午前7時40分、乗車率120%のラッシュアワーの山手線。
 スシ詰め状態のサラリーマン達、苦悶の表情でじっとこの時間が過ぎるのを我慢している。
 そんな中で一人だけ、この時間を楽しんでいる男がいた。
 男は前にいる小柄なOL風の女性の尻を撫で回していた。
 丸い尻の感触をひとしきり楽しんだ後、少し身を屈めてストッキングの上から太ももに手を伸ばす。
 女の肩がビクッと震える。
 男はそんな女の反応に、ニンマリ口を歪めながら太ももの感触を楽しむ。
 痴漢に会うのは始めてなのか、さっきから女は反抗らしい反抗をしない。じっと耐えてるようだ。
 (今日はゆっくり楽しめそうだ。)
 男は女が反抗しないのを見ると、そのまま手を上の方に上げていき大胆にもそのまま秘部をさすり始めた。
 男は股間が熱くなるのを感じた。
 女は秘部をさすられるのに耐えられなくなったのか、ゆっくり後ろを振り向いた。
 男は女がどんな表情をしてるのか見たくて、女の顔を覗き込む。
 しかし、女の顔を見た途端、男の手の動きが止まった。
 おかしい。
 普通痴漢をされてる女が、痴漢してる男を見るときには、止めてくださいというような哀願するような表情をするか、
または軽蔑しきったバカにしたような汚い物を見るような表情をするかどっちかなのだ。
 がしかし、その女はなぜかうっすらと笑い勝ち誇ったような表情で男を見上げていた。
 何かがおかしい、頭の中で警鈴がなる。
 するとその時、突然万力のような力で男は右手首を掴まれた。
 耳元に誰かが顔を寄せてささやいた。
「鉄道警察です、次の駅で降りて下さい」
 女は囮だったのだ。

  ◇◆◇

 新宿駅の鉄道警察詰め所の中の取調室。
 男はそのまま身柄を拘束されて、ここまで連れてこられた。
 男の名前は小泉純二。今年35歳になる中肉中背のどこにでもいそうな感じのサラリーマンに見える。
 がしかし、彼には裏の顔があった。
 実に痴漢暦20年。初めて痴漢したのは高校1年の時だった。
 始めて痴漢した相手はやはりOLだった(純二はかなりのOLフェチ、タイトスカート大好き)。ムチムチの太ももとま〜るい尻をじっと

見ていたら、気づいたら触っていたのだ。
 本能のままの行動だった、がしかしたまたまその時のOLさんが抵抗をしなかったので、彼は人生初の女体を触りまくり至福の15分を過

ごしたのだった(この時はまだ童貞だった)。
 この日から彼の痴漢人生が始まった。
 純二は毎日痴漢をした。たまたま学校が電車通学だったので毎日だ。
 そして研究もかなりした、どうやったらバレないか。
 どの位置が痴漢しやすいか、どんな女が痴漢しやすいか、どうやったら喜ばせられるか、痴漢を取り締まる法律も勉強した。
 世界でも痴漢の多さでは群を抜く日本。その原因は法律にあると知る。
 罰がたいして重くないのだ。罪を認め罰金さえ払えばいいのだ。
 が、それと同時に痴漢の怖さも知った。
 少しでも社会で地位や責任がある人(警察官、教師、有名人)だと、痴漢一つで社会的に抹殺される。
 例え本当に痴漢していなくても、電車の中で女性に「この人痴漢です!!」などと言われれば終わってしまうのだ。怖い怖い。
 痴漢に人生を捧げる事を決めていた純二は、高校を出るとすぐに痴漢が一番しやすい埼京線沿いに就職する。
 もちろん結婚はしない事に決めていた。もし痴漢で捕まった時に妻子供に迷惑がかかるからだ。
 パソコンが普及すると、純二はさっそくサイトを立ち上げる。その名も痴漢研究所。
 BBSで痴漢初心者にテクを教え、月一ペースで痴漢オフを開いた。弟子も何人かいたしAVに痴漢の神様として出演した事もあった。
 そんな彼でも過去に二回だけ捕まった事があった。19歳の時と25歳の時だ。
 その時は二回とも職場を解雇されたが気にしなかった。また就職すればいいだけの話だ。
 その時の失敗を教訓に、実に彼は10年間捕まらなかったのだ。
 最近ではもう、同業者(痴漢仲間)からは「彼の痴漢は芸術の域に達した」と言わしめた程だった。
 しかし捕まった。女性の鉄道警察員が配属されたのは数年前に知っていた。
 これは危ないと思い、純二は配属された全員の女性鉄道警察員の顔を調べ上げていた。
 はっきり言って、いい女は一人もいなく、間違って痴漢するのは素人だけだと思っていた。
 しかし今回純二が痴漢した女性鉄道警察員は結構いい女だった。調べ漏れがあったらしい……

