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銀次はその日の朝、蛮によって強引に起こされた。 「…なに…?まだ眠いよ〜」 「な〜に言ってんだ?オラ、さっさと起きろ、出かけるぞ!」 「…んにゅ〜…お仕事〜??」 「違う…まぁ、ついてくりゃわかるぜ…」 「???」 蛮に促されるまま、まだ眠い目を擦りながら、仕方なく銀次は起き上がった。 着いたそこは、なんだか怪しげなビルの一角。 ドアには何とかスタジオっと横文字が書いてあった。 「蛮ちゃん…?」 戸惑いながら、恐る恐る蛮の後ろをついていく。 「さてと、着いたぜ」 「ここどこ…?」 蛮の目的の場所には、数人の男がいて、どうやら、ここは撮影スタジオらしかった。 わけがわからず、オロオロしている銀次と、何だかニヤニヤと嬉しそうな蛮の元に、一人のカメラマンらしき男が近づいてきた。 男は近づいてくるなり、じろじろと銀次を眺め、「いいわね〜v」とニコニコしながら言った。 「蛮ちゃ〜ん…」 不安になって蛮の後ろに隠れる銀次を強引に蛮は前に出す。 「じゃ、たのんだぜ」 「ま〜かせてvさいっこうに素敵に撮るわ〜v」 と、そのおねぇ口調のカメラマンがばちんとウインクをした。 「いいか、銀次、コイツ…いや、この方がおめぇの写真を撮ってくれるからよ、おとなしく言う事聞くんだぜ? な〜に、撮影現場やら何 やら、俺も一緒だから心配すんなよ?」 っと、蛮は勝手にまくし立てた。 「え?え?ええ――――!?」 寝耳に水とは、この事だろう、蛮はまったく銀次には内緒でこの事を決めていたのだ。 「どういう事だよ!」 銀次が蛮に詰め寄ろうとした時、スタイリストかメイク担当らしい人が銀次に、こっちに来るようにと促した。 「ちょっ!待って!!……蛮ちゃ〜ん!!」 銀次が助けを求めるように叫ぶが、ずるずると連れ去られて行った。 次に蛮の目の前に現れた銀次は、目にも鮮やかな水色の肩を出したジャンプスーツに同じ色のオーバーニーのブーツ姿だった。 スーツのすそが大胆に短いそれに、銀次はモジモジとしていた。 「蛮ちゃ〜ん…なんだよコレ〜。み、短いよ〜」 その姿に蛮は思わず生唾を飲み込んだ。 「すっげ、いいぜ…銀次、イイコにしてたら後で好きなもの食わせてやるぜ…」 「え?いいの??チョコパも?苺のショートケーキも??モンブランも?」 何故かスウィーツばかりを嬉々と連呼する銀次に、蛮はいいぜ。と笑って承諾した。 「やったー!」 と、わけがわからないまま、銀次ははしゃいだ。 そして、撮影に入り、最初はぎこちなかった銀次も、カメラマンの巧みな話術で、次第に表情が柔らかくなっていった…。 「はい、終了〜vお疲れ様〜」 カメラマンのOKが出て、銀次はやっと複数のスタッフに見つめられるという慣れない環境から開放された。 「じゃ、後でポジを渡すわねv」 「ネガもだぜ?」 「もう、抜け目ないわね」 銀次にはわけがわからない会話の二人のやり取りを、頭に?マークを浮かべながら、 銀次は又着替えるべく、スタッフに楽屋に連れて行かれた。 「ねぇ、何だったの?」 約束どおり、蛮は銀次をカフェに連れていき、とりあえず、ケーキを2つ程平らげた後で、銀次が聞いた。 「ん?アレはカメラリハーサルだ。実際に撮影するタレントの前にするカメラテストだ。 普通はスタッフで事足りるらしいが、今回特別におめぇを撮ってもらったんだぜ」 「ほえ?なんで??」 「……」 「蛮ちゃん…?」 言いよどんでそっぽを向く蛮に、銀次が小首をかしげる。 「その…記念にだ…」 「へ?記念?…何の?」 「お、おめぇの誕生日の記念だ!」 向こうを向いて顔が見れない蛮…。だが、おそらくその頬は赤いに違いなかった。 「え?お…俺の…?」 銀次は自分でもすっかり忘れていた誕生日を蛮が覚えててくれた事に驚き、又、嬉しさがこみ上げてきた。 「蛮ちゃん…ありがと…」 銀次の顔も、真っ赤になって俯いた。 だが、銀次の側からは見えないその蛮の顔がにやけているのに気づかなかった。 (おっしゃ!さっきの衣装も強引に貰ってきたから、まずコレを着せて、今夜は朝まで眠らせねぇぜ!くくく…溜まんねぇぜ…) 心の中でガッツポーズをとる蛮だった…。 END。 |
えーへーへーv 喬也さんがまたまたやってくれましたーー!! 悩殺銀次君にメロメロでーす。 いつも、イラストにストーリー性があって、それがまた 楽しくって萌えなモノだから・・・! おまけにSSまで付いていてサービス満点なのです♪ 次のフリーはどんなのだろう?て、毎回ワクワクv 今回も、ダンナのちょいとした悪巧み(?)が大成功(笑) ではでは、喬也さんっ。素敵なフリーイラスト&SSを有り難うございましたー! |