【初めに】心理学とは
初めにみなさんは心理学と聞くとどんなイメージが浮かぶでしょうか?
難しそう、面白そう、あるいはうさんくさいと思う人もいるかもしれません。
人の心の中をのぞいたり、思い通りに操ったりというイメージを抱く人もいるでしょう。
このサイトでは心理学に関する用語をわかりやすく解説しています。
これらの用語を学ぶことで、心理学に対するあなたのイメージが大きく変わるかもしれません。
まずは、心理学やこのサイトの趣旨をより理解していただくために、以下の3つに分けてご紹介しましょう。
- 心理学とは
- 心理学の種類
- 心理学を学ぶメリット
心理学とは
心理学とは、英語の「Psychology」を語源から直訳すると「心の科学」と言うことができます。
日本語の心理には「心の有りよう」という意味がありますが、心理学は心だけではなく心の有りようから発生する行動も対象としています。
むしろ人の行動を分析して、なぜその行動をしたのかその原因となる心理を解明しようとしたのが心理学の始まりとも言えます。
また、個人個人の心の有りようだけでなく集団心理も心理学の範疇に含まれています。
つまり心理学とは、人の心の有りようと行動の関係を科学的に実験、分析して、その結果を人が生きていく上で役立てようとする学問です。
ただし、心理学は学問の大きなくくりのひとつですから、心理学の中でさまざまに枝分かれをしていった、いわばサブジャンルもたくさんあります。
たとえば、犯罪者の心理を専門に研究さする「犯罪心理学」もそのひとつです。
次に心理学には一体どれくらいのサブジャンルがあるのか、心理学の種類をご紹介します。
心理学の種類
心理学を分類したときに、まずは大きく以下の2つに分けることができます。
- 基礎心理学
- 応用心理学
基礎心理学は心理学の活用が目的ではなく、一般的な法則として論理的に解明することを目的とした心理学です。
いわば、心理学を応用するための基礎的な研究をしている心理学と言えます。
応用心理学はその名称のとおり、心理学を日常生活で応用することを目的とした心理学です。
そのため、スポーツから教育、犯罪まで幅広い分野の心理学が存在します。
基礎心理学の種類
基礎心理学には以下の種類があります。
生理(生物)心理学
生理心理学とは、心の変化が体にどのような影響を及ぼすかを研究している心理学です。
たとえば嘘をついているときに発汗作用が見られるなどは、生理心理学の分野になります。
認知心理学
認知心理学とは、知覚、言語、記憶、思考、学習、推論、問題解決といった高度な知的活動に関する心理学です。
認知心理学ではこれらの認知機能をシステムと考えていて、コンピューターを扱う情報科学とも密接な関係にあります。
発達心理学
発達心理学とは、年齢とともに心がどのように変化をするのか研究する心理学です。
年齢によって研究対象が異なるため、さらに乳幼児心理学・児童心理学・青年心理学・老年心理学の4つの種類があります。
学習心理学
学習心理学とは、人間は経験によって学習をしますが、その学習によって行動が変化することを研究する心理学です。
有名な「パブロフの犬」の実験も代表的な学習心理学のひとつです。
犬に餌を与える前に必ずベルを鳴らしていると、ベルを鳴らすと条件反射でよだれを流すようになった実験がパブロフの犬の実験です。
社会心理学
社会心理学とは、社会的な要素がどのように心に影響するのか、集団内での人間関係を研究する心理学です。
性格(人格)心理学
性格心理学とは、個人を特徴付ける継続的な行動パターンとしての性格、パーソナリティを理解するための心理学です。
行動心理学
行動心理学とは、人間の行動とその行動の背景にある心理を研究する心理学です。
つまり、人間の行動から感情を読み取ったり、行動パターンから心理を研究したりする心理学と言えます。
応用心理学の種類
応用心理学はより実生活に役立つ心理が研究されているので、基礎心理学よりも種類が多い特徴があります。
臨床心理学
臨床心理学とは、医療現場で応用される心理学で、心の病気や予防を目的とした心理学です。
ストレス社会と言われる現在ではとても重要な心理学になります。
犯罪心理学
犯罪心理学とは、過去の犯罪者にプロフィールや人格を分析して、犯罪の解決に役立てる心理学です。
また、犯罪者の更生にも犯罪心理学は役立っています。
産業心理学
産業心理学とは、産業活動をする上での心理を研究する心理学です。
労働環境の改善や労働災害の防止、さらには疲労回復やストレスの改善も研究対象です。
教育心理学
教育心理学とは、効率的な教育や教育問題の解決を目指す心理学です。
子供の健全な成長に関する知識が身につくので、教師や教師を目指す人は学ぶのが必須の心理学と言えます。
災害心理学
災害心理学とは、災害と人間心理の関係を研究した心理学で、災害が起きたときの心理と行動を研究対象としています。