 純二が取り調べ室で待たされてる間、物思いに耽っていたいたら突然部屋に3人の男が入ってきた。
 3人ともいかにも警察ですと言わんばかりの難しい顔をした男達だった。
 その中の一人、定年間近と見られる60前後のじいさんが純二に顔を近づけて言った。
「小泉純二だな? お前は過去に二回捕まっているな? いい歳して痴漢なんかしやがって。今回の痴漢行為を認めるか?」
 昼に餃子でも食ったのか、息が臭かった。
「ああ、認める」
「ははは、認めて罰金払えば終わりだと思ってるだろ? そうはいかん、お前の事は前からチェックしていたのだ。インターネットで派手に

活動してるじゃないか? あっ?」
 純二はうんざりだった。男の顔を間近に怒鳴られるのは気持ちいいものじゃない。
 しかも口が臭い。
「おっと、あいさつがまだだったな。俺の名前は鬼瓦だ、痴漢取締りに人生を捧げてきた。お前達は人間のクズだ!! 女性の力が弱いのを

いい事に、好き放題やりやがって」
 そう怒鳴ると鬼瓦は机を思い切り叩いた。
 他の二人も軽蔑のまなざしで純二を見下ろしていた。
(何をこのおやじはこんなにエキサイトしているんだ?)
 そう思い純二は軽くため息をついた。
「実際、この国の法律は甘すぎだ」
 鬼瓦は手を後ろに組み、部屋の中をゆっくり歩き始めた。 
「痴漢が減らないのも法律が甘いからだ。鉄道警察の人員を増やしてもあまり効果はなかった。
女性専用車両が出来てからはかなり減ったが、それでもまだまだ痴漢行為に苦しめられる女性は大勢いる。何度捕まえてもお前達は痴漢を繰

り返す。このうじ虫土共め!!」
 そう怒鳴ると、鬼瓦はまた机を拳で叩きつけた。
「だが安心しろ。ふふふ、お前達うじ虫痴漢共を抹殺する為にとうとう国が動いてくれた。痴漢行為をした物に新しい刑罰が下される事にな

ったのだ!!」
 そう言うと鬼瓦はニンマリ笑うと純二を見下ろした。
(それは初耳だなぁ〜)
 純二はそんな話は聞いた事がなかった。そんな法律が出来たらニュースで流れそうだがな。純二は頬杖をついた。
「ははは、初耳という顔だな。そりゃそうだ、この法律は正式にはまだ可決されていない。まだ実験段階なのだ。
国はなぁ、国際社会で一番の痴漢の数に頭を悩ましていてな。実験的にある方法をとる事になった」
 鬼瓦は一段とまた純二に顔を近づけた。
「どんな方法か知りたいか? ふふふ、痴漢を出来ないようにするのさ」
 そういうと鬼瓦は部屋中に臭い息を撒き散らしながら、大声で笑い始めた。
(痴漢を出来なくさせる? なんだそりゃ?)
 純二は少し不安になってきた。
「ははは、不安そうだな。大丈夫、すぐに済むらしいからな」
 そう言うと鬼瓦は扉の方に向かって言った。
「先生、入って来てください」
 すると扉から白髪まじりの威厳も漂う白衣の医者と、純二好みのナースが入ってきた。
 先生は少ししゃがれた声で言った。
「本当にいいんですかな」
「はい、やっちゃって下さい。こいつは人間のクズですから」
 そうゆうと鬼瓦は抑えきれないといった感じでクスクス笑い始めた。
 医者とナースが鞄から注射や医療道具を取り出し始め、何かの準備を始めた。
 純二の不安は頂点に達した。
「ちょ、ちょっと待ってくれ。何しようっていうんだ? 何するんだよ?」
 純二は知らずに立ち上がっていた。
 しかし、医者とナースは純二を無視したままテキパキと何かの準備を続けていた。
「おい、何する気だよ?教えろよ!」
 純二がいきり立つと鬼瓦が勝ち誇った顔でしゃべりだす。
「よぉ〜し、教えてやろう。お前は今からある注射を打たれる。この注射はな、なんでもお前を女の体にしてしまうらしい。
新しい刑罰とはこうだ。つまり痴漢行為をした者を強制的に女の体にして痴漢させられる気持ち、屈辱、心の痛みを本人に味わわすというも

