「ほら、どんなもんだ?」
言葉もない研崎の前でその美女は生まれたままの姿を晒し、
ボリューム感のある胸を自ら水風船でも弄ぶようにこね回していた。
「遠慮しないで触ってみろよ。やーらけーぜ」
「…………」
「なんだよ、魂抜かれたみたいな顔しちゃって。しょうがねえなぁ」
美女はただでさえ形良く盛り上がっている胸のふくらみをさらに前方に突き出すようにして研崎に近づいた。
「ほうら、ほうら」
おろおろとする研崎の胸に、そのやわらかさと弾力をかね備えたふたつのふくらみがぎゅうと押し当てられた。
「うぁ……」
「うぁ、はないだろ。こんな気持ちいいことされて」
美女は研崎の手をとって、強引に自分の胸をもませた。
研崎の手につたわってくるのは、巨大なマシュマロに触れるような心地よい感覚だった。
「ほ、ほんとに葛木先輩なんですか?!」
美女はぬめる唇にちろっと舌を這わせた。
それを見ただけで研崎の下半身がカッと熱くなってしまう。
「俺がこの“皮”に入るとこ、その目で見てただろ?」
「でも、まるで本物みたいじゃ……」
「頭の固い奴だなぁ。言ったろ、魔法が働いてるって。
この皮に人が入ってるあいだは、この女は本物の生きた女と変わらないんだって。中身が俺だっていうことを除けばな」
「先輩、俺、なんだか……」
「うふふ。先輩じゃ興醒めでしょ。栞って呼んで」
栞の手が、研崎の下半身のふくらみをファスナーの上から上下にさすった。
それだけで研崎は必死で何かをこらえるように目をつぶってしまう。
「いい反応。童貞なんだ?」
「う……」
「じゃま、栞ちゃんのあそこで筆下ろしといきましょうね〜」
ジーッ……
鼻唄まじりで栞がジッパーを下ろすと、すでにはちきれそうになっていた研崎のブレードがまろび出てきた。
「アハッ。元気いっぱいなの出てきたー!」
栞は研崎の前で両膝を床につき、研崎の青臭い欲望の象徴を、片手でそっと握った。
それだけで研崎がせつなさそうに眉を寄せた。
「栞に入ってると、不思議なことにこの匂いで頭がクラクラしちゃうんだよな」
舌なめずりをしたかと思うと、栞は一物に文字通りむしゃぶりついた。
ぬらぬらとした唇がぱっくりと亀頭を呑み込み、じゅぷじゅぷと卑猥な音を立てながらシャフトを前後に往復した。
研崎の息がどんどん荒くなっていく。
「先輩! 俺、もう、もう!」
「フフ……」
唾液とそれ以外の液の糸を引きながら栞の顔が研崎の股間から離れた。
研崎は何かに取り憑かれたような勢いで、栞を冷たい床に押し倒した。
「アン。乱暴ね」
「我慢が、俺もう、限界ですッ」
「いいぜ。思う存分犯して……きて、研崎クンv」
わずかに残ってた理性の糸はちぎれ、研崎は栞の裸体に覆い被さっていった。
高校生男子の持て余した性欲をすべてぶつけるように、猛って腰を打ちつけ始めた。


──数十分後。
三回連続で精を放った研崎は、仰向けで大の字になって激しい運動の直後のように(実際、そうなのだが)息をついていた。
「ったく、無茶苦茶ひとりよがりに腰振りまくりやがって……いつつ」
栞が顔をしかめながら起き上がった。
「す、すいません、俺夢中で……」
「ま、いいさ。自分の指でオナるより、よほどよかったからな。さて、そろそろ脱ぐとするか」
「それ、継ぎ目が見えなくなってるけど……どこから脱ぐんですか?」
「ヘヘ。よく見てみな。マ●コのとこから細い糸が出てるだろ」
研崎は床から見上げるようにして、恥じらいもなく広げられた栞の股間を見た。
たしかに糸が短く頭を出している。ただし言われないと気付きそうにもない、髪の毛ほどの細さの白い糸だ。
栞はその糸をつまんでクイッと引っ張った。
すうっ……
栞の瞳からゆっくり生気が失われて、虚ろな人形の目になっていった。
栞の背中にうっすらと筋が浮かび上がり、やがてそこから背中が割れた。
着ぐるみのように栞の体は背中でぱっくりと口を開き、まるで蛹を割って出る昆虫のように中から葛木朔也が出てきた。
葛木が完全に中から出てしまうと、ただの“皮”と化した栞は平べったくつぶれて床に転がっていた。
葛木は畳んであった学校の制服を手早く身に着けた。
「……研崎。いつまでフルチンでいるつもりだ。パンツくらいはけよ」
「うわっ、はい!」
研崎は床から跳ね起き、こそこそと葛木の視線から隠れるようにして制服を着込んだ。

薄暗い地質学教室に二人以外人の気配はない。
窓の外からは、放課後のグラウンドでサッカーに興じる生徒たちの姿が見えた。
「先輩の話、本当だったんですね……」
「やっぱ信じてなかったのか。ま、無理もないか。ほら、これ読んでみろ」
葛木は紙が茶色っぽく変色しかけてるノートを研崎に放って渡した。
表紙には“オカルト研究部日誌”と書き殴られているそのノートには、
かつて学校に在籍していたオカルト研究部の部員が親戚からいわくつきの“皮”を譲り受けられ、
それを部室に持ち込んだ経緯が記されていた。
この“皮”に誰かが入ると、皮の女そのものになれることを部員の誰かが発見した。
それ以来、男子部員しかいなかったオカルト研究部ではことあるごとに誰かがこの皮の中に入り、
高校生にあるまじき乱交会をこの部室で開いていたようだ。
隠語として彼らは“皮”の女のことを「栞ちゃん」と呼んでいた。
その後、オカルト研究部に新入生が入らず自然消滅した形になったとき、
他の備品ともどもこの“皮”の存在も忘れられていったらしい。ノートの最後の日付は、今から五年も前のものだった。
「これを葛木先輩が見つけたんですか?」
「そうだ。この教室の整理をやらされたとき、たまたまな」
ノートには、“皮”を使用する上での注意事項も記されていた。
皮の中に入って“栞”になったまま二十四時間以上を過ごしてしまうと、皮が完全に定着して脱げなくなってしまうというのだ。一度、オカルト研究部の部員が “栞”に入ったまま寝過ごしてしまって二〇時間以上を過ごしてしまったという。
そのときはすでに初期状態の癒着が始まっていて、 タイムリミット一時間前になんとか皮を脱げたものの、
その部員は皮膚がところどころ剥がれたりしてひどい目に遭ったと書いてある。

