鬼畜王ランス
魔王列記IF
なんと続いた第2回 分岐の先
―???
「順調だね」
「ああ。予想以上にうまく事が運ぶ」
「長崎が陥落した時はどうなるかと思ったけど」
「……間違った選択はしていないつもりだ」
「育て方は間違ったかもね」
「……冗談でも怒るぞ?」
ランスはプランナーにカオスを突きつけた。目はマジ。
「すでに怒ってるじゃないか。まあ、いいけど。娘をよりによって腹違いの息子に取られたんじゃショックも大きいね―うわ!?」
カオスがプランナーの首を掠めた。
「次は外さん!」
「ちょっと、落ち着いてくれトリックスター! 話し合いの時間がもったいない」
「うるさい馬鹿、黙れ、そして死ね」
『こいつは親バカじゃからな〜。この前もリセットちゃんに2番目と言われて凹んでおったし……』
「そういえばそうだったね……」
「だぁ〜〜〜〜〜〜哀れみの目で見るな!!!」
とりあえずまだしばらくは話が進みそうにない。
ランスはやけになってカオスを振り回した。
―魔王城 中庭
そこはエレナの支配する場所である。普段はマリア製の人工太陽が浮遊し草木に光を与えているがエレナが作業をする時間帯はほとんど光がない。吸血鬼たる彼女にとって人工とはいえ太陽の光は毒でしかないためだ。
「ふう、今日はこれくらいにしておこう。……ふぁ……ねむ」
エレナは今日の作業を終えあくびをかみ殺しながら自室へ帰っていった。
エレナが中庭を出て5分後、自動で人工太陽に灯がともる。
見計らったように入ってきたのは無敵とリセットだ。
リセットは手ぶら、無敵は一抱えもあるような箱を抱きかかえている。それ以外にもレジャーシートや水筒なんかも。
「到着〜。ここでいいや。シート広げて」
「あ、姉上、その前にお弁当箱を下ろしてください」
抱えている巨大な箱は弁当らしい。
「重かった? ごめんね。作りすぎちゃったんだ」
そういいながらリセットは弁当箱を下ろす。どれだけ食べるというのか、弁当は重箱4段分ある。
「さてと、ちょっとお昼寝しよーよ」
「さっきまで寝てたじゃないですか?」
「それは無敵が夜に激しくしたから」
リセットは頬を赤くして無敵の首筋をつつく。
「僕が求めたことは一度もありませんよ? 毎晩姉上が強引に―むぐ」
反論しようとした無敵の言葉はリセットの唇でせき止められた。
「ぷはっ……お姉ちゃんに口答えはしないの」
そのまま押し倒されて抱きかかえられる。無敵はリセットにされるがまま。
「でもね、無敵がどうしてもリセットのことを抱きたくないって言うんだったらそう言って。強引にしたりしないから」
「そんなことはありません。……でも」
魔人化に伴い二人の体は成熟したものとなっている。しかし、心はまだ子供な部分が多い。
無敵の中のそんな部分がリセットとの行為に罪悪感をうむ。
「あせる必要はないよ。パーパがくれた時間は永遠。使い切れないくらいあるんだから」
リセットは無敵の言いたい言葉を察し、それを諭す一方抱きつく力を強めた。
「だから、永遠の時の中で、リセットを一人にしないで……1人は……嫌。ずっと側に、隣にいなさい」
「ご安心を。どんなことがあろうと僕は姉上の側にいます」
「うん、安心できるよ。ん……お休み」
暖かな作り物の光が降り注ぐ中リセットは気持ち良さそうに寝息を立て始めた。
無敵はしばらくリセットの寝顔を見ていたがヴァンパイアという体質が影響してここまで明るいところでは寝られない。手持ち無沙汰になりリセットの髪に指を通してみたり、くすぐってみたり。
そのたびにリセットは小さな反応を返す。
結局、無敵はリセットが目を覚ますまでそのままでいた。
時間は昼過ぎ。リセットは薄っすらと目を開けた。まだちょっとぼーっとしているようだ。
「姉上、お目覚めですか?」
「おはよう……まだ眠い……目覚ましにキスして」
無敵はリセットの言うとおりに。軽いキスかと思いきや、舌も絡めあうディープなやつだった。無敵は未だ慣れておらず目を白黒させる。
「あ、姉上、急にされては……」
「キスは嫌い?」
「嫌いというわけではなくて、その、心の準備が」
「ふ〜ん、でもここはすぐに準備できそうね」