のだ」
「はっ!! 何言ってるんだ。そんな事出きるわけねぇ〜だろ!!」
 純二は強がって言い放った。
「先生、説明お願いします」
 鬼瓦が先生を見る。
「うむ」
 医者は作業の手を止め、椅子に座ると静かに話し始めた。
「この薬はね、遺伝子を強制的に組み替えてしまう働きを持つんだよ。
元々は遺伝子の疾患の部分を組み替えて治そうとゆう実験だったんだが、性染色体遺伝子に対して驚くほどの効果を発揮する事がわかってね


大量に投下すると性別さえ変えてしまう事がわかった、一応ラット、犬、猿の実験では雄を雌にすることに成功している」
 医者は白髪をなでながら話を止めた。
「ま、まじなのか? で、でも人間に効くかどうかわからねぇじゃねぇか」
 純二は不安そうな顔で医者に聞いた。
「はい、人間での実験では君が始めてです」
「はっ!? なんだそりゃ!? それじゃあ死んじまうかもしれねぇじゃねぇか!? そんな事許されるのか!? 俺の人権はどうなるんだ

よ!!」
 純二が立ち上がり叫んだ。
 すると鬼瓦が純二の胸元を掴み、鼻と鼻がくっつくほどに顔をよせるとドスの効いた声で言った。
「俺の人権はどうなるだ? はっ、ふざけるな。今まで散々女性の人権を踏みにじってきたのお前じゃないのか?
今更自分の人権をどうこうゆうのは、ちょっと虫がよすぎやしねぇか?」
 ぐぅの音も出なかった。純二が今まで人権を踏みにじってきた女性の数は千を軽く越えていた。
 だからって自分の体が女体化されようとしてるのに、だまって見ているわけにはいかない。
「せ、先生!! あんたはどう思うんだ? こんな事倫理的に許されないだろ?」
 純二は医者につめよった。
「ふぅ・・」
 医者は軽くため息をついた。
「小泉さんね、君が悪いよ。私には痴漢をする人達の気持ちは、わからんがね。
私には今年二十歳になる孫娘がいるんだが、最近痴漢に会ったと泣いてた事があってね。孫娘の泣き顔が、私がこの実験に参加する事を決意

した理由だよ。
只でさえ日本では女性の立場は非常に弱い。痴漢がなくなれば女性の顔に少しでも笑顔が増えると思っている」
 そういうと医者は純二の顔をじっと見つめた、その目は無言ながらも痴漢の純二を責めていた。君が悪いと。
 この医者はダメだ、孫娘の復讐に本気で俺を女にする気だ。
 純二は矛先を純二好みのナースに変えた。
「な、なぁ綺麗なナースの姉ちゃん、あんたは常識がありそうだ。こんな実験バカげてるだろ? おっさんを女にしてどうするんだ? あ?

