今年もホッケンハイムに住む悪魔は残酷な笑みを浮かべた・・・

ラルフ今季3勝目!!

1,000メートル以上の4本のロング・ストレートをシケインで繋いだレイアウトを取る、
F1屈指の超高速サーキット、ドイツ・ホッケンハイムリンク。
予選時での平均速度は250km以上(!)、シケインでの最高速は350kmを突破する。
当然ながら、ホッケンハイム攻略にはエンジンパワーが大きくモノを言うのである。
”POWERED by HONDA”のエンブレムが示すように、
かつてはハイパワーエンジンと言えばホンダの代名詞だった。
それこそこのホッケンハイムなどは「ホンダ・サーキット」などと形容されたものである。
しかしホンダ、そして今季から復帰したルノーなどのかつての”最強エンジン”は
ここまで非常に苦しい戦いを強いられている。
「復帰して一年二年でかつてのようにチャンピオン争いに加われるほど、
フォーミュラ・ワンが底の浅い物でない事は充分に理解しているさ」
ルノーのパトリック・ウォール社長のセリフである。

とはいえF1復帰2年目のBMWの猛威を、現在ホンダ及びルノーのスタッフ達は
どんな心境で見つめているのだろうか。
そう。
このドイツGPでも「凱旋」したBMWは地元ファンにそのパワーを存分に見せつけた。
PPファン・パブロ・モントーヤ、2位ラルフ・シューマッハ。
ウィリアムズ4年ぶりの予選フロント・ロー独占。
いつも苦虫を噛み潰しているような表情を浮かべている
「車椅子の闘将」フランク・ウィリアムズ代表にも満面の笑みが浮かぶ。
ウィリアムズの2台はリアウィングを立てながらも、ジム・クラーク・カーブ手前の最高速度が
モントーヤ357km(!)、ラルフ359km(!!)とライバル達もお手上げの異常さ。
去年までの最強エンジン、メルセデスV10のマクラーレンは
ミカ・ハッキネン3位、デビット・クルサード5位。
通算51勝のF1タイ記録を狙うミハエル・シューマッハは4位。
モントーヤ曰く「決勝でのライバル?チームメイトのみさ」
完全に「ウィリアムズの同門対決」(by 古館伊知郎)状態である。

一方のBAR、ジョーダンのホンダ勢は期待されたパワーサーキットながらも不振。
しかしBARのエース、ジャック・ヴィルヌーブは「ホンダの責任ではない」と断言する。
「92年のマクラーレンと一緒だよ」ジャックは口を尖らせる。
「最終コーナーでシャシーが粘れない。だから次のメイン・ストレートで
スピードを乗せる事が出来ないんだ」
92年マクラーレン側はMP4/7シャシーについて
「ホンダV12が巨大で重いため、エンジンのマウント・レイアウトが難しい」などと言っていた。
しかし今季のホンダV10は非常に軽量・コンパクトに作られているため、
シャシーの不出来をエンジンのせいには出来ない。
ましてや97年世界チャンピオンのジャックの腕が衰えたとは思えない。
やはりジャックの言う通り、BARの作るシャシーには問題点があるのだろう。

7月29日。ミシュランタイヤを履くウィリアムズに味方するが如く、天気も曇り。
それでもミハエルの記録達成に期待する12万人の大観衆が
カバリーノ・ランパンテ(跳ね馬フラッグ)を振りかざし、決戦ムードは高まっていく。
決勝スタート。ミハエルが加速しない。そこに16番手のブルディが突っ込む。

いきなり大クラッシュ!!

大クラッシュ!!宙を舞うブルディのマシン

宙を舞うブルディのマシン。スグにペース・カーが出動。
破片を取り除くには時間がかかると判断したオフィシャルが、レース中断の指示。赤旗が出る。
20分後。再スタート。モントーヤ、再びラップリーダーで1周目を消化する。
どうやらウィリアムズはPPがタイヤ2回交換で予選2番手が1回交換という
伝統の作戦(?)を採用した模様。
マクラーレンとフェラーリがバトルってる間に、燃料が少なめのモントーヤは、
2位のラルフとの差も拡げ始める。このままウィリアムズワン・ツーか!?
しかし今年もホッケンハイムに住む悪魔は無慈悲だった。
まずは前回のイギリスGPで劇的な復活を遂げたミカ・ハッキネンが
ラジエータートラブルによりリタイヤ。
悪魔は再びフライング・フィンから翼をもぎ取る。
22周目、トップを快走していたモントーヤがタイヤ交換と給油のためピットイン。
何と給油ノズルが抜けない!!

「世界一30秒が長く感じる状態!!」

かの古館伊知郎がまだ実況を担当していたら、きっとこう絶叫していただろう(笑)。
ラルフ、これで労せずして首位浮上。
ウィリアムズにはチームオーダーが無いので、地元のラルフを勝たせようとして
ワザとこんな事をしたんじゃないか、等とちょっと勘繰ってしまう。
ん?TVに青いマシンが映っている。あれ・・・

モントーヤ、エンジンブローでリタイヤ!!

何という事か。しかし悪魔は残酷な悪戯をまだ止めない。
今度は地元で記録達成に賭けるミハエルを襲う。
23周目、モントーヤに続きミハエルも姿を消す。
24周目、奇跡の逆転王座獲得を狙うデビット・クルサードにも悲劇が・・・。
18,000回転を誇るメルセデスV10、エンジンブロー!!
頭を抱えるデビ・クル。
コース脇でマーシャルからラジオを”強奪”して実況を聞いていたミハエルは、
デビ・クルリタイヤの報を知りニヤニヤ。
レースの方はもう、ラルフの独走状態。
「ファン・パブロのトラブルがあったんで、途中からペースを落した」と言うが、
それでも2位のバリチェロに40秒以上の大差をつけチェッカー。
文句無しの圧勝。
3位にはフィジケラの猛追を振り切ったジャック・ヴィルヌーブが、
ホンダに2度目の表彰台をもたらす。
5位ジェンソン・バトン(ベネトン・ルノー)、6位ジャン・アレジ(プロスト・エイサー)。
完走10台。毎度の事ながらサバイバル・レース。

「チームから(燃費がヤバイから)混合比を下げろって指示が出たんだ。でも、
そんなもんとっくの昔に下げてたよ(笑)」
表彰台とあって、久々の”ジャック節”が冴え渡る。
「僕とBMWの地元での優勝。もう最高の気分だよ!!」
ラルフも満面の笑みを浮かべる。
しかし笑うドライバーもいれば、泣くドライバーもいるのがレース。

今年もホッケンハイムの悪魔は容赦無かった。

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