■×ファウスト
- ここはファウストの診療所。
といっても、炎の一室を借りた質素なもので診療所とは名ばかりの小部屋だ。
「じゃあそこに横になってください」
ファウストが言った。
そう言われ、ベッドに横になったのは恐山アンナ。
炎の主である葉の許嫁だった。
「悪いわね、ファウスト。マッサージなんて頼んじゃって」
「構いませンヨ」
ファウストは笑顔でうけ合った。
マッサージクリームとタオルをベッドの脇に用意し、袖をまくる。
「最近ハ皆さん健康でワタシの出番も減ってきテますカラ。じゃあ、うつ伏せになってクダサイ」
真っ白なベッドに横になったアンナは、もぞもぞと言われたとおりに動く。
ファウストは相変わらずにこにこと愛想のいい微笑みを浮かべ、楽しそうに準備を整えていた。
「ダレカが扉を開けたときの為二目隠し立てておきマスネ」
- 病院で使うような仕切りを持ってきて、ベッドの前に立てた。
真っ白な隔離された空間がそこに出来上がる。
ファウストは支度をすべて終え、アンナの元にやってきた。
「ワタシが上に乗っても大丈夫デスか?」
アンナは怪訝そうに答えた。
「アンタが乗るの?」
「ハイ。指圧でもなんデモそういうものなんデスヨ。」
体重がかからないようにやりますから、とファウストは言った。
アンタは二、三秒迷っていたが、
「わかったわ。あたしが頼んだんだしね…」
しぶしぶ合意した。
「デハ失礼しまスヨ…」
ぎしっとベッドが軋み、ファウストが乗った。
そしてうつ伏せのアンナを跨ぎ、見下ろす体勢になった。
「痛かったら言ってくダサイ」
そう言うと、アンナの背中に手を置き的確に体を解していく。
慣れた手つきに、アンナはため息をついた。
- 「すごいじゃない…アンタ」
目を伏せ、気持ちよさそうに時折声を漏らす。
緊張気味だった体も、あくまで技術者であるというファウストの堂々とした手にほぐされていった。
「まぁ、これモ人体を探求した成果デス」
ひかえめに言うファウストに、アンナは好感を持った。
頼りない奴だと思っていたファウストの意外な一面をみたような気がした。
しばらくファウストは凝りを解したり、アンナの望む症状に効くツボを刺激したりと懸命に手を動かしていた。
その度にアンナはため息を漏らしたり、軽い嗚咽を漏らしたりと気持ちよさそうになすがままになっていた。
「どうデスカ?」
ファウストは額ににじんだ汗を拭きながら言った。
「そうね。体が軽くなったかんじがするわね…」
「リンパの流れをよくするマッサージがあるんデスガ、それモ施行しまショウカ?」
「何よそれ」
アンナはうつ伏せのままファウストを振り返り、訪ねた。
- 「肌をリンパの流れに沿ってマッサージスルことにヨリ、肌の代謝が活発二なるんデスヨ」
ファウストは近くにあったマッサージクリームを取り、アンナに見せた。
「…直接?」
「ハイ。服の上からじゃロクニさすれまセンカラ」
アンナはじっとそれやファウストの顔を見ていた。
ファウストの顔は相変わらず笑顔で、他の男のように変な妄想を抱いたりはしていないだろうと思った。
今までのマッサージにより、アンナは警戒を解いていたのだ。
「じゃ…お願いするわ」
アンナは再び向き直り、目を閉じた。
長い睫が陰をつくり、ほんのり上気した肌は色づいていて色っぽい。
ファウストはしばらくそれを冷静に見つめた。
「…デハ、失礼シマス」
ずれないようにワンピースの肩口をおさえ、片手でジッパーを下ろした。
- まぶしいほどに白く、つるりとした背中が顔を出した。
アンナが深く息を吸い込む音が聞こえる。
「服が汚れないように少し下ろしてクダサイ。このタオルを使って隠して構いませんカラ」
タオルをアンナに差し出すと、アンナはまた躊躇しているように動きを止めた。
ファウストは体重をかけないよう用心しながら、後ろを向いて肩をすくめて見せた。
「これでいいデスカ?女将」
そんなファウストの冗談めいた態度に、アンナはすっかり気を許してしまった。
ワンピースを臀部が見える寸前まで下げ、胸元をタオルで隠した。
「いいわ。服汚したら承知しないから」
「分かってマスヨ」
ぶつぶつ不平を言うアンナに苦笑しながら、マッサージクリームを手に取った。
軽く体温で温め、アンナの背中に乗せる。
そしてなるべく手のひら全体を使うようにして、露出されている部分にのばしていった。
そうすることでアンナが過敏に反応することを計算に入れていた。
- 「…んっ……!」
ヌラついたファウストの手が、背中で動きまわる感触に思わず声を上げた。
気のせいか、先ほどには無かった妙な色香があるように感じる。
「くすぐったいデスカ?」
「な…なんでもないわ」
あわてて答えたが、声が思わず上擦ってしまった。
対照的なファウストの邪気のない声に、自分が少しでも淫らな想像をしてしまった事を恥じた。
ファウストの手は何事もなかったように動き、極めて事務的とも言っていいほどだった。
アンナは再び瞳を閉じる。慣れてしまえば、過敏に反応してしまうという事もなかった。
(あたしの思い違いだったのね…)
そう思い、体の力をぬきすべてをファウストに委ねた。
「…ぁっ…」
ファウストの手が腰まで下りたとき、アンナは再び小さく声を上げた。
今度はファウストも気がつかなかったようで、動きを続けている。- 急にまた手がいやらしく動き出したように感じられたのだ。
