暗い森の中に小さな焚き火が男女の営みの影を映し出している。
1匹の雌豹が仰向けになった哀れな獲物の体を上から押さえつけている。
雌豹の瞳は焚き火の炎を反射して金色に輝く。
抵抗する力を奪われた男の上で女は髪を振り乱し激しく腰を上下させている。
「そろそろお終いよ、何か言い残す事はない?」
「ジ…ジル…済まない…オレ…もう…キミに…会えそうにない…」
女の腰の動きが動きが止まった。

======3年前======

オレは宿のベッドに腰掛けるとそのままゴロリと横になった。
腹に巻いた包帯に血が滲む。
ベッドの横で若い女性が心配そうに立っている。
「ああ、大丈夫だこの程度の傷はいつものことさ」
「マスター…貴方はいつも無茶をしますね…」
オレは始末屋だ。盗賊やバケモノ魔物など始末して賞金を稼いでいる。
オレの横で呪文を唱えている女性、名前はジル、オレの部下でヒーラーだ。
まあそれなりの関係でもある。
オレ達は2人で放浪しながら、各地でバケモノ退治の仕事をこなしてきた。
今度の獲物は4つ星クラスの魔導師、かなりの大物だ。
賞金もバカ高いが魔導師ならレアな宝や道具を持っている事がある。
ヤツの居場所が判るとオレは他の始末屋に先を越されないように単身乗り込んだ。
少々無謀だったかもしれない、ヤツは噂以上にヤバイ相手だった。
まぁオレも界隈では名の知れた腕前だ。
なんとか相撃ちにして体力勝負に持ち込んだが、ちょっとした隙に逃げられてしまった。
どうせヤツも自分の居城を捨てて遠くへ逃亡する事はないだろう。
これ以上の戦闘は不利と悟ったオレは、近くの宿場で回復に専念する事にした。
その晩オレは彼女のヒーリングを受けながら眠り落ちてしまった。

そいつはとても奇妙な夢だった。
夢の中でオレの体が暗い沼の中に沈んでいく。
いつしか音も光もない水底に到達すると、体が水底の泥と同化を始めた。
オレは水底で泥人形になって仰向けに寝転がっていた。
夢の中によくある奇妙な非現実感だ。
その泥人形を誰かが撫で始めた。
顔、胴体、腕、脚をなぞる様に掌が動きまわった。
滑らかに動く掌が泥人形の体を削ったり盛り上げたりして、泥人形の形を別の姿に作り変え始めた。
胸の周りを寄せ集めて盛り上げる。オレの胸の形を作り変えている。
胸の上に奇妙な重量感が増していく。
2つの丸い山を作るとその頂上を摘んで小さな蕾を作っている。
股間をそっと撫でまわして平らにすると指先で小さな筋を付けている。
そのまま指を体の中に差し込むと腹の中に何かを作っていく。
ゆっくり引き抜いて入り口に襞を丹念に折り重ねていく。
体のあちこちを時には細く。時には大きく丸く変えていく。
疲れて傷ついた全身が新しく生まれ変わっていくような心地よさだった。
オレは静かにそれを受け入れていた。

======2日目======

オレは彼女のヒーリングを受けながら考え事をしていた。
当然だが、ヤツがオレの回復を黙って待ってくれる訳がない。
常識的に考えて必ず何らかの妨害は仕掛けてくる。
何を仕掛けてくるか分かるまで、気が休まらないのだ。
もう一つは、同業者に獲物を横取りされる事だ。
苦労してダメージを与えた獲物を同業者に横取りされる事だけは、なんとしても避けたい。
昨晩の夢も多少気になったが、今のオレは気分的にそれどころではなかったのだ。

彼女がヒーリングを突然中断した。
「マスター呪いを受けています…」
(やはりきたか…魔導師と殺り合ったなら、まぁ予想の範囲内だな)
「で、ジル? そいつはなんて呪いだ?」
受けた呪いによっては対処も変る。
ジルは荷物からゴソゴソと道具を取り出してオレの体を色々調べ始めた。
呪いの種類が判った時、オレは以外な結果に驚いた。
なぜならそれが『双子の人形』と呼ばれる極めて問題のある呪術だったという事だ。
『双子の人形』、それは呪う対象者に見立てた人形を用意して、それに呪う相手の髪の毛、爪、血等を塗りこむ。
人形に杭や針等で念を打ち込んで、その念を相手に直接送り込む術。
手軽な上、強力で、解呪方法は術者を始末するしかない。
効果も威力も抜群の呪術なのだが、大きな欠点がある。
1つは呪う相手が眠っている時しか効果が発揮されないという点。
さらに呪われた相手が呪いの念を拒絶すれば避けられるという事だ。
つまり『心臓の動きを止めろ』という呪念を『いやだ』と思えば効力が発揮されない、ハッキリ言えば役に立たない術なのだ。

