのか?」
「は?」
意味がわからずキョトンとしている顔が可愛い。
なんて、脳みそ湧いてるようなことを考えて「どうだ?」ともう一度尋ねた。
「・・・ルパンが作った・・・バレンタインチョコを喰った」
「ルパンが作ったチョコぉ?」
はぁぁ?とばかりに鸚鵡返しで問い返す。
なんで、ルパンがチョコレートなんぞ作るんだ。
「さぷらいずで14日に不二子にやるチョコレートだと言っておった」
「・・・それだ」
はぁぁぁ、と大きく溜息をついて次元はペチリと自分の額を触った。
「どういうことだ?」
まだわかっていない五右エ門に呆れつつ、その迂闊さも心配になる。
「対不二子用のもんにルパンが何も仕込まないと思ってるのかよ。そんなもん不用意に喰うな」
「・・・な、なにっ!?ということはあのチョコレートにっ」
「媚薬だのなんのが入ってたんだろうよ、それも相当強力なのが」
どういうつもりで五右エ門に食べさせたかは知らないが、どうせ効果を試してみようといったことだろう。
あんにゃろうめ。
とは思うものの、結局自分は大変美味しい思いをさせて貰ったので恨む気が更々ない。
俺がいなかったらどうなってたんだ、とは思うがちゃんと携帯に連絡してきたことでプラマイ0だ。
くっそールパンのヤツめ!と歯軋りしている侍を眺めつつ、バレンタインなんてイベントは自分達には関係ないと思っていたが、
今回サプライズなプレゼントを貰ったような感じだ、と次元は思った。

とりあえず、一番美味しい目に合ったのは自分らしいということで。
目の前の食材とどこにいるかわからない食材を提供した者に対して「ごちそうさまでした」と次元は手を合わせた。
 
 
 
 
 

■VALENTINE OF LUPIN FAMILY■
   

    
 
 
   
 ■あとがき■
ということでバレンタインネタでした。
つうか、どこにも転がってるようなネタですみません。
あげくにまた媚薬だよ。(^^;)
そしてH部分は省略。
Hを書くほど時間と気力が続きませんでした。
このハショリの部分は妄想逞しく
各自脳内でお楽しみくださいv<オイlッ



 
 

    
 
  
 

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