正樹が中学校のときに国語で習った、鎌倉・室町初期の名作は、
なぜかどれも「物事は移り変わり、変わらないというものは何もない」という意味の書き出しで
始まっていたような気がしていた。
不条理な力によって、民族の復活・保護という刺激的な標語のもとで、
2年6組の全員が突然、「子どもを生むための性」である女性にその姿を変えられて、一ヶ月ちょっと経った。
修学旅行の途中、バスごと拉致されたクラスメートたちが、ひとり、またひとりと淫乱肉奴隷に落ち、
この建物の中でめくるめく官能の毎日をすごすのにも、終わりがやってくる。
彼女たちに伏せられていた事実が、明かされたのは、葵が淫乱少女の仲間入りを果たした次の日だった。
クラスメートたちは、3月までこの建物で過ごし、そのあとは、高校3年生の少女として、
全国各地の「里親」のもとに送られ、そこで高校に編入する。
一年後、まるで普通の少女たちのように、全員が東京都内の大学、女子大、短大に入学する。
そのとき、彼女たちは再び集結する。
集結した彼女たちは、全員がひとつのプロダクションに所属し、順にアダルトビデオ女優としてデビューする。
美人ぞろいの彼女たちは、日本のAV界を席巻し、強制女性化プロジェクトの資金を稼ぎ出すとともに、
作られた淫乱少女の体の優秀さを証明する。
「つまり、お前たちは、子どもを生むためじゃなくて、初めから、セックスするための女として生まれてきたんだ。うれしいだろう」
林の「うれしいだろう」という言葉に、正樹ですら心臓がどきどきする。
今、この計画を聞かされて、反発を示すものはいなかった。
「セックスするために生まれてきた」という言葉のもつ非日常的で、堕落した響き・・・
まともな高校生活を送って、まじめに大学まで行き、優等生のレールを歩いてきた正樹には、
心のどこかで「落ちてみたい」道だったことが否定できない。
しかも、その上である程度社会生活の保障までついてくる。
とにもかくにも、社会復帰できて、高校にいけて、大学にまで通える。
進学校に通っていた彼女たちにとって、それは文句のない未来だった。
そして、セックスが仕事となること・・・それもまた、淫乱少女たちにとって反対のしようのないことだった。
全国に散らばる中でも、首都圏に住む何人かは、高校卒業前にグラビアモデルとして、
彼女たちのような人工の美少女がどれほど映像で映えるか・・・それが男たちにどれほどアピールするかを、一足先に「実験」する。
そう、その後のアダルトビデオ計画自体が、「セックスの道具」としての「強制女性化プロジェクト」の実験の中枢を占める。
すでに、実際にセックスをしたときの彼女たちの優秀さ・・・つまり、人工の少女たちの優秀さは証明済みだった。
あとは、彼女たちが「映像に収まった」ときにどうか、であった。
33人のいずれ劣らぬ美少女たち・・・彼女たちがどれほど世間の男たちを魅了し・・・
平たく言うと、彼女たちをおかずにしてオナニーさせることが出来るか・・・
すでに立ち上げの準備が始まっている製作会社がどれだけ儲けを出し、
国家的プロジェクトに資することが出来るかどうか・・・それが、言ってみればこの実験の最後の段階である。
ただし・・・そう、少女たちがその未来に向かうには、もう幾つかのただし書きを乗り越える必要がある。
その大きなもののひとつが、もはやその名前すら淫乱少女たちの中でうわさとなってきている、
最後の淫乱少女「美奈」の誕生にある。
彼女が、最後に男を選択すれば・・・それは約束上、彼女たち全員を男に戻すことになる。
そうなったら・・・もしそうなったら、この計画には初めから破綻があったことになる。
しかし、実はこれよりも高いハードルをいくつも乗り越えてここまでたどり着いたプロジェクトである。
林の手にその成否がまかされてはいるが、このプロジェクトに関わったもの全てにとっての勝敗は、
最後まで処女として残った正樹が、肉奴隷としての自分を、選択するかどうかにかかっていた。
地獄は、その日も続いた。