「いい女とやらしてくれるって、まさかこういうことだとは思わなかったですよ」
「いい女だったろ、栞ちゃんは?」
「でも……中身、先輩だったんですよね……」
それを聞いた葛木はニヤリと笑った。
「ホモった気分か? 割り切って考えろよ。エロ漫画だって男が描いてるんだぜ。
それに栞の中に入ると、そりゃあ気持ちいいんだぜ」
「気持ちいいって……」
「なんなら研崎、お前も入ってみろよ」
「え? でも……」
「興味あるだろ。女の体の感じ方ってやつ」
「…………」
ごくりっ、と研崎は大きく喉を鳴らした。興味あります、と顔に書いてあるようなものだった。
葛木は床に伸びている栞の皮に向かって顎をしゃくった。
「難しいことはないぜ。着ぐるみみたいに背中から入って手足や頭をフィットさせてきゃいいんだ。
背中側の開きは自然に閉じるようになってる」
「ち、ちょっとだけっスからね……」
研崎はおずおずとしなびた皮を拾い上げると、背中側の開口部を確かめた。
皮は平均的な身長の男子高校生が入るにはずいぶんと小さいように感じられたが、葛木は大丈夫だという。
裸になると、まず皮に片足を入れた。
皮の中はねっとりと肌に絡みついてくるような不思議な感触だった。不快感はない。
足はすぐ栞の足の爪先まで入った。サイズが合わなくてひっかかる部分もしばらくするとスッと通ってしまう。
続いてもう片方の足も皮の中に入れていった。
ぴったりと皮が足に張り付いて融合するような感覚があった。

“栞”の生々しい素足が研崎の目の下ですらりと伸びていた。
皮の中に入ってるはずなのに、ひんやりとまわりの空気を感じる。
思いきって研崎は上半身に皮をかぶった。
腕を通し、頭を入れた。皮は不思議な弾力をみせて研崎の体を受け入れてしまうと、
ぴたりと全身に張り付いた。完全に密着した部分から皮の張り付いた感覚が消え、
素肌そのものを空気に晒しているだけに感じられてくる。
研崎がまばたきすると、目の前に葛木がいた。
もう一度まばたきしてみる。
皮の中にいるはずなのに、研崎は違和感なくまばたきし、外を見ていた。
葛木の手がさしのべられ、研崎の胸のあたりで何かを持ち上げた。
むにゅうっ。
胸のやわらかい肉を持ち上げられるという、ありえない感覚が研崎の頭に流れ込んできた。
「うあああっ!」
慌てて発したその声は、さきほど耳にした“栞”の声そのものだった。
体をひねると、胸でたぷんっと乳がはねた。
とっさに背中に手を回すと、もはや皮の合わせ目はきれいさっぱり消えて、なめらかな肌が継ぎ目なく広がっていた。
「どうだ、栞になった気分は?」
「なんか、すごいヘンな気分です……」
「ははは。最初はそんなもんだ」
背が低くなっているせいで、葛木がやけに大きく感じられた。
皮に入ったことで研崎は栞のサイズに合わせて縮んでしまったようだ。
そもそも、いまの状態で“皮の中の研崎”が存在しているかも微妙だった。
肉付きのいい胸や尻が、少し身体を動かすたびにぷるんぷるんと揺れる。
「うわぁ、オッパイが重たい」
水の入った袋が二つ、胸にはりついてるようなものだった。
常に胸のつけねの皮膚が引っ張られたような状態になってる。
ふくらみを手で触るとゾクゾクとした。
触る快感とリンクして乳房に触れられる女の快感がピリピリと電気のように走った。
最初は腫れ物にさわるように身長に手で触っていたのに、だんだんと研崎は夢中で自分の胸をいじり出した。
どれだけ触っても、揉んでも、誰にも文句をいわれない自分だけの極上の乳房が一対、目の前に揺れているのだ。
性に飢えた高校生男子が夢中にならないはずがなかった。
「うはぁ……すげえいい……うくっ!」
たぷたぷと乳をもみまわしていた研崎は、調子に乗って強く掴みすぎてしまい、顔をしかめた。
しかしその痛みさえ、どこか甘ったるい感覚を伴っている。
手を放しても、そこらを歩き回るだけで胸がぷるんぷるんと揺れて、
痛いようなくすぐったいような、不思議な気持ちがしてくる。それは女の体ならではの感覚だった。
「巨乳アイドルの気持ちが分かるだろ。ほら、これ貸してやるよ」
葛木が差し出してくれたのは、小さな手鏡だった。
机の上に腰を下ろすと、研崎は震える手で鏡を股間の前に持ってきた。
そこにはうっすらとした茂みの奥のうす桃色の割れ目が映っている。
「はぁはぁ……」
自分の息が荒くなっていくのにも無頓着で研崎はそこをまさぐった。
指をVの字型にしてそこを左右に開くと、いままでの人生でモザイク入りでしか見たことのない女性器の構造が露わになった。
どこか海棲生物を思わせる鮮やかなピンクの粘膜。グロテスクではあるが、
同時に妖しい美しさを持った器官が、ひくひくとそこに息づいていた。
「すげぇ……!」
片手でラビアを広げつつ、もう片方の手でそこを探っていく。
割れ目の上端に位置する包皮にくるまった突端がクリトリスであることは知識の上では知っていた。
それを指の腹で転がすと、電流のように快感が迸った。
「うあああっ」
じわりと膣口から愛液がしみ出た。
それを指ですくいとってクリトリスを撫でると、気の遠くなるほどの甘痒い快感が生まれた。
夢中で研崎は指を動かした。男としてペニスを擦ってるより何倍もの快感が生じて、
しかもそれが身体全体に広がっていく。クリトリスだけを擦っていたはずなのに、
いつしか小刻みに震える胸の先端で乳首もすっかり固くしこりきっていた。
そこからもジンジンと甘い疼きを感じた。
「あっ、あっ、これすご……うひゃあああっ!」
「おいおい、完全に一人の世界に入ってるな。俺にも手伝わせてくれよ」
「ふぁ……?」
葛木が近づいてきて、ツンと尖っていた乳首を口に含んだ。
「ふああああんっ!」
それだけで研崎は身をよじり、甘い悲鳴をあげていた。
ちゅぱっ、ちゅぱっ……
「自分で弄る以上に、他人に愛撫されると感じやすいだろ?」
「ひゃああ……」
乳首を吸われると、背筋がぞくぞくとした。ペニスと同じくらい敏感な小さな突起が胸に二つもついているのだ。
それをかわるがわる口に含まれ、吸われた。連続する快感に、まともな言葉すら出てこない。
「ふぁ……あ?」
カチャッ。
研崎の手が背中側で冷たい手錠で拘束された。

