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「お前は、どのような男性に興味を持つのか教えてほしい」 山側合宿所、憩いの場。 「柳………幾ら何でもあからさま過ぎじゃよ」 ニヤニヤする赤也を睨んでたしなめる真田。 「そ、そうですね……………知的な人、かな?」 「ほらほら、明らかにキョドってるし!これはもう確定っスよ!」 「他にはないのか?身体的特徴などでも構わないぞ」
「直毛サラ髪で細目!こりゃもう柳先輩そのものじゃないっスか!」 「他には何かないのか?どんな要素でもいいが」 「ハイ不二外れたー!柳先輩ケッテーイ!!」 興奮のあまり目が真っ赤に充血した赤也が、勢い良く立ち上がって叫ぶ。 「小日向が好きなのは!絶対に!柳先輩で間違いないですってば!!」 真田と柳生が制止しようとしたが、時既に遅し。 「む?」 柳とつぐみが、茂みから頭を出した赤也の方に振り返っていた。 「………ピヨッ」 気まずげに鳴き声(?)を漏らす仁王。 「赤也、お前…いや、お前達、か。いつからそこに」 しどろもどろ弁明する四人を前に、柳は眉間に皺を寄せる。 「それに赤也、お前がさっき言っていたことは」 四人を詰問にかけようとする柳だったが、つぐみの声に気づいてそちらを見ると、彼女は目から大粒の涙をぼろぼろこぼして泣きじゃくっていた。 「あ、あのだな小日向、俺は」 柳の言葉も聞かず、つぐみは一際大きな泣き声を上げて走り去って行った。 「……………終わった………全てが……………」 その場に力なくパタリと倒れる柳。 「ど、どうすんスか先輩達!!」 そうして真田・赤也・柳生の三人は猛ダッシュでつぐみを追い、それに少し遅れて柳のジャージの首根っこを掴んで引き摺る仁王がついて行った。 ・・・・・・・・ 管理小屋の前。 「まず状況を整理しよう」 息ピッタリに突っ込みを入れる真田・赤也・柳生の三人。仁王はその横で溜息をついている。 「確かに、今の不二の説明には蓮二がこうなっている理由が含まれていない」 必死の突っ込みを続ける三人。仁王はその横で面倒臭そうに「柳生、おんし紳士語が崩れとるぜよ」とぼやいている。 「確かに、立海の面々が蓮二に何故そのような仕打ちをしたのかは不可解だな」 三人の怒鳴り声が虚しく山に響き渡る。仁王はその横で遠い目をして空を眺めていた。 ・・・・・・・・ 「君達がチームメイトの恋愛事に興味を持つ気持ちも応援したいと思う気持ちもよく解る。けれど、幾らなんでも四人全員で張り込み続けるなんてないだろう。それじゃあタチの悪いパパラッチと同じだよ」 夜の山側合宿所・食堂。 「面目ない………」 しゅんとしてうなだれる四人。 「よし、解ったなら四人全員で小日向さんに謝っておいで。蓮二には俺の方から話しておくから」 真田の言葉に、幸村が醸し出す特有の威圧感が五倍増しになる。 「彼女は今もなお悲しみに打ちひしがれて寂しい時間を過ごし続けているというのに、君達は朝までのうのうと寝ていようと言うのかい?」 それを聞いて、四人は顔を見合わせる。 「…出てきますかね?」 赤也・仁王・柳生の三人は縋るように視線を真田に向ける。 「…解った。ゆくぞ、皆」 しかし三人の思い虚しく、潔く覚悟を決めた真田は率先して管理小屋の方へと足を向けたのだった。 ・・・・・・・・ 午後11時を回った頃。 「…もう、こんな時間……。彩夏、どうしたのかな………。それに、ミーティングも夕食もすっぽかしちゃったし…。どうしよう……みんな、もう寝ちゃってるよね……柳さん、も………」 何て謝ったらいいんだろうと考えつつ、外の様子を窺う為に寝室を出て小屋の入り口のドアノブに手を掛けたその時、外から声が聞こえてきた。 「あ―――も―――!!いつになったら出てくるんだよー!!」 