浴場

 

深夜の民宿―――
満月の光が微かに差し込む廊下で、二人はばったりと行き合った。

「あら、葉。」
「よお、アンナ」
「あんた、こんな夜遅くにどこ行ってたのよ?」
「ん?ああ、ちょっとな」
「…? ふぅん。まあいいわ」
そう言って再び歩を進めるアンナ。


「……なんでついてくんのよ」
「いや、寝る前に仕舞湯でも入ろうと思ってな。おまえこそなんでついてくんだよ?」
「あたしもよ。あんた後にしなさいよ」
その言葉を聞いて、何かを企てたように薄笑いを浮かべる葉。
「じゃあ一緒に入ろうぜ」
「…は? 何言ってんのよ。いいから早く向こう行きなさいよ」
「ウェッヘッヘ。いいじゃねえか、たまには夫婦水入らずでよ」
「…あんたなんか変なこと考えてるんじゃないでしょうね」葉のにやけた顔を訝しんみ、眉を顰めるアンナ。
「何言ってんよ。おまえこそ変なこと考えてるんじゃねえだろうな」
「もう…勝手になさい」
観念した様子で溜め息をつくアンナ。葉は依然としてユルい顔。
「ウェッヘッヘ…じゃあ行くか」
風呂の中。
アンナは葉から離れて、背中合わせに湯に浸かっている。
「もっとこっち来いよ」
「…いやよ」
「なんだよ、恥ずかしいのか?」
「……体洗って出るわ」
風呂から出て、シャワーを浴びようとするアンナ。葉が後ろから声をかける。
「背中、流してやるよ」
「…いいわよ。自分で洗うから」
突っ慳貪に返すアンナ。
「…そうか。オイラのこと、嫌いなのか……」
急にしょんぼりしたように、声のトーンを下げてぼやく葉。
「…もう。わかったわよ…」
アンナは『嫌い』と言う言葉に弱いらしく、渋々承諾する。
「ヘッヘ。そう来なくちゃな」
葉はわざとらしく笑いながら手拭いを持ってアンナの後ろに座る。
「…さっさとしてよね」
躰を覆っていたタオルをはだけるアンナ。たおやかな背中が露わになる。
「うし、じゃあ先ず背中から…」
手際よくアンナの背中をごしごしと洗う葉。アンナの息が少し弾み始める。
「……んっ…」
「…次は前……」
「…ちょっと、後は自分でやるわよ………あっ…!」
おかまいなしに胸に手を延ばす葉。思わず声が漏れる。
「……ちょっと、葉…いいって…ば……」
アンナの胸をしつこく、揉むようにして手を滑らせる葉。
次第にアンナの声が力無いものとなっていく。
「やめてっ……葉…!」
抜けそうになる力を振り絞って、葉の愛撫紛いに動く手を解くアンナ。
「……おバカ」
葉を睨むアンナ。その顔は心做しか赤い。
「じゃあ今度はオイラの背中流してくれよ」
一方葉は反省の色なし、にやにやしながら今度はアンナに注文する。
「何バカ言ってんのよ。もう出るわ」
足早に立ち去ろうとするアンナ。
「……そうか…そんなにオイラのこと嫌いか…」
また嘆くようにぼやく葉。アンナが立ち止まる。
「ああ…もう…」
また足早に葉の後ろに回り、面倒くさそうに背中を洗い始めるアンナ。
「おお、悪いな」
「…全然悪いと思ってないでしょ、あんた」
そうこう言っているうちに、洗う手が腰まで到達する。
「今度は前もちゃんと洗ってくれよ」
「いやよ」
「……そうか…」
「もう!」
葉の胸に手を回して洗い始めるアンナ。
「おお、悪いな」
「あんた……」
そうこう言っているうちに、洗う手が腰まで到着する。手をとめるアンナ。
「ほら…後は自分でやんなさい」
「え〜、ちゃんとここも洗ってくれよ」
アンナの手をとり、自分の股間に持ってくる葉。アンナはびっくりして手を引っ込める。
「あ、あんた、バカじゃないの?」
「………そ」
「あ〜もう!!」
ほとほと呆れたアンナは仕方なく、いやいや葉の股間に手を延ばす。
「うっ……」
アンナの手が手拭い越しに触れる。
「ち、ちょっと、変な声出さないでよね……」
「ああ…でも……うおぅっ…!」
程良い握力で扱かれ、葉の下半身がムクムクと大きくなる。
「な、なんか硬くなってきてるわよ!?」
「…いいから続けてくれ」
「おバカっ!ほら、もう終わり!!」
そう言ってその場から立ち去ろうとするアンナ。が―――