こんな呪いはオレの精神力なら危険なものではない。
この程度の妨害しか仕掛けてこれない程ヤツは弱っているならば、同業者に嗅ぎ付けられてしまうと厄介なことになる。
ここは静かに傷の回復を図って、さっさとヤツを始末するに限る。
オレはその晩もジルのヒーリングを受けて眠りに落ちた。

昨晩と同じくオレの体は暗い沼に沈んでいった。
音も光もない水底で仰向けになっていた。
夢の中のオレの体は五感も神経もボンヤリとして何も感じなかった。
暫くすると下腹部の中に熱が篭り始めた。
何も感じない体の中で自分の存在を保とうとオレはその感覚にしがみ付いた。
それはオレに何か大きくて暖かい塊が下腹部の中で暴れている事を意識させた。
そいつは内臓を押しのけて滑るように前後していた。
下腹部の中の塊をギュッと包み込む内壁が、塊に擦られて寒露の蜜を滴らせる。
それが甘い快楽を産み始めると、それがジワリジワリと全身へ広がり始めた。
何かが背筋を登って頭の中へこみ上げて来ると、それはオレの頭の中に女性の快楽を刻みつけた。
胸の上で大きな膨らみが塊の動きにあわせて前後に跳ねまわっていた。
乳首がキュルッと起ち上がってチリチリ疼き始めた。
勃起した乳首に何かが吸い付いて、切ない快楽を送り込んできた。
胸の膨らみは快楽のミルクが満たされていく。
音も光もない静寂の世界で、体の中は快楽の大音量が鳴り響いていた。
必死に音のない世界に向かって大きく口をあけ、咽を震わせて吐き出した。
「あああっ…ああんはああっはああっ」
静寂の世界に突然、女性の喘ぎ声が木魂する。
それは自分の口から発せられた歓喜の嬌声だった。
オレの体の隅々に女性の性が刻まれていった。
現実感の無い夢の世界で、体を満たしている快楽と聞こえてくる甘い女性の声、それを発している自分の咽。
夢ではありえない快楽にオレの心は警戒信号が鳴らしていた。
だが、すでにオレは女性の快楽の虜になってしまっていた。

======3日目======

大きなアクビを一つするとオレは塞ぎ込んだ。
昨晩の夢の中でオレは欲情していた。
おかげで一晩中徹夜していたような気分だった。
状況から昨晩のアレは間違いなくヤツの仕業だろう。
あの夢がヤツの仕業とすれば、つまり、オレは夢の中で女みたいに犯されたことになる。
呪いはオレの同意がなければ成立しないので、アレは単なる悪夢と言う事だが、
犯されて嬌り声を上げさせられたという事は男性として屈辱以外の何者でもない。
しかもヤツにイかされたとなれば、怒りと同時に体と魂の両方を穢された気がして吐き気すらした。
『双子の人形』でオレを色々精神的に揺さぶってろうって魂胆だろう。
少なくともヤツを始末するまで、この気色悪い悪夢が続くって事だ。
こんな気色悪い変態じみた悪夢を送り続けるヤツはトンでもない異常者だ。
まったくウンザリする。

ジルが言うには傷の回復に後2日はかかるとの事だ。
もう暫くこの忌々しい変質者の悪夢に我慢するしかない。
オレは悪夢を忘れるためにも気分転換を兼ねて辺りが暗くなるまでトレーニングを続けた。
夕食後には昨晩の寝不足感もあってオレはすぐに眠りについた。

