レンタルチャット


俺、我慢強いほうだとは思うけど、二人きりでいるのに何もしないでいられるほど
理性の男じゃないんです。
だから、すみません、宍戸さん…。










夏休みも残すところあと少しというある日の午後、宍戸さんが家にやってきた。

課題の追い込みをしたいのに、両親の留守をいいことにお兄さんが友達を呼んで大騒ぎしていて、
それどころではない、という理由らしい。
図書館に行ってみたけれど満席で空いていないし、お前の家に行ってもいいか?
と、ちょっと申し訳なさそうに電話口で言われて、俺は「もちろんです!」と即答した。

今日は部活も午前で終わっていたし、家に誰か来たところで家族が文句を言ったりもしない。
それになにより、頼ってもらえたことが嬉しかった。
ダブルスを組んでいた時は、いつも俺が頼ってばかりだった。
付き合うようになってからは、主導権は俺が握っているには違いないが、頼られたことは多分ない。
宍戸さんは男だし、年上だから俺に頼るなんて問題外だと思っていそうだ…
もっと甘えてくれても全然かまわないんだけど、という俺の願いは聞き入れられることはなさそうだ。
でも、俺はそういう宍戸さんだから、好きなんだけど。

部屋を少し整頓したりしていたら、玄関のチャイムが鳴ったので、迎えにでる。
ドアを開けると、暑さにちょっとまいちゃってる様子の宍戸さんがいた。
「暑いから、早く中にどうぞ」
「ああ、悪い…終わったらすぐに帰るからよ」
とペコリと頭を下げた。
「気にしないでください」
中へ促すと、きちんと靴を揃えて玄関を上がる。
部屋に案内すると、一通り眺めて一言もらす。
「でけぇ部屋だな」
「そんなことありませんよ。跡部さんの家に比べたら普通です」
「あそこと一緒にするなよ」
宍戸さんはさっさと勉強の用具を机に並べている。
「何が残ってるんですか?」
「英語少しと国語半分と…感想文だ」
どうやら、得意な教科は終わらせてしまっているらしい。
そんなところも宍戸さんらしくて、俺は笑ってしまった。
「なんだよ。終わりそうにねぇって思ってるのか」
「違いますよ。俺、邪魔しないんで、頑張ってくださいね」
「おう」
俺は、飲み物を用意して、宍戸さんが集中できるように静かに雑誌をめくり始めた。

しばらくして、宍戸さんが思い出したように言った。
「なあ、お前はいいのかよ。俺のこと気にしないでやることやれよ」
「課題は全部終わっちゃったんで。俺、特にやることないんからいいですよ」
「もう終わったのか?」
「はい」
宍戸さんはちょっとムッとしたみたいだったけど、またすぐに再開した。

別に何かやることがなくても、こうして宍戸さんが近くにいて、
それを眺めていられるのは幸せだと思う。
ただ、目の前にいるのに手を出せないのはツライなあというのが正直なところだ。
頑張っている宍戸さんに申し訳ないのでそんなそぶりは見せられないけど…
俺はちょっと悶々としながらも、宍戸さんが文字を書くサラサラという音をBGMに何食わぬ顔で読書に励んだ。


「やっと終わったぜ」と宍戸さんが大きく伸びをした時、すでに20時を回っていた。
「よかったですね!」
「ああ、お前のおかげで集中して出来た。ありがとうな」
満面の笑顔でお礼を言われ、俺はそのまま押し倒してしまいそうな気分だったが、どうにか我慢した。


急いではダメだ… 母が準備してくれた遅い夕飯を部屋で一緒に食べた。
デザートの梨を手づかみで食べていた宍戸さんの手は、果汁でベタベタになっていた。
「なあ、長太郎。なんか拭くもンくれ」
俺は、宍戸さんの手を掴むと口元に運んで、濡れた指を口に含んだ。
「なっ、何してんだ、長太郎」
慌てた宍戸さんが手を引っ込めようとする。もちろん俺はそんなことはさせない。
一本一本ゆっくりと、根元から指先まで舌を使って舐める。
指の股はことさら念入りに、ところどころ歯を立て、わざと音を立てる。
「やめろよ…ぁっ」
時々ビクリと反応する。俺は上目遣いで宍戸さんの顔をじっと見た。
顔を赤らめて、どうしていいかわからない表情で俺を見つめ返している。

丹念に舐め終わって、手を離す頃には、宍戸さんの息は荒くなっていた。
「てめっ、何しやがるっ」
そんな顔でそういうことを言っても、俺を止める役に立たないことをそろそろわかってもいいと思うんだけど…
「手、綺麗になったでしょう?それに気持ちよかったみたいだし」
「気持ちよくなんかねぇ」
乱れた呼吸と潤んだ目。全く説得力がないんだけどな…

