STARMANの懐かしの映画
◎モータースポーツ好きにはたまらない一作◎
（邦題）栄光のルマン<Le Mans>
フランスのル・マンで毎年開催される24時間耐久レースを舞台に、車に賭けた男たちの熾烈な戦いをドキュメンタリー・タッチで描いた作品。
アメリカ人レーサーのマイケル・デラニー（スティーヴ・マックィーン）は、1年前の大会で死亡寸前の大事故に遭いながらも、今年もレースにカムバック。また、そのさなかで事故死したレーサーの妻モニク（エルガ・アンデルセン）との愛にさすらう…。
ドラマは極力最小限に抑え、マルチ分割画面などさまざまな映像テクニックを駆使して、マイケル・デラニー操るポルシェ917Kと宿敵エリック・スターラー（ジークフリート・ラウヒ）操るフェラーリ512Sとの壮絶な闘いそのものの魅力を描出することに腐心した作りである。当時の現役レーサーも多数出演という、豪華版。
また、同時に永遠のアクション・スター、S・マックィーンの静と動の両面を巧まずして醸し出させる、圧倒的存在感にはただただほれぼれするのみだ。監督はリー・H・カッツィン。マシンの強烈なエキゾーストノートもミシェル・ルグランの音楽も素晴らしい。ラストシーンは強烈に「男の闘い」を感じさせてくれた作品である。
新幹線大爆破
新幹線に爆弾を仕掛けた犯人と警察、国鉄の息づまる駆け引きをテンポ良く見せる一級サスペンス。ひかり109号に爆弾がセットされた。その爆弾は時速80キロ以下になると自動的に爆発する。犯人は500万ドルを要求し警察は取引に応じるが逮捕に失敗…。スピードを落とすと爆発する爆弾が新幹線に仕掛けられたらどうなるか？その傑出したアイデアがすばらしい。
この映画にくらべれば「スピード」など二番煎じ以下であろう。
新幹線を丸ごと人質にとって身代金を要求し、その金をいかにして手に入れるか。 ストーリーは二転三転、まさに眼がはなせない。当時、国鉄があまり協力してくれなかったらしいが、東映の特撮技術で模型をふんだんに使い、そこをしのいでいる。浜松駅でのシーンはよくできていた。
現在の特撮レベルで見るとあらもめだつが、それを上回るサスペンスがある。
とにかくもっと高く評価されてもいいはずな作品。
天国と地獄
横浜の高台に豪邸を構える製靴会社重役権藤（三船敏郎）のお抱え運転手の息子が、権藤の息子と間違われて誘拐。犯人は当時の身代金としては異常な3,000万円を持って第二「こだま」（当時東海道本線の特急列車）に乗るよう命令するが…。国鉄の全面協力を得て撮られたこのシーンは、鉄道ファンにもたまらない映像であるはず。
エド・マクベインのミステリ小説『キングの身代金』を、黒澤明監督が翻案して映画化した社会派サスペンス映画の金字塔。やがて人質の子供は解放され、警察署特捜班（仲代達矢ら）の必死の捜査が始まるにつれ、明らかになる誘拐犯（山崎努）の思想。幼いころから地獄のような生活をしてきた薄汚れた町のアパートの窓から見える、天国のような高台の権藤の豪邸を見上げていた彼の屈折した思いが、権藤に対しての憎悪に変わって、とりかえしのつかない事件に発展していくのだった。その意味では単なるサスペンス映画ではなく、人間の内面の業に鋭く迫った、黒澤映画ならではの味わいに満ち満ちている。モノクロ映像のなか、一瞬カラー着色がほどこされるショッキング・シーンは観てのお楽しみ。
（邦題）ロッキー・ホラー・ショー<Rocky Horror Picture Show>
ブラッドとジャネットのカップルは、婚約したことを恩師に報告すべく郊外へ車を走らせるが、途中雷雨で道に迷い、車のタイヤはパンクし、徒歩である古城へとたどりつく。しかし、そこでは城主の作であるロッキーと言う名のクリチャー（人造人間）の完成祝いの怪奇なパーティの真っ最中であった…。ここからミュージカルタッチに早いテンポでストーリーは展開していく。 ストーリーテラーは、007シリーズでシリアスな演技でお馴染みのチャールス・グレイという、面白さ。
1973年にロンドンで初演され大ヒットしたSリチャード・オブライエンの原作・作詞・作曲によるロック・ミュージカルの映画化。全編にSF＆怪奇映画のパロディがちりばめられており、ノスタルジイとブラックユーモアがあわせもたれた怪作、いや快作に仕上がっている。
