【注意】
 
2006年TVSP『セブンデイズ・ラプソディ』ネタ。勝手に補完妄想。
読んでも怒らないデネ?
 
 
 
 
 

 
 
■THE SEVENTH DAY■
 
 
 
 

 
コース上でルパンと銭形が追いかけっこをはじめた。
「ま、いつものパターンだな」
「くだらん。拙者は帰る」
五右エ門はそう吐き捨てるともう興味はないとでもいうようにこの場から離れて行く。
俺はそっと横目で去っていく背中を伺った。
なんだか奴は昨日再会してからよそよそしいというか冷たいというか。
普通に話はするが深くまで突っ込んだ会話は一度もしていない。
視線を前に戻し、じゃれあうルパンと銭形をみる。
あの様子じゃルパンは銭形で遊んでるってとこで特に問題はなさそうだ。
ま、今回のヤマはここまでってことか。
「ふう、俺も帰って一杯やるか」
中途半端な感もあるが銭形にバレたのなら仕方がない。今回の仕事はここでオワリ。
この後は予定通りのバカンスといくか。

俺にしては珍しく足早に出口に向かったのに、五右エ門の姿は既にない。
仕方なく走って外に出て、陸橋の上から見下ろすと五右エ門が歩いているのがみえた。
「おい、五右エ門」
聞こえているはずなのに返事はなく、振り返りすらしない。
「おい、待てって!」
怒鳴ってやるが全然効果はない。どんどん奴との距離は離れていくばかりだ。
「チッ」
舌打をして俺は陸橋を走り、奴の前まで回り込んでから飛び降りた。
ほんの1m、目と鼻の先に俺が降ってきたんだ。流石に五右エ門の足が止まった。
「何、無視してんだよ」
「無視なんかしておらん」
「それに何か怒ってるだろ、お前」
「怒ってなどござらん」
「嘘をつくな」
「嘘ではない」
そういうくせに五右エ門の表情は不機嫌そのもの。
何が気に喰わないのか言わなきゃわかんねぇって。
第一、昨日久々に会ったばかりで機嫌を損ねるようなことを俺はした覚えはない。
「いっとくがな、俺だってちょっとばかり怒ってんだぞ」
「・・・身に覚えはなにもないでござる」
五右エ門が俺の横を通り過ぎようとする。
なんだ、その態度は。
それならこっちだって考えがあるぞ。
すれ違いざま、その腕をガシリと掴んで思いっきり引き寄せた。
顔を近づけてジロリと睨みつけてやる。
「お前、なんで不二子と組んだりした?」
「・・・おぬしには関係ない」
「そのうえNYにいる間、ずっと不二子のとこで世話になってたんだってな」
不二子とはいえ、女は女。
あいつが五右エ門を相手にするわけないし、五右エ門があいつを相手にするわけないことは重々承知している。
だが、それとこれとは話は別だ。
NYには俺だっていた。ルパンだってだ。それなのに五右エ門は不二子と一緒だったのだ。
俺達は五右エ門がNYにいることすら知らなかった。
五右エ門はその間、あの女と仕事をし、あまつさえ一緒に暮らしていたのだ。
いくら俺だってこの事実を突きつけられては面白くない。
「それにルパンとタイに行ったんだって?」
「それがどうした。おぬしだってルパンと組んで仕事をしていたでないか」
そうだ、今回の仕事はルパンとふたりで組んだヤマだ。
だから俺がルパンと五右衛門で組んだことをとやかく言う筋合いはない。
わかっているが、俺の知らないところで一緒だったと聞いてやはり面白くなかった。
これは俺の我侭だ。
だから俺は慌てて話を摩り替えた。
「ルパンから聞いたぞ?不二子に携帯を持たされてたんだってな。俺が持てって言っても聞かねぇくせにどういう了見だ」
話題をかえるつもりで言った内容は、言った本人である俺自身の神経を逆なでした。
「おぬしには関係ない」
「関係ないはずはねぇだろうがっ」
少し慌てた様子をみせたがすぐに冷静に切り返す五右エ門をみてカッと頭に血が昇る。
「関係あるだろ、俺達はよ」
後頭部に手を回しガシリと頭を固定して、噛み付くように唇を奪った。
久々の感触を堪能する前に、五右エ門は頭を振って暴れあっという間に俺から逃げ去った。
既に2mは向こうにいて今にも斬鉄剣を抜刀しそうな体勢だ。
「な、なにをするっ」
「いちいち聞くなよ」
冷静さを吹き飛ばし顔を真赤に染めて動揺している五右エ門をみて溜飲が下がる。
その姿に俺にもようやく冷静さが戻ってくる。
「さ、答えてもらおうか」
「答えることなどござらん」
頑なな五右エ門の態度にまた苛っとしてくる。
「お前なぁ、これから一緒にバカンスを楽しもうっていうのにいつまでもいがみ合いたかねぇだろ。素直に答えろよ」
「・・・バカンスだと?」
訝しげな答えにムカッとする。
こいつまさか俺との約束を忘れてたんじゃないだろうな!?
ゆっくりバカンスを楽しむためにルパンと組んだり突然の仕事の誘いに乗ったりして、せっせと金を稼いでいたっていうのに。
「まさか、忘れてたのか!?」
つい大声で責めるように怒鳴ってしまった。
「忘れてなどおらん!!忘れておったのはおぬしの方であろうっ」