オレは悪夢に引きずり込まれた。
体が沈んでゆく。
気が付くと硬い床の上で仰向けに寝ている自分がいた。
夢の中のボンヤリとした肉体の存在感、
だがそこには夢の中の感覚とは一線を画す非常にリアルな触覚と聴覚が存在した。
例えるなら見知らぬ他人の体に意識だけが入り込んで、耳と肌の感覚だけが自由になっているという状態だろうか。
そこに足音が聞こえた。誰かが近づいてくる気配があったのだ。
そいつがオレの耳元で囁く。
「今夜も始めよう」
……抵抗しようにも体が全く動かない……
胸の上を弄り始める。
「私に傷を負わせた。キミはその報い受けなければならない」
掌でゆっくりと両方の乳房を揉み始めた。乳首を指先摘んで弄ぶ。
胸の奥で欲情の火が灯る。
胸の上の片手がゆっくり下半身に滑っていく。
………うぅ…くそっヤメロ気色悪い……
股間の茂みの上で向きを変える。チリチリと刺激が走る。
指の腹がそっと茂みの中の割れ目に添えられると、秘裂を弄った。
「オンナになれ…」
下腹部が疼き始める。花弁に雫が滲む。
………ふあっ…ヤメロ…触るな………
オレの意思とは無関係に体は男を迎え入れる準備を始めた。
花弁はゆっくりと花びらを開き始めると蜜を滴らせる。
蜜壷の中に指が滑り込む。指先は蜜壷を軽くかき回すと抽送を繰り返した。
体に点火された欲情の炎は激しく燃え上がる。
「はぁはぁはぁぁはぁぁ」
オンナの切ない溜め息が漏れ始める。
割れ目に暖かくて固いモノを押し付けられる。
………うぅアレを押し付けてる!………
オレはそれが何であるのか推測した瞬間、オレの心はソレに対する激しい嫌悪感が込み上げ来てた。
……ヤメロ気色悪い……
しかし正反対に快楽の期待が膨れ上がったオレの体はソレを要求し始めたのだ。
子宮が痺れる。膣腔は蜜を滴らせて歓迎の準備をしていた。
割れ目に宛がわれたソレが醸し出す欲情は苦しいほどに体を苛んだ。
体はオレにソレを入れろと激しく訴えた。
………はぁはぁやめ…はぁはぁ………
オレは拷問の苦痛やオトコの性欲なら耐える事が出来る。
それが『双子の人形』の呪い程度等は心配ないと高をくくっていた根拠だ。
しかしそいつが今崩れ去ったのだ。
だがこの体に刻まれてしまったオンナの欲情に抵抗する術が無かったのだ。
高まる欲情は暴走するとオレの理性を吹き飛ばした。
(お願いだ、何とかしてくれ……)
「お願いだ、何とかしてくれ……」
オレは無意識に叫んでしまった。それはオンナの甘い声になって発声される。
「受け入れるか?」
(なんでもいい!)
「なんでもいい!」
「いい子だ」
ズブリ
陰茎が体の中に潜り込んで来きた。それは呪縛の杭でもあった。
「くるなぁぁだめ、だめぇぇ…」
オレの男性として根本的な部分が別のモノに変わっていく。
「だめぇぇ…イヤぁぁぁイヤぁぁはぁはぁだめぇ…らめぇ……らめぇ…ら…」
陰茎の進入と共に、自分の存在がオンナに書き換えられていく。
ふと「あたし」の中から男性に抱かれる事の不快感が消えた。
むしろ男性に身も心も委ねて抱かれたい、愛されたいという気持ちが芽生えた。
あたしはその瞬間からオンナになった。
心がこの体を受け入れたのだ。
指一本動かせなかった他人の体はあたしの体になった。
指先、腕、脚が思いのままに動き始める。
あたしは地面を掴んだ。
「はぁはぁ…いい…いいよ…」うわ言のように繰り返す。
脚を高らかに持ち上げてお尻を突き出し自分の一番奥に男性を誘う。
あたしの喘ぎ声、耳元に男性の荒い呼吸が木霊する。
耳を澄ますと…グシュッグッシュ…陰唇がイヤラシイ音を立てていた。
急にカッと恥ずかしくなる。
突然陰茎が激しく加速すると。一番奥の扉を激しく叩く。
激しい衝撃が快楽をさらなる高みへ突き上げる。
頭の中が眩しく輝き始める。子宮が痙攣し膣が収縮した。
「はぁはぁ何かくる…くるぅ…何かくるよぉ…ああああああっ」
あたしは背中を弓なりにそらせて歓喜の悲鳴を上げた。
収縮した膣は陰茎を絡めとってギュッと絞る。
それはビクッビクッと痙攣を始めると、暖かい迸りを内壁に飛び散らせた。
「ああっ…んっ…あたしの中に出してる…あん…暖かい…」
あたしの中で登り詰める快楽とは別に新しい感情が芽生えた。
それは自分の中で果ててくれた事に対するオンナとしての満足感と充足感だった。
お腹の中の温もりに余韻を感じていた。

