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十二月に入って一週間程が過ぎ、本格的に年末ムードで染まりつつある土御門島。
夕方、今日の外来が終了した水度坂病院の診察室でも、勘久郎と青陽院帰りの寧々がそんな話題で盛り上がっていた。

「今年は早花咲組でクリスマス会をやろうと思ってるんスよ〜」
「それはいいですね、みんな喜びますよ」
「ツリーを出すのは勿論、教室中ピカピカでキラキラな飾り付けしたいスねぇ」
「ケーキやお菓子もいっぱい用意しましょう!」
「あとクリスマスと言えば欠かせないのがサンタクロース!僕、サンタになってみんなにプレゼントを配っちゃうっスよー!」
「じゃあ私は、トナカイ役を務めさせていただきます」
「………………え?トナカイ?」

途端、にこやかに計画を語っていた勘久郎の顔から笑みが消える。

「何言ってんスか?寧々ちゃんはサンタでしょ?」
「え?でも勘久郎様がされるのでしたら、サンタは二人もいらないのでは…」
「何言ってんスか!寧々ちゃんにはミニスカサンタのコスプレして僕に『私を貰ってください(はあと)』って言う重要な役目があるでしょー!?」

妙に気合の篭った形相で、寧々に詰め寄る勘久郎。

「…あの、勘久郎様………」
「何スか!?」

対する寧々は、神妙な面持ちを崩さない。

「それって、子ども達の前でする意味、あります?」
「…………………………ないスね」

半ギレの域に達していた勘久郎の表情が、へにょんと緩んだ。

「そんじゃ寧々ちゃんにはトナカイとして、僕のお手伝いをお願いしよっかな」
「了解です。みんなに楽しんでもらえるよう頑張りますね」


こうしてこの年の十二月二十四日、早花咲組の子達は勘ちゃん先生達のおかげで楽しいクリスマスを過ごすことが出来たという。







その日の夜。
無事にクリスマス会を終えた勘久郎と寧々は、水度坂の屋敷に帰宅した。

「早花咲組のみんな、喜んでくれて良かったですね」
「うんうん。でもみんなと一緒に年甲斐もなくはしゃぎまくったもんだから、流石にちょっとくたびれたっスね〜」
「ではまずお風呂でゆっくりなさいます?お腹が空いていらっしゃるのでしたら先に食事のご用意も致しますよ。それとも………」

瞬間、寧々は着ていた青陽院の制服を一気に脱ぎ捨てた。
その下にはなんと、肩・腹・太腿をこれでもかとばかりに露出したセクシーミニスカサンタコスチューム。
何処からともなく赤い三角帽も加わっていた。

「私を………貰ってくださいますか?」

魔法少女の変身シーンばりにキメておきながらも、頬を染めて小声で伺う恥じらいぶりがなんとも堪らない。

「寧々ちゃん………寧々ちゃーん!!!」

その姿は、水度坂勘久郎にとって最高のクリスマスプレゼントだったという。
なお、新の主張する通り好きな女性のミニスカサンタコスに理性を抑えられる男などこの世には存在せず、勘久郎も決して例外ではなかったことだけ追記しておきたい。

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