しばらく互いに唇を重ねた後、令は瑞稀を優しくベットに寝かせた。
そのまま首筋に顔を埋め、顔から肩口にキスの雨を降らせる。
「令く…ん……あぁ……はあぁぁ……」
少しずづ声が荒くなる瑞稀に合わせるように、優しく制服の上から胸を揉む。
男としての本能から、どうしようもなく興奮している心の裏で、令の理性はなぜか信じられないぐらい冷静だった。
多分それは経験のせいだと令は自嘲する。
しかしそれと明らかに違うのは、今回は令が仕掛ける側だという事だ。心が男として歓喜しているのだ。
令はひさしぶりに自身が女である事を忘れた。
服の上から瑞稀の胸を揉み上げ、彼女が嬌声を発する度に心が踊る。
「杉島さん、気持ちいい?」
高ぶった気持ちで、思わず意地悪な質問をしてしまう。
が、瑞稀はそんな令の言葉に抗議の視線を投げかけた。
「名前で……」
「え?」
「瑞稀って呼んでって言ったじゃない……そんな他人行儀なの、やだ……」
ゆっくりと体を起こし、瑞稀が令を見つめる。
目がそう呼んでと訴えていた。
改めて求められるとやはり照れるが、令もそんな彼女の気持ちがわからないほど無粋ではない。
いささか照れながら口を開く。
「瑞稀……さん」
「うん!」
令の一言に瑞稀は嬉しそうに頷くと、今度は彼女が令を抱きしめ顔を埋める。
「あうぅっ……あ、み、瑞稀さ……はあっ!」
まるで報復とばかりに瑞稀は先ほど令がやったのと同じ事を自身に仕掛けてきた。
不器用ながら優しい愛撫、それはまさに愛する者への行為だ。
しかし令は今回まだ心に大きく男の部分を残している。故に頭には男としての欲望があった。
一方的にされるわけにはいかない、逆に令の側から責めたいと。
ちょっと強引に瑞稀の体を横に倒し、そのまま制服のリボンに手を添えた。
それはこの服を脱がすのに最初に手を掛ける場所。無論瑞稀もその意味がすぐに理解できた。
「うん……いいよ」
頷き、目を逸らして照れる。令は暴走しようとする”男”を必死に抑え、優しくリボンを外す。
悲しい事に彼女の制服を脱がせにかかるのに、令は何の躊躇もいらなかった。
自分のされた事をトレースするだけ。それは自分が女として得た事。
女になったが故に男として無様な姿を晒さないで済んだという事が令には強烈な皮肉に思えた。
が……ボタンを外したインナーシャツから彼女の胸が現れた時、そんな考えは一瞬で吹き飛んだ。
吸い寄せられるように顔を近づけ、そのまま手と口で胸を刺激する。
「ああああン! 令君、そんな激しく……あうッ!」
柔らかい感覚が手に伝わる。考えてみたら令はこういう風に女の人の胸を触るは初めてだ。
刺激するたびに瑞稀が甘い声を上げる。その声がまた令の動きを加速させる。
そして胸を責めたまま、右手を静かに瑞稀のスカートの中に入れた。
ショーツに触れた途端に彼女の体がびくんと跳ねたが、抵抗はされなかった。
そのままなぞるように指をショーツの内側に入れ、その先が静かに彼女の最も神聖な場所に触れる。
「やあぁッ、ああああぁ!!」
瑞稀の声が途端に大きくなった。そしてそれが令の心に更なる興奮を与える。
令は抱く側の快楽というものを初めて知った。セネアや姉の行為の意味が少しだけ理解できた気がする。
瑞稀をもっと鳴かせたくてたまらなかった。感じれるだけ感じ、よがり狂って欲しかった。
しかし令はそのための技術を知らない。抱かれた事はあっても抱いた経験が無いのだ。
だが令の経験は現実的に限りなくイレギュラーなもの。その経験は”女として悦ばされた”ものだ。
つまり裏を返せば……令は初めて女の体になった事を少しだけ感謝したい気持ちになった。
「瑞稀さん……悦ばせてあげる」
「え?……れ、令君?」
令の意外な言葉とその顔に、瑞稀は驚きの声を上げた。
令はその時、本来男であったとは思えないほど妖艶な笑みを浮かべていたのである。
それは令本人にも無意識なもの。
多分に心は責める立場の者だったのだろうが、肉体が自身の経験を”同じ立場の相手に与える”と理解していたからなのだろう。
そして秘部と胸に添えられていた指が、ゆっくりとその動きを再現し始めた。
「な……! ああああぁ―――ッ!!」
左手で胸を下から包むように揉み上げ、舌でその頂点の頂をねじるように舐める。
同時に右手は親指で肉芽を、そして残りの指で秘部をピアノの旋律の奏でるようにすり上げる。
それはセネアが令の肢体に快楽を与えるために行ったもの。
令の体にセネアが刻み込んだ、女の快楽を引き出すための肉体の記憶だった。
「令……君やめっ……やぁッ! ふあああぁあぁああ―――ッ!!」
瑞稀は明らかに快楽を抑え切れていない。快楽のせいで体が言う事をきいていないようだ。
初めて心が本来の立場で行為を行える事に令はこれ以上ない喜びを感じた。
−すごい……今僕は瑞稀さんを鳴かせている!−
どんどん声が高くなる瑞稀の前に、令の心はいよいよ暴走寸前まで来ている。
そう、もう行き着くしかなかった。体は無意識にそれを実行しようと動く。
左手で乱暴にパンツを下げた。後はそれを彼女に……!