怒鳴り返したあとに五右エ門はしまったという表情を浮かべた。
「・・・あ?どういうことだ?」
五右エ門の言葉の意味がわからない。
眉間に皺がよってくるのが自分でもわかる。
「過ぎたことだ。もうよい!」
「何いってんだ、過ぎちゃねぇだろ!?約束した日は明日だぞ?」
「ふざけるな、おぬしこそ何をいっておるのだ!約束したのは一ヶ月前の明日だ!」
怒鳴りあって睨み合う。
何をいってるんだ、こいつ。
一緒にバカンスを過ごそうと、会う約束をしたのは明日だそ。
一ヶ月前、つまり8月じゃねぇ、約束したのは今月、9月だ。
そこまで考えてハタリと思いついた。
「お前、一ヶ月前にNYに来たのか?」
「約束だからな」
五右エ門が一瞬泣きそうな表情を浮かべた。
「約束の日は9月だぞ?」
「違う、8月でござった!」
どこでどう間違えたんだ?俺達は約束の日を一ヶ月ずらして覚えていたんだ。
一ヶ月前。
五右エ門は約束を果たすべくNYにやってきたのか。そして俺のところに来たってのか。
だが、そのころ俺はちょうどルパンに前回のわりとでかいヤマを持ちかけられた時期で・・・。
つまり五右エ門からすれば、俺はすっかり自分との約束を忘れてルパンと組んで楽しくやっていた。
という風にみえたってことか。
ようやく五右エ門もお互い約束の日を勘違いしていたことに気がついたのだろう。
呆然とした表情を浮かべた。
「でも、なんで不二子なんだ?」
「・・・アジトの近くで偶然会った」
きっとそのとき五右エ門はしょげてたんだろう。
それを見かけた不二子は五右エ門を放っておけなかったってとこか。
なんだかんだ言いながらあの女は五右エ門のことを気に入っているからな。
男としてとかじゃなく、手のかかる世間知らずの兄弟って感じなんだろうが。
「すまなかったな」
「いや・・・おぬしが悪いわけではない」
約束の日が8月だったのか9月だったのか。そんなことはもうどうでもいい。
それを追求しだしたら言った言わないの無限ループに陥っちまう。
どっちが悪いってわけじゃない。
ちょっとした勘違いからくるすれ違いってことだ。
俺はまだいい。金目的の仕事三昧だったとはいえ、バカンスを楽しみに、この一ヶ月それなりに充実して過ごしたんだからな。
だが、8月だと覚えていた五右エ門には可哀想な思いをさせてしまってたってことだ。
「悪かった」
俯いた五右エ門の肩を抱き寄せる。
今度はなんの抵抗もなく、おとなしく五右エ門は俺の腕の中に収まった。
「お詫びに今回のバカンスは全部俺が奢るからよ」
「行く・・・のか?」
「当たり前だろう。俺がどんなに楽しみにしてたかお前は知らねぇのか」
「知らぬ」
なんだよ、可愛くねぇなぁ。
いや、違う。この態度も台詞もこいつらしくって可愛い。
ただ素直じゃないだけだ。
「じゃ、じっくりとお前に教え込んでやるよ」
クイと顎をあげさせて顔を正面から覗き込むと、ちょっと不思議そうな表情を浮かべ、すぐ真赤になった。
おっ、ちゃんとわかってるじゃないか。
調子に乗って顔を寄せたら「よせ」と言って掌で顔ごとブロックされた。
「なんでだよ」
「時と場所を考えぬかっ」
雨がザンザン降っているガランとした競馬場。
誰もいないってのにこの侍はホント真面目で可愛いもんだ。
「わかった、とにかく帰ろうぜ。全部それからだ」
「全部ってなんだ」
いちいち聞くなよ、そんなこと。
「ま、バカンスについてとかその他諸々ってとこだな」
一応答えてやる。
とりあえず、帰ってすぐはバカンスよりその他諸々。
つまり久々の逢瀬を愉しむことが一番重要だが、それを言うとどんな反応するか想像できるので黙っておく。
逃げられたら元もこもないからな。
「さ、行こうか」
「うむ」
一緒に歩きだしながら、五右エ門の懐に手を突っ込む。
「な、なにをするっ」
「これはもういらねぇだろ?」
手にした携帯をポーンと放りなげる。
不二子から貰ったものを後生大事に持たれるのも嫌だが、これからのバカンスに邪魔が入るのはもっと嫌だ。
「携帯が欲しいなら俺が買ってやるよ」
「・・・いらぬ」
ぷいっと顔を背けた五右エ門の頬がほんのり赤い。
ホント可愛いやつ。
俺はクスクスと笑いながら五右エ門を伴って競馬場をあとにした。





後日、話を刷り合わせた結果。
一ヶ月の勘違いの原因は突き詰めて突き詰めるとルパンにあることが判明した。
くっそー覚えてろよ、ルパン。
 
 
 
 
 

■NANOKAME■
   

    
 
 
   
 ■あとがき■
ということで。
『セブンデイズ・ラプソディ』を勝手に補完妄想デス。
今回、次元と五右エ門の接触率が低かったからですね〜
せめてあの後は、ルパンを置いてけぼりしたふたりが
じっくりたっぷり仲良くしてくれてるといいな〜と・・・ネ!

 
 
 

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