「っ!? い、いきなりそんなところ触らないで下さい!」
リセットの手は無敵の股間の辺りを撫でていた。
「いや?」
「い、今は嫌です!」
「ちぇ〜〜っ。じゃあ、先にお弁当にしよう」
「それなら賛成です。でも、いい加減に離してください」
「けちぃ〜」
「けちで結構です」
リセットが用意したお弁当は重箱3つ分。とにかく多い。
だが、リセットはその上2つだけふたを取った。おかずの見てくれはさほど良くないが、努力のあとは伺える。
「早起きして作ったんだけど……あんまりおいしくないかも。でもでも、マルチナさんに教わることにしたから次からは期待してて!」
「おいしいですよ」
無敵はすでに食べ始めていた。正直、かなり覚悟していたが、見た目ほど酷くはなかったようだ。リセットもおそるおそる箸を伸ばして食べはじめる。
「う〜ん、もっと練習しなきゃ……」
「でも姉上の気持ちがこもっています」
「バカ……調子にのっちゃうよ?」
姉は赤くなり視線をさまよわせる。
「姉上の手料理ならいつでも食べますよ?」
「……どんなに失敗しても食べさせるからね?」
「あ、でも黒コゲになったのとかは無理ですよ?」
「そこまで常識がないわけないでしょ!」
リセットは照れ隠しも兼ねて無敵の頬をつねって引っ張った。
「ち、ちぎれます!」
力一杯。
リセットは無敵の悲鳴を聞いていないようで。
「ギ、ギブアップ!」
全力で。無敵の頬は真っ赤に腫れた。まあ、5分もすれば消えてなくなるのだが。
「はい、お茶」
「ありがとうございます」
二人は水筒に入れてきたお茶を注ぎ飲む。
「ご馳走様です。……ん?」
湯飲みを置いた無敵は重箱が一つ残っていることに気づく。
「姉上、まだ残っていたのですか?」
「あ、えっと、これはデザート!」
「じゃあ、食べましょう」
「ダメ! じゅ、準備するから目をつぶってって!」
「目を?」
無敵は首を傾げる。
「いいから!」
何故かリセットの顔が赤い。
それに気づかず、姉には逆らえない無敵は言うとおりに目をつぶった。
「ふぅ……勢いで持ってきたけど……ドキドキだよ……ん、と」
重箱のふたをとる音が聞こえて、続いて最近聞きなれた衣擦れの音が。
無敵、冷や汗。
「あ、あの、姉上。つかぬ事をお伺いしますが、何で脱いでるんです?」
「こら、目をつぶっとけって言ったでしょ!」
「いや、その、音で。って、脱いでいることは否定しないのですね……」
「まあ、いいわ。デザートの準備だからもう少し待って」
なぜデザートの準備をするのに服を脱がなければならないのか?
無敵には分からなかった。
「……ん……ふぅ……」
「あ、姉上!?」
いきなり快楽に染まった吐息が聞こえ無敵はさらに動揺。
「もうちょっと待って……ん……ね」
「姉上、ここは中庭ですよ? 誰か通るかも知れないんですよ? 服を着てください!」
「今着てるの。う〜ん、きつきつだよ」
「……昼ごはん食べただけでそんなに太るものな―ぐふっ!?」
無敵はわき腹にけりを喰らった。
目を閉じていたため回避不可。さらに相手が姉のため反撃も不可能。
「よ〜し、準備完了。目を開けていいよ」
わき腹を押さえつつ目を開けた無敵はたっぷり10秒ほど固まった。
問題はリセットの格好。黒のレザーボンテージ。胸の辺りに穴が開いており乳房が搾り出され大きく強調されている。さらに、どこかから低い駆動音が聞こえてくる。
「さ、さあ、デザートの準備は出来てるから……好きにして……」
リセットは硬直する無敵に赤いロープを差し出す。
「これで手を縛って。抵抗できなくなるから」
無敵は固まっている。先ほどの衣擦れの音は着替えの音だったらしい。
重箱のふたは開いていて、中にはランスの好みそうなアイテムがいくつか見え隠れする。
ギャグボールにアイマスク、ろうそくにバイブレーターまで。
「その……無敵、早くしてくれるとうれしいな……あんまり長いこと我慢できそうにないの。……コレ意外と気持ちよくて……」
リセットは顔を紅潮させて無敵にしなだれかかる。その距離になって無敵は駆動音の正体を知った。
「最後は贋物より無敵がいいから。……ね? 早くして?」