どこからそんなものを、と考えて研崎はすぐに思い当たった。
オカルト研究部のノートには、乱交を重ねた部員たちが次第にエスカレートして、
通販で取り寄せた様々なアダルトグッズを密かに部室に持ち込み保管していたことが書かれていた。
葛木が持ち出したのは、そんな道具のひとつに違いなかった。
葛木がにっこりと笑う。
「自由にならないところを責められると、スゲェ感じるんだぜ」
「せ、先輩……やめて、くだ……」
「遠慮するな」
葛木は指でピンと研崎の──栞の乳首を弾いた。
「きゃうううっ」
すでに“栞”の感覚に支配されていた研崎は、本当の女のように怯えた声をあげた。
だが、葛木の言葉は真実だった。
手を自由に動かせない無力感が逆に、肉体の快感を増幅してしまう。
胸を鷲づかみにして搾られると、痛いはずなのに、それ以上に感じてしまった。
白い喉をさらけだして栞は快感にのけぞった。
「せっかくだ。女の快感を存分に味わっていきな」
葛木が屈むと、顔の高さがちょうど栞の股間と同じになった。
「や……ぁ……っ……」
かろうじて拒否の声をあげた栞だったが、手錠に拘束されていては抵抗らしい抵抗もできなかった。
熱い息が股間に当たった。
陰唇を無残に広げられ、外気に晒された粘膜に舌が触れてきた。
「く……うっ……!」
ぴちゃっ……
舌は最初だけ、遠慮がちに女の器官の「門」を叩いた。
すぐにその動きは情熱的になっていった。
ぴちゃぴちゃと入り口を何度も舐め上げたかと思うと、舌がそっと挿れられた。
「くぁぁぁぁぁ……!!」
栞はそれだけで全身を震わせ、拘束された手でむなしく空気を握りしめた。
つぷうっ……
熱く潤んだ柔肉の中に舌が入ってくる。わずか数センチにも満たないその侵入だったが、
栞が自らの体の内側を蹂躙する異物の存在を意識するには充分だった。
栞の中の研崎の意識はパニックを起こしていたが、栞の身体はとろとろと愛液を分泌させて異物を歓迎しようとしていた。
やがて舌が引き抜かれると、それは執拗にクリトリスを転がし始めた。
ぴちゃぴちゃと舐められるうちに、敏感な真珠粒を覆っていた包皮がめくれあがり、じかに舌がそこに触れた。
一瞬だけ舌が離れ、葛木の声が響いた。
「女のままイッちゃえよ──栞ちゃん」
ちゅぷっ、ぴちゃっ……
唾液と愛液の大量にまとわりつく舌に秘部を激しく愛撫されると、身体の奥から何かが溢れ出した。
舌に愛撫された場所だけでなく、全身に快感が駆けめぐり、脳を真っ白にそめあげた。
最後の一線を越えたとき、自然と足がつっぱり、体がぴくぴくと痙攣した。
何もかもを押し流ししてしまう圧倒的な女の快感に、栞は気が遠くなっていくのを感じた。
目の焦点を失いくたっと崩れ落ちた栞の姿を見て、葛木はなにごとかを呟いた──。