ぴちゃり。

そんな音がした。予想だにしない、理解できない音。しかしそれは今の令の現実。
令は唐突に夢から醒めた。先ほどまでの興奮が嘘のように引いていく。
静かに彼女を責めていた手が止まる。我慢しようとしても、勝手に口から嗚咽が漏れた。
「令…君?」
自身を責めていた快楽の嵐が唐突に止まり、瑞稀は令を見上げる。
令は自分のスカートに手を入れたまま止まっていた。そしてその目には、微かな涙が浮かんでいる。
令は瑞稀を抱こうとした。そう、自身の肉棒で彼女を貫こうとしたのだ。
しかし令の体には今、令の望むものは無かった。手は虚しく、興奮で濡れた秘部に触れただけ。
僕は彼女を愛せない−そんな絶望のような心が令を支配する。
「やっぱり……ダメなんだ。僕はもう……」
涙が頬を伝った。ここまでの行為を助けてきた令の体は、最後の最後で一番残酷な現実を用意していたのだ。
そのまま静かに涙する令を見て、瑞稀もようやく令の心境を理解した。
静かに体を起こし、令の頬に手を添える。だが令の悲しみは簡単に消えるものではない。
しかし……
「一つに……なりたい?」
ぽつりと出る瑞稀の言葉に、令は意味もわからず顔を上げる。
慰めかと思ったが、今の瑞稀の照れているような顔にはそんな意図は見られない。
そんな心の疑問符が顔にも出てしまったのだろう。瑞稀は軽く笑うとベットから立ち上がった。
そのままクローゼットの前まで歩いて行き、その下に付いた引き出しを開ける。
何枚かのカラフルなスポーツタオルを取り出し、その一番奥から何かを取り出す。
しかしそれも白い地味なタオルだったが……彼女はそれを手に取ると令に差し出した。
意味もわからず受け取る令。だが手に取るとすぐ中に何かが包まれている事がわかった。
「……これは? 開けていいの?」
令の疑問に瑞稀は顔を赤くするだけで答えない。その顔は何故か自分を責めているようにも見える。
結局令は彼女が自らこれを差し出したのだからと、答えを聞く事なくタオルを開き始めた。
そして最後の折り目を開いた瞬間、令は予想もしなかったものの登場に絶句する。
「また使う事が来るなんて、無いと思ってたけど……」
彼女の呟きも、令の耳にはほとんど入らなかった。それ彼女の部屋にあってはならぬもの。
杉島瑞稀というキャラクターには明らかに噛み合わないもの。
それは青い透明なプラスチックで出来た双頭のディルドーだった。
「瑞稀さんって……レズとか自慰狂いとか、そういう趣味が?」
「無いってば!! そんなのは絶っっっっっっ対無いわ!」
半分は令に怒り、半分は自身に言い聞かせるように瑞稀はそれを否定する。
もう顔まで真っ赤で恥かしがっている瑞稀の姿が可笑しくて、
令はいつのまにやら先ほどまでの陰鬱な気持ちまが吹き飛んでしまった。
が、そうなると俄然興味が沸いてくる。当然の疑問が口に出た。
「じゃあどうしてこんな物が?」
「お願い……それだけは聞かないで……」
その真っ赤な顔のまま、事の解答だけは却下する。
見た感じ深刻な事情というよりは思い返すと恥かしいという部類の経緯のようだ。
多分これ以上強引に聞いても瑞稀の性格からすると、おそらく答えてはくれないだろう。
それでも聞いてみたい気はするが……
「理由はもういいでしょ……それより令君、その……したい?」
赤い顔で上目使いに瑞稀が聞いてくる。当然答えは一つしかない。
「……したい」
令は言葉とともに、瑞稀の体を再びベットに押し倒した。


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