【注意】
 
2006年TVSP『セブンデイズ・ラプソディ』ネタ。勝手に補完妄想。
読んでも怒らないデネ?
 
 
 
 
 

 
 
■領収書にサムライ■
 
 
 
 

 
連れ去られたシェリルを救いだすためには奴らがどこに行ったのか情報が必要だ。
幸いあのファイヤーと呼ばれるイカレタ男は俺も知っているくらいだ、それなりに知名度もある。
探すのは意外と簡単だろう。
馴染みの情報屋を使う必要はない。そこら辺にいるちょっとした情報屋でも情報は持っていそうだと、
とりあえずその筋でたまに利用するバーに五右エ門と足を運んだ。

「欲しい情報があんだけんども、いるか?」
カウンターの向こうにいるバーテンダーに声をかけると、もうすぐ来るだろうとの囁くように答えた。
「じゃあ、ちょっと呑んで待つか。五右エ門、お前は何にする?」
腰をおろした五右エ門に聞くと当たり前と言わんばかりに「菊正宗」と答える。
「キクマサムネ?」
小首を傾げるバーテンダーをみる限り、ないんだろうな。というかそれがなんなのか知らないみてえだ。
「日本酒だよ、あるか?」
「申し訳ありません。東洋系の酒は置いていません」
「ってよ、五右エ門。残念だったな」
クシャっと頭を撫でてやると嫌そうに払いのけられた。
ホントこいつ子供扱いされるのを嫌がるなぁと苦笑しようとしたら、五右エ門のやつ
「では、ミルクを」
と言いやがった。
なんだ、それは。なんで日本酒からいきなりミルクになるんだよ。
お子様か、お前はっ!
と突っ込んでやろうと口をパクパクさせたが、余計なことをいうと切られそうなのでグッと言葉を押さえこんだ。
バーテンダーもびっくりして目を見開いたが、ここは客商売のプロ。
すぐに何もなかったかのような表情に戻りグラスにミルクを注いで五右エ門に差し出した。
「忝い」
軽く頭をさげて受け取ると旨そうにグラスに口をつけた。
なんだ、こいつは。大人なんだか子供なんだか。
子供扱いされると怒るくせに、こんな場所でシレッとミルクを注文したりとなんともアンバランスなことで。
まあ、そういうところが可愛いっていえば可愛いんだけどな。
バーテンダーもこの一風変わった侍が気に入ったらしい。なにげなくツマミのサービスがついた。
アメリカ人が大好きな「サムライ」「ニンジャ」を連想させる服装や物腰。
バーテンダーに限らず、ほかの客もチラチラと五右エ門に視線を送っている。
当の本人はそれに気がついているのかいないのか。
全然気にしない様子で冷たいミルクを旨そうに呑んでいる。
「いらっしゃいました」
バーテンダーの声に振り返ると、一人の男が入ってくるところだった。
何度か使ったことのある情報屋だ。奴も俺に気がついてこちらにやってくる。
五右エ門に気がついた男はちょっと興味深げにジロジロと眺めたあと、俺と五右エ門の間に割り込み座った。
注文した酒が出てくるまで待ってやる。
一口酒を含んだ時点で紙幣を差し出すと、それを受け取り「何が知りたい」と聞いてきた。
「ファイヤー」
それだけで通じたのだろう、「ああ」と言って金を懐にしまった。
俺と話しているのにこの情報屋の視線は横に座る五右エ門に注がれている。
そして「ミルクか」と言ってクスクス笑いやがった。
それが聞こえたんだろう、五右エ門が視線だけ寄越して情報屋をジロリと睨んだ。
お、おいこら、五右エ門。
お前は睨んだつもりかもしれねぇが、その角度でその目つき。流し目にしかみえないぞ!?
わかってんのか、お前!
・・・ああ、きっとわかってないんだろうなぁ。
「ファイヤーの下種野郎か、あいつは」
情報屋はそこで言葉をとめて手を出しやがった。それ以上続けないのでまた紙幣を差し出す。
なんだ、こいつ。大した情報じゃねぇくせに出し惜しみするつもりか。
「領収書かけよ、経費なんだから」
いやみったらしく言ってやると、情報屋はサラサラとペンを走らせ、俺に領収書を差し出した。
「やつはもうニューヨークにはいねぇ。ホレ領収書」
受け取って書き込まれた文字をみて、ピキッとこめかみが鳴ったのが自分でもわかる。
「なんだかすんげい金額が書いてあるんだけどな」
「知りてえんだろ」
「はいはい、わかりました。ちょっとあっちでいいでしょうか」
情報屋はいやらしい笑いを浮かべ五右エ門をもう一度眺めたあと、俺のあとをついて来た。
「なんのつもりだ、これは」
「書いてあるとおりさ」
トイレに入ってすぐ、振り返って唸るように問うとヘラヘラと笑いながら答えやがった。
「ふざけんな」
「ふさけてねぇよ。今夜一晩でいいぜ」
「あいつは男だぞ」
「そりゃみればわかるさ。だが美人だ。それに東洋人は肌が木目細やかで抱き心地いいし、なんといっても締まり具合が最高だ。
あんなミルクじゃなくって、俺のミルクをたっぷり呑ませてやりたいと思ってよ」
唇をペロリと舐めていやらしい目つきをする。
今、こいつの頭の中で五右エ門はどんなことをされているのか。
ムッカーーー!!!
頭に血が昇る。
なんでお前みたいなチンピラにつまんねぇ情報と引き換えで五右エ門をくれてやんねきゃいけねぇんだ。
だいたいお前に五右エ門は不相応なんだよ、この下種がっ!!
「なんなら大負けに負けて、一発でもいいぜ。その代わり今すぐここでな」
「ざけんなっ!」
俺は問答無用で情報屋をコテンパンにのしてやった。
勿論ファイヤーたちの情報もちゃんと引き出し、さっき渡した金も回収する。
「今度ふざけたこと抜かしたら命はねぇからなっ」
ケッと唾を吐き捨てて、おれは『SAMURAI』と書き込まれた領収書をビリビリに破り捨て、トイレを出た。