──腿のあたりに何か触れている。
栞の意識が、曖昧とした夢の世界から現実へと戻ってきた。
意識が途切れてからそんなに長い時間が経っていないようだった。
その証拠にまだ下半身を中心にイッてしまったときの熱が残っている。
何度か深呼吸するうちに目の焦点が合ってきた。
不意に目に飛び込んできたのは、黒っぽいパンツのようなものだった。
意識がなかったあいだに葛木によって半ばまでそれをはかされていた。
よく見るとそれは革製で金具のついた、まがまがしい代物だった。SMプレイ用の特殊な貞操帯だ。
なにより特殊なのは、股布にあたる部分からにょっきりと生えた黒い張り型だった。
それを穿かされるということはすなわち、張り型を挿れられるということである。
「なにをするんですか!」
栞は貞操帯をおろそうとしたが、両手は相変わらず拘束されていた。
栞が抵抗できないのをいいことに葛木はぐいぐいと貞操帯を引っ張りあげた。
「ほら、立てよ」
葛木に背中を押され、無理やり机から下ろされた。
すとん、と床に足がつくと同時に貞操帯が股間の直前にまで上がっていた。
黒光りする張り型の先端が、栞の秘所に押し当てられていた。
「こんなの入るわけないっ……!」
「くく……そうか?」
ぐっ。葛木が力を込めると、貞操帯が突き上げられ、張り型の先端が柔肉に突き刺さった。
「はぁぁぁぁぁっ……」
「ほら、ほら」
ぐっ、ぐっ。葛木が貞操帯の底の部分を押し上げるたび、樹脂でできた疑似ペニスが栞の中に侵入してきた。
少しでもその乱暴な挿入から逃れようと栞は無意識のうちに爪先立ちになっていた。
そんな無駄なあがきを葛木はあざ笑い、ひときわもったいをつけて最後の一突きをした。
ズブゥッ……!
疑似ペニスはその根もとまで栞の中に挿入された。
ヴァギナの奥深くまで張り型を埋められ、栞は引き裂かれるような痛みと、
なにより無理やり挿入をされた嫌悪感とで気が遠くなりそうだった。
太い杭で串刺しにされたかのような圧迫感、異物感で抗議は声にならず口をぱくぱくさせることしかできなかった。
葛木が貞操帯のストラップを腰にきつく巻いて金具を合わせるとカチリと音がした。
貞操帯は完全に固定されてしまったのだ。
栞はなんとか貞操帯をずりおろそうと腰をひねったり足をすりあわせたりしたが、
そのたび挿入されたディルドーがヴァギナの奥で肉襞とこすれてその存在を自己主張してくる。
ロックされた貞操帯はしっかりと腰に食い込んでいた。
「……鍵はあとで外してやるよ」
「後でって、そんな先輩!」
「しばらく一人にさせてやるから。ゆっくり女の体を堪能しな」
ひらひらと手を振ると、葛木は部屋を出て行こうとした。
よろめきながら栞は追いすがろうとした。
そのときだった。
葛木がポケットから出したリモコンを栞に向けてスイッチを押すと、
栞の中に挿入されたディルドーが突如生命を得たように震えだした。
「うあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛」
思いもよらなかった乱暴な快感に貫かれ、栞はそれ以上一歩も動けず、くたくたとその場に膝を屈してしまった。
「じゃあな、栞。明日俺のとこにきたら鍵のこと、考えてやるぜ」
「あ゛あ゛あ゛……」

深く挿入されたバイブの振動に抗す術もなく、栞は狂ったように身をよじった。
葛木が廊下で出て教室の戸をぴしゃりと閉めていった音が、はるか遠くのものに聞こえた。
暴れ回るバイブをすぐにでも引き抜きたいのに、栞の手は体の後ろで繋がれていた。
逃れようもなく暴力的な快感が栞の肉体を犯す。
栞が無力感を意識するたびに全身が被虐の悦びを感じて敏感になっていくようだった。
(こんな道具で無理やりイカされるのは嫌だァァ──!)
その心の叫びとほぼ同時に栞はエクスタシーの波に呑まれていた。
嫌だ、と身をよじると、無様なほどに大きな乳房がブルンと揺れて栞を嘲笑うかのようだった。
女の肉体は一度絶頂に達したくらいでは、快感が引いていったりしないかった。
バイブは容赦なく動き続けている。時折振動が弱くなったり強くなったりするが、休まずに栞の秘奥を責め続ける。
達した直後の敏感になった体にバイブの振動が浸透していく。
あっというまに栞は二度目のエクスタシーを迎えていた。
ヴヴヴヴヴ……
無機質な振動音が低く続く。
栞は冷たい床の上でエビのように何度も身をくねらせて秘所へ加え続けられる責めから少しでも逃れようと虚しい努力を続けた。もがくうちに乳首が床とこすれ ると、それだけで甘い声が漏れてしまった。
そして三度目の絶頂──。
「はぁ……はぁ……」
エクスタシーの大波が去るのを待って、栞はよろよろと立ち上がった。
近くの机に小さな鍵が残されていたのを栞は見つけた。
貞操帯ではなく、手錠の鍵のようだった。
拘束された手で四苦八苦してそれを拾うと、何度か試行錯誤してようやく手錠を外すことができた。
それをしている間にも、無情にバイブは栞の中で唸り続けている。
自由になった両手で栞は貞操帯を外そうとした。
だが、きつく腰に食い込んだ貞操帯はびくともしなかった。
栞は──研崎は──“皮”を脱ごうとした。
皮を着たときの背中の合わせ目を開こうと、狂ったように背中をかきむしった。
しかし背中の皮膚に爪を突き立てればそこがヒリヒリと痛むだけで、合わせ目の形跡すら見つけることはできなかった。
なんとか“栞”を脱ごうとしても乳房を掴み引っ張っても、その行為で胸に痺れるように快感が生まれただけだった。
葛木が“栞”を脱いだときは、ヴァギナから出ていた細い糸を引っ張っていた。
皮を脱ぐにはどうしてもあの糸を引っ張る必要があるのだ。
だが──。
股間にぴったりと食い込む貞操帯の存在に栞は絶望的な気持ちになった。
手を触れるとディルドーの震動が漏れ伝わってくる。
これを着けられている限り、糸を引っ張ることなど物理的に不可能だ。
「どうしよう……」
教室の中をあちこちひっくり返していくとハサミが見つかった。
栞はそれで貞操帯の布を切り裂こうとしたが、ハサミの刃は固い手応えとともに途中で止められてしまった。
見た目は革の貞操帯だが、中に薄い鉄板が入っていて、切断できなくなっている。
「先輩、これって冗談なんでしょ? そこにいるんでしょ?」
栞は廊下に向かって弱々しく声を出したが、返事はついになかった。
ヴヴヴヴヴ……
栞の心をよそに体はまたも感じつつあった。体が昂奮するに従って乳房の先端で揺れる乳首がきりりと固くなっていく。
「くううう……こ、こんなの……くぅあああああァァァ」
貞操帯の上から股間を押さえ、栞は弓なりに体を反らした。
怒濤のような快感だった。
四度目のエクスタシーから回復したとき、栞ははっきりと悟った。
葛木は、本気で栞を置いていってしまったのだと。
もはや栞は自力でこの状況をなんとかしなければいけないのだ。
股間でいやらしく震え、蠢き続けるバイブの動きをなるべく意識しまいとしながら栞は制服を身に着けた。
窓に反射した己の姿を見て、栞はため息をついた。
男子制服は、いまの栞の体形にはあまりにも無理があった。
まずサイズがまったく合っていない上、ふくらんだ胸と尻は隠しようもなかった。
どんなに目の悪い者が見たとしても、男装している少女としか見てくれないだろう。
栞はその姿で外へ出て行くことをあきらめた。誰かに呼び止められ、
身元を聞かれたりあまつさえ股間で震動する貞操帯を不審に思われたりしたら、何をどう説明していいのか見当もつかない。
かといって、いつまでも裸でこの教室にいるわけにはいかない。
そうなると残る手だてはひとつしかなかった。
先ほどハサミを見つけたとき、オカルト研究部の使っていたと思われる引き出しの中に、
女子用の制服の上下があった。栞はそれを引っ張り出すと、羞恥に顔を真っ赤にしながらブラウスとスカートを身に着けた。
尖って固くなった乳首の形がブラウスにはっきりと浮き出ていたが、
その上からブレザーを着るとなんとか誤魔化すことができた。スカートの下は貞操帯だったが、
よほど下から覗き込まれない限り貞操帯を見られる心配はなさそうだった。
外はそろそろ陽が落ちて暗くなりつつあった。
窓ガラスに映った姿は、まぎれもなく美少女だった。