正樹は午後3時に呼び出され、意思とは関係なく林に犯され、抵抗しようとしまいと、
快楽の渦の中に飲み込まれていく、自分を想像しないように・・・心がけていた。
それは、その事実がおぞましかったから、というよりも、快楽に負けてしまう自分を、想像するのが・・・認めるのが怖かったからだった。
それでも、どっちみち犯され・・・そのあとに勝負のときが訪れる。そのときのことばかり考えるようにしていた。
だが、おそらく林や、そのほか上層部の人間も、このまま正樹に「選択」をさせることがいかに危険であるかを知っていた。
だから、まず、処女のままの正樹にも、クラスメートたちの将来像を示した。
そして、林は、処女のままの正樹に、「女」を選択させ、そのあと合意の上で処女をいただく腹だった。
つまり、正樹がこの屈辱から抜け出すには「女」を自ら受け入れる・・・というより、
林に対して、セックスしてくれるように自ら哀願するほかない、のであった。
そのまま地獄が何日か続くと、正樹もなんとなく気づきだした。
ひょっとして、自分はいつか、みずから哀願して、セックスさせられるのではないかと・・・
心の奥底で望んでいることを・・・
子供を生むための道具にされたことと、これほどのセックス三昧・・・
淫欲地獄がうまく結びつかなかった全てのクラスメートたちにとって・・・
AV女優としての未来が決められているとはいえ、
女子高生として社会に復帰し・・・大学入学の保障まで与えられるという将来像は、少なからず魅力的なものに映った。
それは、正樹にとっても一緒だった。
この退屈すぎる・・・地獄のような日々から解放される・・・
普通の女子高生・・・そこまで行かずとも、この重く深い運命を背負ってでも、
人間の住む世界に戻れることは・・・喜びだった。
あとは、男として戻るよりも、女として戻る方が魅力的であることを、正樹に説得しなければならない。
「ふふ、どうだ? 女として社会に戻る気分は?」
「まだ決まっていません・・・」
正樹は、林と話すときにはつい女性としての口調を作ってしまう。
自分が、林の前では「美奈」であり、天使であることを、感じ取っていた。
だからこそ、この扱いが信じられず、受け入れられなかったのであるが・・・
林への反発、ほとんどそれだけが、正樹に自分が女であることを拒否させていた。
本音では、違った。最初のうち、林が優しかった頃と同じ、今でも正樹は女として優しくされたかった。
そして、これほどの美人に生まれ変わってしまった今、普通の男に戻ることなど、冷静に考えれば、何の魅力も感じないことだった。
いつのまにか、家族やそれまでの生活はどうでもよくなっていた。
だが、姉へのあこがれはまだ残っていた。
林が・・・林でなくてもいい、誰かが、姉にそっくりな自分を、姉の代わりとして見れば、
それだけであこがれの存在に一歩近づけるような気が、今でもしていた。
今までの自分には近づくことすら不可能だった雲の上の存在。
一番近くにいても、雲の上の存在だった「美奈」になれるような気がしていた。
そして、美奈の弟として見られるプレッシャーからも解放され、公権力の強制の元、
公然と、堕落することが許されるような・・・これからの生活はそんな生活に思えた。
正樹だって、その甘いにおいに引き寄せられる。
しかし、今は地獄のような日々が続いていた。
正樹は、処女のまま、放課後の宴に参加させられる。
葵が淫乱少女の仲間入りをして、次の日からは午後3時の儀式はなくなった。
というよりも、意味が変わった。午後3時、今までと同じように正樹が教壇に呼ばれる。
そして、今までと同じように林にフェラチオさせられて、
それによって大きくなったチンポは淫乱少女たちの誰かに差し入れられる。
そのまま淫欲の宴へと全員がなだれ込んでいく。それが日常になった。
正樹は、そこで、唯一の処女奴隷として、林の、淫乱少女たちの性欲処理のための道具として生きていた。
「あん・・・おいしいです・・・」
陵辱されているという感覚が麻痺していた。
林のチンポをしゃぶりながら、その「味」についての感想を求められるとこう答えてしまう。