「じゃあ、もっと気持ちよくしてあげますよ」
俺は後ろから宍戸さんを抱きしめて、耳元で囁いた。
宍戸さんが抗議の声をあげるまえに、顎を捉えて唇を塞ぐ。
不自然な体勢で苦しそうだけれど、構わず舌を絡める。
空いている手をTシャツの裾から侵入させ、胸の突起を弄る。
「んんっ…」
ビクッと身をすくませて、塞いだ唇から声が漏れる。
唇を解放して、今度は両手で胸を刺激する。羽交い絞めのような
格好になっているから、身を捩っても宍戸さんは逃れることは出来ない。
息を弾ませながら、俺の腕を掴んで抵抗するけれど、効果は無い。

耳に舌を這わせると
「あっ」
と、宍戸さんは大きく身を震わせた。
いつもより高く大きな声に慌てて自分の手で口を塞いだ。
俺は自由になった手で、すばやくジーンズのファスナーをおろして、
下着の中で存在を主張している宍戸さん自身に触れた。
この前は、泣きが入ってここでやめたけれど、今日はやめるつもりは無かった。

「んんんっ…」
口を塞いでいる宍戸さんがくぐもった声を上げる。俺の手を止めたいけれど
自分の上げる声も漏らしたくない、そんな様子がますます俺をたきつける。
俺は固く勃ちあがっているそこを掴むとゆっくりと上下に扱きはじめた。
動きに合わせて、宍戸さんのいつもとは違う声が漏れる。
すぐにそこは張り詰めて、自身の滴らせる蜜によって俺の手の動きを滑らかにする。
少し力を入れて、数回さらに動かすと、宍戸さんは口をふさぐ手を放し、俺の腕をつかむと、身体を強張らせ
「あっ…ダメだ…あぁっっ…」
あっけなく達した。

はぁはぁと荒い息をつきながら、振り返って涙目で見つめられて、俺はつい余計なことを言ってしまった。
「宍戸さん、早すぎです。たまってました?」
「なっ…」
宍戸さんは絶句してしまった。
そのあと、うつむいてボソっと言った。
「仕方ないだろ…そんな場所人に触られたの初めてだったんだから」
非常にまずい。今この状況でそんなことを言うのは反則だと思う。
俺が我慢してる最後の一線を一気に越えてヤってしまいたくなる。
どうにかこうにか湧き上がる衝動をやりすごして俺は
「俺が初めてなんて、嬉しいです」
と無難な答えを返した。今日は最後までする気はないけれど、このまま終わらせるつもりも無い。

俺は宍戸さんをずるずる引っ張って、ベッドに引き上げるとさっさと服を脱がせた。
「何すんだ、やめろ」
怯えた表情で起き上がろうとする宍戸さんを押しとどめて
「大丈夫ですよ。最後までしませんから」
と笑顔で答える。
「最後までしないっていっても、さっきもう…」
「まだまだ、全然足りませんよ。今日は何度でも達ってもらいますから」
キスをしながらそう言うと、宍戸さんは泣きそうな顔をする。
「痛いことなんかしませんから。気持ちよくなってもらうだけです」
額、頬、首筋と舌を這わせながら囁くと、くすぐったそうに身を捩る。
「バカヤロウ…」
俺はそれを了解の合図と受け取った。
それから、ふと思い出して付け加えた。
「宍戸さん、声我慢しなくていいですよ」
「…。家族に聞こえるだろ…」
「俺の部屋、ヴァイオリンとか弾いてもいいように防音なんですよ。
 だから…宍戸さんのイイ声、俺にもっと聞かせて…」
耳朶を口に含みながらそう言うと
「嫌だ……っぁぁ」
嫌だといいながら、もう甘い声が上がった。
女の人のあげる声とは違う、低いけれど、どうしようなく俺の官能を刺激する声。
ぞくぞくする。もっともっと聞きたくて、俺は宍戸さんのいいところを探しつつ愛撫を続ける。

「やっ、ちょう、たろ…やめっ…あぁ」
胸の飾りを口に含んで、舌で転がし、歯を立てる。
手で内腿をゆるゆると撫でる。屹立したそこにはわざと触れないようにする。
より強い刺激を求めて、無意識に腰を揺らしているけれど、あえて無視。
しつこいくらいに胸を弄り、内腿、腰、背中に指を這わせる。