葛木の家の前についたとき、栞はぜえぜえと息を切らせていた。
挿入されたままのバイブを少しでも感じないように小股で歩かざるをえなかったのだ。
おまけに階段や段差を上り下りするたびにブラジャーに支えられていない胸が縦に揺れて痛かった。
慣れてない体で外を歩くのがどれほど苦痛か、嫌というほど味あわされた。
栞がチャイムを押すと、中から若い女が出てきた。葛木の姉だった。
「朔也のガールフレンド? あいつは用事があるとかで出かけていったわよ。今日は誰かの家に泊まってくるらしいけど」
「誰? 誰の家に泊まるって?」
「そこまでは聞いてないわね。朔也が帰ってきたらきつく言っておくわ。
可愛いガールフレンド法っておいてフラフラ遊びにいくなってね」
葛木の姉は茶目っ気たっぷりにウィンクをしてから引き上げていった。
栞は彼女の誤解をとこうという気力すらなく、自分の家に向かった。
研崎家に人の気配がないのは、いまの栞にとってはせめてもの救いだった。
黙って鍵を開けて家に入り込むと、栞は自分の部屋へ向かった。
ベッドの上にうつぶせに倒れると、それまでこらえていた分、一気に快感の波が押し寄せた。
ベッドの上でたえだえの甘い喘ぎ声をもらし、栞はイッてしまった。
その余韻もさめやらぬうちに携帯に着信があった。
「……はい」
携帯に女の声で出てしまって、しまったと思った。
幸か不幸か、電話をかけてきた相手は葛木だった。
がやがやと人の声がうるさい繁華街のようなところから電話をかけているらしい。
「その声の様子だと、ちょうどイッたとこかな。ハハ」
「先輩! いまどこですか? 鍵を渡してください!」
「そう急くなって。今夜はひと晩、栞の中にいろよ」
「そんな!」
プッ。一方的に通話は切られた。着信元は通知されていなかった。
(そんな……)
その晩、栞は眠れない夜を過ごした。甘美な責め苦の続く煉獄の時間だった。
何度力任せに貞操帯を外そうとしたことか。男の力でも恐らくはビクともしないだろうそれが、
“栞”の非力な腕力でどうこうできるはずもなかった。
体の内部で蠢くバイブにもたらされる快感は止めようがなかった。
為す術もなく、無理やり女のエクスタシーへと導かれた。何度も、何度も。
明け方になってようやくその甘美な責めから栞は解放された。
バイブに内蔵された電池が切れ、震動が止まったのだ。
栞はベッドの上でくずおれ、泥のような眠りに落ちた。

次に目が覚めたとき、時計の針を見て栞はゾッとした。
もう昼過ぎになっていた。学校では昼休みの時間が終わる頃だ。
胸で揺れているふくらみが、股間に食い込んだ貞操帯の感触が、これは夢ではないと告げている。
──二十四時間を過ぎると、皮を脱げなくなる。
冷や汗が額をつたい、心臓がばくばくいった。
タイムリミットまであと四時間と少々しかない。
栞はベッドの横に脱ぎ捨てられていた女物の制服に目を落とした。
今頃、葛木は学校にいるはずだ。
栞は嫌悪感を押し殺して、もう一度女子の制服を身に着けていった。
学校に着いたときは、午後の授業前の予鈴が鳴っていた。
葛木のいる三年の教室へと走った。胸が揺れるのにも構っていられなかった。
──たとえすれ違う男子生徒が目を丸くしてその揺れを鑑賞していても。