だが、それは一面で本当の気持ちでもあった。
林はフェラチオを受けるのが「うまく」なった。
正樹の口の中ですこしずつ大きくなり、そして正樹のしゃぶるリズムと加減にあわせるように動く林の肉棒・・・
いい具合に正樹の口の中に刺激を与える・・・
それは、むっとしたにおいや体液のしょっぱさを嫌う正樹の感覚と矛盾した気持ちよさを生んでいた。
なにより、フェラチオしているときほど、自分の体が女のものに変えられたことを実感する瞬間はない。
フェラチオをしているときに、ガラス窓に移る自分の姿を見ると・・・いっそう淫靡な気持ちを刺激される。
憧れだった姉と同じ顔をした少女が、フェラチオをしている。しかも、その少女は、自分と全く同じように動く。
「ふ・・・うん・・・うぅん・・・」
そうすると、フェラチオしているだけでなぜか感じてしまうのだ・・・処女膜を破られていない正樹は、
淫乱少女たちとは違って、体中を、意識の隅々までを「女」に譲り渡していない。
それでも、体が淫乱に作られていることで、あるいは正樹の本性か、性的興奮を覚えてしまう。
正樹は、フェラチオしながら、同時に股間からあふれる汁をどうすることも出来なかった。
貞操帯がつけられていた。
革のベルト状の貞操帯には鍵がかけられ、その中にクリトリスを刺激するようにピンクローターが埋め込まれていた。
スイッチのついたローターはしっぽのようであり、正樹は自分が動物に・・・ペットになってしまったような気がした。
いや、正樹は完全に、人間でも、人間の奴隷でもなく、ペットだった。
貞操帯からでている「しっぽ」はそれを象徴的に表しているに過ぎない。
「ふふ、絶世の美少女も、このままでは、だれの役にも立たないな」
林が、みんなと同じように自分の処女を奪い、
そのあとで女であることを認めさせるという順序で正樹を落とそうとしていないことは明らかだった。
「ずーっと処女のままじゃ、宝の持ち腐れだと思わないか?」
林は、言葉のふしぶしに、お前はかわいい、最高だ、というメッセージを忍ばせる。
その言葉をすこし読み込むだけで、正樹に芽生え始めた美少女としての自尊心は、
刺激され、女へとその意識をすこしずつ傾けさせる。
しかし、その悩みは一瞬で中断される。
クリトリスから全身に流れる激しい快感は、正樹の自我を押しつぶす。
そして、フェラチオを強要されると、女性である自分に嫌悪さえ感じる。
淫乱少女たちのおまんこをなめさせられると、男としての自分がよみがえる。
しかし、そこで性的快感が高まっても、自分の体が示す反応は女そのものであり、
ふと現実にもどると、革の貞操帯はびしょびしょに濡れ、
支えきれなくなったいやらしい汁を・・・ぽた、ぽた、と垂れ流し始める。
それを誰かに見つかると、
「いやらしい、正樹ったら。処女なのにもうこんなに感じちゃってるのね」
「はやく女の子にしてもらえるといいねぇ」
などとからかわれる。
外側からの刺激と内側からの衝動・・・正樹のココロは絶えず男と女の間を揺れていた。
正樹は、その実生粋の淫乱少女だった。その芽が、処女のうちから出始めていた。
しかし、現実問題、処女のままで女を選択させるという林の考えは、
その実クラスメートたちとの約束をほとんど無視したものであった。
正樹が処女のまま過ごしていることは、ただ選択のときを先延ばししているだけで、
本来処女を奪われたあとにやってくるはずの選択のときが訪れないということは、約束は無視されているといって差し支えない。
現段階で、正樹は「男」を選んでいる状態、と推定されているから彼女は処女を奪われることはない。
しかし、「男に戻る」ことを選択できるのは処女を奪われたあとだけである。
このループをとめることが出来るのは、正樹が「女」を選択することだけである。
このまま3月まで処女のまま過ごしたとして・・・
淫乱少女たちは計画通りにそれぞれの「里親」ののもとに旅立つだろう。
正樹は・・・男に戻れるかもしれないが・・・一体それがなんになるのか?
