オリーブオイルレスリング
(in Turkey)
  
BY むぎ様
 
 


「なぜ、このようなことに・・・。」

トルコ人に頭からオリーブオイルをかけられながら、心底嫌そうに五右ェ門が言う。

「仕方ねえだろ、祭に参加しなきゃお宝には近づけねえんだ。」

言葉とは裏腹に、次元はなんだか嬉しそうだ。この地方に伝わる伝統の黒い皮パンツを確かめるようにピタピタと叩く。やはり頭からオイルをかけられ「うへえ」と声を上げた。

「あんまりこりゃ、気持ちのいいもんじゃねえな、ごえ・・・、」

言いながら顔を上げた次元の言葉が途切れる。目の前の侍に、視線は釘付けだった。
黒いパンツにその白さを引き立てられた侍の肌は、今やオイルでぬらぬらと怪しく光っている。気持ち悪そうに胸や腰を撫で回す様までが、次元の目にはなまめかしく映った。レフェリーの「はじめ」という声にため息をつき、侍が「仕方あるまい」と顔を上げる。

「よい所で適当に切り上げるぞ、じげ・・・!?」

ぐい、と手を引かれ、今度は侍の言葉が途切れた。つんのめり、次元の上に被いかぶさるようにして倒れる。いきなり足を絡められ、ぎょっとして悲鳴を上げた。

「次元! お主まさか本気で・・・!」
「昔からの大事な風習なんだ、適当にやっちゃ失礼だろ。」

冗談とも本気ともつかない声で次元が言う。押さえ付けられ、組み敷かれそうになるのを必死で防ぎながら、なかなかこのオイルレスリングというものが難しいことを侍は知った。掴む腕も押しのけようとする足も、何もかも虚しくぬるりとかわされてしまうのだ。それに・・・、

「次元、・・・お主・・・っ、わざとやっておろう・・・!」

首筋から胸の筋肉に向かって手を滑らせ、親指で両側の乳首をくにくにと押しながら次元がニヤリと笑う。

「何言ってんだ、俺は真面目にやってるぜ。お前こそ変に感じてんじゃねえか。」
「馬鹿を言え、お主が・・・! んっ・・・!」

股間にぐにゅりと膝を押し当てられ、とうとう侍は声を上げた。「どうした、五右ェ門」と笑う次元の声も心なしか荒い。そっと下方を盗み見て侍は息を飲んだ。オイルが光る浅黒い臍の下、革で押さえ付けられて目立ちはしないが、次元のそこは明らかにいきり立っている。

「くそ・・・、このままキスしちまいてえ・・・!」
「このたわけ、いい加減にしろ!」

急に本気でつかみ合いを始めた二人に、レフェリーが嬉しそうに掛け声をかける。こんなに積極的な祭の参加者も珍しいのだろう。
文字通り、食うか食われるか。
観客の大歓声にルパンの合図も掻き消され、二人の死闘は果てしなく続いたのであった。







    

 ■むぎさま■
 
2010年7月3日〜10日までの7泊8日で、むぎさんとトルコ旅行に行ってきましたーーー!!
(どん☆どん☆ぱ☆ぶー♪)

トルコでバス移動のとき、現地ガイドが色々な話をしてくれました。
その中で私たちの琴線に触れたのが「オリーブオイルレスリング」なるもの!!

「男同士で裸になって革のパンツだけでオリーブオイル塗れになって草むらでレスリングをする」

とのこと。
なんじゃ、そのキモイスポーツは!?
いやいや待て待て、ジゲゴエ変換してら激萌スポーツだぞ!!
すかさず腐方面に思考が飛んだジゲゴエスキーふたり。

そして、むぎさんが書いてくださったのがこのお話!
ジゲゴエオリーブオイルレスリングvv
ちなみにトルコ旅行中、移動バスの中で携帯で書かれたものです。
トリコまで行って何やってんだ、お前ら。
という突っ込みが聞こえて来そうですが、気にしなーーい!

それにしても。
オイルまみれの五右エ門に早々に欲情しちゃう次元とか
次元のいきり立ったものに気がついちゃった五右エ門とか
の描写が特に堪りませんな(じゅるり)



むぎさま、素敵小説をありがとうございました!
 
 
 

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