×ホロホロ

 

「…情けねぇ〜」


縁側に腰を降ろし、1人呟く。

未だ止む気配がない雨が、真っ暗な夜空から降り次ぐ。生暖かい空気が、初夏なんだと思い知らされた。


果てたばかりのソコを、あぐらをかき眺める。


「使い道がコレしかねぇ・て」
はぁ〜、
と ため息ひとつ。情けなさがより込み上げた。



今夜もあいつらのお楽しみを覗き、興奮した俺自身を解放させた後

時々こうして縁側で外を眺める。
皆が寝静まってるせいか、この時間はやけに静かだ。


雨のザーザーとした音さえも、不思議と五月蝿いと思わない。

…欲を吐き出した後だからか。

にしても

男と女は分からないもんだな。一見そういった事に無縁そうに見える奴らでも、ほぼ毎夜のようにお互いの躯を貪り合ってるのだから。

そう思えば、
頭に浮かぶのはアンナの姿。
いつも気丈な彼女が、葉の前では甘えたただの女になる。
淫らに、本能のままに喘いでいる。

考えるだけで、また熱くなる俺の下半身。


覗いてるのがバレたら、どうなるのだろう


「何してんの」


雨の音に混じり聞こえた、感情のない声。
驚いて、声のした方を振り向いた。


あぁ、
なんでこんな時に――




「………お、おぅ」



寝間着用の浴衣を来た、アンナが

立っていた。




「珍しいわね」


一言、言葉だけが俺へ向けられる。
見つめてほしいその琥珀色の瞳は、雨が気になるのか外へ向けられていた。


暗闇でよく分からないが、行為の後のせいか、アンナの頬は紅い。

どうせ、火照った躯を冷ましに来たんだろう


珍しいのはそっちじゃないか。


いつもなら
葉の腕の中でくるまってるか、朝までぶっどおしのくせして。



「まぁ…眠れなくてよ」

言いたい言葉とは裏腹に、どうでもいい言葉が出てきた。

アンナは「あ、そう」と呟きまだ雨を観ていた。

どうやら俺は、よほどアンナが気になるらしい。


だって、
ほら

こいつの顔ばっか見てる




ちろり、と目線を下げれば首筋に見える
紅い痕。

無数に、さも自分のものだと見せつけるように。


それから、浴衣の合わせから覗く白いやわらかそうな胸の谷間、が
自然にできるほどもないが、形は良い。

緩まった帯の、腰のライン。細い躯だなとしみじみ思う。
毎晩抱かれて、よく壊れないものだ。


 
視線をゆっくりと下げてゆき、瞬間動きを止めた。太股が動き、股の布のしわがのびる。

アンナが[休め]の体制になっからだった。
どうやら俺の視線には

まだ気づいていないようで。




帯の下の、
俺の知らない 世界。
葉にだけ許される領域。
ソコに俺自身を侵入させたら、葉はどう思うか。アンナはどう、感じるのだろうか───



「…おい」


俺の呼びかけに、やっと雨から目線を外す。

呼ばれたのが不快だったのか、いきなり呼んだからか、アンナは眉を寄せ俺を見た。


「…何よ」


柱に肩を預け佇むアンナは、浴衣が妙にはだけているせいか、雨の湿った空気のせいか、やけに色っぽく見える。
しかも2人きり、他の奴らは皆夢の中だ。

その雰囲気に俺も流されたのか。



「お前って、マジで葉の奴の事愛してんのか?」

発した言葉に後悔はない。

覗いてしまった
ある情事。
決して見てはいけなかったんだ。

あの日から、アンナを見る目が変わったのかもしれねぇ。



「愚問ね…」


愛してるに決まってるでしょう。

瞼を伏せて
アンナが言った。

 
長い睫の影が頬に落ちる。垂れた髪を耳に掛け、俺の事を見ようとはしない。