32人の淫乱少女たちは、誰一人男に戻ることなど望んでいない。
それを正樹が止めることなど、そもそも許されるのだろうか?
矛盾に満ちた正樹の立場に、誰も異議を差し挟まなかった。
淫乱少女たちは、正樹が処女を選んだあとに「男」を選択する可能性を恐れているのだ。
そして、正樹には、この孤独な処女肉奴隷としての生活の中で、選択の余地のない・・・
選択しようがない状況が、壮大な罠のように思えた。
自分が置かれている矛盾した状況が、決して逃れることの出来ない罠のように。
逃れることが出来るとしたら・・・それはただひとつ、自分が淫乱少女たちの仲間入りを選択することである。
そして、それは、今までの淫乱少女たちと違って、ただセックスしていればいい肉奴隷を選択することだけではなく、
自らの痴態を写真や映像に残して、世の中の男たちに晒す人生を選ぶことなのだ。
「おまえたちは、それぞれの高校で、一年間女王として君臨できる。男など選び放題だ。
ちやほやされる美少女の気持ちを実際に体験してもらう」
林は、淫乱少女たちの4月からについて、そんなふうに言う。
正樹も、自分の運命さえ受け入れれば、学年一、いや学校一の美少女として一年間を過ごすことが出来る。
その地位は、まさに姉の過ごしてきたものだった。
普通の男だったに過ぎない正樹にとって、異性から限りなくちやほやされる生活・・・そもそも男には無理な生活だ。
正樹を魅了したのは、そっちの方だった。学園のマドンナとしての生活・・・
あるいは東京に行くことになれば、グラビアモデルである。
札付きの美少女・・・その充実した毎日は、想像に難くない。
この処女奴隷としての単調かつ屈辱の毎日と比べれば・・・
その後、AV女優になるという運命も、淫乱少女に落ちたあとなら、すんなりと受け入れられるはずだ・・・
だから、はやく楽になりたい・・・
男としての意識がはっきりと残っている正樹にとって、自分が数え切れないほどの男の性欲の捌け口となることは、
屈辱であると同時に、その男たち全てをしたがえることの出来る、征することの出来る、魅力的な存在に変わることにすら思えた。
あとは、勢い・・・というか一歩を踏み出す勇気の問題だった。
そう、気持ちは決まっていた。決断をただ、口にさえすれば・・・あとはなし崩しに話が進んでくれるはず。
最後の処女となってから、一週間・・・処女奴隷は、自ら処女をささげる決意自体は固まっていたのだが・・・
そして、その一歩は、実に単純な罠で導かれることになった。
ただひとりの処女となってから9日目、いつものように午後3時前になると、正樹は気持ちの準備をする。
もう、コスプレを強要されることはなかったが、処女であることを象徴するように、授業中もずっと貞操帯がつけられていた。
その上から、セーラー服をきて授業を受けていた。
ある意味、どんなコスプレよりも屈辱的な格好だった。スカートの上から、貞操帯の形が鈍い輪郭を作っていた。
今日も、まずは林のチンポをしゃぶる・・・その行為にすこしずつ順応しつつも、やはり心の準備が必要なことだった。
そのあとは、一体どんな、屈辱と快楽が与えられるのだろう・・・
いつのまにか、屈辱は耐えるものだけではなく、正樹にとって楽しむものへと変わろうとしている・・・
だから、簡単に罠に落ちた。
「今日は、藤田ではなく、他の人に先生を大きくしてもらおうと思う」
午後3時、気持ちの準備をして前に出ようとした正樹は、肩透かしを食った格好になった。