「全く………きゃっ!!」

いきなり床に押し倒される。
「痛……何す…んっ…!」
背中の痛みを訴えるが、言い終わらないうちに唇を塞がれる。
不意の出来事に、次に来る舌の侵入をもいとも簡単に許してしまう。
「んむっ…や…葉……!」
葉の胸板を押し退けて、必死で繋がっている唇を引き剥がす。
「葉……どうして」
「……愛してる」
真剣な眼差しでアンナを見詰める。何も言えなくなってしまうアンナ。
「……おバカ…狡いわよ、こんな時だけ…」
再び唇を重ね合う二人。
「ん……ちゅ……っ……! あんっ…!」
撫でるようにアンナの胸の愛撫を始める葉。
石鹸のぬめりによる官能的な刺激で、見る見る乳首が隆起していく。
胸の大きさと感度は反比例と言われるがアンナもそのクチらしく、手がなだらかな丘を往復する度に躰を善がらせる。
「や……ああ…んっ…!」
いつも乱暴狼藉に振る舞うアンナが弱り挫ける姿は、葉の性欲をいちいち刺激する。
「ヘヘヘ…次はこっちだ……」
葉の指がアンナの秘所をなぞる。アンナの嬌声がより一層高くなる。
「あああぁっ…!……んんっ…!」
仮にも公共の場でこのような行為に及んでいるせいか、急に下唇を噛んで声を抑えるアンナ。
こんな仕草が、また葉の気を昂らせるとも知らずに。
「声出せよ…大丈夫、誰も来や…しねえよ」
亢進した葉は、充分に充血して、包皮から顔を出している陰梃を摘み上げ、更に膣内を指で掻き混ぜる。
「んんんっ…!!」
しかしアンナは屈さずに、尚歯を食いしばる。
その様を見た葉は、何か思いついたように口を開く。

「あ、蓮!」

「え…!? あ、やああああぁぁ!!」
葉の欺瞞に驚き、我慢の角が折れたのか、一気に快感が押し寄せ絶頂を迎えてしまう。にやっと笑う葉。
「……嘘」
「あ、あんた…後で覚えときなさい……」
躰を痙攣させ、息を荒げ、怒りと恍惚が半々の表情で葉を見るアンナ。
しかし今主導権を握っているのは葉に変わりない。
「挿れても…いいか?」
アンナの太股を反り立ったモノでなぞり、意地悪く、答えの判っている質問をする。
「うるさいっ……」
不貞腐れてしまうアンナ。
「あれ? そんなこと言うならここでやめてもいいんだぞ?」
問責する葉。アンナは一瞬、『えっ』と言う顔を見せる。
「ほら…どうすんだ?」
更に葉はその隙に付け入る。
「もうっ…! さっさとして……!」
「人に物を頼むときは?」
アンナは暫し口籠るが、結局折れる。
「……いれて…下さい」
目をきっと閉じ、耳まで真っ赤にして顔を背けながら答弁する。
「よし…じゃ、いくか」
口元を歪めながらアンナの陰部に肉棒を宛い、ゆっくりと腰を降ろしていく葉。
ズププ……

葉の膨張したモノが膣内を掻き分け、アンナを犯していく。

「あっ…ふああぁっ…!!」

肉棒が奥まで到達する。再び引き戻し、抽送を繰り返していく。
「やっぱ…きついな、アンナの中。最高だ…」
「…っ……おバカっ…!……ひあぁっ!」
合図もなしに抽送の速度を高める葉。

「あ、ああぁっ! ああ…んっ…!!」
浴場に、出しっ放しのシャワーの規則的な音と欲情した結合部が奏でる不規則的で淫猥な音が混ざり合い、響き渡る。
次第に両者の喘ぎに甘美が隠り始める。
「はぁっ、はぁっ…」
「よ、葉っ…! も……ダメっ…!!」
絶頂が近付き、腰の動きにスパートをかける二人。
そして―――

「んっ……ああっ…ああああぁぁぁっ…!!」
「くあっ……!!」

―――絶頂を迎えた。
腰を震わせながら、暫くの間繋がったまま余韻に浸る葉とアンナ。
―――夜、虫の声が鳴り響く部屋には、葉とアンナが布団を並べて横になっている。
アンナは葉に背を向けている。

「……なあ、こっち来いよ。一緒に寝ようぜ」
「……バカ」

どこかでしたやり取りを交わす二人。
どうもすげないアンナに対してごちる様に呟く葉。
「つれねぇなぁ……さっきはあんなに感じてた癖に」
「んなっ……」
葉の言葉に反応してぴくりと体を動かす。
「可愛かったなぁ……『……いれて…下さい』とか言ってよ…」

「おバカっ!!」

静寂した闇を一閃する様に破裂音が鳴り響く。

―――こうして、葉の左頬に手形を残し、民宿の夜は更けていく。


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