「へ、部屋に戻ってしませんか?」
「ここでするからいいのよ。誰かに見られたらってスリルで……いつもより濡れちゃうの」艶に染まったリセットの表情、しぐさ、セリフが無敵の平常心を溶かす。
「だ、ダメです! 僕はかまいませんが他人に姉上のそんな姿を見せたくありません!」
「……ありがとう、それだけリセットのことを思ってくれるんだ……でも、ゴメン。今止めるのは辛いよ……」
リセットは身を乗り出し無敵の唇を奪う。無敵はコレに弱いのだ。背徳感からか無敵の理性を崩しやすい。案の定、最初は抵抗した無敵だがリセットに合わせて舌を絡めだす。
姉の方が一枚上手なのは変わらない。
リセットはたっぷり楽しんだ後ゆっくりと離れる。二人の間に唾液の糸がかかり、切れた。
「無敵……縛って、ね?」
「は、はい」
リセットは後ろを向き両手をそろえて差し出す。無敵は軽く縛った。
「ダメ、もっとキツく」
一瞬と惑うが言われたとおりにきつく縛りなおす。
「目隠しも」
両手が使えないリセットにさらに目隠しまで。
視覚と動きを封じられたリセットは体の奥がどろりと濡れるのを感じた。
(……おかしいな……リセットは絶対Sだと思ってたのに……無敵にされると思うと……どうしよう……きもちいい……)
ほとんどの場合どちらも持ち合わせるらしいが、リセットはそんなことを知らず自分の中に生まれつつある感情に戸惑うばかり。
自分でさせたこととは言え80%の期待と20%ほどの不安が入り混じる。
無敵が動いた。リセットの体はさらに粘液を吐き出す。自分で挿入したバイブの効果も相まってリセットの股間はどろどろに濡れそぼっていた。
自分でもそれがわかるのかリセットはさらに顔を紅潮させる。
「姉上」
びくんとリセットの体が跳ねた。耳元で囁かれる自分を呼ぶ甘美なる声。
「触りますよ」
つっと、視覚を封じられ敏感になった首筋に指が走る。髪をたくし上げ、頚椎の辺りをなぞり反対側の肩へ。わずかな間ボンテージの上を通り、大きく強調された胸にたどり着く。
無敵の両の手が後ろから伸びリセットを抱きしめる。徐々に手は移動し、ゆっくりと乳房を揉み解す。張り詰め、敏感になっていた乳房はいつもにもまして快楽を生む。さらに、今の状況が相乗効果となりリセットの心臓は高鳴るばかり。
「――?」
「ふえっ?」
心臓の音で何を言われたのか聞き取れなかった。次の瞬間、無敵はリセットの乳首をつまんだ。
「ひぁぁ!?」
そんなに強くつまんだわけではなかったが、リセットの視界は真っ白に染まった。同時に身体が弛緩する。軽くイってしまったようだ。
「い、痛かったですか?」
リセットの悲鳴に驚く無敵。リセットは微笑を浮かべ首を横に振る。
「……もっと……して」
さらに求める。
「はい……」
―中庭 入り口
エレナが恐る恐るといった様子で中庭を覗き込んでいる。
たまたま通りかかったランスはその後姿を見て足を止めた。
「……」
「何やってんだ、エレナ?」
「はう!? お、王様!?」
「何を見ていたんだ?」
「えっと、その……中庭を……」
エレナは顔を赤くしてランスから視線をそらす。明らかに挙動不審。
「面白いか?」
「面白いというか、忘れ物を取りに中へ入るチャンスをうかがっていただけなんです」
「この庭はほとんどお前が支配しているようなものだろう?」
「そ、そうなのですが……」
今一要領を得ない。ランスはエレナの横に立ち中を覗き込もうとした。
が、見えたのはエレナの手。
「見ない方が……いいです」
「がははは、そう言われると余計に見たくなるのが心情というものだ!」
ランスはエレナを腕に抱き、動けなくすると中庭の中を覗き込んだ。
―中庭
完全に二人の世界になってしまったため、二人とも外の騒ぎにはまったく気づいていないようだ。無敵は後ろから抱きしめたリセットの胸を愛撫する一方、首筋にいくつものキスマークを残していく。
「ん、そこ気持ちいいよ……もっとキスしてよ」
「はい」
ただでさえ自分で高ぶらせた身体。今となっては無敵にどこを触られても快楽として受け止める。だが、わずかに弱い。