席に戻ると五右エ門がちょうとミルクを呑み終えたところだった。
唇に残ったミルクを舌でペロリと舐めとるのがみえる。
・・・五右エ門。頼むからもう少し自覚してくれ。
みてみろ、あの下種な情報屋だけじゃない、周りのやつらの目つきも妖しく光りだしてるぞ。
お前は、襲われたって斬鉄剣一振りで追っ払うことが出来る剣豪だけどよ。
意外と抜けてるからなぁ。
お兄さんは、心配で心配で仕方がないのよ。
はぁ、と大きく溜息を吐き、五右エ門に近づく。
とっととこのバーを離れなけりゃ、俺はまたよからぬ輩の相手をしなくっちゃいけなくなる。
「待たせたな、五右エ門」
「話は終わったか」
「ああ、ばっちり。ボーイさん、これ、いかした演奏にチップね」
未練たらしく侍を目で追う奴らから、隠すようにして五右エ門をバーから連れ出す。
まあいつものことだけど、なんで今夜に限ってこうよからぬ輩が多いのか。
きっと、バーで「ミルク」ってのが悪かったんだろうなぁ。ここはハッテン場じゃねぇはずなんだが。

今回は珍しく五右エ門とふたりでの仕事だ。
機会をみて教育的指導をしてやんなきゃなぁ、と思いつつ俺は五右エ門を伴ってバーを後にしたのだった。

 
 
 
 
 

■RYOUSYUSHONISAMURAI■
   

    
 
 
   
 ■あとがき■
2006年TVSP「セブンデイズラブソディ」のワンシーンを妄想、勝手に脚色。
情報料を多額に要求されたくらいであんなにコテンパンにする必要があったのか?
きっともっと、ルパンの逆鱗に触れるような要求をしたに違いない!
バーのシーンの五右エ門は可愛かったし、きっとこんなことが・・・vv
とアホ妄想。

ちなみにルパゴエではなく、ルパン&五右エ門です。
うちのルパンは興味はあっても恋愛感情はなく、お兄さん心境って感じです。
だってルパンには不二子ちゃんがいるからね♪

 
 
 

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