場所:ヤゴン邸の玄関

ヤゴン 「ササン、自分の今の境遇について何か感じるところはないか? 」
ササン 「? どうして、そんなことを聞くんだ? 」
ヤゴン 「…いや、気にならないならいいんだ。」

ヤゴン、外と繋がる扉に手を押し当て、息を吸い込む

ヤゴン 「…行くぞ。」
ササン 「何をそんなに力んでーーーー、アギル? 」

ぽい、とヤゴンをほおって、アギルの許に駆け寄る
ヤゴンの肩に黄色い小鳥がとまる

ササン 「よくここがわかったな、アギル。心配させたか? 」
アギル 「………………。」
ササン 「ペグンに聞けば良かったのに。居場所なんか即割り出してくれる。わるかったな。」
アギル 「…………。」
ヤゴン 「何一人でしゃっべてんだか。アギルもあんな無愛想だったか? 少なくともササンにはちゃんと返事していたはずだがね。」
鳥   “ーーー。”
ヤゴン 「やっぱり、親に似たのかね。」 
鳥   “親とはどっちのことだね。生みの方か、育ての方か。”
ヤゴン 「ーーッッ! だからおれは、魔術師は好かんのだ! まるで覗きのようなまねをする! 」
鳥=ペグン “妙齢の男を朝になるまで帰さんからさ。我が家の大切な片割れ、さっさと帰してもらおうかい。”
ヤゴン 「か弱き乙女というならともかく、ササンだぞ? 」
ペグン “えい、ササンだからじゃわい。家の子達は、万が一のことがあればその相手と結婚しかねん! それがどんなに計画的なものでもな! ”
ヤゴン 「……。」
ペグン “なんじゃい。”
ヤゴン 「いや、うっかり納得してしまった。」
ペグン “理解したならささっと帰せ。ーーそれとだな、おまえのことだから、アギルを喋らせようとするかも知らん。言っとくが、アギルは喋れんぞ。”
ヤゴン 「前回会ったときはそれなりに喋ったーー…、どうしてだ。」
ペグン “怪我がもとでしゃべれなくなったのさ。良い声だったのにもったいないことだがね。”
ヤゴン 「まさか、ササンが傷つけた……? 」
ペグン “………………どうして、そう、思うのかね…?”

アギル (モールス信号で)ササン、何時も思いますがペグンとヤゴン、仲良いですね。
ササン 「似たもの同士だな。アギル、私が死んだあとのことを頼んでおいたからな。」
アギル  ペグンは子に対する情がありますからね。良い人選だと思いますよ、ササン。
ササン 「こんなものに人選なんか……。」
アギル  ーーササン、辛いなら、悩まずにすむなら、必要な処置をしてください。ササンならたやすく成し遂げられますよ。
ササン 「ただ平穏な、憂いのない生活をしたいだけだ。あれの思惑にはまるのが嫌なだけなんだ。」
ササン 「アギル、すまない。なにも考えないですむなら、アギルがよければいいんだ。ただ、それだけで生きれないんだ。他のものを考えてしまう。」
アギル  ササン、同じ気持ちなんですよ。何も嫌がることなんかないんです。ササンは善きはからいをするから、その通りに。
 


 うわ、ながっ。(あとがきじゃないね)
 ほのぼのの予定、心算、…書けてないので一応方向性を書いとく。ところでササンって、おやじキラーだったんか……。(若い衆には敬遠されそうじゃのー)
 ここいら辺書いてると、アギルが黒寄りな気がして、もぉ。白寄りのアギルが好きです(いわゆる天然ばか<愛しさが前面に出てると思って頂けると幸い)。

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