「誰か、先生のチンポをしゃぶりたい人」
林のこの問いに、淫乱少女32名の反応は・・・
まず、ユイカとさとみが手を挙げた。
「はい!」
正樹一は一瞬安堵した。これで、自分は一息つくことが出来る。
このあとのことはともかくとして、一瞬の安堵すらも正樹には貴重だった。
一方、淫乱少女たちは、お互いをけん制していた。
しかし、さとみとユイカの二人が真っ先にその意思を示したことで、徐々に挙がる手が増えていく。
「はい!」
「はーい」
簡単な計算か、あるいはアメリカ大陸を発見した人物を聞かれているように、
淫乱少女たちは、全員の前でのフェラチオを望む。
正樹はつぎつぎと「はい」の掛け声で手を挙げる淫乱少女・・・クラスメートたちを見て、混乱する。
その光景は、ぐちゃぐちゃにかき回された正樹の価値観を根底から帰るのに十分だった。
今まで毎日、屈辱と嫌悪に支配されたその行為を、クラスメートたちは立候補して望んでいるのだ。
「はーーい!」
麻奈が手を挙げると、加奈も負けじと挙げる。
「はい!」
元気印といったかんじの里穂が挙げる一方、お嬢様然とした友里も高々と手を挙げる。
次々と手が挙がる。
全員の前でのフェラチオを、林のチンポを、争うクラスメートたち。
正樹は、今まで自分が苦しんできたことがおろかに思えてきて、それが乗り越えなければならない壁のように感じた。
ふと正面・・・林を見ると、正樹と目が合った。動揺する正樹に、林は微笑を浮かべる。
その目は、性欲をあらわにした目だった。野獣の目だった。
これだけの淫乱少女たちを毎日相手にしても、林が本当にセックスしたいのは・・・自分なのだ。
そのことを強く感じてしまう。
林の目線と、「はい!」「はい」そんな声が何重にも頭の中でこだまして、正樹に迫る。
「はい!」
気づくと、正樹は真っ赤に紅潮した顔を伏せて、高々と、まっすぐに腕を伸ばして、手を挙げていた。
一瞬にして、淫乱少女たちの声がやんだ。
静寂が訪れる。
その原因が自分にあると知った正樹は、顔を上げることが出来ない。
怖かった。恥ずかしかった。
期待していた。待っていた。
手は、高く挙げたままだった。もはや後戻りの出来ない道を渡った。
そして、後戻りしたいとも思っていなかった。
「藤田。前に出て来い」
正樹は、呼ばれると、前を見ないように、顔を伏せたまま歩き出す。
全員が自分に注目しているのがわかる。
クラスメートたちの目線の中、教壇までの歩きなれた数歩半が異様な、短いような・・・永遠に続くかのような数歩だった。
教壇にたどり着くと、伏せたままだった顔を、あごを片手で持たれて、あげさせられた。
「藤田。しゃぶりたいのか?」
顔を上げると、もう林は勝ち誇った顔をしていた。
しゃぶりたいのなら、しゃぶってもいいぞ、そんな表情だった。
「は・・・い」
泣きそうな目をして、顔を真っ赤にしたままの正樹。
しかし、林は容赦しない。
「しゃぶって、それだけでいいのか?」
正樹は、あごを片手で持たれたまま、ゆっくりと左右に首を振る。
「じゃあ、どうしてほしいんだ、言ってみろ」
ついに、そのときが来た。もう、後戻りは出来ない。覚悟が決まった。
正樹は、一瞬、唇を真一文字に結んだあと、
「先生に、私の処女を奪ってほしいんです」
と、よどみなく言ってのけた。
林は、にやりといやらしい笑いを浮かべて、なおも続ける。
「もっと具体的にいわないと、わからないぞ」
「先生の、ふといおちんちんを、私のおまんこに入れて・・・そして、かき回して!
