アイルトン・セナの魂が眠る地に刻む・・・
ラルフ・シューマッハ、
F−1参戦70戦目の初勝利!!
AP・共同通信より

「一体今年のフェラーリとシューマッハは何勝するのか?」
T2000の同人誌の表紙CGを担当してくれている山っちくんが、
F−1第2戦マレーシアGPを見終えて思わず発したセリフだった。
それはそうだ。唯一のライバルと目していたマクラーレンが
速さの面でまったく歯が立たなかったのだから。
「ヘタしたら17戦全勝もありえるんじゃ・・・」
それは大げさとしても、ナイジェル・マンセルがウィリアムズ・ルノーFW14Bを駆り、
開幕5連勝や年間ポール・ポジション獲得回数14回といった数々の記録を打ち立てた、
あの92年が再現されると思っていた。

しかしオレの考えが浅はかだったことが、ブラジルGPで明らかになった。
やはりフォーミュラ・ワンはそのように底の浅いものではなかった。
「今年のマシン、FW23はかつての競争力を取り戻すために”勝負に出た”マシンだ」
ウィリアムズのテクニカル・ディレクター、パトリック・ヘッド氏は開幕前
自信満々にこう語っていたものだ。
その言葉通り新星モントーヤが途中リタイアしたものの、シューマッハを相手に互角以上の戦いを展開。
いや、ウィリアムズだけではない。
「覇権奪回」を合言葉に開幕2戦でフェラーリに遅れを取ったマクラーレンも
アドリアン・ニューウェイが施した空力モデファイが吉と出て、
デビット・クルサードがシューマッハ&フェラーリを力でねじ伏せる。
開幕当初のフェラーリ楽勝ムードはどこへやら、21世紀最初のF−1グランプリは
大波乱の予感を漂わせ始める。
「今年はデビット・クルサードが世界チャンピオンになるよ」
メルセデス・ベンツのスポーツ部門総合責任者、ノルベルト・ヒューグ氏が
これまた開幕前に自信満々に語っていたセリフが思い出される。

第4戦。「春のフェラーリ祭り」(笑)サンマリノGP。
サンマリノの名を関してはいるものの、開催地はイタリアのイモラ市である。
サーキットはフェラーリの”聖地”アウトドローモ・エンツォ・エ・ディノ・フェラーリ。
かつてはF−1屈指の高速テクニカル・サーキットだったエンツォ・エ・ディノ・フェラーリも
”あの”94年から大改修が施され、今では「充分に安全面を考慮した」
シケインだらけのストップ&ゴー・サーキットに。
安全面を考慮した事に異存は無いが、御陰様でオーバーテイク・ポイント(抜き所)がまるで無い、
豪快なパッシング・シーンなどほぼ期待できないサーキットとなってしまった。
そんなサーキットだから、予選順位が大きくものを言う。
真紅の跳ね馬がフロント・ローを独占するのを期待して、大挙してティフォシ
(イタリアの熱狂的フェラーリ信者)が駆けつける。
なにせイタリアではことわざにすらなっている(ホントだよ)フェラーリである。
しかし・・・
「銀河帝国復活かっ!?」(by 長坂アナ)
PPデビット・クルサード、2位ミカ・ハッキネン。マクラーレン久々のフロント・ロー独占。
シューマッハのPP獲得を期待していた13万人のティフォシ達から、思わずため息。
「明日はフェラーリのパーティーを台無しにしてやるさ」
前回ストップ・ザ・シューマッハを成しえ、PPを獲得したデビット・クルサードの
何とも憎々しいセリフである。

決勝スタート。デビクルとミカの”銀河ライン”を突き破り、3番手の
ラルフ・シューマッハがグングン加速していく!!
第一コーナー、タンブレロを制しそのままオープニングラップを取る!!
「この車はセッティングがハマれば本当に早いんだよ」
そのセリフ通りラルフは序盤から最速タイムを連発、デビクルを引き離しにかかる。
一方4番手スタートとなった兄貴のミハエル・シューマッハの方は散々。
ハードタイヤで1ストップ作戦に出たが、上昇していく路面温度のせいでペースを上げられず、
フロントホイール破損、ギアトラブルのダブルパンチで早々とリタイア。
AP・共同通信より

前日に続き、ティフォシ達からため息が漏れる。レースの方は完全にラルフの独走態勢。
デビクル曰く「最初のタイヤはまったく路面にマッチしていなかった」そうで
ついに14秒差がついてしまう。
2度のピットストップでもラップリーダーの座を譲らず、
終盤デビクルの猛追を受けるが、冷静なペースコントロールでついにチェッカー。
ラルフ、F−1参戦70戦目にしてついに表彰台の頂上へ。
これまで何度も優勝を掴みかけながら、勝利の女神が微笑んでくれなかったラルフだが、
今回ばかりは女神も味方してくれたようだ。
正直レースそのものは面白くも何ともなかったが、ラルフの表彰台でのハシャギようを見てると
これはこれでいいのかなと思う。
今まではどんなにいいレースをしても「ミハエル・シューマッハの弟」としか見られなかったラルフだが、
「これで皆ラルフ・シューマッハの名前も覚えてくれたと思うよ(笑)」(本人談)
でもラルフ以上に嬉しかったのはフランク・ウィリアムズ氏であろう。
文字通り”90年代の最強チーム”だったウィリアムズ。しかしルノーが撤退し、
空力デザイナーのアドリアン・ニューウェイをマクラーレンに引き抜かれてからは
本当に苦闘の連続だったのだから。
アト解説の今宮純氏も言っていたが、BMW、ミシュランにとっても
嬉しい嬉しい優勝だったのではないか。
メルセデス、ブリジストンをパフォーマンスで完全に圧倒しての”復帰祝い”だけに
喜びも大きいハズ。
本当におめでとう、ラルフ、フランク、BMW、ミシュラン。

フェラーリ、マクラーレンの2強対決に「割って入る」形となったラルフ&ウィリアムズ。
第5戦はスペインGP。シャシー性能、エンジン性能、ドライバーの勇気、技量、判断力、
全てが求められるサーキット・ディ・バルセロナ・カタローニャ。
ヨーロッパ・ラウンドに入り、F−1のサーモヒーターも
本格的にアップし始めたようだ。

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