葛木はクラスで友人たちと平然として談笑していた。
「──葛木先輩!」
栞は詰め寄った。
「よう、巨乳の栞ちゃん。その制服、似合ってるぜ」
「なんでこんな非道いことを!」
「非道い? おやおや。その割りには……愛液……の甘い匂いがプンプンしてるぜ。一晩中、よがりまくってたんだろ?」
愛液、の部分だけ声を落として葛木は言った。
栞は顔を真っ赤にして反論しようとしたが、そのとき教室に教師が入ってきた。
「ほら、怪しまれるだろ。話は放課後聞いてやるよ」
「く……」
栞はきっと葛木を睨みつけると、廊下へ出て行った。
(どうしよう……)
栞はため息をつく。
自分のクラスへ入ってもこんな姿では、怪しまれるばかりだ。
結局、午後の授業の時間を、栞はずっと地学教室で過ごした。学内で使用されていない特殊教室はほかになかったのだ。
午後の授業時間が終了すると同時に栞は葛木の教室前へと駆けつけた。
短いクラス会が終わり、教室からぞろぞろと人が出てくるのと入れ違いに教室へ乗り込んだ。
葛木は窓際の席で、のんびりと窓の外の景色を眺めていた。
──タイムリミットまであと一時間!
栞は葛木に近づいていって、机を叩いた。
「葛木先輩!」
「ああ。どうした、怖い顔して」
くるりと振り向き、ぬけぬけと葛木は言った。
怒りをぶつけようとしたとき、ひょいと葛木の手が伸びて栞の豊かな胸を搾った。
「あうっ!」
「ノーブラかよ。その巨乳じゃ肩凝るだろ」
「や、やめっ……」
「俺も栞の中に入って一日過ごしたことがあるから、よくわかるぜ」
葛木の手が離れていくのと同時に複数の人の気配を感じて栞は振り向いた。
ピシャッ。
教室の戸が閉められ、モップの柄でつっかえ棒がされた。
五、六人の男子生徒がへらへらと笑いながら栞のほうを見ていた。
「葛木。お前の言ってたヤラセてくれる巨乳の娘ってこいつ?」
「ああ。ちょっと気の強いとこがあるけど、なんでも言うこときいてくれるぜ」
「へえ……そりゃあ楽しみだな」
「な……」
栞は説明を求めるように葛木を睨みつけた。
「俺の友達。みんなヤリたい盛りでさ。栞ちゃんに面倒見てもらおうって話になって」
「ふざけるな!」
栞が怒鳴るのに構わず、男子生徒たちは教室の窓にもカーテンを引き、中央に椅子を集めてそこに座った。
「鍵を出してくれ。もう時間が!」
「鍵、ねえ。何の鍵?」
うすらとぼけて葛木は尋ねた。
「こ……これのだよ!」
栞はスカートの上から自分の腰のあたりを指した。
「うん。色っぽい腰つきがどうかした? はっきり見せてもらわないと俺には何がなんだか」
「くそ……」
栞はいたぶられていると知りつつ、ほかにどうしようもなくスカートの前を掴み、
胸元までまくって貞操帯を着けられた股間を露出させた。
「これの鍵だよ。これでいいだろ!」
栞のその姿を見て、男子生徒のあいだからピーピーと囃し立てる口笛が飛んだ。
「栞ちゃん。その前に、そこの飢えた男どもにフェラしてやってくれ」
「──はァ?」
「フェラだよ。フェラチオ。チ●コをちゅぱちゅぱしてやって、ザーメンを飲んでやってくれ」
「なんで俺が!」
「嫌ならいいんだぜ。ただ貞操帯の鍵はトイレにでも流すことになりそうだけど」
「く……」
栞はぎりぎりと歯噛みした。
貞操帯を着けられ、いまにもタイムリミットを迎えようとしている以上、完全に主導権を握っているのは葛木のほうなのだ。
栞に断るという選択肢は有り得ない。
そう知った上で、葛木は栞の背中を押し、集まった男たちの端へと導いた。
「全員を満足させたら鍵をやるぜ」
「……本当だな?」
栞は可愛らしい声を精一杯低くして凄んだ。
葛木は時計を指さした。
「あんまり時間の余裕ないぜ。頑張ってフェラしないとな」
「俺は……あんたを許さないからな」
葛木は無言でひょいと肩をすくめた。
「ハイハイ、栞ちゃん。葛木とのおしゃべりはそのへんで」
男たちがよってたかって栞の肩を押した。その圧力に屈し、栞はひざまずいたような格好をとらされてしまった。
「最初は俺だ」
椅子に腰掛けていた男はすでにスラックスとパンツを下ろしていた。
仮性包茎のペニスが栞の目の前にあった。
(これをしゃぶる……?)
思わず顔をそむけてしまった栞の頬に皮をかぶったペニスの先端が押しつけられた。
「早くしてくれよう」
「ひっ!」
栞の頬に押し当てられたまま、むくむくとペニスが硬度を得ていくのが感じられた。
「早くしないと間に合わないぜ。あと……一人あたり一〇分で終わらせることだ。ぐずぐずしてると危ないぜ?」
葛木の言葉が重くのしかかってくる。
(時間を過ぎたら……一生このままの姿? い、いやだ、それだけは!)
栞はゆっくりと顔を向けると、むせびそうな臭いのするペニスに口を近づけた。
パッ、パッと携帯の写真機能でフラッシュが焚かれた。
「栞ちゃん──この栞ちゃんの記念すべき初フェラだ」
栞は震えながらペニスを口に含んだ。
口のなかでペニスがさらにふくれあがり、仮性包茎の皮が自然とまくれあがった。苦く酸っぱいものは恥垢だった。
口の中を埋め尽くしたペニスに申し訳ばかり何度か舌をつけた。
「うお……」
ペニスの持ち主が腰を浮かした。
「ぷはっ!」
栞はペニスを口から吐き出し、顔をあげた。
「これでいいだろ」
「はぁ?」
それまで気持ちよさそうに目を細めていた男が栞の髪を引っ張った。
「い、痛い!」
「勝手に終わらすなよ。俺がイッて満足するまでがフェラだぜ」
男は乱暴に栞の股間を蹴り上げた。
「ひぎっ!」
貞操帯から生えたバイブを通じて蹴られた衝撃が体内にまで響いた。
男の暴力に対して、悲しいまでに非力になっていることを栞はようやく自覚しつつあった。
「わ、わかったから……」
「じゃあ、早く続き始めろよ」
髪を引っ張られて無理やりペニスに顔を近づけられた栞は、もう一度それを口に含んだ。
「そうだ。絶対に歯を立てたりするなよ」
(とにかく早く出させて終わりにするんだ……!)
栞は、AVで見たフェラの映像を思い出し、必死でそれを真似した。
唇をすぼめて男のモノをきゅうきゅうと締め付けながら口の奥深くまで頬張る。
そこをまた一斉に写真に撮られた。
口の中一杯に頬張ったシャフトへ舌を這わせると、男がぴくりと反応した。
どうすれば男が感じるかは、栞が男として知り抜いてることだった。その知識に従って、眼前の男に奉仕をした。
顔を前後に揺するようにしてペニスを唇でしごいていると、その前後の動きに合わせて滑稽なほど胸がたぷたぷと揺れた。
男はその揺れている胸を掴み、気持ちよさそうにこね回した。
跪いてフェラをしながら胸まで弄ばれる情けなさに涙が出そうになった。
「もう少し色っぽくしないと射精してもらえないぞ」
「そうだ、もっとケツ振れよ。メス犬みたくな」
言われるまま、栞は尻を振った。
最初にペニスを頬張ってから一〇分は過ぎていた。この調子だと時間をオーバーしてしまうのだ。
どんな屈辱的なことであっても、それで男の射精が早くなるなら、従わないわけにはいかなかった。
しばらくして、男が短く唸った。
「……で……出るッ!」
びゅるるっ!
栞の口の中でペニスが弾けた。
その瞬間、稲妻のような快感に襲われ、栞は体を強ばらせた。
「ふ……うう……ああああっ」
はしたないよがり声が自然と出ていた。
「おっと、言い忘れてた。その栞の体はな、上か下の口で射精されると同時にイクようになってるんだ。便利な体だろ?」
葛木の言葉を聞きながら栞は望んでもいないエクスタシーを味わっていた。
栞の口が半開きになり、そこからポタポタと白濁液が床に落ちた。
「ザーメン全部飲まないと罰ゲームだぜぇ」
「ま、待って!」
「待てねぇよ。罰ゲームはそうだな……よし、そのでかいオッパイを取りだして、そいつで吐き出したザーメンを拭くんだな」
「ううう……」
栞にはそれを拒否することは許されていないのだった。
唯々諾々とブラウスのボタンを外し、乳房を床へと近づけた。
豊かな乳房を床に押しつけて汚れを拭き取る姿に人間としての尊厳はかけらもなかった。
「OK。最後に後始末」
と男はやわらかくなりつつあるペニスを示した。栞は先端部を舌でなぞって残り汁をすくい取った。
ところが、そうしているうちに男のペニスは次第に硬度を取り戻していく。
「ヤベ、また勃っちまったよ。責任とって栞ちゃん、もう一発抜いてくれよな」
「そ、そんなぁ!」
抗議するのをあきらめ、栞は大人しくもう一度フェラを始めた。
二度目に男がイクまで、五分ほどかかった。
「次は俺だ」
と肥った男が鼻息を荒くした。
(──時間が!)
夢中で栞は男のモノにむしゃぶりついた。
比較的短小といえるそれを根もとまでくわえこみ、またカリの部分まで引き抜く。それを何度も繰り返した。
男が視覚でも昂奮するようあえて露出した胸を揺らし、尻を振った。
「うひょぉぉ、気持ちイイ!」
栞の頭を掴み、何度も腰を打ちつけるようにして肥った男は射精した。
あっと思ったときにはすでに栞も強制的なエクスタシーを迎えていた。
生臭い精液が喉を下りていくのを感じながら、ひくんひくんと腿をわななかせた。
その次に栞が相手をした眼鏡の男は、遅漏だった。
どれほど栞が痴態をさらけ出してペニスをしゃぶっても一向に放出する気配がなかった。
「もっといろいろ、スゴイサービスをしてくれよ」
男は栞の乳首をころころと転がしながら言った。
早く射精させる。その一心で栞は喉の奥までペニスをディープスロートした。そればかりでない。
口での奉仕に加え、手で男の陰嚢をやさしく愛撫し、果ては湿らせた指の先をアヌスに差し入れるまでした。
「うおっ!」
と吠えて眼鏡の男は細面に似合わない大量のねばつくザーメンを放った。
まるでザーメンの量に比例するかのように栞もまた深く長いエクスタシーに投げ込まれ、身をよじった。
こうして栞は順番にすべての男たちの相手をしていった。
最後の男が口の中に精を放ったとき、タイムリミットまでの残り時間は五分をきっていた。
「鍵を!」
「まだ俺の相手が残ってる……と言いたいところだが、俺はこいつらほど溜まってなくてな。
そう簡単には射精できそうもない。そこでだ。研崎、いや栞。
代わりにお前がみんなの前でオナニーしてイッたら鍵を渡してやる」
「嫌だと言っても許してくれないんでしょう?」
「そういうこと♪」
嗜虐的な笑いを浮かべ、葛木は何事かを栞の耳に囁いた。
栞は教室の中央に戻ると、顔を朱に染めそっぽを向きながら言った。
「みんな……栞のイヤらしい一人エッチ……じっくりと、見ていって、ください……」
葛木に強要された台詞だった。
そして栞は絶望的な自慰を強いられた。
股間に手を這わせようにも貞操帯に阻まれて、秘部に触れられない。またそのための貞操帯でもある。
栞は腰をくねらせ、もじもじと内腿をすり合わせた。
そうすることで挿れられているディルドーの形をヴァギナの内部に感じることができた。
じわじわと、ほんの少しずつ体が熱っぽくなっていく。ひどくもどかしいオナニーだった。
「ああん、アア……」
下半身に愛撫を加えられない分、狂ったように胸を揉み、しごいた。
乳房を腕で持ち上げ野苺のように赤くなった乳首を口に含むと、ペニスを撫でたほどの強い快感がほとばしった。
「うひょお、イヤラシイ」
「こいつ、マジもんの淫乱女?」
ギャラリーから無責任な野次が飛び交ったが、それはかえって栞の体を熱くした。
(もう少し……あともう少し……)
栞は哀れなほど必死で腰をうごめかし、胸を激しく揉んだ。
「あと、三〇秒──」
葛木の声が冷酷に告げた。
(ああ……間に合わない……)
そのときだった。
栞の頭上に男たちが寄ってきてずらりと立ち並んだ。
栞の淫らな自慰の様子に男たちのペニスはすっかり固くなって脈を浮かせていた。男たちは一斉にそれをしごいた。
「え、あ……」
ビュッ、ビュビュッ!
白濁液が放物線を描いて栞の口に注がれた。
「ア────ッッ!」
あれほど栞が苦労しても達することができなかったのに、男たちのザーメンを口に注がれた途端、栞の体は自動的にイッていた。
弓なりに体がそりかえり、ディルドーを挿入されたままの女の部分がひくひくと収縮を繰り返した。
チャリンッ──。
絶頂で意識が飛びかかっていた栞の耳元で金属音がした。
「鍵!」
栞はがばっと起きあがり、それを拾った。