それは腰をゆっくりと撫でていき、背中、そして肩に移動した。
ぬるぬると動き回る手に、アンナの呼吸も自然にあがっていった。
「…んんっ…ん…!」
押し殺した声が室内に響いた。ファウストはさっきまでとはうってかわって黙っている。
指先が首筋をぬるりと撫でていき、耳をいじる。
「あう…んっ……」
アンナは必死で漏れそうになる声に耐えた。
まだファウストはマッサージをしていると思い、破廉恥な声を出してしまう自分を恥じたのだ。
しかしファウストの右手がワンピースの中に侵入してきたときに、遂に声を上げた。
「アンタ…何してんのよ…!」
起きあがろうとするが、ファウストが被いかぶさってきたために身動きがとれずにいた。
「いやらしい人デスネ…あなたハ。マッサージシテいるだけデスヨ?」
「何言ってんのよ!イヤ!!」
ファウストは抵抗するアンナのワンピースを、いともたやすく脱がしていく。
後ろから抱きかかえるようにして行動の自由を奪い、空いた手で一気に下ろした。
「本当ハもっと触って欲しかったんデスヨネ?」
露わになった乳房を掌に包む。小さな未発達な乳房でも、先端はぴんと尖っていた。
「あんっ……!や、やめて…」
ジェルが潤滑油のようにぬらつき、違う生き物に触られているようだった。
まんべんなく体に塗られた液体のせいで、アンナの体はヌメヌメと淫らに光る。
ファウストは片手でアンナの腕を拘束しながら、自らの上着を脱ぎ捨てシャツをはだけさせた。
「何脱いでるのよ…!!」
「肌と肌デ触れ合わないト気持ちよくなれませんカラ」
「イヤ!触らないで!!」
アンナが叫ぶのと同時にファウストが被い被さった。
舌先で首筋を舐めあげ、耳をしゃぶる。なまあたたかい舌の感触と、ピチャピチャと卑猥な水音が嫌でも官能を刺激した。
アンナは抵抗しながらも、堪えきれず淫らな声を上げてしまう。
「いや…ああんっ…や、…んん!」
とっさに口に指を入れ、声を押さえるが、ファウストは不敵な笑みを浮かべていった。
「…我慢しなくテいいんデスヨ。まだまだこれカラなんですカラ」
言葉通り、ファウストの指先は、ゆっくりとアンナの体を舐めるように撫でまわしていく。
その度に訪れる快感に、ぴくぴくと体を痙攣させる。
左手は乳房を撫でたり揉んだりと、そして右手で時折敏感な乳首を捻る。
「んあ…っ、ああ…ぁ」
激しい快感ではないが、波のように寄せる感覚に、徐々に抵抗する気力が奪われていった。
その度に葉の顔が脳裏に浮かび、萎えた気力を奮い立たせる。
「お願い…やめて…」
ファウストの体を必死に押し退けた。
しかしすぐにまた密着されてしまう。肌が触れ合い、ヌルりと滑る。
「んん…んっ」
「ここまで来テお預けデスカ?辛いノハ貴女デショウ」
相変わらず乳房をなぶり続けたままで言った。
「辛くなんか…!ひっ…」
ファウストの手が太股を割り、熱く湿った下着に触れた。
太股まで濡らすほど溢れた液体に、ファウストはクククと笑う。
「どれダケ濡れてるか分かってますヨネ?葉君の所に行くんデスカ?
『私はファウストのマッサージでここがびちょびちょになりました』とでも言うツモリで?」
言いながらも、指の動きは止まらない。
「最、低……んっ…んぅ…」
ファウストは下着の上から秘豆をさすった。違う指でくにくにと割れ目を押し上げる。
そうするだけでアンナは、ますます体を仰け反らせて甘い声を漏らし、愛液がどっと溢れた。
白い下着は湿って透け、ピンク色の割れ目がみてとれる。
ぴくぴくと収縮を繰り返し、そこが肉棒を欲しがっていることは容易に検討がついた。
「欲しいんデスカ?」
ファウストはズボンのジッパーを下げ、肉棒を取り出した。
アンナはぼんやりした目でそれを見ている。
口元はだらしなく開いたままだ。
「…上手二しゃぶれたら続きをしてあげるシ、コレもいれてアゲマス」
ファウストはアンナを抱き起こした。
「しなけれバ、葉君にこのテープを渡すダケ」
ベッドの下から黒い機械を取りだした。
薄い表面にボタンが数個と、カセットらしきものが見える。
「テープ…レコーダー…」
- 「いきマスヨ…」
私の低い囁きと共に、ぐちゅっと水音がなる。
彼女はおとなしく(それでも精一杯侮蔑的な表情を浮かべ、頬は涙に濡れていた)犬のように尻をつきだした。
高々と掲げられた臀部を掴み、肉棒を押し入れていく。
「…あぁ……んぅ」
アンナはシーツを掴み、快感に耐えているようだった。
太股まで濡れる程淫らな行為に熱中しておいて、こんな健気で純朴そうな真似をしてくれるものだからますます苛めてみたくなる。
突き刺すようにアンナの最奥に肉棒をねじ込んだ。
「いやぁああああ!!!」
長い悲鳴は、途中で喘ぎ声に変わった。- ずちゅずちゅと律動を開始すると、体を揺らしながら動きを合わせる。
「あっ…ああ…や、動いちゃだめぇ…」
肉と肉のぶつかり合う音が、室内にひびいた。
こんな年端もいかない少女を、許嫁のいる家の中で犯している。
その事実が強烈な快感をもたらし、その淫行に酔いしれてしまう。
「アンナさん…すごくヤラシイ格好デスヨ…」
「言わないで…ふぁ、ぁん……すごい…!」
狂ったように腰をうちつけ、またアンナもくねくねと腰を振った。
「あっ…あぁ…イッ……ちゃう…!」