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今日は四月一日、エイプリルフール。 「憲剛様………本当にやるんですか?」 水度坂病院の院長室前。 「お前だって、アイツが顔真っ赤にして慌てふためくところ、見てみてぇだろ?ん?」 勘久郎様ラブなナースはチョロかった。 「ほら、早速のお出ましだぜ。さぁ、行ってこい!」 憲剛の言葉に寧々がハッと振り向くと、まさにターゲットである勘久郎がこちらに向かって歩いてきていた。 「寧々ちゃん、そんな所で何してるんスか?というか、今誰かいなかったスか?」 寧々が目だけ動かしてちらりと周囲を窺うと、すでに憲剛の姿は消えていた。今の一瞬で安全地帯に避難し終えるとは流石十二天将、身のこなしは半端ではない。 「寧々ちゃん?何かあったんスか?」 しばし逡巡する寧々だったがそれも一時、すぐに体勢を改めて勘久郎の目を正面からまっすぐ見据えた。 (おっ、覚悟を決めたみてぇだな…さあやれ!今のお前は爆弾だ!目の前のソイツ諸共派手に爆裂四散してみせろ!!) 二人の死角から、憲剛は"その時"を今か今かと待ち構える。 「僕に?何スか?」 (きたあぁ――――っ!!きたきたキタKITAキ――タ――!!!) 興奮のあまり、思わずコーデリア化する憲剛。 「うん、いいスよ。嬉しいなぁ〜、寧々ちゃんの方から誘ってくれるなんて」 だが、爆弾は不発に終わった。勘久郎からは動揺のどの字すら感じられない。 「実は昔っから君のボリューミーな髪を自分の手でわしゃわしゃ洗ってみたいと思ってたんスよ〜。でも僕の方からお風呂一緒どう?なんて言ったら流石にアウトかな〜なんて」 それどころか、まるで遠足前夜の小学生の如くウキウキと無邪気に語りだす始末。 「折角の機会なんで日頃の感謝を込めて、髪だけじゃなくて身体も隅から隅まで丁寧に洗ってあげるっス」 否。邪な気持ちはしっかりと持っていた。 「今晩楽しみにしてるスよ〜。じゃあまた〜」 そこまで一方的にまくし立て終えると、勘久郎は上機嫌に鼻歌を歌いながら院長室へと入っていった。 「ちっ、失敗かよ…今回は良い線いってると思ったんだがなぁ」 院長室のドアが閉まった後、憲剛がぶつくさ言いながら通路へと出てくる。 「………あ、あの、憲剛様…………」 半泣き超赤面で必死に訴える寧々に対し、憲剛はビジネスライク、というか塩対応。 「お願いします、今からでもちゃんと勘久郎様に説明を…」 ※この後、寧々さんは勘久郎様が責任を持って美味しくいただきました |
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