 なんとかしてくれよ」
 純二は純二好みのナースに拝むような仕草をしてみせた。
 するとナースは静かに言い放った。
「わたし、よく痴漢にあうんです。痴漢なんか死んじゃえばいいと思ってました。ざまぁみろです」
 そう言うとナースは満面な笑みを純二に向けた。
 純二はガクッと椅子に腰をおろした。
 どうやらここには痴漢を世の中のゴミと考えてる連中しかいないらしい。
 一瞬、純二の頭に四面楚歌の四文字が浮かんだ。
「がはは、観念するんだな。おとなしく女になっちまうんだ」
 そう言うと鬼瓦は満足そうにアゴをさすった。
 その言葉を合図に医者とナースは3本の注射を取り出し、あやしげな容器から注射に液体を注入しはじめた。
「ふざけるな!! こんなバカげた話があるか!!」
 純二は立ち上がり扉に走ろうとした。
 しかし、いつのまに後ろにいたのか、男二人にがっしりと腕を掴まれ椅子に座らせられる。
「お、おい!! ふざけるな!! ここは警察だろ!! こんな事が許されるのか〜!!」
 純二はあらんかぎりの声で叫んだ。
 だが純二の声は虚しく部屋に響くばかり。
 慣れた手付きでナースが純二の首筋の大静脈に脱脂綿をあてて消毒する。
 頭を振って抵抗しようとした純二だが、頭をがっしりと男に抑えられる。
「や、やめろ〜〜〜〜〜!!!」
 純二の首に赤い液体の入った注射があてられる。ナースは迷わずに注射を刺し液体を純二の体内に注入する。
「がぅあーーーーーー!!」
 純二は思わず叫んでいた、首に焼きごてをあてられたような痛みの後に体中をミミズが這い回ってるような錯覚に襲われる。
 続いて黄色、青の液体も事務的に注射される。 3本が注入しおわると男達は純二の拘束を解く。
 純二はそのまま椅子からくずれ落ちると、声にならない悲鳴を叫びながら首をかきむしるような仕草をしている。
 目はカッと見開いたまま、口からは涎を垂らしながら体が小刻みに痙攣する。
「せ、先生……」
 さすがに心配になったのか、鬼瓦が先生を見つめる。
「そうとう苦しんでますな、今彼は地獄の苦しみを味わっているでしょう」
「こいつ、死にやしませんか……?」
「死ぬかもしれません。さっきも言いましたが、人への実験は初です。命の危険があるのは国もあなたも承知のはずですが?」
 鬼瓦はアゴをさすりながらも自分に言い聞かせるように言った。
「ま、まぁそうですな。例えこいつが死んでも痴漢が一人死ぬだけだ。うむ、そうだ」
 そう言うと鬼瓦は先生の手をとると、がっしりと握手をしながら言った。
「先生、この一歩は小さな一歩ですが、痴漢撲滅の為の大きな一歩です!!」
「うむ、まぁ彼が生きていれば12時間程でトランスが完了するでしょう」
「ありがとうございます。おい、そいつをそこへ」
 鬼瓦が二人の男に指示する。
 二人は純二を部屋の隅にある長椅子に横たえた。
 純二は白目を剥いたまま気を失っていた。
 一同は純二をチラッと見ると何事もなかったように部屋を後にする。

  ◇◆◇

 ガタンゴトン、ガタンゴトン……
 聞きなれた電車の音が遠くから聞こえる。
 純二の大好きな音だ。
(ふぅ〜……お、おれは……)
 電車の音に純二は意識を取り戻し始めた。
(そうだ、確か俺は捕まって……注射を打たれたんだ……死ぬと思ったが……生きてるようだな。)
 純二はうっすらと目を開いた。
 最初に視界に入ってきたのは、最悪な事に鬼瓦の顔だった。
 どうやら純二はベッドのような物に寝かされてるらしく、頭の横に鬼瓦がいるのだ。
 なぜか鬼瓦はポップコーンをボリボリ食っている。
 純二は完全に目を開けまわりを見渡した。
 どうやらバスぐらいの大きめの車の中に寝かされてるようだ。
 車の中にはさっきの取調べ室と同じ面々がいた。
 鬼瓦に部下の男二人、何かをカルテに書いてる医者に、純二の脈を取ってるナースだ。
 ナースと目と目が合う。
「先生、覚醒しました」
 ナースが透き通るような声で言う。純二好みの声だ。
「おっ、起きたか」
 鬼瓦が満面の笑顔で純二の顔を覗く。
 口からポップコーンがこぼれ落ちて、純二の顔に欠片が落ちる。
「がはははっ、おはよう眠り姫。小泉純二……いや今は純子ちゃんかな? がっはっはっは!!」
 純二は背筋は凍るのを感じた。
(ま、まさか……)
 純二はガバッっと体を急いで起こすと、自分の体を見下ろす。
「なんだよ、これは……」
 純二はどうやら女物のスーツを着せられてるようだ。しかも真っ赤な色の。
 スカートは超ミニで、そこから真っ白な太ももが覗いている。
 視界を遮るのは上から見下ろすとかなりの大きさの胸だ、スーツのサイズが小さいのか、はちきれんばかりに服を押し上げている。
 胸を締め付けるこの感じはブラジャーなのか、少し息苦しい。
「そ、そんなまさか……」
 純二はあわててスカートをたくし上げ自分の股間に手をやる。
 周りの視線も、頬に茶色っぽいウェーブの髪がかかるのも気にしなかった。
 股間に手をやると、そこにはあるはずの物がなく、代わりにそのまま女物のショーツを触っただけだった。
「な、ない……」
 純二は蚊の鳴くような声で小さくつぶやいた。
 真っ暗な闇の中に突き落とされたような絶望が純二を襲う。
「ない……」
 もう一度純二は呟いていた、知らずに涙が頬を伝う。
「ほら、泣かないで下さい。せっかくかわいくお化粧したのに、化粧が崩れちゃいますよ」
 ナースは子供をあやすようにやさしく言うと、小さな親指で純二の涙を拭う。
「はい、これ見てください。かわいい女性になりましたよ」
 ナースはそう言うと、手鏡を純二に渡す。
 機械的に純二は手鏡で自分の顔を見る。
 顔は自分の顔だった。つまりどう見ても純二が女装をしてウィッグを被ってるようにしか見えなかった。精一杯化粧でごまかしているが元

