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無人島での生活、五日目の朝。
六時二十分ピッタリに、管理小屋の前で柳と幸村がばったり出くわした。

「精市か。お早う」
「お早う蓮二。どうしたんだい、朝早くにこんな所で」
「…俺は今朝練を終えたばかりで、たまたま通りかかっただけだ」
「そうか。奇遇だな、俺もそうなんだ」

二人ともそうは言いつつも、その場を離れようとはしない。
そうして小屋の前で待つこと数分、ようやくこの朝初めてドアが開いて中から人が出てきた。

「んーっ……今日もいい天気ー…」

現れたのはつぐみ。朝の空気をめいっぱい吸って伸びをする彼女に、柳が声をかける。

「お早う、小日向」
「あっ、お早うございます柳さん!それに、幸村さんも」
「やあ、お早う小日向さん」
「丁度良かった、幸村さん、今時間ありますか?」
「む?」
「え?俺かい?蓮二じゃなくて?」
「はい、幸村さんにお願いしたいことがあって」
「…もう一度聞くけど、蓮二じゃなくて俺でいいんだね?」
「はい」
「………………」

困り顔で自分を何度も指差す幸村。その隣に立つ柳はいつも変わらぬ無表情だったが、それとなくつまらなさそうなオーラが滲み出ている。

「実は彩夏がまだ寝ているんです。起こしたんですけど起きてくれなくって…」
「え、まだベッドの中なのかい?それはまずいね、朝食に遅れてしまうよ」
「私、用事があってもういかないといけないんです。それで、幸村さんに彩夏を起こしてもらえないかと思ってこれから呼びに行くつもりだったんです」
「成程。それは確かに丁度良かったね。解った、辻本さんは俺が起こしておくよ」
「ありがとうございます。よろしくお願いします!」

ぺこぺこ頭を下げるつぐみに幸村は穏やかな笑顔で応えると、柳に向けて軽く手を振ってから管理小屋へと入って行った。

「…ふふっ」
「用事があるというのは嘘である確率100%」

幸村が去って行った方を嬉しそうに眺めるつぐみに対して、彼女の発言をバッサリ否定する柳。

「えっ?あっ、えっと…」
「その様子だと辻本を起こしたというのも嘘だな」
「………目覚ましのアラームで起きなかったのは本当ですけどね…」

柳から目線を逸らして、バツが悪そうに自身のくせっ毛を弄るつぐみ。

「流石柳さんですね…。ひょっとして幸村さんも気がついてたんでしょうか?」
「気づいてはいただろうが、それで不快になったりすることはないだろう」
「それならいいんですけど………」
「ところで、今朝は俺もお前も食事当番ではない。用事が無いというのなら朝食まで少し余裕があるな。良ければ、少し散歩でもしないか」
「え……はっ、はい!是非ご一緒させてください!」



その後、ブン太を伴って山側に遊びに来たジャッカルが「今朝幸村が朝食に珍しく時間ギリギリに来たと思ったら髪ボサボサの辻本を連れていた」と話すのを聞いて、顔を見合わせて微笑む柳とつぐみであった。

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