「なっ…もうっ…」
宍戸さんから懇願の声が上がるのを待っていた俺は、
「もう、なんですか?」
意地が悪いと思いながらも聞き返す。
「…っ」
「言ってくれないと、判らないです」
「……」
「このままでいいんですか?」
一旦、手を止めて、顔を近づけて、なおも聞き返す。
「や…」
「じゃあ、言って。ね、宍戸さん」
「言えるか」
「それじゃ、このままで…」
「お前…」
これ以上いじめたら、泣いてしまうかも…今日はコレくらいで勘弁してあげようと思った時
「頼む…イかせてくれ」
もう紅くなりようがないほど顔を赤く染め、消え入りそうな声で宍戸さんが言った。

「宍戸さん…大好きですよ…」
俺は、自分の下半身に熱が集中していくのを感じたけど、宍戸さんを悦ばせてあげることに専念する。
堅く張り詰めた宍戸さんの分身をぱっくりと口に含む。
「はっ…ああぁ…やめっ」
宍戸さんは一際高い声をあげ、慌てて身体を起こしたけれど、俺は構わず続けた。
根元から舌でゆっくりと舐め上げ、先端は舌を尖らせて執拗に攻める。
両手を俺の髪に埋めたまま、快感に溺れる宍戸さんは甘い声を上げ続ける。
あんなに声を殺していたのが嘘のように…
そんな姿に、俺は酔ってしまいそうだった。

口でしたまま、後ろの秘められた場所の周囲を指で辿ると、
「あっ…」
宍戸さんは喘ぎ声とともに身体を大きく震わせる。
本当は指を入れたかったけど、焦りは禁物、無理はいけないと、逸る心を抑えながら
指先でそっと引っかくように刺激をする。
ますます激しく反応する宍戸さんの姿が俺をたまらなく熱くさせる。
いったん口を離して堅く閉ざされた場所に舌を這わせ、これ以上ないほど立ち上がった先端の
裂け目に爪を割り込ませた瞬間、
「もっ…あっ…あああぁぁっ」
身体を痙攣のようにビクビクさせて、宍戸さんが欲望を解放した。


宍戸さんは、ベッドに身体を投げ出し、必死で足りない酸素を補うかのような呼吸を繰り返している。
手にべったりとついた宍戸さんの欲望の跡をペロリと舌で舐め取ったら
「そんな…もん、舐めるな。バカ」
息も絶え絶え、喋るのもやっとな宍戸さんに怒られた。

そんな姿を目の前にしているのもそろそろ限界だった。
手早く後始末をすると、俺はベッドから離れようと宍戸さんに背を向けた。
「おまえは、その、いいのかよ」
びっくりして振り返ると、まだ頬を紅潮させたままの宍戸さんと目が合う。
ドクンと身体の中心にまた熱が集まった。
「はは。トイレ行ってきます」
さすがにここで自分で…ってのは虚しすぎる。
宍戸さんは起き上がってベッドの端に腰掛けながら、俺に言った。
「俺が・・・」
「え?」
「おまえの…してやる…よ」
ボソボソと小声での申し出に、信じられない思いで俺は宍戸さんの顔を凝視した。
「そんなに見るなよ…恥ずかしいだろうが」
「本当に、宍戸さんがしてくれるんですか?」
「…何度も言わせんな」
想像もしなかった展開に嬉しいのを通り越して思い切り動揺したが、なんとか誤魔化して
「じゃ、お願いします」
宍戸さんの隣に座ると、ぎゅっと宍戸さんの身体を抱きしめた。
そろそろと手を伸ばして、俺に宍戸さんが触れる。それだけで、強く脈打つのを感じる。
俺の肩に顔を埋めている宍戸さんに
「宍戸さんも、一緒に…ね?」
そっと囁くと、さっき達ったばかりなのに、もう反応し始めている宍戸さんのにそっと手を這わせた。


宍戸さんはちょっとたどたどしい手つきだったけど、俺はいつもより早かった、と思う…
愛撫に反応して甘い声をあげながらも、なんとか俺を達かせてくれようとする姿が上手いヘタ関係なく、
俺をひどく刺激し、快感を誘った。
好きな人とHすると気持ちいいっていうのは、きっとこういうことなんだろう。
俺は妙に納得してしまった。
これから毎晩このベッドで眠るたびに、ヤバイ気分になって困るんだろうなあ…
俺は疲れて寝入ってしまった宍戸さんの横顔を見つめながら、今後に思いを馳せるのだった。






言い訳のみたいなあとがき
エロは苦手です。どうしても桃色な雰囲気にならないです。ちっともエロくない(T_T)
しかし、ここをクリアしないと…
「そっと二人の影がかさなった…そして水色の朝がやってきた」で済ませてしまったほうがいいのかも(笑)
だらだら長くて、そのうえお目汚しで読んでくださった方には申し訳ないです…


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