私・・・もう、我慢できないんです・・・私にも、特別性教育をして・・・ください」
淫乱少女であることを自ら認めた瞬間だった
もう一度にやりと笑った林は、片手で正樹の顔を持ったまま、キスしてきた。
「あぁ・・・」
目を閉じて、口の中に林の舌が侵入してくるのをただ受け入れた。
女を選択して最初の行為・・・林の舌が自分の舌と愛しそうに絡み合って、自分が、愛されているのを感じた。
短いキスが終わると、女を選ぶ儀式が訪れる。
紙とペン・・・ここにいるクラスメートたちが、自分を女として、
淫乱少女として認めたその契約の証・・・正樹はそこにサインして、
「私は、これからの一生を、女として生きることを誓います」と書いた。
その紙が取り巻きの男の誰かに回収された。
これで、女としての自分を認める儀式は終わり、あとは、淫乱少女に・・・
性欲に溺れる肉奴隷の世界に・・・天国へと・・・落ちてゆくだけ。
「よく出来たな。美奈。ほら、まずはしゃぶるんだ」
男だったときの名前と、永遠の決別の瞬間が訪れた。
姉と同じ、美奈という名前を与えられ、肉奴隷に落ちていく、その最初のフェラチオだった。
「あぁん・・・」
まだ処女のままの美奈には、フェラチオも苦痛だった。
美奈の中に「男」もまだかなり残っている。
しかし、重い決断を下したあとの解放感で、美奈の気持ちは、昂ぶっていた。
だから、気持ちを込めて・・・美味しいと感じてしゃぶることが出来た。
「ふぅん・・・」
林を上目遣いに見つめながら、続ける。
貞操帯につけられていた、鍵がいつのまにか外された。
美奈はフェラチオしたまま、スカートを自分で脱いだ。
もう、おまんこからは林のチンポを受け入れるための潤滑液が必要以上にあふれていた。
ぽた、ぽた、とたれる美奈の愛液・・・
「もういいぞ。美奈」
そういわれると、美奈はチンポを握ったまま、口から離した。
先だし汁とよだれが混ざり合って、別れを惜しむ糸となる。
しかし、いま別れを惜しんだチンポは、すぐにもう一度美奈の中に入ってくる。
ベッドに美奈は転がされ、林が聞く。
「もう一度いうんだ。どうしてほしい?」
美奈は、処女なのに・・・「男」が残っているのに、とろけきった声で、焦点の合わない目で・・・答える。
「ここに・・・美奈のおまんこに先生のおちんちんを入れてください」
美奈は、上半身の服を脱ぎながら、足を開き、
ぐちょぐちょになった花唇を見せつけるように腰を上げ、そう答えた。
クラスメートたちの注目の下、もうココロは踊りだしていた。
そう、彼女は淫乱少女たちの中でも一際つよい光を放つ美少女であり、
ここでの絶対的権力者である、林の「天使」なのだ。
ブラジャーがはだけた状態になったときに、林の手が美奈の両膝をつかんで、
美奈の秘唇に今まで何度もしゃぶったそのチンポが当たる。
準備万端に濡れていても、処女のそれには、簡単に入らなかった。
「うぁ・・・あぁん・・・いたっ・・・ぁん・・・」
しかし、これまで32人の処女を奪ってきた林は、手際よく美奈の中に侵入していく。
「イや・・・はぁ・・・・あん・・・」
痛みと快感が入り混じった、不思議な感覚だった。
どうやら、奥まで入ったところで、林の腰が一端止まる。
淫乱少女としての本当のスタートラインに、美奈は立った。
「あん・・・あぁ・・・ぅ・・・あぁん、はぁん、ぅん」
林が腰を振りはじめた。美奈は、痛みに耐えるために軽く唇をかむ。
しかし、すぐに嗚咽が漏れる。その繰り返しだった。
美奈のおまんこの中の肉ひだは・・・処女とは思えないほど林のチンポを、愛しそうにとらえて、すぐに快楽を運んできた。
林は、ようやく天使をその手の中に入れたことに、満足して、腰を振り続けた。
二人が結合しているその部分は、こすりあうたびに美奈の愛液がいやらしい音を立てさせる。
血と愛液が混ざって、林のチンポに絡みつく。
美しさと可愛さが見事に同居した顔は、どのようにゆがんでも、ただただいやらしく、
