■現夜■
 
 

 
夢の中で何度も肌を合わせた。
お互いの性器を刺激しあったこともある。
それどころか深く交わったことすら。
だが、現実は夢を遥かに凌駕していた。
夢の感覚など子供だまし、結局脳が作り出したものだったのだと認めざる得なかった。
興奮が高まる。
もっと欲しい、もっともっとと獣がムクリと頭を擡げてくるような感覚。
次元は我慢ならず、両手で白い体を弄りだした。
掌で感じる五右エ門の肌は少し汗ばんでしっとりとしている。
絹のような手触り、吸い付くような肌触り。
舌を吸いながら夢中になって体中を撫で回す。
「んっ」
せわしない動きで体中を愛撫され、五右エ門が快楽に呻いた。
体中が性感帯にでもなったようだった。
どこを触られても痺れるような耐え切れぬ快感が湧きあがってくるのだ。
思いもよらない強い快楽に少し恐怖を覚え、逃げるように身を捩るが押さえつけられた体はほとんど動かない。
次第に意識が朦朧としてくる。
感じるのは舌の動きと肌を刺すような快感だけになってくる。
縋りつくように次元の肩に手を回すと、その体がビクリと震えた。
(拙者に触れられて次元も感じているのか)
その事実にゾクリと、今までとは同じにして異なる興奮が湧き上がってくる。
ゆっくりと宥めるように煽るように筋肉質の肌を弄ると、合わさった唇から低い呻き声が漏れた。
ますます興奮が高まる。
深い口付けを交わしながら、夢中になってお互いの体を弄りまわす。
触れる度に触れられる度にふたつの体がビクビクと打ち震える。
気持ちよくって頭がどうにかなってしまいそうだ。

唇が離れた。
新鮮な空気を吸って、ようやく五右エ門はそのことに気がついた。
まだ弄られている感覚が肌に残っていたが、愛撫もいつの間にか止んでいた。
荒い息を吐きながら目を開いた視線の先に汗に塗れた次元の顔がある。
体が変だ。
なんとなくそう思ったとき、ようやく五右エ門は今とらされている格好に気がついた。
快楽に蕩けていた思考が正常に戻る。
片足が次元の肩にかけられている。
そのせいで腰が浮き上がり下肢すべてが次元の前に晒されていた。
既に堅く勃起して先走りを滲ませている性器。
そして自分ですらほとんど見たことがない後門。
次元の視線はそれをあますとこなく見つめていた。
カァァと湧き上がった羞恥にとっさに足を引こうとするが、足首を強く掴まれていて動かすことが出来ない。
「次元っ」
自由を取り返すために名前を呼んだ瞬間それは起こった。