々男顔の純二はオカマにしか見えなかった。
「骨格までは変わらんのだよ」
 そう言うと医者はライトペンで純二の瞳孔の反応を調べる。純二はされるがままだった。
「うむ、見事にトランス成功ですな。君が寝ている間に体も隅々まで調べさせてもらったが、完全に女性化しているよ。
ただ骨格までは小さくなったりはしないようだ。君は背が170はあるからパッと見オカマにしか見えんが、完全に女性だよ」
 医者は満足そうに一人頷くと、カルテに色々書き始めた。
 学会か何かで発表するつもりなのだろう。
 がしかし、純二はそんな医者をよそに絶望のどん底にいた。自分の体が女にされた事をまだ頭で理解できていなかった。
 いや、正確には認めていなかった。虚ろな瞳で鏡の中の自分を見つめていた。顔を少し動かすと綺麗に整えられたウェーブの髪も一緒に揺

れた。
「がはは、まぁ顔はベッピンさんとは言えんが、さっき拝ませてもらったが体は中々のナイスバディだったぞ」
 そう言うと鬼瓦は純二の肩をポンと叩いた。
 が、純二はそんな鬼瓦の皮肉にも反応一つ見せなかった。純二は廃人寸前だった。
 人はあまりにショックな事があると、現実を否定し夢の中に逃げようとする。純二は女にされたとゆう現実を拒絶していた。夢の中へとさ

まよい始めていた……
 そんな純二を見て、鬼瓦は少し気の毒になったのか純二に精一杯優しい口調で言った。
「まぁ、そんなショックを受けるな。罰さえちゃんと受ければ男に戻してやるぞ?」
 男に戻してやる。その言葉に純二は現実へと戻ってきた。ハッっと鬼瓦を見つめる。
「本当か……?」
「ああ、本当だ。これはあくまで、痴漢行為をしたお前に女性の痛みを知ってもらう為の罰だからな。罰を受ければ男に戻って釈放だ」
 純二は鬼瓦の胸倉を掴むとすがるような目で言った。
「何でもする!! 何でもする!! 早く俺を男に戻してくれ!!」
 叫んで気づいたが声も女のかわいい声になっていた。まったく覇気はなかった。
「よしよし、今説明する」
 鬼瓦はやさしく純二の手をほどくと説明した。
「いいか、お前には山の手線を新宿から外回りで一周してもらう。そして痴漢に遭ってもらう。それだけだ」
「それだけか?」
 純二は拍子抜けしたようい聞いた。
「それだけだ」
(それだけか?)
 純二の頭は周り始めた。
(山の手線を一周、時間にして66分、朝のラッシュ時なら80分か)
 純二は車の外を見た。見慣れたスタジオアルタ前だった。電光掲示板の時計を見る。7時40分だ。どうやら純二は20時間も寝ていたらし

