なんか股間が凄く痛かった。
 女の子なんだからそんな直接的な表現しないで、オブラートで包むとかしろよとか言われそうだけど、痛いんだからしょうがない。
 こんなに股間が痛いなんて、そう、わたしがまだ男の子だった、あの時以来だ。

 ☆

 あの時、わたしは、友達から借りたエロ本を見ながら、必死におチンチンを擦っていた。
 あの時のわたしは物凄く必死だった。何故なら、中学の2年生にもなって精通がまだたったからだ。
 友達はみんな、声変わりがすんで骨ががっちりとしてきて筋力も強くなって、無精髭を生やす奴もいたっていうのに、
わたしときたら、チン毛こそ生えてきていたけれど、声変わりもまだで女の子みたいな声だったし、
顔も小学生みたいにつるんとしていて鬚なんか生えてくる気配もみせやしない。
もともと華奢だった身体はますます華奢になってきてたし、顔も女の子みたいで、友達と街へ遊びにいくと1日2回はナンパされる始末。
 そういうのは全部、今になって考えれば、わたしは女の子なんだから当たり前のなんだけど、
当時のわたしには凄いコンプレックスで、人並みに勃起するんだからせめて射精くらいしないとおいてけぼりになってしまう、
そんな恐怖心にかられて、わたしは毎晩必死にオナニーに励んでいた。
 わたしの身体が、どうも普通の男の子と違うらしいというのは、なんとなく分かっていた。
 例えばオナニーにしても、他の男の子達は、チンチンを擦りはじめると一気にカーっとなって、イって射精すると急に醒める感じみたい
なんだけど、わたしの場合、ゆっくりと気持ち良さのゲージが上がって、一定のピークを越えるとまたゆっくりとゲージが下がっていく、
そんな感じで、それは射精出来て無いからだと思っていたんだけれど。
 そんな感じだったから、あの日、おチンチンが痛くなった時もあんまり気にして無かった。
 あれ、膀胱炎かな? オナニーする前にはちゃんと手を洗って清潔にしてためどなぁ………
くらいにしか考えていなかったんだけど、突然股間を襲ってきた強烈な痛み。
 家中に響き渡ったわたしの悲鳴。
 その時、股間のあまりの痛さに霞んだ目でわたしが見たのは、ぼろっと崩れ落ちたわたしのおチンチンと金玉だった。
 その後、もちろんわたしはそっこーで入院。
 わたしが実は女の子だったこと、理由は分らないけれど5〜6000人に1人くらいの割り合いで、
わたしみたいに本来の性別とは違う外性器を持って生まれてくる子供がいること、etc...を教えられ、2ヶ月の入院。
 退院した後も、『今日から女の子になりました、宜しくお願いします。』なんていってそれまで通っていた学校に通える訳も無く、
たまたま父さんの妹が教師をしている某女子大付属の中学校(もちろん女子校)に転校した。
 そして、そのままエスカレータ式に女子高、女子大に進学して19歳になったんだけど。

 ☆

 なんでこんなこと思い出したのかな。初めて飲んだお酒のせいなのかな。
 ぼんやりとした頭で目を開けると、そこには、裸の女の子がいた。
 緩いウエーブのかかった長い髪、くるくると良く動く大きな瞳、小さくてぷくっとしていて友達に『食べちゃいたいくらい可愛い』なんて言われる唇、
控えめな胸の膨らみ、生理は先週終わったのにアソコから一筋赤い血が………って、わたしぃ?
 わたしは、慌てて跳ね起きた。
 な、なに? ここどこ? わたし、なんで裸なの?
 きょろきょろとまわりを見回すと、この部屋は天井だけじゃ無くて壁も鏡張りで、
お風呂とトイレは一応仕切られてはいるけど、何故か壁がガラスで中が丸見えで………、って、ここって、噂に聞くラブホテル!?
 そして、わたしの隣には、いかにも人畜無害ですっていう顔をして幸せそうに眠ってる男の子が1人(全裸)。
年齢は、そう、わたしと同じくらいだから、19歳か20歳か、そのくらい。
身体は細いけれど、ひょろひょろとかガリガリとかじゃなくて、ぜい肉や無駄な筋肉をそぎ落としたような、しなやかで強靱そうな、スポーツマンタイプ。
どこかで見た事ある顔だけど、え〜と、誰だっけ?
 脳味噌をフル回転させて記憶の糸を辿ると、そうだ、尾崎君だ。
 今日、大学の友達に『人数合わせで座ってるだけでいいから』って引っ張って行かれた合コンで知り合った………。
 って、ええ!?わたし、初対面の男の子とHしちゃったの?
 元男なのに!?

