「もしもーし、なんや宍戸、どないしたん?」
「忍足、今時間いいか?」
「おう、ええで?」
「あのな、今日お前がさっさと帰ったあとにレギュラーのメンツでカラオケ行ったんだけどよ…」
「そうやったん?」
「それで、よぉ。長太郎のヤツが下手なくせに『らいおんハート』歌いやがったんだけどな」
「ああ。(長太郎はホンマに歌下手やね。ピアノやらバイオリンやらやってるくせに)」
「なんだ、あれって歌詞に『♪あきれるほどに、そうさそばにいてあげる』ってあるだろ?」
「あるなぁ(あーなんか話見えてきたで)」
「そこ歌ってる時、あいつ俺の顔瞬きもせずにずーっと見てやがってな。気味悪いったらなかったぜ」
「…(鳳、全然伝わってへんで、お前の気持ち。ちゅうかやっぱ本気やったんや…)」
「そんでよぉ、歌い終わったあとに『なんだよ、言いたいことがあればはっきり言えよ』って聞いても
 ため息ついて悲しそうな顔するだけなんだぜ。感じわりぃよな。わけわかんねぇよ」
「ほー(不憫や、鳳)」
「跡部は『テメェ、バカだな』とかマジむかつくし、向日には『サイテー』とか言われるし。
 日吉は『激ダサなのは先輩ですね』とか言うし、樺地まで…」
「樺地は何て言うたん?(連中そろいもそろって鳳の味方なんか。ま、コイツこんなんやしな)」
「哀れむような目で俺を見た後、長太郎の肩を叩いて『いつか報われる』とか言ってやがったんだぜ。
 なんだよあいつら。腹立つぜ。俺だけのけものにしやがって。」
「そぉか(樺地まで…あれだけあからさまなのに何でコイツは気づかへんのや?おかしいやろ)」
「でよぉ、忍足。なんだったんだアレ。」
「俺が知るか。何で俺に聞くねん(宍戸が悪い。アホか、ホンマに。)」
「いいじゃねぇか。お前いろいろ知ってんだろ?」
「ウルサイ。知らんわ、ボケ(下手に首突っ込んで巻き込まれるのは絶対ゴメンや。鳳は宍戸のことになるとヤバそうやしな)」
「なんだよ、俺マジわかんねぇんだよ。あんな顔されたままじゃなんか後味ワリィしよ」
「…(一応宍戸も気にはしてるんや。よかったなぁ鳳〜)」
「なぁ、忍足。頼む。気になるんだよ」
「フゥ。あんな、宍戸。俺が口挟むことやないねん。でも一つ言うとくわ。
 取り返しのつかんようになる前に、もっとちゃんと鳳のこと考えたり。ほな、な」
「あ、おい、まてよ忍足、なぁっ。チッ、切りやがった。なんだよちっともわからねぇじゃねぇか。使えねぇヤツだな」
(お前がな by忍足)


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