時間はほぼぎりぎりだった。
真鍮の鍵をつまんで貞操帯の鍵穴にそれを突っ込んだ。
カチリ、と錠の外れる音がして、貞操帯を固定していたバンドが緩んだ。
栞は両手を貞操帯の縁にあてがってそれを下ろしていった。
ズルルッ……
ねめる大量の粘液に包まれてディルドーが引き出された。
「くふぅっ……」
敏感な柔肉をディルドーの雁首にこすられ喘ぐ。
深呼吸をして一気にそれを引き抜いた。
栞は一日ぶりに外した貞操帯を投げ捨てると、その場で恥じらいもなく股を広げて座り込んだ。
ラビアを押し開き、膣口から出ているはずの糸を探した。
たっぷり時計の秒針がひと回りするほどの時間、栞はその姿勢で“糸”を探し続けていた。
「──ない。ない。ない!」
栞の悲痛な叫びが教室に響いた。
「そんな……ぎりぎり時間内だったのに!」
「あー、そのことだが」
と、葛木が進み出てきて栞の肩にぽんと手を乗せた。
ことのついでのように乳を揉み回しながら葛木は言った。
「そう言えばきのう、地学教室の時計、一時間ほど進めてたんだよな」
「そ……んな……」
とうに、タイムリミットの時間は過ぎていたのだ。
栞の目が焦点を結ばなくなっていった。
絶望のあまり、動く気力すらなくなっていた。
「なんか知らんけど貞操帯もとれたし、第2ラウンドいっとく?」
「いっとくべ」
栞は手を掴まれて引き起こされた。
机の上に仰向けに寝かされ、股を開かされた。
すぐに無防備なヴァギナへ誰かのペニスが突っ込まれた。
もはや、痛いとも感じなかった。
ただ盛りのついた犬同然の男たちに慰みものにされていることがひたすら悔しかった。
悔しくても、栞の体はそのガツガツとしたピストン運動を快感と感じていた。
遠慮会釈もなく胎内で射精されたとき、栞は強烈なエクスタシーに貫かれ、
意思に反して自分を犯す男の腰を脚できつく挟んでいた。深く挿入された体勢で、たっぷりとザーメンを中に注ぎ込まれた。
その瞬間、栞は自分の将来を悟った。──一生、こうして生きていくほかないのだと。
果てた男に代わって栞を抱いたのは葛木だった。
葛木に精を注ぎ込まれるとき、栞は強制的にイカされながら葛木の腕に爪を立てた。