乳首だけでなく乳房全体がぷくっと膨れ上がり、
林のチンポを受け入れ、その手によって少し固定された腰から、きゅっとくびれたウェストは、無駄な肉などついておらず、
どのようにくねっても美奈の感じている気持ちのよさと痛さを、これもまたいやらしく表現していた。
処女を失ったばかりでありながら、淫乱少女・・・
美奈は、クラスメートたちの中でも、やはり飛び切りのカラダを持っていた。
「あぁん、あん、ぅん・・・やぁ・・・・ん・・・ぁん・・」
唇を軽くかんで、痛みと、快感を表現する美奈。目は半開きで、そのカラダは林の動くリズムで動く。
美奈のカラダは林のリズムを受け入れるように、収縮したかと思えば、膨れ上がる。
全身で、その喜びを表現するのみならず、おまんこの中・・・林のチンポはかつてないほどの快感を覚えていた。
うれしい、そう思った。
苦痛が快感へと変わっていく。
この人の手でみんなと同じように処女を奪われ、後は、今までと同じように特別扱いのお姫様の生活が待っている。
そして、快楽に溺れる淫乱少女としての生活が・・・
「もう、いくぞぉ! あぁっ、いぃ・・・あぁ!」
「いやぁ・・・あぁん・・・せんせぇ・・・いい・・・」
美奈の体は、あっという間に林を果てさせた。
その子宮に熱いものが注ぎ込まれるのを感じて、林の腰の動きが止まると、
美奈は初めて自分が淫乱少女の仲間入りしたことを実感した。
そして、自分が、「美奈」とよばれる少女になったことを、実感した。
「ふふ・・・本番は・・・これからだぞ・・・」
林は、半分息を切らしながらそう言った。
毎日、見せられていた、特別性教育で本当に性奴隷へと落とされていく自分を想像する。
これから、ようやく天国が始まる。限界のない快楽が。もう、美奈の興奮は止まらなかった。
***
「あぁん・・・おじさん、すごい・・・きもちいい・・・」
淫乱少女、美奈は年老いた白髪のチンポを差し入れられて、その腰の動きに狂わされていた。
時は経ち、美奈たちクラスメートがその体を女に変えてから、5ヶ月近くが立っていた。
2月の初旬まで続いた、官能の宴が突然終わりを告げ、「社会復帰」のために淫乱少女たちは禁欲のときを強いられた。
淫乱少女たちは、しかし、「それがなければ死んでしまう」ようなセックス中毒の欠陥体ではなかった。
禁欲を命じられた間に、勉強もしたし、クラス全体としての結束を確かなものとしていた。
別れのときが近づいていた。今は3月の中旬である。
淫乱少女たちは、中断していた「修学旅行の続き」の旅にでていた。今は東京にいた。
と、いうのは林が言い出して、実現したことだったが、その実、強制女性化プロジェクトのうち、
「性産業従事にかかる女性化」の中間報告の意味合いを持っていた。
平たく言えば、お忍びでやってくるお偉いさんに、淫乱少女たちの体を楽しんでもらうための旅行だった。
その日、美奈の上で腰を振っていたのは、時の総理大臣だった。
「おじさん・・・いってもいいの・・・中に出してください・・・」
容姿、肉体の生み出す快感、売春婦としての作法、どれをとっても美奈は淫乱少女たちの中でも特別だった。
だから、特別な相手をつけられた。
総理大臣を、おじさんと呼んだ美奈は、その癒しのパワーで最後には夢中にさせてしまった。
美奈の顔、体・・・外見がまず総理大臣を昂ぶらせ・・・そのカラダから香るにおいも、しぐさの一つ一つも、
まさに芸術品だと、彼は後で表現した。
他の淫乱少女たちも、それぞれの役割を立派に果たしていた。
彼女たちは、国家の庇護のもと、生きていく価値を自ら示したのである。
総理大臣は、明日も美奈を抱くことになった。国家元首を、美奈の体が魅了した。
昼間は、修学旅行そのものだった。
美少女の集団は、目立つものだった。渋谷でも、表参道でも・・・彼女たちにかなう美女などめったにいない。
一年を里親の下で過ごして、一年後には淫乱少女たちは再び東京に集結する。