鉄拳を食らったらしい約二名の呻き声にさーっと血の気が引いたつぐみは、恐れをなして寝室へと駆け戻った。 (な、何で立海の人達がいるの!?それに私のことを待っていたっぽい…?でも、あの雰囲気じゃ出て行きづらいんだけど…どうしよう……) つぐみがひとり動揺していると、窓の方からコンコン、とノックのような音が鳴った。 「ひっ!なっ、なに!?」 聞こえた声と名前に、閉め切っていたカーテンを急いで開けると、窓の外に柳が佇んでいた。寝間着だろうか、いつものユニフォームではなくラフなTシャツ姿になっている。 「柳さん、私、あの、その…というか、どうしてこんな所から…?」 管理小屋の裏手に広がる雑木林を少し進むと、若干開けた場所に出た。 「これ…ひょっとして彩夏が作ってくれたんですか?」 苦笑いを浮かべつつ、おにぎりを食べ始めるつぐみ。 「…………………………………………」 しばし無言の時間が流れたが、それを終わらせたのは柳の方だった。 「今日の昼間、お前が泣き出したのは、お前の意中の男性が俺ではないのにも関わらず、俺のことが好きなのだと赤也からあたかも真実の様に決めつけられてしまい、しかもそれを皆の前で豪語されてしまったから、だろう?」 つぐみの返答に、柳はハッとして彼女の方に視線を移すと、彼女は崩した正座の膝の上に手を置いて俯いていた。 「切原くんの言ったことは、間違ってなんかいません………」 柳から急に抱き寄せられたことで、つぐみの言葉が止まる。 「あ、あの…柳さん?」 柳の言葉を理解して、つぐみの頬が紅潮する。 「ならば、赤也の言ったことを皆に訂正して回る必要はない。そうだな?」 柳の胸の中で、つぐみの頭が小さく頷く。 「なるほど、承知した。以上で俺の話は済んだのだが」 名残惜し気な顔で柳から離れようとしたつぐみだったが、自分を抱きしめている腕の力が全く緩まらない為、動こうにも動けない。 「もうしばらく、こうしていてもいいだろうか」 ・・・・・・・・ 翌日の早朝。 「お早う、弦一郎」 するとそこには、柳とつぐみが二人揃って、平常と変わらぬ元気な様子で立っていた。 「小日向!それに蓮二も………おい皆、起きろ!起きんか!」 真田は眠りこけている他の三人を慌てて叩き起こす。 「昨日は急に泣いて逃げ出したりして、ごめんなさい」 謝る対象だった柳とつぐみに先に頭を下げられてしまい、どうしていいか解らない四人。 「今日のお前達のスケジュールは夜のミーティングまで各自ロッジで謹慎。手塚と精市からそう伝えてくれとのことだ。ゆっくり休むといい」 柔らかな笑みを交し合って炊事場へと向かう柳とつぐみの姿を、しばしじーっと見つめる四人。 「あの二人、すっかり仲直りして、更にそれ以上の進展を遂げておられるようで、誠に喜ばしい限りですが…」 「まだ反省が足りないような声が聞こえてきたんだけど、気のせいかな」 そこに丁度、海側の合宿所から幸村が彩夏を伴ってやってきた。 「気のせいでしょう」 それを見て、すばやく柳生が赤也の口を手でバッと塞ぎ、仁王がぐっと赤也の頭を押さえて問題児後輩の動きを封じ込めた。 「そうか。それならいいんだけど」 そう言うと、真田はダブルスコンビから引き渡された問題児を連れて、幸村に背を向けて歩き出す。 「やれやれ…。君にも迷惑かけて、すまなかったね」 申し訳なさそうな笑みで、幸村は彩夏に軽く頭を下げる。 「いいんですよ全っ然!皆さんこういう部屋で寝泊りしてるんだーって体験出来て楽しかったですし!」 彩夏の視線が炊事場の方を向く。そして隣に並んで仲良く野菜の皮むきをしている柳とつぐみの姿を捉えると、その目がキラーンと光った。ような気がした。 「昨日の夜何があったのか、つぐみに絶対聞かせてもらんですから!あーっ、楽しみぃー!!」 |
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