突然与えられた痛みに五右エ門の息が一瞬止まる。
が、その痛みは止まらず益々大きく強くなっていく。
そして激痛。
信じられない場所から発せられる痛みに五右エ門が短い悲鳴をあげた。
痛みの元をみると、曝け出された後門に次元が指を突きこんでいるのがみえた。
「やめっ」
腰を引いて逃げようとするが指はそのままついてくる。それどころか、グリグリと内部へ捻り込んでくる。
一応唾液や先走りを塗りつけたのだろう、少し濡れた感触がするがそんなのはなんの役にも立っていない。
「狭いな」
そう言いながらも、抵抗して蕾む後門に容赦なく次元は指を挿入させる。
夢の中では少し嬲ってやるだけで、柔らかく緩んで次元を咥え込んだ。
はじめは苦痛と圧迫感に苦しんでいたがすぐに五右エ門の体は快楽に溶けた。
だからきっと大丈夫なはずだ。
もっとゆっくり慣らしてやるのが一番いいことはわかっている。
だが今日まで散々焦らされたあげく、完全に興奮しきった次元には正常な思考はほとんど残っていなかった。
ただ望むのは五右エ門と交わること。その体を抱くことだけだった。
五右エ門の抵抗も、歪む顔も、苦痛に漏れる呻きも、ただ感知しているだけでそれがどういう意味を持つのか次元には届いていなかった。
すっかりと萎えた性器をみてさえ、そのことに何も感じない。
自分の、血液がどくどくと体内を流れる音や荒い呼吸音だけが頭の中でガンガンと鳴っている。
セックスをするのは初めてではないのに。
散々経験を積んで余裕とテクで相手を鳴かせる男になっていたはずなのに。
一切の余裕も慣れた手順も何もかもなくなっていた。
暴れる体を押さえつけて、勃起した自分の性器を手で支え、その先端を後門に押し付ける。
ぐいっと腰を進めるがすごい抵抗で押し開くことができない。
足を抱えなおし大きく広げさせ、再度腰に力を入れる。
メリっと音がしたような気がした。ほんの少しだけ孔が開かれる。
自身に痛みを感じる。たぶん五右エ門も同じだろうとは思うが、挿入を果たしてしまえば大丈夫なはずだ。
痛みを感じるのは最初だけ。
交わってしまえば最高の快楽を得ることができるはず。
次元がぐいぐいと腰を進めるとじりじりと小さな孔が開いていく。
だが、まだ先端すら入っていない。ほんのちょっと押し開いただけだ。
もう少し、いやもっと強い力で押し込まなければ。
そう思い、体重をかけて挿入を果たそうとした瞬間。
「やめろというのがわからぬのか!!!」
劈く怒声と地響き。
全身を打つ痛みに我に返った次元は自分が床に倒れていることに気がついた。
特に肩口と腹が痛い。
顔を顰めながらベッドに目をやると悪鬼の如く怒りに満ちた表情の五右エ門が次元を睨みつけていた。
「いてぇ、なにすんだ」
どうも五右エ門に蹴り落とされたらしいことに気づき、次元は苦情の言葉を吐くがすぐに一喝される。
「痛いのはこっちだ!このヘタくそ!!」
「なっ!?」
ヘタクソ。
世の中の男どもすべてがベッドの上では聞きたくない台詞。
それが自分に投げつけられた。
よりにもよって自らの恋人によって。
ショックで固まる次元を余所に五右エ門はベッドから抜け出すと床に落ちた着物を拾った。
服を着込む姿にハッと我に返り、とりあえずショックを押し込める。
「なに服着てんだよっ」
「今夜はこれで終わりだ!」
腰紐を結びすっかりと着物を着込んだ五右エ門が次元を睨みつける。
一歩足を踏み出して痛みに顔を歪めよろめいた姿をみて、ようやく次元は自分が無茶をしたことを自覚した。
まるでチェリーボーイ、はたまた獣。
相手の都合も状態も確認せず、ただ突っ込もうとした暴挙。
ヤバイ、と冷汗を流し反省はじめるものの、ここで終わりなんてあんまりじゃないか、と思う。
「少しくらい痛くっても・・・」
「我慢できるか!!第一少しなんて可愛いものではない!おぬしわかっておるのか、これは現実で夢とは違うのだぞ!?」
相当痛かったのか、次元の暴挙が腹に据えかねたのか。
五右エ門は声を高らかに宣言した。
「とにかく!!拙者を抱きたくば勉強しなおしてこい!!」
背筋を伸ばし高みから次元を見下ろす。
そしていつもなら決して立てない足音をドカドカと立ててドアに向かう。
床に座り込んでいる次元を背に、そのまま部屋を出て行ってしまう。
バタンと大きな音をたて閉まったドアを次元は呆然とみつめ続けていた。
せっかく、せっかくここまで辿り着いたのに。
望みを果たせなかったどころか振り出しに戻ってしまった。
当分、五右エ門は次元の誘いを受けてくれないだろう。
相手のことを考えず暴走した自分が悪い。
自業自得とはいえ。
「これはねぇよなぁ」
ガックリと肩を落として次元は弱弱しく呟いた。



反省の夜を越えて。
いくらなんでも「ヘタくそ」はないだろう、初めてはお互い様だ、と今更ながらに少し腹を立てた次元は、顔を合わせて速攻で平伏し謝ったあと、一応ささやかに抗議をしてみた。
「俺ばっかじゃなく、お前はベンキョしないのかよ」
と。
「拙者はアレをしたいわけではござらん!」
しかし、この返答で抗議は一刀の元切捨てられ、五右エ門の怒りがまだ収まってないことを再確認した次元は、ブツブツと文句をいいながらもリベンジすべくお勉強にせいを出したのであった。
 
 
 
 
 

■UTSUTSU-YO■
   

    
 
 
   
 ■あとがき■
ということで、ジゲゴエ初夜大失敗です!(爆笑)

そしてこのシリーズのネタも終了だったりします。(今のトコ)
このふたりの合体ネタがどうしても思いつかないのです。
次元は当分生殺しですv(笑)

私はジゲゴエが好きで、そしてもちろん五右エ門受け派なのですが
根本ネタは『本当はノーマル』なのです。
そんな男ふたりが恋人同士になったのなら攻め受けはどうやって決まるのか?
と思うわけですよ。
恋人同士になって五右エ門が当たり前のように女役になるとは思えない。
ならどうすれば『受ける役』を受け入れられるのか?
と考えた結果のこのシリーズだったのでした。


ヘタクソといわれた次元に明日はあるのか!?
このふたりが身も心も結ばれる日はくるのか!?
という疑問を残しつつも、次元にはリベンジ頑張って欲しいものですネv<他人事




 

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