だが、そんな未来はともかく、別れのときは迫っていた。
この「修学旅行」が終われば、クラスとしては終わり・・・数奇な運命をともにした彼女たちは、
それぞれ別の土地で一年間の女子高生としての生活を送る。
「美奈ぁ。どうだった? 総理」
親友の葵が総理大臣の感想を求めてきた。
「うーん。とっても紳士的で、優しいおじさんだった」
外の世界の人間と、セックスするのは初めてであり、しかもそれが一ヶ月ぶりのセックスだった。
美奈の体を優しく愛撫して、芸術品とまで褒め称えた総理大臣とのセックスは、悪いものではなかったようだ。
美奈の里親は、北海道の、函館にいた。縁もゆかりもない土地での生活がもうすぐ始まる。
だが、少しだけましだった。
クラスメートたちが淫乱少女へと落ち、めくるめく淫欲の宴を繰り広げたあの建物は、その近くにあったのだ。
そこで、新たな「強制女性化」のプロジェクトに従事する、林のそばにいることが出来る。
また今年、何らかの方法で男たちが集められて、何らかの目的を持った「強制女性化」に晒されることになる。
子供を生むための女、性産業のための女、次は何のための女なのだろうか・・・
美奈が知る由もなく・・・ただ、たまに林と会えるということは、
新しい生活への不安の中にいる美奈には、うれしい材料だった。
「あたしは、かならず淫乱女子東大生になるんだ」
クラスで一番成績のよかった広美は、入学を約束された一流私大に満足せず、大学入試にガチンコで臨むつもりだった。
淫乱少女たちは、メリハリよく勉強もこなし、実のところ概して成績もかなりよかった。
むしろ、男だったときよりもほとんどの淫乱少女たちの成績が上がっていた。
2月に行った模試の成績がそれを雄弁に語っていた。
もとからK大学の推薦を勝ち取ろうとしていた舞子も、国家権力の力により、望みのものを得ることが決まっていた。
彼女たちは、事務的に一般入試に出かけていくだけで、合格そして入学を保証されることになっていた。
そして、女子大生となった1年後の再会を誓いながらも、別れの時にはみんなが涙を流していた。
東京で、「修学旅行」の終わりとともに、クラスメートたちはそれぞれの新しい家に向かって旅立つ。
東京駅で最後の別れを告げた後は、それぞれの旅立ちのときだった。
電車で新しい家に向かう者、飛行機で向かう者・・・同じ方向に行くものは可能なところまで一緒だった。
羽田空港へ向かう途上、福岡に向かう親友の葵との別れを惜しむ美奈。
「また・・・ね・・・」
「うん・・・美奈も、元気で・・・」
つらいときも、うれしいときも、男だったときも、処女だったときも、淫乱少女に落ちてからも、ずっと親友だった。
ずっとクラスメートだったみんなとの別れ・・・
それ以上に、一足先に飛行機の時間が来た葵との別れは、涙のにじむものだった。
函館行きの美奈は、最後まで待たされて、ひとり飛行機に乗って、新たな旅路へと向かった。
ふと、気になるのは今日、朝から姿を現さなかった、林のことだった。
「次の仕事の準備」ということだったが、それがなんなのか・・・
美奈は、また一年後にあえるクラスメートたちのことばかり気になっていたが、
林はどうしたのだろう・・・なぜか、もう会えないような気がして不安になった。
だが、もしもう会えないとしても、女子高生として新たな人生を踏み出した美奈にとっては、
初めての男との別れも、女として生きていくいい経験になるだろう。
「もう二度とお目にかかりません」確かそんなフレーズで終わる小説が、姉の本棚から拝借して読んだ小説の中にあった。
そこで描かれていたのと同じ、美奈は少女なのだ・・・女子高生なのだ。
作られた淫乱な体を持っているだけ。しかし、女子高生として生きる。
シンデレラのごとくあの建物の中での生活を送ってきた美奈・・・新しい生活が待っている。
飛行機は、その小説を書いた作家が生まれ育った、津軽平野を通過していた。もう、函館まではすぐだ。
―完―