い。
 80分間、ぎゅうぎゅう詰めの山の手線に乗っていれば痴漢にぐらい会うだろう。なんせ純二は今超ミニのスーツを着ているのだ。身長も高

く、顔を見ればオカマ顔だが。
 がしかし、純二は痴漢のプロだ。それはつまり、痴漢がしにくい位置や姿勢、態度などを知り尽くしていると言う事だ。
 うまくいけば一回も痴漢に会わずに一周できるかもしれない。俺の勝ちだ鬼瓦。
 純二は心の中で微笑んだ。それさえすれば男に戻れるのだ。こんな簡単な罰があるだろうか?
「痴漢に逢わずになんとかするつもりだろ?」
 鬼瓦は純二の心を見透かして言った。
「安心しろ、ちゃんとお前が痴漢に逢うように細工をしておいた。これを見ろ」
 そう言うと鬼瓦は手元にあったノートパソコンを純二の膝の上に置いた。
 画面にはどこかのサイトのBBSが映し出されていた。
 すぐに気づいたが、純二も何度か見たことのあるサイトだった。確か痴漢されたい女性が書き込みをする専用のBBSだ。
 そこにはこう書いてあった。

  ☆痴漢様大募集☆
 はじめまして^^
 29歳でOLをしています、純子といいます。
 明日の朝、山の手線で痴漢してくださる方いませんか?
 時間は午前8時発の山の手線外回り新宿発の一番前の車両に乗ります。
 真っ赤な超ミニのスーツを着ていきます。
 背も高いのですぐわかると思います^^;
 純子をメチャクチャにして下さい><

「なんだこれは。誰が書いたんだ」
 純二は思わず呟いた。こんな書き込みをすれば暇な痴漢が何人も集まるだろう。
 しかも書いてある格好は今の純二そのままだ。
「俺が書いた」
 鬼瓦が得意そうにアゴを撫でながら言った。
 (こいつネカマの才があるな……)
 まさかこの文を見て60歳のおやじが書いたなんて誰も思わないだろう。
「もうわかっただろう。お前にはこれから8時発の外回り一番前の車両に乗ってもらう。
そこでお前はBBSを見て集まった痴漢達に山の手線一周分、約一時間痴漢されまくり、女性の屈辱、怒りを味わってもらう。
そして一周して帰ってきたら男に戻って終わり。わかったか?」
「よ、よしわかった」
 純二は意を決した。何人か痴漢が集まってる事が予想されるが、なんとかする自信があった。純二には20年のキャリアがあった。
 鬼瓦が車のドアをスライドさせる。外は通勤の人混みでごったがえす新宿東口前。
 純二は一瞬外に出るのをためらった。
 自分が女の格好をしているのを人に見られるのは気がひけた。
「ほらさっさとしろ。男なら腹を決めるんだ」
 先に外に出ていた鬼瓦が純二を催促する。
(よし、さっさとこの茶番を終わらすんだ。そして男に戻ろう)
 純二は自分に言い聞かすと車を降りた。
 何人かの人が女にしては背の高い純二をチラッと見たが、気にするそぶりもなくそのまま歩き去っていく。
 ここは新宿だ、オカマなんてめずらしくもないのだろう。
 鬼瓦の部下二人も降りてきた。
 純二は少し俯きながら鬼瓦の後ろを歩き始めた。
 ハイヒールを履かせられているので非常に歩きにくかった。
 バランスを取って歩こうとすると自然に尻を振って歩くような感じになった。尻に男の視線を感じる気がした。
 歩く度に揺れる胸も、長い髪もすごく気になった。
 4人はごったがえす東口に飲み込まれていった。

  ◇◆◇

「白線の後ろまでお下がりくださ〜い}
 口調はやさしいが、少し切れ気味の駅員のアナウンスが、ごったがえす駅のホームに響き渡る。
 こんなに大勢乗れるはずないだろう、というくらいの人数がホームで列を作り電車がくるのを待っている。
 純二はホームの一番端の列の後ろの方に並んでいた。
 鬼瓦と部下の男二人も近くの列に並んでいた。一応監視するつもりのようだ。
 何人かの男が純二の事をチラチラと見ているのを気づいていた。
 たぶんBBSを見て集まった痴漢共だろう。
 電車がホームに入ってくる。扉が開く。
 中からドッっと人が吐き出される。新宿で降りる人は多い。また、乗る人も多いのだ。
 純二はどうしても行きたいポジションがあった。
 純二の考えはこうだ。乗車したら人を掻き分けてなんとかシートの前まで割り込み、シートに尻を向けて立つだった。
 痴漢の9割が最初に尻から攻める。前から攻めるのは難しい。女性にすぐ気づかれるし顔もバレバレだし、女性も抵抗しやすいのだ。
 シートに座ってる人が前に立ってる女性を痴漢してくるとは考えにくい。周りの人にバレバレだ。
 電車から降りる人がひとしきり降りると、乗る人達がドッっと車内になだれ込む。
 純二も理想のポジションを取る為に、人を掻き分け車内に走りこんだ。
 しかし、車内に入った瞬間純二はとんでもないミスを二つした事に気づいた。
 一つはラッシュ時の山の手線はシートを上げている事。忘れていた自分が信じられなかった。
 そして二つ目は純二は今非力な女の体で慣れないヒールを履いていた事だった。
 純二はあっというまに流れに飲み込まれ、扉と扉の間の人混みの中に押し込まれる。
 ヒールでバランスを失った純二は、前の男にほとんど抱きつくような感じになってしまう。そのまま後ろから乗車してきた人に押されて体