======4日目======

ベッドの上で目を覚ますと、蹴飛ばすようにシーツをめくって飛び起きた。
部屋の小さな鏡の前で上着を脱ぎ捨てる。
掌で自分の体をペタペタ触る。
太い腕、厚い胸板、引き締まった筋肉、パンツの中を覗くと股間には大きな逸物があった。
どこにも異常が無い昨日と同じ逞しい男性の体だ。
しかしあたしは自分の体に違和感を感じていた。
オンナの子の体じゃない事に心が不満を訴えるのだ。
冷静になって考えれば、そう思えてしまう事が異常だと判っていた。
もちろんその理由も判っていた。
(くそっ忌々しい…)
あたしはイラついていた。あたしはオンナになる事を承諾してしまったのだ。
呪いは肉体をオンナに変える事がなかったようだが、あたしの本質をオンナに変えてしまったのだ。
事態はマズイ方向に流れ始めている。
さっさとヤツを始末して呪いを何とかしないと、ズルズル時間をかけていては気が変になってしまいそうだ。
(こんな気持ちで戦えるのだろうか…)
自分の中の男性的な闘争心、戦闘意欲が気になった。
「おい! オレは戦えると思うか?」
あたしは出来るだけ男っぽく乱暴な態度でジルに聞いた。
「マスター 無理をなさらないで。完治には明後日位までかかりそうなんです」
ヒーリングの準備をしていたジルは小さな声で言うと、心配そうにあたしの顔を覗き込んだ。
「マスターどうかされたのですか?」
あたしは顔を真っ赤にして下を向いた。
これまでの経緯を説明して、ヤツに腕の中でオンナにされただなんて恥ずかしくて絶対に言えなかった。
例え肉体が万全でも、女性特有の精神的脆さが出れば危険を招くかもしれない。
戦闘は男性的な闘争心が不可欠なのだ。
(オレはオトコだ…オレはオトコだ…オレはオトコだ)
あたしは自分の中に残っている男性的なモノを見出し、男であろうとした。

ジルをじっと見つめた。
(もしオマエが男なら、彼女を抱けるか?…今のオマエは同性として見ているのではないか?)
「おい! 服を脱いでくれ! 全部だ!」
出来るだけ乱暴に言った。
「あの…マスター?」
「いいから裸になれ!」
ジルは目の前で恥ずかしそうに服を脱いでいく。
「あの…これで…よろしいでしょうか…」
裸になると、恥ずかしげに乳房と股間を手で隠しながらオズオズと言った。
あたしは自分の中に湧き上がるオトコの性を待った。
不安は的中した。
ズボンを下げて股間の逸物をさらけ出す。
それは下を向いてダラリと垂れ下がっていた。
イラ立ちと焦燥感が増していった。

「舐めて大きくしろ!」
「はい…マスターが望むのなら…」
ジルは顔を真っ赤にして恥ずかしげに言った。
静かに足元に跪くと両手でそっとペニスを持ち上げて口元に運ぶ。
「んっ…んっ…」
ジルは舌の先でチョロチョロと舐め始める。
亀頭、カリ首、竿、袋、裏筋を丹念に舐めていく。
時折こちらを上目遣いでチラリと見て顔色を伺う。
ペニスが膨張し始める。
以前の自分ならジルの奉仕に興奮してペニスを勃起させていた。
だが今回は違う、これは男性の興奮ではなく肉体の生理現象に過ぎない。
ペニスの快感に反応する事でしか起たせる事が出来なかったのだ。
「んっんっんん」
ジルは陰茎をしごきながら、口の中に入れて頬張り続けていた。
「もういいぞ!」
ジルの頭を掴んで引き剥がすと、抱きかかえてベッドの上にそっと寝かせた。