──この日を境に研崎一真という男子生徒は学園から、いや、町から姿を消した。
代わりに、巨乳の家出少女が一部男子生徒たちの家を転々として泊まり歩いてるという噂が流れた。
だがその噂もやがて聞かれなくなった。

そして数年後。
葛木は会社の帰りにある店を尋ねた。
狭苦しい個室でしばらく待たされた後、目当ての人物が戸を叩いて入ってきた。
その女は胸の谷間を見せつけるような扇情的なワンピースを着て濃い化粧もしていたが、たしかに栞だった。
「久しぶりだな。あれから、随分と探したんだぜ。今じゃ店のナンバーワンなんだってな?」
「わたしも聞いてるわ。大学を出て、いまじゃ外務省キャリアですってね」
「すっかり女言葉が板についてるな」
「おかげさまで。この五年間、女を売る仕事をしてきたんだもの」
着ている物を無造作に脱ぎ捨てながら、栞は言った。
栞の胸は形の良さを失わないまま、そのふくよかさを増していた。
葛木がその胸に唇を這わせると、栞は鼻にかかった甘い声を出した。
「中身もすっかり女になったか?」
「……いまでもときどき背中の合わせ目がないか探ってて、同棲してる娘に不思議がられてるわ」
「そうか。俺のことはまだ恨んでるんだな?」
「ええ。そのチン●切り取って死体の口に詰めてやりたいくらい」
「やってみるか?」
「そうね。いつの日か男に戻れたら、そうしてやるわ……んっ」
栞の口は葛木の唇で塞がれ、そのまま栞は押し倒された。
殺したいほど憎い男に貫かれながら、栞はどうしようもなく感じてしまった。

二度精を放たれ、二度目の絶頂で栞の意識は飛んだ。
目が覚めたときテーブルの上に高価そうなイヤリングが小箱に入れられて残されていた。
葛木にとってはチップ代わりなのだろう。
葛木への隷属の証にも似たそのイヤリングを明日からつけて店に出勤する自分の姿が容易に想像できる栞だった。
栞の胸のうちでたとえようもない空虚が広がった。
あの日から、ずっと感じてきた空虚だった。
この空虚な気持ちが体全体まで広がったとき、自分は“皮”になるのかも
しれないと栞は思った。

(完)


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