勢を立て直す事も出来なくなった。
 自分の巨乳を前の男に押し付けている事に気づき、あわててどけようとするが、すごい混雑にどうしようもない。
 前の男の荒い鼻息が耳元にあたる。純二に胸を押し付けられてる事に気づき興奮しているのか。
(ったく、まいったな。一番悪いポジションにきちまったぜ。だがこの混雑では痴漢共も俺に近づけまい)
 がしかし、その考えは甘かった。
 純二の尻を誰かが撫で回し始めた、スカートの生地はとても薄く男のゴツゴツした手をそのまま感じた。
 痴漢は純二のすぐ後ろにポジションを取ったのだ。かなりの手練かもしれない。
 後ろの男は純二の豊満な尻をやさしく揉み始めた。気持ち悪い。
 純二はなんとか左手を後ろに回し、男の手を掴んでどけようとした。
 しかし、純二がいくら男の手首を掴んでどけようとしてもビクともしなかった。
 後ろの男は、純二に手首を掴まれてるのもおかまいなしに純二のスカートをまくると、今度はショーツの上から純二の尻を撫で始めた。
(クソッ、調子にのりやがって)
 純二がそう思っていると、前の男が何か体をモゾモゾ動かしてるのに気づく。
 何をしているのだろうと思っていると、前の男は密着していた純二との体をなんとか離してくれたのだ。
 押しつぶされていた巨乳が開放されて、少し息が楽になる。 
 ひょっとすると前の男は紳士な人で、純二の胸が自分に当たっているのに気づき、体を離してくれたのかも。
 そう純二が思っていると、突然前の男は純二の左胸をスーツの上から持ち上げるようにゆっくり揉み始めた。
 びっくりして純二が前の男を見ると、その男はあわてて視線を逸らしながらも純二の胸を今度は潰すように揉んできた。
 純二は男では決して体験出来ない。胸を揉まれるとゆう行為に少し興奮している自分に気づいた。
 後ろの男は今度は純二の尻の割れ目をショーツの上からなぞり始める。
 体がビクッとした純二はあわてて自分のスカートをなんとか降ろそうと、スカートの裾を下に引っ張ったが、男は気にする様子もなく割れ

目を上下になぞり、楽しんでいた。
 後ろの男は左手で純二の尻をいじりながら、右手で純二の吸い付くような白い太ももを撫で始める。
 前の男は色んな方法で純二の巨乳を揉み終えると、今度はスーツのボタンを下から一つづつはずし始める。
 あわてて純二は右手で前の男の手を掴むが、やはり男の力にかなうはずもなくボタンは全てはずされてしまう。
 純二が自分の体を見下ろすと、はだけたスーツの下には真っ白な肌にヒラヒラのレースのついた真っ赤なブラをした巨乳が見えた。
 上から見ると尻のような谷間が胸の間に出来ていた。
 純二の豊満な体と、いやらしいブラを見た途端、前の男は両手で純二の胸を鷲づかみにすると、円を描くように揉みはじめる。
 胸を揉まれ、太ももを撫でられ、尻をさすられて純二の口から思わず「あん……」という小さな声が出た。
 自分の口からそんな声が出た事にビックリした純二は思わず下を俯く。羞恥心でいっぱいになる。
 周りの人に、自分が痴漢されているのを気付かれてはいけないと思っている自分に気付いた。
 後ろの男は左手で尻を揉みながら、右手を今度は前に回しスカートの下に手を滑り込ませ、ショーツの上から純二の秘部をやさしく触る。
 ビックリするほど敏感なそこに、純二は驚きながらもなんとか男の手をどけようとするが、やはりびくともしなかった。
 前の男は今度はブラの上から乳首の辺りをつつき始める。
 痛い程に乳首が立っているのに気付いた純二だが、つつかれる度に体がビクビクしてしまうのをとめる事が出来なかった。
(く、くそぅ……体が敏感すぎて……感じすぎる……)
 純二はもはや抵抗らしい抵抗が出来なくなていった。
 今はもう声を出さない事に全神経を集中させていた。少しでも油断すると声を上げてしましそうだった。
 敏感すぎる秘部をさすられると甘い快感が全身をつらぬいた。ブラ越しに乳首を刺激されると自然に体がビクビクしてしまうくらい気持ち