あたしは彼女を抱いた。
彼女はあたしの胸の下で気持ちよさそうに喘ぎ続けた。
快楽で惚けた表情であたしの名前をうわ言の様に何度も囁き続けた。
彼女をギュッと抱きしめると体の中の陰茎をギュッと締め付けてきた。
彼女は何回イったのだろう?あたしは結局イク事が出来なかった。
いつものように彼女をイかせる征服欲が無かった。
気持ちよさそうに喘ぐ彼女を見て、むしろ自分もこんな風にされたいと思い続けていた。
失神する程に感じてた彼女が羨ましかった。
自分も強く逞しい男性に失神するほど抱かれたい。
気が付けばあたしはオンナとして彼女に嫉妬すら感じていた。
男として振舞う為にジルを抱いて見たが、女の欲求不満が膨らんだだけだった。

呪いに対抗する手段が危うい今、睡眠は危険だ。
彼女に事情を告げる訳にも行かず、一人ベッドの上で眠気と戦う事になった。

気の緩みか、ヤツの仕業なのか判らない、いつの間にか悪夢に引きずり込まれていた。
体が沈んでゆく。
気が付くと硬い床の上で仰向けに寝ていた。
ゆっくりと上半身を起こす。
背中に髪の毛がサラリと触れる。
周りは真っ暗で何も見えない。
そっと瞼を触ってみる。
この体、まだ目が自由にならないのだろう、閉じているのが分かった。
今自分が呪い人形の中にいるのなら、ここは敵地だ。
少しでも状況を把握しようと四つ這いになって、手探りをしながら辺りを調べてまわった。

「ここはキミと戦った部屋だよ」
突然後方から声をかけられた。
ハッとして思わず声の方向を振り向いた。
「くるなぁ! 近づくなぁ!」
その場にしゃがみ込むと、何もない空間に向かって腕をブンブン振り回して抵抗した。
なんとも我ながら情けない抵抗だ。
非力な女の抵抗を嘲る薄笑いが聞こえた。
「ははっ嫌われたな。本来なら感謝して欲しいくらいだがな」
この体でどこまで抵抗できるか分からない。
とにかく近づけないように必死だった。
「うっさい、来るなぁ!」
近づいてくる気配は無かった。

「その体…感度がイイだろ、なんだと思う?」
確かにこの体は自分の知っている呪いの人形という代物ではない。
(生きているオンナの体なのか、そんなものを媒体に出来るのか?)
振り回していた腕を止める。
「私も忙しくてな今日は相手してやれない、寂しくなったらそいつを使うといい」
ヤツは何かをあたしの足元に放り投げたのだろうか、あたしの足元の床にポンッと何かが転がる音が聞こえた。
遠ざかる足音が聞こえた。ヤツは部屋から出て行ったようだった。
辺りに気配が無い事確認すると手探りでヤツの残していったモノを探した。
探り当てて握ってみる。あちこち撫でてその形を確かめた。
「くそ、馬鹿にするな!」
ソレを真横に放った。ディルドーが床の上を転がる。