いや、
見れないのだろうけど。



髪に触れた腕を
降ろす前に俺に捕らえられる。
驚いたのか、目を見開きやっと俺を見た。


「な、何す」
「知ってんだぜ、俺」


片方の腕で
アンナの腰を抱き寄せる。腰が触れ合い、俺自身がアンナに当たった。

ソレを感じ取ったのか、一気に顔を赤らめる。
葉に攻められる時のアンナの顔に
俺が葉になったかのように思えた。


 
「っホロホロ!!!」

困惑した、顔で怒鳴られてもいつものおっかなさはない。


俺の知ってる
コイツの秘密をぶちまけたら、どんな顔をするだろう


泣くだろうか、
弱みを握られ態度を変えるのだろうか。



「騒いでみろよ、皆が起き出すぜ?」

ぐっと
何かを堪えるように押し黙る。目だけは、俺に訴えかけていたが。



口をアンナの耳元に持っていき、囁いた。

雨音さえ
聞こえない

やけに静かに
俺の声だけが響いた。


「ハオの野郎と、ヤッてんだろ?」

部屋から聞こえたのは
アンナの声と
葉ではない声。

覗いてはいけなかったんだ、俺は
見てみないフリを
したんだ。



 
アンナとハオの情事を。

どんな顔をして
どんな眼をしているんだろう、

黙ったまま何も言わないアンナの、首筋に
顔を埋める。


心地よい柔らかさと匂いが、たまらなく気持ちよかった。



抵抗すら見せない
その腕を放し

アンナを抱きしめた。
なんでこんなに


下半身が熱くなるんだろ



余計に
゛やりたい ゛

と、心が叫ぶ。


 
抑えきれない
欲望。
隠しきれない
感情。

それらを耳元で、言葉にしてみた。


「やらして」


「葉には黙っててやるから、口止め料・て事で」





 
なんてバカな、
そんなもんでこの女が黙ってられるとは思ってもないのに。


前に見た、ドラマの中の男女と
今の俺達が被る。

結局、女は男の言葉を鵜呑みにして抱かれるんだった・け


アンナは、どうだ。




黙ったまま、
俺はただアンナの言葉を待たずにやわらかな尻の形を手のひらでなぞっていた。


 
「…ホロホロ」


浴衣の裾をたくし上げ、白い太ももを手のひら全体でなぞる。
すべすべしていて、やわらかなアンナの
脚。

触れていると、俺の名を囁くように呼んだ。



「あんたそんなに…あたしとしたかったの?」



意外な言葉。
予想外な展開。

動きを止めた手のひらを、ラインをなぞりアンナの顎を持った。
やはり簡単に丸め込めないアンナの、その瞳と絡める目線


「あぁ、そうだよ」



言って
笑ってやった。

前々から思ってた、事
葉ではなく、俺がアンナを抱けたなら…


夢の中だけだと思ってた彼女が、今や俺の腕の中に居る




「……っ」
「冷静なフリして実は感じてんじゃん、お前」

顎を収めた腕の、もう片方の腕をひっそりと下降させて下半身へと忍ばせた。
秘めた箇所を覆った布越しを、軽く指先で触れただけで小さく声をもらす。ビク・と躯を震わせ、俺の言葉に頬を赤く染めた。


「触っただけなのに、なぁ?」

まるで俺ではないような言葉が飛び出す。
そこを中指の腹で強く圧すと、湿っているのがよく分かった。


「ホロ、っホロ…」
「我慢してねェで言ってみろよ」

顎から手を離し、ソコにだけ集中させるように
中指を上下になぞる。
ビクビクと躯を震わし、涙目になるアンナの耳元で囁いた。


「俺に抱かれたい・って、言ってみろよ」



なぞる度に、染み込むように広がる液体。
布越しだというのに、俺の指腹にまでまとわりつく。

 