 ☆

 わたしは、男の子が怖い。元男のわたしがこんな事をいうのは変かも知れないけれど。
 友達の中には、『男の子って何を考えてるのか良く分らなくて怖い』って言う子もいるけど、
わたしの場合、男の子が何を考えてるのか分り過ぎるくらい分かってるから怖い。
 男なんて、結局、Hしたいだけの生き物だ。
どんなに人畜無害に見えても、酔っぱらってわけが分らなくなってる女の子がいたら、
初対面だろうがなんだろうがホテルに連れ込んで犯ってしまう、そういう生き物だ。
 もちろん、お互いに深く愛しあい信頼しあい、それだけじゃない関係を作り上げているカップルは沢山いるだろうけど、そういうカップルだってHはする。
 わたしには、それが耐えられない。
 男の子にキスされる、男の子に胸を揉まれる、身体中を舐め回される、、、、そんなの考えるだけでも気持ちが悪い。吐き気がする。
 実際、そうなってしまったのに、今、気持ち悪くもなければ吐き気もしないのは、それは多分、覚えていないから。
もしちょっとでも覚えてたら、わたしはきっと自殺かなんかしちゃうに決まってる。
「う〜ん、双葉ちゃん、そんなこと、いけないよ……むにゃむにゃ………」
 なんだか幸せな夢を見てる人間のクズを起こさないように、わたしは股間が痛いのを我慢しながらベッドからそっと降りた。
もし起こしてしまったら、『1回やったんだから、2回も3回も一緒だろ』とか言われて、何度も何度もレイプされちゃうのが目に見えてるから。
 わたしは、バスルームにあったハンドタオルを濡らして、太股に着いた血を拭き取った。
ベッドサイドのゲーム機や通信カラオケの端末なんかが置いてある机の上に、
綺麗に畳んで置いてあったわたしの服(当然下着も!)…………これ、尾崎君が畳んだんだろうか(汗)、
………酔っぱらった女の子をレイプするようなクズがこんなことするのかな………?
あどけない、赤ちゃんみたいな顔をして寝ている尾崎君を見てると、なんでだろう………、ああ、男なんか信用しちゃ駄目だよ!
実際、犯られちゃったじゃないか!………服を手早く身に着けて、
なんかまだ血が出そうだったので念のため座布団をつけて、バッグと携帯を掴んで部屋から飛び出した。

 ☆

 夢中だったからどうやってホテルから家まで帰って来たのか良く覚えていないけど、家に辿り着いたのは門限前の11時半だった。
「どうだった? いい人いた?」なんて聞いてくるママとか、
「なあんだ、折角ゴムあげたんだからお持ち帰りされちゃえば良かったのに」とか言ってるお姉ちゃんに、
『人間のクズが1匹いました』『お持ち帰りなんかされたら、わたしの精神が持ちません』とか心の中で応えて、
苦虫を10匹くらいまとめて噛み潰したような苦い顔をしたパパの視線を背に受けて、トイレに直行する。
 個室のドアを閉めて鍵をかけ、座布団を確認。うん、変なオリモノは無い。
 よかった、中出しはされないで済んだみたいだ。
 使用済みの座布団を汚物入れに捨てて、洗面所へ。一刻も早く身体を洗わないと。
『あなたも男でしょ。こんなに可愛い女の子をホテルに連れ込んでおいて、本当に休憩だけで終わっちゃうつもり?』
 服を脱ぎながら、洗面台の鏡に映った顔を見た時、そんな声が聞こえたような気がした。
 えっ?