あたしは何もされない事にホッとした。
この体ではヤツに対抗する手段が乏しいのだ。
今晩を乗り切る希望が持てた事に気が緩んだ。
緊張が溶けていく。
気持ちにゆとりが出来ると次はこの体に興味が沸いてきた。
(ヤツが言っていたが、この体は何なんだろう?)
そっと掌で自分の体の輪郭をなぞり始める。
顔を触ってみる。
……閉じた瞳、小さな鼻、唇、ウェイブして背中まで伸びている髪……
自分でそっと撫でているだけなのだが、少々くすぐったかった。
……耳、先が少し尖っている?!
首、腕、細くて柔らかい吸い付くような滑らかな肌……
掌に伝わる滑らかな肌の感覚、それを確かめるようにそっと擦ってみる。
それはくすぐったくて何だか気持ちが良かった。
……腰、お腹、柔らかく弾力があるお尻、太股……
あたしは触られるだけで心地よく感じる体に夢中になっていた。
(胸も確かめなきゃ…いけないよね)
そっと胸に手を伸ばす。
掌で掬い上げるように持ち上げると輪郭を確かめる様に擦ってみる。
固さを確かめる為に少し揉んで見る。
乳首がムクムクッと上を向き始めた。
(ジルよりも大きいかなぁ)
膨らんだ乳首を摘んでみた。キュンと衝撃が走る。
(ひゃん…はぁ…アソコも調べてみないと分からないよね)
若草のような茂みの中に指を入れて、そっと割れ目を探す。
(はぁん…)
指が陰唇に触れる。
プクッと膨れ上がった花弁は僅かに湿りを帯びている。
割れ目に沿って指を添えるとクリトリスに指の腹が当たった。
(ふぁぁんっ…)
少し刺激が強い、股間に添えた指を口に運ぶとたっぷりと唾液を絡ませる。
「んんっ…」
もう一度割れ目に沿って指の腹を当てる。
今度はそれをゆっくり動かしてみた。
花弁が開き蜜が漏れ始める。ネットリとした蜜が指全体に絡み始める。
ヌラヌラに濡れた指は開いた花弁の襞に沈んでいく。
(はぁはぁはぁはぁ…)
クチュクチュクチュ
イヤラシイ音が欲情を焚きつける。
「あっ…くぅぅ…はぁはぁはぁ…あっあん…中も…確かめなきゃ…いけないよね…」
指が蜜壷に飲み込まれる。中を指で掻き回す。
(あっ…ダメ…一本じゃ物足りない…)
指の数を増やして、ギュルと掻き回す。
「ああああっああああっダメ…ダメ…指なんかじゃ…ダメ…」
脳裏にさっき放り投げたアレが思い浮かぶ。
(大丈夫だよね…アイツの言いなりになるんじゃないんだから…)
咄嗟に四つ這いになると、地面を手探りで必死に探す。
指先に何かが当たった。
あたしの中で期待が高まる。
それを拾い上げると両手でギュッと握り締めた。
押し殺していたオンナの気持ちが堰を切って流れ始める。
あたしは自分の気持ちに正直になっていたのだ。
握り締めたディルドが愛おしくて、そっとキスをした。
ジルを抱きながら思い続けた気持ちが、あたしをそうさせたのだ。
あたしはジルがしてくれたように舌の先でソレをやさしく舐めてみた。
あたしは空想を始めていた。
目の前には好きなオトコがいて、あたしは彼の差し出したペニスに一生懸命奉仕している。
舌先でチョロチョロっとカリ首を刺激してみせる。
「んっ…んっ…」
口に入れて頬張ってみる。
(んんっんんっ…ねぇ気持ちいい?…気持ちいい?…)
あの時のジルに成り切って、あたしは空想の男性に奉仕を続けた。
チュパッチュパッ
空想の中で彼のソレは口の中で大きく膨らんでいく。
口から取り出してソレを胸に押し付ける。自分の片手の指先で乳首を弄くる。
(ああん…はやくぅ…はやく抱いてよぉ…)
焦らす彼にあたしはおもいっきり甘えて見せた。
胸にギュっと押し付けられたソレは、ゆっくりと体の表面をなぞりながら割れ目に向かう。
「ねぇはやく抱いて…お願い…あたしを抱いて…」
ソロリと仰向けの姿勢になると、彼の前で大きく股を開く。
先端を押し付ける。
「…そう…そこ…そこにいれるのよ…」
あたしはMの字に広げた脚にギュッと力をこめて腰を突き出した。
お尻が持ち上がる。ソレがスルリと入ってくる。
「あああっ…あああっ…いいいよぉ…あたしの中にきてぇ…」
彼が顔を近づけるとそっと乳房を吸う。
あたしは自分の指で乳房を揉みながら乳首を上下に擦る。
「ああん…らめぇ…吸わないで…」
彼は顔を上げて微笑みかける。
(いくぞ…)
彼が言った。
ソレがリズムカルに抽挿を始める。
「あっあっあっ…」
あたしは空想の中で彼にしがみ付いた。
「あっあん…す…好き…いい…好き…」
厚い胸板、逞しい腕。
あたしはあの時のジルに成り切っていた。
空想の彼は自分自身。
あたしは今、自分の肉体に抱かれる空想に興奮していた。
「お願い…ああん……あっあああん…飛んじゃうのぉ…お願い…ぎゅっと抱きしめて」
あたしはうわ言の様に繰り返した。
ディルドーを握る手の動きが早くなる。
(そろそろフィニッシュだ…)
彼が囁く。
「はぁはぁいいよぉ…いいよぉ…なんか来るよぉねぇお願い一緒に来てぇ…きてぇ…」
ディルドーをギュゥっと奥に押し込んでねじり回す。
(出すぞ!)
「あああああっきてぇ…きてぇ…あ…あたしの中に出してぇ…」
ディルドーを握る手が震える。体を弓なりに反らして嬌声を上げる。
頭の中が真っ白になった。

