俺は面白いモノを手に入れた。
それはスタンガンのような形をしているが、全く違うものだ。
俺は単に『銃』と呼んでいるが、正しくは『霊体衝撃開放機』と呼ぶらしい。

たとえば、夜の公園に出かけるとしよう。
暗がりの中でいちゃついているカップルがいる。
俺が『銃』を手に近づいても、一向に気が付く事はない。
抱き合っている野郎の後頭部に『銃』を突き付け、スイッチを入れた。

男も女も動かなくなる。

俺は木陰に隠れて二人の様子を窺う。
もちろん、霊体を吹き飛ばされた男はもう動く筈もない。
やがて女の方が目覚める。
が、この女はさっきまでの女ではない。
その内側には吹き飛ばされた男の霊体が入り込んでいるのだ。
霊体となった男が気が付くと、女を抱いていた筈が男に抱かれている。
そんな状況を俺は覗き見る。

意識を取り戻した女が周囲の状況に気が付く。
「え? オレ?」
女が男言葉で喋っている。
気を失っている男の腕を振りほどく。
自分の元の肉体がベンチから転げ落ちるのも気付かずに、自分の身体を確かめている。
胸に手を充てている。
指先に力が入っている。
肩に掛かる髪の毛に触れる。
マニキュアを塗った指先を見る。
左右を見渡し、だれも見ていないのを確認すると、女はスカートの中に手を入れた。
「な、ない…」
女の口から溜息が漏れる。
呆けたように、女はそのままの姿で固まっていた。
俺は女にされた男の行動がワンパターンであるのを知りつつも、
その驚きの表情とほんの僅かではあるが期待のこもった瞳の妖しげな輝きに魅せられ、幾度となく夜の公園に足を運ぶのだ。

もちろん、只見ているだけではつまらない時もある。
辺りに誰もいなければ、呆けた女の前に出て行きそのままレイプする事もある。
女の肉体は充分に男を知っており、さっきまでその気充分でいたのだ。
中の男がいかに拒絶しようとも、女の肉体が俺を欲するのだ。
俺が弄んでやると、女の肉体は歓喜に身をくねらせる。
男の意識が女の快感に染め上げられてゆく。
女の喉から喘ぎ声が漏れだす。
女が俺を締めつける。
腰が揺れる。
俺は限界まで責め続けた。
男の意識が徐々に砕けてゆく。
女は嬌声を上げ始める。
「あっ、あぁ、あぁん!!」
俺が女の中に精液をぶちまけると、
「あ〜〜〜〜〜〜っ♪」
女の中の男は女としてイっていた。

俺は何事もなかったかのようにその場を立ち去る。
そして、再び目覚めた女の中の男がどのような反応を示すかを想像しながら今夜も長い夜を過ごすのだ。

−了−


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