強く圧すと、中心部の出っ張りに当たった。
「ッあ」

より躰を震わせるアンナの、言葉を待たずに
秘部を隠していた布を降ろした。


「ちょ、っと…」

降ろした後になんだかんだ言われても
後の祭りだ。


「葉とやって
ハオとやって
俺とは、やれない訳ないよな?」

「何バカなコト…ぁァっ」


指を這わせ、アンナの股関へと運ばせる。


秘部の入り口で止めて、やわらかな花弁に触れた。耳元で

囁いた。


「指で、いきたい?」


人差し指の第一関節を、その入り口へと押し込んだ。アンナの漏れる喘ぎが、雨音と混じる。

一層、イヤらしく思えたアンナの顔が
俺を変貌させるのか


「お前ってさ
けっこう強情なのな


こんなに濡れてんのによ」


「指でイカされるって、屈辱的だと思わねぇの?」


「葉の双子兄とやってんだもんな、
淫乱なんだよな、お前って」



早くこいつと重なりたいのに、喘ぎ声の中言葉が自然に出てくる。
埋めた指が、まるまる一本アンナの中に呑まれて行った。


「ふぁ!あ」

埋まった指を
折り曲げ、かき混ぜたり、壁をなぞったりと
アンナの膣内をクチャクチャと水音を響かせ、彷徨った。

その度にアンナは
困ったように、それでも気持ちよさそうに
声を震えさせながら喘ぐのだ。


いつも聞き耳を側立てながら聞いていた
この性感帯を擽られるような甘ったるい声が、俺に向けられた喘ぎだと思うと、余計に


こいつをどうにかしてしまいたい、と
欲に魅せられた俺が言う。



また指をもう一本、
ぬぷ…
という音とともにアンナの中に呑み込まれた。

「はぁ…ッ、あ」


吐息が、俺の顔を擽る。

思わず身震いして、アンナのやわらかな唇に吸い付いた。

上唇を軽く吸い、それから深く口付ける。
抵抗すらないアンナの口からは、指の動きに敏感に反応した喘ぎが漏れるばかりだ。

二本の指を器用に動かし、且つ、口付けを繰り返す。上も下も
ピチャピチャと祖谷らしく、雨音すら耳に入らない程、俺の鼓膜に響く。

「んン、っふ…
ぅうン………んッッ!」



アンナが俺の首に腕を回したかと思うと
躰を震わし、瞬間、埋め込んだ指に熱い液体が触れる。



それが
絶頂に達したのだと

俺に知らせてくれた。



「…あー
マジで逝ったのかよ、指で?」

くちゅ…

「ぁ!あ」

唇を離し、
嘲るように言い放った。

出張する出っ張りを圧すと、卑猥な音とアンナの震えた声。



「あいつらにヤられまくってっから、そんな体になったんじゃねぇ?」

「ふぁ、ン」


指を引き抜き(膣の壁をなぞりながら)、アンナの液体でねっとりとした指で、白い滑らかなこいつの太ももを撫でる。


べとべとした指と
べとべとしたこの時期特有の空気に

おかしくなるばかりの俺の脳みそが
俺に命令するんだ。

「「早くヤッちゃえよ」」

って。


柱を支えに、アンナの脚を開かせ上げる。

既に抵抗すらしないこいつは、大人しく俺に従っていた。




思った以上の
こいつの淫乱さに、

思わず笑みが零れる。



葉や、ハオに抱かれるこいつを抱きたいといつも思っていただけに

こいつのあまりにも大人しい態度が

なんだか面白くない。



「ん…ぁ、あ!」


アンナの脚を俺の肩に乗せ、目の前の秘部を覆っている下着を脱がせ、顔を近づけそこにキスをした。

触れただけで、
敏感に反応するアンナ。


くにゅ、
と、音を出して俺はソレに吸いつく。
突起にはわざと触れずに、その周りや割れ目に舌を這わせた。



「ゃ、あ…ホロホロっ」


顔を真っ赤にして、
俺のその行為を見下ろしながらじれったそうにアンナが喘ぐ。




さっきみたいに
素直に逝かせる気はないんだよ、今の俺は。


俺の陰茎が
熱くなって堅くなって行くのが分かる。
それでもまだ

自分自身に"おあづけ"しとくんだ。

「何、そんなに逝きてぇの??」

潤んだ瞳が
こちらに向けられて

口を離して問いかけた。


そういや
葉やハオも

こんな風にじらしてたっけ…。




「何か言えよ、じゃなきゃほら」
「ぁっ…」

肩にある脚を退かす素振りを見せると、アンナは困ったように言った。

