翌日。
佑奈は、自分が所属していたテニスサークルの部室の前に来ていた。
彼女は、以前と変わらない女子高生の制服姿だった。
昼休みに差し掛かる時間で、混雑するクラブハウスに女子高生が一人たたずむのは不自然だったが、
特にそれをとがめる者もいなかった。
むしろ時折通りすがる男達が、彼女の方をいやらしい視線で見ながら歩いていくくらいだった。
まだ部室には誰も来ていないようで、電気はついておらず鍵もかかっている。
佑奈は、その前で目的の相手がくるのをじっと待っていた。
他の余計な人間が先に来たらどうしようかとも考えたが、そのときは関心のない振りをして適当にやり過ごすつもりだった。
他の連中を先に堕としてもよかったのだが、彼女はまずあいつを堕とす、そう決めていた。
五分ほどそこで待っていると…運良く(相手にとっては運悪くだが)佑奈が目的とする相手が真っ先にやってきた。
酒井晴実(さかいはるみ)、今年入ってきたばかりの一年生。
佑奈がかつて告白したものの、それを断った女性。
まだあどけない少女のような風貌で、淡い茶髪のポニーテールがかわいらしい。
佑奈と視線が合うと、知らない相手(佑奈にとってはそうでもなかったが)にもかかわらず、にこっと微笑みを返してきた。
佑奈が部室の真前で立っていたせいか、晴実のほうから声をかけてきた。
「あなた高校生? こんなところでどうしたの?」
詰問調ではなく、優しく語りかける声音だった。
佑奈は、心の奥に秘めたどす黒い欲望を抑え、あくまで女子高生といった感じで振舞った。
「あの、あたし…来年この大学に入学予定なんです。それで、サークルっていうのがどんなのか知りたいな…って思って…」
「そう…いいわよ。中に入って」
適当な言い訳だったが、どうやら晴実はそれを信じこんだようだ。
晴実は鍵を取り出し、部室の鍵をあけた。
「わあ…」
見慣れた部室。いままで3年以上ここで過ごしてきたのだ。
しかし、佑奈ははじめてみるかのように振舞った。
「汚い部室でしょ?先輩の男子部員が散らかすからもう大変なの」
うんざりといった感じで肩をすくめる晴実。
「午後から練習があるんだ。…といっても遊びみたいなもの。
みんなでわいわい楽しもうっていうのが大学のサークル。高校の部活とはぜんぜん違うわね。
せっかくだからあなたも見学していったら?」
「はいっ!」
「そうそう、まだ名前を言ってなかったわね。あたし、晴実。あなたは?」
「佑奈っていいます」
「ちょっと着替えてくるから待っててね。すぐ戻ってくるから」
晴実はそういうと、着替えを持って更衣室のほうへ行ってしまった。
晴実の姿が見えなくなると、佑奈の口がニヤッとゆがんだ。
そして、佑奈は晴実の後を追いかけていった。
「それにしてもいきなりサークルの見学したいなんて、変わった子ね…」
そういいつつ、待たせてはいけないと思い手早くテニスウェアへと着替えを済ませる。
ふと、後ろに人の気配を感じた。
振り向くと、そこにはなぜか佑奈が立っていた。
「あら、あなた…どうしてここに?」
「晴実さん…いや、晴実…やっぱりその格好が一番かわいいね」
「えっ…なに言ってるの?」
佑奈の態度のあまりの変わりように驚く晴実。
「かわいいポニーテール、その短いスコートから見える綺麗な脚…」
「ちょっと、どうしたのよ?」
「好きだ…」
「えっ?」
「晴実のことが…好きだった…なのに…おまえというやつは…」
佑奈の声が憎悪の色を帯びる。
この子、普通じゃない!
晴実は身の危険を感じた。しかし、更衣室の唯一の出口は自分から見て佑奈の向こう側。
いちかばちか、晴実は出口に向かってダッシュした。
ばしっ!
