心模様空模様

×5× ――――・・・・・ 「・・・・・かみ先パイ。・・・・み かみ先パイ・・・・・。」 「・・・・?あ、なんで笠井がここに?」 目を開けると猫目の後輩の顔。 「寝ぼけてるんすか?先パイ。」 「あぁ、そっか。皆いねーんだったな。」 「はい、朝ご飯どうします??」 「しゃーねぇな。俺が作ってやるよ。」 「えっ、三上先パイが!?」 「なんだよ、その意外そうな顔は。(苦笑」 コツン―― 頭を軽く小突く。 「ははっ、スイマセン。あ、でも材料・・・・・」 確か寮母が、 もう皆帰るから全部使っちゃいましょう、 とか言って冷蔵庫のモン全部使ったんだよな・・・・・。 「あー・・・・・めんどくせぇ・・・・。」 「じゃぁ、俺行ってきますよ。何買ってくればいいですか?」 「・・・・なんでそーなんだよ。俺は別に先パイだからって お前を都合よく使うきはねーぞ??」 「嫌だったら最初から言いませんって。 いいですよ、別に。俺は三上先パイの都合のいい後輩でも。」 といって笑ってみせる笠井。 マジかよ、コイツ・・・・・。 「2人で行くぞ。第一お前腰大丈夫なのかよ。」 「はいっ、もう平気です。」 すっげー体力・・・・。 我ながらこの後輩に感心する。 「じゃぁ、俺部屋からサイフ持ってきます!」 「ストーップ!!待て、笠井。ここにいろ。」 「え?」 「俺のオゴリ。これは先パイとしての意地。 2人でいる限り、俺はお前に金は出させねぇ。」 「・・・・ありがとうございます。 でも、携帯忘れてきたんでとってきますねっ。」 「おう。じゃぁ、待っててやるよ。」 「行ってきます。」 アイツ、携帯持ってたのか。 何で教えてくんなかったんだろーな。 ・・・・ってなに考えてんだか、俺は。 さて、着替えっかな。 黒のシャツにジーパンという極めてラフな格好で 俺は部屋をでる。 「っと、サイフ忘れちまった。」 つくづくバカだな、と自分で失笑する。 部屋に戻りサイフを探す。 「あードコ置いたっけか・・・・。」 ピリリリリリッ―――― 廊下からケータイの鳴る音。 笠井だろう。 『あ、うん。母さん?』 気にせず机の上をさぐる。 『うん。・・・だから、言っただろっ・・・・・・』 声を荒げる笠井。 喧嘩か? 『・・・・今年は帰らないってっ。』 思わず手を止める。 帰らない? 笠井の、意思? 『俺、今年は寮にいたいんだっ・・・・・』 薄い壁を隔てた向こうで、笠井が言う。 『ごめん。・・・・また。うん。・・・・じゃぁ。』 コンコンッ――― 「みかみ先パイ・・・・?用意できました・・・・・??」 ドアを開け入ってくる。 「三上先パイ、どうしたんですか?」 肩に触れようとした笠井の手をはらいのける。 「ッ・・・・せんぱい?」 ダンッ!! 「っぅ・・・・何 すんですか・・・・」 床に倒し笠井を見下ろす。 「お前、確か親に帰ってこなくていい って言われたんだったよなぁ?」 「さっきの・・・・聞いてたんすか・・・・。」 「最初っから嘘ついてたのかよ!! 俺がカワイソウだってか!? 同情なんてまっぴらなんだよっ!! 冗談じゃねぇ!!!!帰れよ!!」 「同情なんかじゃ・・・・・。」 「ざけんなよ!! じゃぁ何だ!?哀れみか!?蔑みか!? はっ、 世話してやった後輩にそう思われてたんじゃ ザマァねーな!!!」 「先パ・・・・・・」 悲しそうに顔をゆがめる笠井。 その表情が余計に俺を腹立たせる。 「んだよ!!それも演技のうちかよっ。 イイ奴ぶって心ン中では笑ってんだろっ!!!!」 やっぱ、 誰も信用できねぇよ。 決まってこうやって、 裏切られるんだからな・・・・・・・ モドル

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