「西沢君・・・・こんなところで何やっているの?うちはバイト禁止のはずなんだけど」
 言葉に詰まる僕と西沢より先に口を開いたのは香坂先生だった。
 「何か事情がありそうだから今日はこれ以上言わないし学校にも言うつもりはないわ、でも・・・校則は校則よ、判っているわね?」
 「・・・はい」
 西沢は力なく答え、僕たちのオーダーとりそのまま無言で厨房へと下がっていった。
しかし西沢の態度に僕は違和感があった。  最後に会ったのはたしか・・・・そう僕の身体が変化したあの時だ。
あの時は皆気が動転していたから当然西沢も混乱していたから参考にならないが、
それ以前の西沢は僕を見つけるなりいきなり噛み付いてくるような奴だった。
 だが今の西沢は僕を見るなり目をそらし僕の方を見ることはなかった。
 「なんだったんですか西沢のやつ」
 「あら、真実君判らない? まあいいかいづれ判るわよ。あっ・・・来た来た! ここのさばの味噌煮おいしいのよ」
 香坂先生は幸せそうな顔でさばの味噌煮を頬張っている。今は何を聞いても答えてくれそうにない。
僕は聞くのをあきらめ、僕も目の前の定食に手を伸ばした。

 「ご馳走様」
 2人揃って食べ終えお茶を飲む、お茶の程よい渋みが心地良かった。
 「ねえ真実君、このあと時間ある?」
 「え・・・ええ、大丈夫ですけど、先生何か買い物でもするんですか」
 「ええ、確かに買い物だけど私のじゃないわ、あなたの物を買うのよ」
 香坂先生の言葉に僕の頭はクエッションマークで埋め尽くされた。
なぜ? なぜ僕のものを?
その僕の疑問に答えるように香坂先生はなおも続けた。
 「さっきの検査で判ったけど君は完全に女の子なの、つまり・・・月一の・・・・その・・・・月経がすぐにでも始まるのよ。
それに・・・真実君今ブラ着けてないでしょ?」
 「はい」
 「君も元男の子だからわかるわよね。・・・健全な男の子に無用な刺激を与えないで」
 そう言われ視線を下げると小さな突起が自己主張を続けていて僕はなぜだか急に恥ずかしくなって胸を手で隠した。

 30分後・・・僕は先生に連れられ下着売り場に居た。一種独特の空気が支配するこの女の聖域に足を踏み入れるのはもちろん初めてだ。
血液が顔に集まり僕の顔を赤く染め上げていた。
 「えっと・・・真実君は自分のサイズ判らないわよね?」
 「僕のサイズはMですけど・・・」
 「いや、そのサイズじゃなくって・・・まあいいわ聞いても判らなさそうだから測ってもらいましょう。
あっ・・・店員さんちょっといいですか」
 香坂先生が呼び寄せると商品の陳列をしていた店員はその手を止めこちらにやってきた。
 「いらっしゃいませ、何かお探しでしょうか」
 「えっと、この娘の分一式欲しいんですけど初めてなので採寸してください」
 「かしこまりました。ではこちらへどうぞ」
 店員に連れられ更衣室へと入り衣服を1枚づつ脱いでいく。綺麗な店員さんに見つめられちょっと気恥ずかしい。
顔が紅潮しているのが自分でも判る。でも脱ぐしかないと覚悟を決めジーンズに手をかけた。
 「それでは失礼します」
 店員はメジャーを取り出し僕の胸に巻きつけた。冷たいメジャーの感触がただでさえ敏感な胸に突き刺さった。
 「・・・・・ぁ・・・」
 声がでそうになり慌てて声を押し殺す。早く終われ、そう心で叫びながら必死で刺激に耐えた。
 メジャーが胸から腰へと這い回る。店員にしてみればただ測っているだけなのだが、まるで蛇が這いまわるような奇妙な感触に身じろぎするばかりだった。
 「はい、終わりましたよ」
 店員さんの明るい声に我に帰る。なんだか余計恥ずかしさがこみ上げてきて僕は大急ぎで服を着た。
 「ではこちらになります」
 測ったサイズから先生と店員さんが淡いグリーンのブラとショーツを選び、
当然だがランジェリーの知識の無い僕はそれを戸惑いながらもそのまま受け取った。
 再び更衣室に戻り今度は先生に手伝ってもらいそれを身につけた。
当然初めて身につけたそれは、身体を優しく包みとても心地いい、しかし僕の男としての自尊心は悲鳴を上げていた。

 女になって何度目かの朝がやってきた。ベッドから起き上がり洗面台で髪を整える。
長い髪を整える姿もなかなか様になってきた。ランジェリーを身に着け制服に袖を通す。
 もちろん戸籍が変わったわけではないので、男子用のスラックスとワイシャツだが女性用の下着を身につけたことで、
女になった直後のような不快感は無くなっていた。
 登校中の周囲の目も慣れた、依然好奇の視線を感じるが僕は僕だと割り切り以前のように気にしなくなった。
 下駄箱につき、中を確認する。実はもうひとつ以前と変わったことがある男からの手紙が増えたことだ。
もちろん相手にするつもりも無いが一応名前ぐらいは確認している。
 その中に一枚の写真が混ざっていた。そしてその一枚は僕の顔から完全に血の気を奪った。
 「あ・・・そんな・・・一体誰が」
 それはあの・・・琴美ちゃんとの・・・・情事の写真だった。


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