それから
小さく
「入れて」
と、
口だけが動いた。




「じゃあさ」





「俺の、
舐めてよ」


上目に見たアンナは
一回だけ

こくんと頷いた。


黙ったまま、
俺はゆっくりアンナの脚を下ろした。


朱らめた頬が
生温い空気にマッチして妙に色っぽい。



アンナの頭に手を置き、しゃがめと合図する。
俺の股関に顔を寄せ、ゆっくりと、ハーパンを下ろして行くアンナ。


こんな事をされるのは初めてなはずなのに、ちっとも、
恥ずかしいとか
緊張とか
そんなもんなくて。

不思議と
自然に
俺はこいつを見下ろしてるだけだ。



「なんだよ、俺のじゃできねぇっての?」


しばし俺のを見て固まるアンナに言ったセリフだ。

「お前、好きなんだろ?コレ」


目が合い、俺は笑った。
「舐めろよ、逝きたいんだろ?」


何か言いたそうに開いたアンナの口に
無理やり俺の陰茎を押し込めた。


「ふ、ン」


苦しそうに顔を歪め、かなり膨張した俺のをくわえたアンナは

覗き見した営みとはまた違う色っぽさがあった。




湿気で湿ったキャラメル色の髪を、鷲掴みにしてアンナの次の行為を待つ。

瞬間、
言い知れぬ感覚が俺を襲った。

「っ…ッ」


体が痺れたような
それでも気持ちのよいこの感覚を、

なんと呼べばいいんだろう。



「ん、ン…っ」

苦しそうに、眉を寄せながら俺のをくわえ、先端を丁寧に舐めるアンナ。

自分一人でやるのと
他人にやられる
のとは、こんなにも差が出るもんなんだと、気を抜いたらすぐさま達してしまいそうな快楽の中ぼんやりと思った。

丁度、アンナが裏筋を舐めあげる所だった。



先走りで、濡れた先端が妖しく光っていて
アンナが、その裏筋を丁寧に、赤い舌で舐める。



やべぇ…
すっげぇエロい。

また違ったアンナを
見た瞬間でもあった

「…もぅ、いい」

アンナの髪を鷲掴みにした手に思わず力が入る。
そのせいで余計、
眉にシワを寄せ顔を歪ませた。


「ふ…ン」


これ以上アンナに舐めあげられたら
マジでいっちまいそうで


早くどうにかしたくて
引き剥がした。

「ホロ…っ」
「出すなら中がいいだろ??」

掴んだ髪を前に寄せて、アンナにキスをする。
吸い付いて、舌を絡めて


空いた腕で
アンナの股を開かせる。背を柱に寄り貸せてやや下に崩れるアンナが


なんだかかわいく感じた。


「…もぅ、いい」

アンナの髪を鷲掴みにした手に思わず力が入る。
そのせいで余計、
眉にシワを寄せ顔を歪ませた。


「ふ…ン」


これ以上アンナに舐めあげられたら
マジでいっちまいそうで


早くどうにかしたくて
引き剥がした。

「ホロ…っ」
「出すなら中がいいだろ??」

掴んだ髪を前に寄せて、アンナにキスをする。
吸い付いて、舌を絡めて


空いた腕で
アンナの股を開かせる。背を柱に寄り貸せてやや下に崩れるアンナが


なんだかかわいく感じた。


俺の胸に押し当てられた華奢な細い腕が、キスが深まるにつれ

段々と。
俺の首に回されて行き、互いに口付けを交わし求め合う。


「ん、ん…ッふ」

開かせたアンナの脚の間に、腰を滑り込ませる。ハーパンを、ハメやすいように膝まで下ろし、ぐじょぐしょになったソコに、手探りでもう既にヤバい俺の陰茎を押し込めた。

アンナがソレに反応して、小さく声を漏らしていた。



先走りで濡れそぼった先端を、ゆっくりと挿入して行く。
たった亀頭だけ入れただけなのに、アンナの中の熱に



こっちがイきそうだ。

「ふぁ、ァん…っ」


陰茎を中に押し込めて行く。
触れそうなギリギリに離れた口元に、アンナの熱い吐息がかかった。



「んっ…!」

根元まですっぽり収まった自身に、ちろりと視線を落とす。
開かれた白い脚の、丁度真ん中に、俺のアレが姿を隠していた。


さっきよりは弱まった雨音は、パラパラと小さく俺の耳に届く。


そしてそれを遮るように、アンナの声が俺を呼んだ。








「ホロホロ…っ」


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