よかった。
 痴漢暦20年のキャリアを持つ純二だが、初めての女体の感覚にどうしよもなくなっていた。
 まるで小娘のように男達のされるがままだった、男の手が少し動く度に期待と不安の入り混じった気持ちを感じた。
 すると後ろの男が尻を撫でるのを止めた。
 しかし、ホッとしたのも束の間すぐに後ろの男は自分の股間を純二の丸い尻にこすりつけてきた。
 男の硬く大きくなったアソコを尻にこすりつけられながら、純二は自分の体に後ろの男は興奮して、こんなに大きくさせているんだと気付

くと一瞬優越感のような気持ちを感じた。
 前の男は純二の乳首攻めを十分楽しむと、今度はわざとゆっくりと右のブラをずらしていった。
 巨乳を収めるにはあきらかにサイズの小さいブラからは、中々乳房は出てこようとしなかった。
 しかしブラがずり下がった瞬間、跳ねるように右の乳房が飛び出てきた。
 純二は自分の胸を見下ろしながら、なんて大きくて、いやらしいんだろうと思った。ピンク色の乳首が痛いほどに立っていた。
 前の男は楽しむように左のブラもずらしていく。ほどなく左の乳房も飛び出てくる。
 男は一瞬感嘆のため息をもらすと、ゆっくりその手で持ちきれない程の巨乳を揉み始める。
 うずくような快感に純二は思わず声を出しそうになるが、必死に声を押し殺す。
 胸をはだけて巨乳を揉まれてる純二を、周りの人達も数人が気付き始めていた。もちろん誰もこのショーを止めようなどと考えなかった。
 後ろの男は今度は両手を純二のスカートの中にもぐりこませると、純二の赤いショーツを一気に膝までずり下ろした。
 ビックリした純二は急いでショーツを上げようとするがすぐに動きが止まる。
 後ろの男はすぐに純二のクリトリスを押しつけるように指で刺激し始めたからだ。
 そのビックリするほどの快感に純二は思わず首をのけぞる。白い首が艶かしい。
 そしてあまった方の手で後ろから純二の秘部に指を出し入れし始める。
 クチュクチュッとゆうかすかな音が電車の中に聞こえ始める。その音に純二は自分が濡れている事に気付く。
(お、俺は……感じて濡れているのか……うっ!!)
 純二はおもわず大声を出しそうになり、あわてて自分で自分の口を塞ぐ。
 後ろの男がクリを摘んでひっぱっているのだ。その快感に全身がゾクゾクする。
 すると前の男も乳首を摘んでひっぱり始める。純二は口を押えながら首をのけぞらす。体中がほんのりピンク色に染まっていた。
 既に足は膝と膝がくっつくほどの内股になっていた。足に力が入らない。
 後ろの男がクリを指で押えると、円を描くように激しく振動を加え始める。
 それと同時に前の男は、あろうことか頭を少し屈めると純二の巨乳を口に含み、乳首を舐め回し始める。
「うっ!! うっ……あっ、うっ……」
 純二は必死に口に手をあて、自分の声を抑えていたがそれでも快感の嗚咽を抑える事が出来なかった。
 純二は既に立っている事が出来なくなり、純二の胸にむしゃぶりついている男の肩に手を置き、なんとか立っている状態だった。
 体中電気が走っているほどにゾクゾクする、頭の中は真っ白になっている。純二は快感がどんどん高まっているのを感じていた。
 とその時、後ろの男がクリへの振動を一気に早くした。純二は一気に登りつめる。
「あっ!!」
 電車中に聞こえるような大声で純二は一瞬喘ぐと、そのままその場に座り込んでしまった。
 純二は初めて女としてイッたのだ。しかも電車の中で、痴漢をされながら……


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