あれから一年・・・出港した箱舟は武道館に帰ってきた・・・
GHCヘビー級選手権
選手権者・三沢光晴 対 挑戦者・秋山準
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ピュア・ブライトの衝撃。
それは平成の日本マット界の第一人者として君臨してきた
”緑光のエース”さえもブチ砕いて見せた。
秋山 準。
今後、プロレス界はこの男を中心に回っていくのか・・・。
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26日、夏コミ用の夏穂本の入稿も無事終えた。
翌日27日、散髪しに床屋へ。そのまま真っ直ぐ聖地・日本武道館へ向う。
昨年日本プロレス界に文字通りの”激震”を引き起こした老舗・全日本プロレスの分裂劇。
何と27人中、23人のレスラーが離脱するという異常事態。
三沢光晴を中心に、「プロレスリング・ノア」誕生。
そう。この日はノア(箱舟)が出港してからの一周年記念興行なのだ。
これはちょっと【釣りキチ同盟】の坂本サルトムント練馬さんとは見解が異なるが、
オレ的には三沢が独立したのは充分理解できる。
っていうか、馬場さんが亡くなった時点でいつかはこうなるだろうと思っていた。
結果論ではない。11年前、天龍が退団したのも馬場夫人・元子さんとの
確執が原因だったのだから。
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実は武道館での観戦はこれが初めて。もう完全な”おのぼりさん”状態(笑)。
凄い人だ!!
ここはコミケ会場か!?スグにこういう考えをおこす自分にちょっと嫌悪感。
会場に入るとイカン、もう第一試合が始まっている。
杉浦の原爆固めが決まった。ワン、ツー、スリー。げ。
第一試合はほぼ見ることが出来なかった・・・(泣)。
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改めて会場内を見渡してみた。凄い人・人・人。
ノアの発表では16,500人。無論超満員札止め。プロレス興行では今年一番の入りである。
復帰が待たれる小橋建太に先駆けて、セミファイナルでは高山善廣が登場。
ノー・フィアー復活。
序盤は押されたものの、スグに大森との連携を回復させるとあとは待ったなし。
”猛軍”(笑)力皇&森嶋をパワーで蹴散らしていく。
結局12分47秒、高山の伝家の宝刀ともいうべき高角度原爆固めが力皇に炸裂。
秋に開催される、GHCタッグ王座決定トーナメントでもノー・フィアーは
優勝候補最右翼といっていいだろう。
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いよいよメイン・エベント。GHCヘビー級選手権。
まずは秋山が何と新日の永田を引きつれて入場。会場内に大声援が起きる。
しかし。
「スパルタンX」が鳴り響くと同時に、それを上回る大声援が!!
そしてオレの周りの観客達が一斉に立ち上がり、
「ミ・サ・ワ!!」の大コール。
観客のほとんどは三沢ファンか!?
いよいよ大一番が始まった。
序盤は教科書通り(?)の静かな展開。それもスグに大きな”波”に変わる。
三沢がエルボー!!それに対して秋山もエルボーで応戦。
だがエルボーにおいては、数々の苦難と強敵を「砕いてきた」三沢のそれがやはり上。
突然の三沢の猛ラッシュ。たまらず片ヒザをつく秋山
戦前は「秋山断然有利」といわれていただけに、この展開にはビックリ。
たまらず場外にエスケープする秋山に、間髪入れずに三沢の
エルボー・スイシーダが炸裂!!
ここでまた大・三沢コール。しかしコーナーに上がった三沢を秋山がドロップキックで場外に叩き落す。
入場用の花道の上から、マスコミに対し秋山が「どけ!どけ!」と指示。
三沢の体をエクスプロイダーの体勢に捕らえる。
断崖絶壁式エクスプロイダー!?
オレの周りからも一斉に「マジか!?」「ウソだろ〜?」といった声が漏れる。
しかしこれは辛くも三沢がエルボーでカット。
戦前の予想に反して、三沢ペースで進む19分。コーナーに登った秋山に、
逆に三沢が飛びつきカットする。懸命に応戦する秋山。
ここで再び三沢が”黄金の右ヒジ”で秋山の動きを止める。
リバース・フルネルソンに捉え、トップロープ(!)に両足をかける。ま、まさか・・・。
オレの周りから「殺す気か!?」との絶叫が。
気合一閃、三沢が秋山の体を引き抜いた!!
雪崩式タイガー・ドライバー!!!!!
武道館の天井が抜けんばかりの大声援が巻き起こる。
試合前三沢は「非情なヤツにはそれを上回る非情にならないと勝てない」と言っていたが、
98年の年間最高試合に輝いた、対小橋戦のあの断崖絶壁式タイガードライバーをも上回る衝撃。
実は秋山自身あの一発で『やっぱり三沢さんには勝てないのかな』と思ったそうだ。
オレも、会場内の大部分のファンだってそう思った。
だがここから秋山は神がかり的な反撃に転じる。
フロント・ネックロック、垂直落下式ブレーン・バスター、エクスプロイダー2連発。
しかし、エースと呼ばれた男は文字通り「気力で」はね返す。
「非情になりきった」秋山がついに最終兵器を繰り出した。
ワンハンドクラッチ・エクスプロイダー!!
「受け身の天才」といわれたあの三沢が、受け身を取れずに脳天から叩きつけられる。
24分11秒、スリーカウントが入った!新チャンピオン・秋山準誕生!!
秋山、ついにシングル王座初戴冠。
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終了のゴングと同時に新しい風が吹いた。それが率直な印象である。
今はまだGHCはローカル・タイトルの域を出ていないと思う。
「地球規模の崇高なる王位」となるにはもう少し時間が必要だろう。
そしてそれは秋山や今日破れた三沢、そしてノアの他の選手たちの頑張り次第だ。
オレがこの試合で見たのはかつての”王道プロレス”ではない。
でも馬場さんの”王者の魂”はしっかりと教え子達に受け継がれていた。
そう、今日のような試合をしていけば、「その日」はきっと。