〈全部、本物〉
***
ドアをあけると、目の前に王子様が立っていた。
「うわぁーっ。ばばば・・・蛮ちゃん、だよね?」
「おうよ」
白いスーツに、金髪ぅ〜?!
しかも、『一歩間違うとヤンキー』って、からかわれちゃうような
オレとは違って。
ヘヴンさんより色の薄い、月の光みたいな金髪。
蛮ちゃんは目も青いし、鼻も高いからすっごく似合ってるぅ!
うぅー。カッコイイよぅ。
「蛮ちゃん、ホントに外人さんみたいだね〜」
「みたい、じゃねぇ。・・・チッ、しゃーねぇだろが。4分の1は本物なんだからよ」
「んぁ?何で怒ってんの」
「あ?こんなつまんねーコトが役立ってっから、何となく気にくわねぇんだよ」
『こんなコト』・・・だなんて。カッコイイのに。・・・何でイヤなのかなぁ?
*****
蛮はドイツ人の秘密結社に潜入調査。
銀は周囲の聞き込み調査。
こんな身なりで貴族趣味な家具に囲まれて、ドイツ語で会話。
・・・・・・どうしても、触れたくない過去を思い出してしまう。
しかもアイツら。
このオレ様に手をだそうとなんざしやがって。
思いだし怒り、などというヘンな器用さを見せつつ。
ふと気が付くと、蛮は・・・なぜか銀次を抱きしめてキスしていた。
怒っているのに、メチャクチャ不機嫌なのに、 行動がちぐはぐ。
「んっ・・・いきなり、どしたの?」
「あー。口直しだよ、口直し・・・クソッ」
まだ怒ってるよう。・・・え?口直しって・・・どういうコトですかぁ〜?
「ばんちゃぁ〜ん。・・・なんか、されちゃったのぉ〜?」
「・・・お子様には、言えねーな」
「そんなぁ〜。・・・イヤだなぁ、オレ」
>空白。
「ハーフだろうと、日本人だろうと、関係ないよ?
・・・・・・蛮ちゃんは蛮ちゃんじゃない」
「銀次・・」
「ばんちゃんは、全部本物だよ」