ち、ちち。
 何時の間にか、青味がかった鳥が窓の外で歌っている。
「ペグン、声を掛けたらよかったのに。」
 掛け金を外して窓を開くと、冷たくて硬い空気が触れる。手を差し伸べれば、躊躇いがちに指先に留まる。人間の形と鳥の形の重さの違いに頼りなさを覚える。
“ササンは。”
 ちよちよと囀る小さな塊を肩に誘導して、きちんと窓が閉まったのを確認する。隙間風はあまりないのだが、暖房器具が少ないので用心に越した事はない。
「台所ですかね? そこらへんですよ。」
“まあともかく落ち着いているわけだな。”
「ササンは取り乱していませんよ。」
 鳥に溜め息を吐かれて、確認をしようと首を捻ったが、青っぽいものが目の端に写るぐらいで良く分からない。
“あほぉが。”
 びよびよびよ。
“男だろうが女だろうが、自分との間に入り込むものは嫌いだろうが。その可能性を含む女と聞いて荒れん筈がない。”
 鳥の喚き声との二重奏で、顔を逸らしがちになるアギルに発生源が身を寄せる。
“聞いているのか。”
「これ以上なく。」
 応えが引き攣り気味なのはしょうがない。
「それにしても、どこに行ってたんです。一部始終“目”で見ていたでしょう。」
 かかかと毛づくろいの小さな音が聞こえる。
“杞憂だとはおもったがな、一応女の身元を見てきた。”
「どうでした。」
“まんまだな。”
「それはよかった。」

“ま、おまえたちにあてられん為でもあったがな。”


 勿論、いつも一番の被害者はペグン。アギルとササンの間では、べったべたが普通。
 ささんとあぎるの仲良しっぷりを書きたかったわけなんですが。
 消化不良、不完全燃焼。ぶちぶち。




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