 ☆

 うわぁ。ホテルでの事をどんどん思い出す。
 目の前の尾崎君はものすごく困った顔をしていた。
 初めて飲んだカルアミルクっていうカクテル1杯でベロンベロンに酔っぱらってしまったわたしをどう扱っていいのか分らないみたいだった。
 実際、あの時のわたしは砂浜に打ち上げられたクラゲのほうがマシだっていうくらい正体を無くしていたから、
ホテルで休憩っていうのも尾崎君にしてみたらそうせざるを得ない選択だったのかもしれないし、それが正解だったのかも知れない。
わたしの酒癖があんなに悪くなければ。
『あなたも男でしょ。こんなに可愛い女の子をホテルに連れ込んでおいて、本当に休憩だけで終わっちゃうつもり?』
 わたしは、確かにそう言った。
 わたしをベッドに寝かせた尾崎君が、何もしないでベッドから離れようとしたから、尾崎君の襟首を捕まえて。
 なんでこんな事を言ってしまったのか聞かないで欲しいあの時のわたしは、酔っぱらってて、これを言ったのはわたしであってわたしじゃ無いんだよ〜。
 でも、わたしは、もっと凄い事を言って、やってしまうのだ。
「ちょっと、双葉ちゃん、落ち着いて」
「おっぱいの小さな女の子は嫌い?律子ちゃんみたいにFカップじゃ無きゃ嫌?」
 あの時、わたしはそう言って、真っ赤になりながらもわたしをたしなめようとする尾崎君の手を捕って、わたしの胸に押し付けた。
「ほんのちょっとだけ小さいけど、形と感度だったら律子ちゃんにだって負けないよ?」
「だから、ちょっと落ち着いてって!」
 ここまでされても、まだ、わたしをたしなめようとする尾崎君。
 ゴメンね。人間のクズなんて言って、ゴメンね。あなたは、すっごくいい人でした。
 でも、酔っ払いのわたしは止まらない。
「実物見ないと、分らない?」
 そう言ってわたしは、尾崎君目の前でまずセーターを脱いで床に放り投げた。
次にブラウスのボタンを外し始めた時、尾崎君は「双葉ちゃん、駄目だってば」って、わたしを止めようとして、
そして、わたしはそんな尾崎君の頭を抱きかかえて胸に押し付けてベッドに押し倒した。
 ここまでされたら、どんなに偉い修行をした人だって理性がぷっつんしちゃう。だから尾崎君も………。
 尾崎君はわたしの身体をひくりかえして、わたしの上で四つん這いになった。
 真っ赤な顔でわたしにキスをして………一回目はわたしの反応を確かめるように軽く触れるだけの
、二回目は唇を強く押し付けて、三回目は舌をいれてきて………わたしの口の中を犯しながらブラウスのボタンを外して胸をはだけさせると唇を離した。
 尾崎君はわたしのブラジャーを脱がそうとしたけれど、ブラジャーのホックの構造が今一つ分り難いみたいで、
苦戦しているから、わたしが自分でホックを外してあげた。
 すると、尾崎君はものすごい勢いでわたしの胸にむしゃぶりついた。
「きゃぁ!」
 わたしは、くすぐったくって思わず声をあげる。
 右の乳首を舐めながら左の乳房を揉んで乳首を手で擦り、左の乳首を舐めながら左の乳房を揉んで乳首を手で擦り、
そのたびにわたしも「ひあぁ」「きゃはっ」とか声が出てしまって。
 キスされて、左右の乳首を乳首を交互に攻められ、それを何回も繰り替えされて、全身が熱くて熱くて仕方が無くなった頃、
尾崎君はわたしのショーツを脱がせて、「すごい濡れてる。」とかそんな事を言ったような気がするけど、頭がぼうっとしてて、その辺は良く覚えていない。
 クリトリスを舐められて指で弾かれて、軽くイかされたあと、
カチャカチャと尾崎君がズボンのベルトを外す音がして………そしてわたしのバージンは尾崎君に奪われた。


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