晴実の二の腕を、佑奈の右手ががっちりとつかんだ。
「逃がさない…あなたはあたしのもの…」
「ちょっと、離して!離してよ!」
佑奈は空いている左手で晴実の顔を引き寄せ、強引にキスをした。
緊張で乾いた晴実の唇を、何度も何度も吸う。
舌を晴実の中に入れようとする。晴実は固く唇を閉じ、それを拒もうとする。
すると、佑奈の右手がするするとテニスウェアの中に入り、晴実の胸をブラジャーの上からつかんだ。
一瞬晴実の体に電気が走り、おもわず閉じていた唇をあけてしまう。
その隙を見逃さず、佑奈の舌が侵入してきた。
晴実の中をなめ回し、逃げる晴実の舌を執拗に追い回し、舌同士を深く絡ませる。
抵抗していた晴実の腕がだらんと垂れ下がり、その目が次第に潤んできた。
それを見て、晴実をもっととばかりにぐっと引き寄せ、体を密着させる。
興奮した佑奈の熱い体温が、晴実に直に伝わってくる。
たっぷり5分はそうしていただろうか、(晴実にはそれが終わることのない永遠にも思えたが)佑奈が唇を離した。
晴実は息も絶え絶えといった感じで、
「あ、あなた…いったい…だ、誰なの?」
「知りたい? あたしの正体。自分の胸にでも聞いてみたら」
「そ、そんな…ひゃあっ!」
いきなり佑奈は晴実を押し倒した。
晴実の健康的に焼けた首筋に舌を這わせ、テニスウェアの上から胸をわしづかみにする。
「ひゃあんっ…あっ…ね、ねえっ…お…あんっ…教えて…あっ…だ、誰なの…?」
佑奈は胸から手を離すと、その手をいきなり晴実のスコートの中に突っ込んだ。
晴実の全身が一度びくっと大きく震えた。
「ここをこんなに濡らしちゃうようないやらしい女のくせに、男の誘い一つ受けられないなんてね。
せっかくあんたのことを好きな男があんたと付き合ってやろうって言うのに断っちゃうなんて。
一週間くらい前の話だったかな。あはははは」
晴実のおびえの表情が一段と濃くなった。
「なに…なんなの…なんで…そんな…」
「感謝しろよ。その男がいまこうしてあんたをかわいがってやってるんだからな」
男だった頃の思いが表面に出てきたのか、それまでなかった男言葉が佑奈の口から出てくる。
「えっ…それって…」
「鈍い女だな。あんたが一週間前にふった男、それが今のあたしなんだよ!」
言いながら、佑奈の手がスコートの中で激しく動き始める。
晴実がいっそう激しい喘ぎ声を上げる。
「あああっっ…ああんっ…いやあっ…や…やめ…やめてぇ…」
「うふふ…でもね、もういいの…晴実も、もうすぐ真希様の力になれるんだから…」
元の女言葉に戻った佑奈がスコートから手を抜く。その手を自分のチェックのミニスカートの中に入れる。
「もうこんなに濡れたんだからいいわよね。あたしも…」
再び佑奈が晴実の上にのしかかる。
「いやあ…やめて…助けて…なんでもするからぁ…」
晴実の目には大粒の涙がいくつも浮かんでいた。
「ふふっ…怖がることはないの…あなたの精気がほしいだけ…それにね、それはとっても気持ちいいことなの」
佑奈は、白いブラウスから伸びる両腕を晴実の首筋に巻きつけ、晴実の唇を奪った。
制服のミニスカートから伸びる脚を晴実の脚にまきつけ、晴実の脚の動きを封じる。
すべすべの素足が触れ合う感触が互いに伝わってくる。
二人の背丈がほぼ同じなので、互いの乳房同士が触れ合う格好になった。
そして、短いスカートの部分では、すでに濡れきった二人の股間がスカート越しに触れ合っていた。
佑奈は体をずらし、晴実の胸と股間を自分の胸と股間で刺激した。
「んんっ!」
「んふっ…」
二人の喘ぎ声が、密なキスでふさがれた口からわずかに漏れる。
そのまま佑奈は体の動きを加速した。
自分の乳房が晴実のそれを押しつぶす格好だったが、しだいに晴実の乳房も堅さを増し、
先端の突起が大きくなってくるのがわかった。
その堅くなった晴実の乳房に、もっと強く自分の胸を擦り付ける。
更なる快感が佑奈を襲い、佑奈の動きが激しさを増す。
スカート越しに密着した股間は、二人の愛液がスカートに大きな染みを作り、
すり合わせられる度にくちゃっくちゃっと音を立てていた。
そんな中でもほんの一瞬も晴実の唇を離さない佑奈。
やがて、晴実の全身が痙攣をはじめた。
晴実の体が懸命に佑奈の支配から逃れようとする。
だが、佑奈の体が全身をぴったりと押さえつけ、その自由を許さない。
佑奈は晴実の唇をこれまでのどんなキスよりも強く吸いつづけた。
その時、佑奈は自分の全身が活力で満たされるのを感じた。
なにかが晴実から流れ込んでくる、そんな感触だった。
唇を離し、仰向けに横たわる晴実を見下ろした。
晴実の体は、瞬き一つせず、ぴくりとも動かなかった。
その美しくも乱れた姿は、佑奈をぞくぞくさせずにはおかなかった。
「ふふっ…やっぱり女の子の力っていいわね…」
晴実の精気を吸い尽くした佑奈は、スカートのポケットから
ペーパーナイフか何かナイフ状の物を取り出した。
「これって本当に使えるのかな…」


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