======5日目======

どこまでが夢か分からなかった。
自分は覚醒しているのか眠っているのかわからなかった。
現実感が無いのだ。
気が付けば宿のベッドの上で上半身を起こしている自分がいた。
まだ辺りは真っ暗だ。
隣のベッドでジルがぐっすり眠っている。
ジルを起こさないようにそっと起きると身支度を始めた。
外に繋いである馬に乗ると、導かれるようにある場所に向かった。
説明できない力が無意識に体を動かし続ける。
意識はボンヤリとして夢を見ている気分だった。
気が付くと魔導師の居城に立っていた。
敵陣の中を躊躇する事なく中に入ると、見えない力に引かれる様にフラフラとある場所へ向かった。
そこは数日前に争った部屋。
そこで足が止まった。

薄暗い部屋の中を壁の松明が照らしている。
ジルより一回りくらい小さい裸の少女が部屋の中央の床の上で仰向けになっている。
幼げな顔立ちに、少し大きめの乳房。
くびれた腰にふくよかなお尻。
…この娘を抱きたい! 抱いて自分のモノにしたい!…
抗いがたい衝動に動かされた。
そっと抱きかかえる。
顔を近づけると唇を合わせる。
舌を差し込んで中で絡める。
唇が離れるとつっと涎が糸を引いた。
小さく開いた口から溜め息が漏れる。
耳を甘噛みすると、そのまま舌を這わせながら首筋を舐める。
そしてゆっくりと乳房を揉み始めた。
自分の胸が切なく疼き始めた、少女の胸の上で乳首がゆっくりと膨らみ始める。
先端がチリチリと疼く。