対象になる災害は自然災害の他に、労働災害・家庭内災害・交通災害も含まれ2次災害の防止も研究対象です。
スポーツ心理学
スポーツ心理学とは、スポーツに関わる課題を心理学的側面から明らかにして、スポーツの実践や指導に科学的知識を提供する心理学です。
具体的にはプレッシャーのかかる場面でどのようにメンタルを安定させるかというように、スポーツで最大のパフォーマンスを発揮させることが目的です。
家族心理学
家族心理学とは、文字通り家族関係を対象とした心理学で、家族内で発生する数多くの問題を心理の面から解決を目指すための研究が行われています。
たとえば、子供の不登校や家庭内暴力、家庭内離婚などが研究の対象です。
芸術心理学
芸術心理学とは、芸術の創作や鑑賞を行うときに、人間がどのように芸術を認知したり感情を動かしたりするのかを研究する心理学です。
対象となる芸術には、詩・小説・戯曲(言語芸術)、絵画・彫刻・建築(造形芸術)、舞踊・演劇(表情芸術)、音楽・効果音(音響芸術)などがあります。
学校心理学
学校心理学とは、子供の成長を援助するための心理教育的援助サービスの理論と実践を行う心理学です。
学習面、心理・社会面、進路面、健康面と、教育面だけにとどまらず広い範囲で子供の成長に関わる心理学と言えます。
交通心理学
交通心理学とは、交通場面(運転、歩行、旅客など)での人間の行動を解明して、交通事故や交通トラブルの回避することを目的とした心理学です。
健康心理学
健康心理学とは、健康の維持と増進、病気の予防と治療に関する原因や対処を心理学的に研究する心理学です。
また、健康教育やヘルスケアシステム、健康政策の構築などにも、心理学からの貢献を目指しています。
環境心理学
環境心理学とは、環境が人間の心理に与える影響を研究して、生活環境を改善することを目指す心理学です。
環境には自然環境以外にも人工的な環境も含まれ、研究対象は環境刺激と心理的反応、居住・仕事・学習等の施設の環境、災害と環境問題、自然環境の保全と管理など多岐にわたります。
動物心理学
動物心理学とは、人間以外の動物の心と行動を研究する心理学です。
動物の心を判断する方法として感覚・知覚・認知の3つの方向から研究し、さらには「学習」「推理」、「思考」、「記憶」「社会的な知性」、「意識」や「内省」も研究範囲です。
応用心理学を含めると心理学には数多くのジャンルがあり、人間の心理の多様性がうかがえます。
次に専門家ではない私たちが心理学を学ぶメリットについて考えてみましょう。
心理学を学ぶメリット
心理学とは人の心を研究する学問です。
そのため、人として生きていく上で切り離すことができない心について学ぶことはメリットしかないと言えます。
心理学の中でも「バイアス」という概念については、専門家でなくても知っておくと日常生活にも役に立つことがたくさんあります。
まずは、心理学とは何かを実践的に学ぶために、バイアスの概念を簡単に知っておきましょう。
バイアスとは
バイアスとは、心理学では「認知バイアス」と呼ばれていて、経験や思い込み、周りの環境などにより、物事を非合理的に判断してしまう原因となります。
バイアスは変更や先入観、データなどの偏り(かたより)を意味します。
つまり、簡単に言えば人間の行動や判断はバイアスによってゆがめられていると考えられます。
たとえば、ゆがんだメガネを掛けて周囲を見ているのと同じですが、バイアスはひとつだけではないのでいろいろなメガネを何重にも掛けている状態と言えます。
バイアスは数百あるとも言われているので、人間は必ず何かしらのバイアスがかかっていると考えて間違いありません。
具体的にはどんな認知バイアスがあって、どのように言動に影響しているのか、代表的なものを見てみましょう。
認知バイアスの例
代表的なバイアスの内容をいくつかご紹介しましょう。
確証バイアス
確証バイアスとは、自分が正しいと考える意見や主張を裏付ける情報ばかりを集めてしまう認知バイアスです。
無意識に都合のよい情報ばかりを集めて、不利な情報は無視してしまう心理的な偏りです。
正常性バイアス
正常性バイアスとは、非常事態になっても「たいしたことはない」と考えて正常であることを保とうとするバイアスです。
非常ベルが鳴っても訓練だと思い込んで、すぐに避難しないのは正常性バイアルがかかっているからです。
自己奉仕バイアス
自己奉仕バイアスとは、成功したときは自分のおかげで、失敗したときは周囲のせいだと考えてしまう認知バイアスです。
特にプライドが高い人は自分の失敗を認めたくない心理が働き、自己奉仕バイアスにかかりやすくなります。
後知恵バイアス
後知恵バイアスとは、物事が起きた後に予測できたことだと錯覚する認知バイアスです。
「やっぱり」「わかってた」といった言葉を使うときは、後知恵バイアスにかかっている可能性があります。