気持ちいいのは気持ちいい。だが、ほんの少し、ちょっぴり物足りない。いつものアレがないから。リセットを虜にしているアレがまだ。
一度覚えたら二度と忘れないほど強烈な快楽。無敵だからできること。
「早く噛んで……! もう我慢したくない!」
「まだダメです。まだ始ったばかりじゃないですか」
胸を愛撫していた手が下にさがっていきボンテージの股間についているボタンにかかった。
「この中にはまだ触れていませんから。我慢する必要はないんですよ、姉上?」
パチンとボタンを外すと重力に引かれてずっと閉じ込められていたバイブが滑り落ちた。続いてリセットの生み出した潤みがとろとろと溢れ芝生に落ちる。
「姉上、こんなにしてまで我慢するのはよくないです。もう一回達してくださいね?」
つるりと何の抵抗も無く無敵の指がリセットの中に滑り込む。
「あ、あっ……はんっ……無敵、無敵、好き! もっと激しく!」
無敵は指を3本挿入しリセットを攻め立てる。
普段なら聞こえそうにない膣をかき回す淫らな音も視覚を奪われている今、敏感になった聴覚が拾い、その音が更なる潤みを生む。
「ふあぁ、いいよぉ! んん……あっ、ダメぇーーーー!」
さっきより深い絶頂。リセットは大量に潮を吹き身体をがくがく震わせた。
目の前は白濁し、なかなか元に戻らない。息も上がり気持ちのいい疲労と充実感が身体を満たす。さらには抗いがたい眠気が。
「無敵……大好きだよ……」
「ふう、何とかなった……。さすがに毎日は姉上の身体によくありませんから。続きはまた今度、ということで」
無敵は寝息を立てるリセットにそう語りかける。
無敵はリセットの拘束を解き、とりあえずの形で身体をぬぐいボンテージレザーの上から服を着せる。一通り片づけを終えるとリセットを背負い中庭から出る。
すぐに足を止めた。
「……父上、正直に答えてください。いつからいました?」
「……確かお前がリセットを本格的に責めだした辺りからだな」
「……恥ずかしいので覗かないで下さい」
「青姦やってるくせに見られたくないとはたいした言いようだな」
「仕方がないでしょう、姉上は強引ですから。しかし、これ以上見られているのも辛かったので今日はここまでです」
「なんだ、気づいていたからやめたのか」
「誰だって気づきますよ、エレナさんの声で」
ランスの手は今もエレナの中に。くちゅくちゅと湿った音がずっとしている。
「お、うさま……辛い……です」
ランスがエレナの身体に手を伸ばした時、驚いたエレナが声を上げた。リセットは気づかなかったようだが無敵は気づき、耳を澄ましていたようだ。
「ふむ、じゃあ部屋で続きだ。無敵、お前もちゃんと最後まで抱いてやれよ」
「それが父親のセリフですか……?」
「両親公認だからな」
ランスはそう言い残して自室に転移。無敵はしばらく悩んだ後自室へ戻っていった。
「……父上、姉上を僕に取られたことがよほど悔しいのですか?」
ランスは無敵の背後に転移しげんこつを一発。
そして、すぐに消えた。
魔王城内は一見平和だが、世界は混沌としていった。
魔王による反対勢力の徹底弾圧が始まったのだ。
密告を推奨し、誰もが他人を信用できないように仕向ける。
組織の核になりそうな人物は密告によって告発され処刑される。
それにより人々は団結力を失っていった。
人類をバラバラに。
それこそがランスの狙いである。
「……人は集まるほど影響を受けやすい。……ならば、これでどうだ?」
「いい感じだね。……時は近いよ、トリックスター」
「1ヵ月後、動くぞ」
「わかった。計画を最終段階に移行しよう」
大陸をすべて見渡せるような高度、ランスとプランナーはそこで地上を見下ろす。
「ところで、日光さんの行方は?」
「まだ、彼が持ったまま。居場所を教えようか?」
「いや、あいつ1人では何も出来ない。もし、しゃしゃり出てくるなら叩き潰すのみだ」
「まあ、鍵は一つあればいいからね。カオスがあれば日光は必要でない」
「本当はカオスより日光さんの方がよかったがな」
『ぬう、酷いことをいうな心の友よ』
「冗談だ。さて、カオスお前の本当の役目を果たす日は近いぞ」
(2005/5/15 23時ごろ頂きました)