口を窄めて少女の乳首を軽く吸ってみる。
甘い快感がオッパイの中に広がる。
ふと自分の股間がシットリと暖かく感じ始めた。
この少女が感じる快楽を自分が今感じている気がした。
この少女は自分なのだと直感した。
下腹部の中のオンナがジンジンと痺れ始める。
股間の茂みに指を添えて、割れ目に沿ってゆっくり動かす。
秘裂のヌルリとした肉襞の中を指の腹が滑る。
「あっくぅぅんん」
襞の中の没した固い粒に触れた時、背筋に衝撃が走った。
思わず口に出した嬌声は少女の声だった。
膝を掴むと左右に股を押し広げて、体を割り込ませる。
そのまま下から抱え込むように太股を持ち上げて、顔の前に少女の陰唇を近づけた。
陰唇に舌を入れて襞に絡んだ蜜を舐める。
花弁はふっくら膨らみながら蜜壷の扉を開けていく。
パックリと口を開けた陰唇の襞がタ、ラタラと涎を垂らして太股からお尻までグッショリと濡らしていく。
下腹部の中で子宮が疼く。
ペニスの付け根の辺りに感じるオンナの器官が、歓喜の汁を滴らせて挿入の時期を待ちわびている。
感覚が混乱した。
…待ち侘びているのは自分なのか、少女なのか…
自分のペニスを握ると少女の股間に宛がった。
ペニス付け根に何かが押し付けられる。
両手で少女の太股を掴むと、さらに大きく少女の股を広げて自分の股間に引き寄せた。
巨大な肉棒が陰唇を痛々しいほど引き伸ばして蜜壷に中に沈んでいく。
せまい、同時にペニスの裏の存在しない入り口から体の中に何かが入ってきた。
膣腔の襞が何重にも折り重なって優しく包み込んで締め付けてくる。
暖かい大きな塊が内臓を押し分けて潜り込んで来た。
塊に荒々しく擦られた内壁は苦痛と快楽の狭間でヒリヒリと疼き始める。
ゆっくり腰を送る。
内臓が歪む。
(うぅぅ苦しい! これって痛いの! でもなんか違う! なんだか…とってもいい…)
ゆっくりと注挿を始める。
女陰はグチュグチュといやらしい音を立ててペニスを貪る。
(いいっあんっおおっきぃ)
膣は男性自身を襞で絡めて絞る。
今まで経験したどんな女性よりも素晴らしい女性器が奏でる快楽。
しかしペニスのすぐ下からそれ以上の女性の快楽が渦巻いて
ペニスの快楽を圧倒する。
(いいよぉいいよぉもっともっと)
強すぎる陰唇の快楽はペニスの感覚を麻痺させる。
いつしか腰を振る動きからペニスの感覚が次第に消え、女陰の快楽だけが下半身を支配した。
自分がどちらなのか混乱する。
(あぁぁ! 突いてもっと奥までぇ突いてぇ)
自分の胸の中で少女は口を開いて甘い喘ぎ声を上げている。
少女の小さな舌が艶やかな唇の隙間でなまめかしく動く。
口を近づけて少女の舌と絡ませる。
口と口の間でお互いの舌を愛撫する。
そのまま唇を覆い被せると、唾液を交換してお互いの口の中を愛撫した。
唇を割って舌を差込み口内に唾液を送り込む。
犯されているのはどっちだったのだろうか?
自分が誰なのか分からなかった。
唇を合わせたまま薄っすらと眼を開けると、目の前には自分の顔があった。
あたしは自分の上に覆いかぶさっている男の体にしがみ付いた。
「あぁん、奥まできてぇ」
男は黙って激しく腰を叩きつけ始めた。
熱い塊が子宮の扉を叩く。
(ああああこわれちゃう)
背筋を上る快楽で頭の中が白く輝き始める。
キュッと陰唇が締まる。
膣が脈動しながら男性自身を絞ると子宮に命の糧を満たすべく吸出し始める。
「きえ…きて…あたしのなかにきてぇ」
ドクッドクッ
膣壁の中を激しい濁流が流れている。
あたしは体を弓なりに反らすと意識を失ってしまった。
消えていく意識は、自分自身が消えていく感覚だった。
意識が戻ってきた。
宿で目を覚ました時から続いていた半覚醒状態、夢の中にいる様な奇妙な感覚が消えていく。
頭の中の霞がすっと消えるとあたしの意識は現実に戻った。
あたしは固い床の上で寝そべっていた。
そして自分の上を大きな男性が覆いかぶさっているのだ。
意識を回復すると、男性の逞しく厚い胸板と鎖骨があたしの視界に飛び込んできた。
顔少し上に向けて、自分の上にいる男の顔を見た。
それはあたしの顔だった。
(あたしは誰! なぜ自分の体が上にいるの?)
「ぐえっ」
男性の首がガクンと垂れると、突然糸が切れたように人形の様にあたしの体の上に崩れてきた。
あたしは自分の体に押しつぶされそうになった。
重い!
鍛えぬいた大男の体だ、体重は90Kg近くある。
それが突然小さな女の体の上に圧し掛かってきたのだ。
顔を真っ赤にして力を入れるがビクともしない。
手足をジタバタさせてなんとか這い出そうと試みた。
パンパンパン
部屋の入り口付近から手を叩く音がした。
首をそちらに向ける。
「次から相手を吸いつくす時はキミが上になるといい」
魔導師は薄笑いを浮かべて立っていた。
「手を貸して欲しいか?」
ヤツはあたしの見下ろして手を差し伸べた。
あたしはありったけの気力でヤツを罵った。
「ぎゃぁっ」
あたしは悲鳴を上げた。
突然わき腹を酷く蹴飛ばされたのだ。
「淫魔の分際で口の利き方に気をつけたまえ」

======3年後======

あたしはその当時、何故自分がこの体なってしまったのか分らなかった。
今になって見ればあの時あたしは自分に抱かれたいと、この呪われた体で念じてしまった事、
そして自分のモノになって欲しいと念じてしまった事が原因だったのではないかと思っている。
もちろんあの魔導師が、そうなるように仕向けたのだろう。
この体は、死んだ女淫魔の体を復活させて作ったものらしい。
つまり今のあたしは正真正銘の女淫魔。
始末屋に追われる立場になったのだ。
あの後魔導師は実験と称して、あたしの古い体を持ち去ってしまった。
あたしにはなす術が無かったのだ。
むしろ何かされる前に逃げ出すだけで精一杯だった。
もはや人の街に戻る事も出来ないあたしは、
通行人や民家を襲って生きていくしかなかった。
すぐに賞金首になったあたしの元に、いままで何人かの始末屋が来た。
格下の女淫魔相手だと思って油断している連中やスケベ心丸出しの奴等は問題にならなかった。
むしろ貴重な糧としてその全てを吸い尽くしてやった。
暫くして、あたしは自分が魔女として恐れられている事を知った。

ジルの名前を聞くまで、あたしは単なる一匹の魔物にすぎなかった。
ジルの名前があたしを人間に引き戻したのだ。
あれからジルはどうしていたのだろう?
…もう一度ジルに会いたい。自分自身を取り戻すために…

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おしまい


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